エンスプリング皮下注120mgシリンジ
添付文書情報2024年04月改定(第5版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 警告
- 1.1. 感染症本剤投与により、敗血症、肺炎等の重篤な感染症があらわれ、致命的経過をたどるおそれがある。本剤はIL-6の作用を抑制し治療効果を得る薬剤である。IL-6は急性期反応(発熱、CRP増加等)を誘引するサイトカインであり、本剤投与によりこれらの反応が抑制され、感染症に伴う症状が抑制されることがある。そのため感染症の発見が遅れ、重篤化するおそれがあるので、本剤投与中は患者の状態を十分に観察し問診を行うこと。
症状が軽微であり急性期反応が認められないときでも、白血球数、好中球数の変動に注意し、感染症が疑われる場合には、胸部X線、CT等の検査を実施し、適切な処置を行うこと〔8.1、8.5、11.1.1参照〕。
1.2. 治療開始に際しては、重篤な感染症等の副作用があらわれることがあること及び本剤が疾病を完治させる薬剤でないことも含めて患者に十分説明し、理解したことを確認した上で、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ本剤を投与すること。
1.3. 本剤についての十分な知識と適応疾患の治療の知識・経験をもつ医師が使用すること。
- 禁忌
- 2.1. 重篤な感染症を合併している患者[感染症が悪化するおそれがある]〔8.1、9.1.1、11.1.1参照〕。
2.2. 活動性結核の患者[症状を悪化させるおそれがある]〔8.2、9.1.3参照〕。
2.3. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
- 効能・効果
- 視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)の再発予防。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)(「多発性硬化症・視神経脊髄炎診療ガイドライン2017」(日本神経学会)を参考にすること)の患者に使用すること。
5.2. 抗アクアポリン4抗体陰性(AQP4抗体陰性)の患者において有効性を示すデータは限られている(本剤は、抗AQP4抗体陽性の患者に投与すること)〔17.1.1、17.1.2参照〕。
- 用法・用量
- 通常、成人及び小児には、サトラリズマブ(遺伝子組換え)として1回120mgを初回、2週後、4週後に皮下注射し、以降は4週間隔で皮下注射する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 本剤の投与が予定から遅れた場合は、可能な限り速やかに120mgを投与し、以降、その投与を基点とし、前回投与から基点までの経過期間が12週以上の場合は、基点から2週後、4週後に120mgを投与し、以降は4週間隔で120mgを投与すること。前回投与から基点までの経過期間が12週未満の場合は、次の投与方法を参考にすること。ただし、本剤の副作用による休薬後に投与を再開する場合には、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を延期又は中止するなど適切な処置を行うこと。
・ 初回投与後の2週目の投与が遅延した場合:1)可能な限り速やかに120mgを投与し、以降、その投与を基点とし、前回投与から基点までの経過期間が12週以上の場合は、基点から2週後、4週後に120mgを投与し、以降は4週間隔で120mgを投与すること、2)可能な限り速やかに120mgを投与し、以降、その投与を基点とし、前回投与から基点までの経過期間が12週未満の場合は、基点から2週後に120mgを投与し、以降は4週間隔で120mgを投与すること。
・ 初回投与後の4週目の投与が遅延、又は4週間隔となった後の投与が遅延した場合:1)可能な限り速やかに120mgを投与し、以降、その投与を基点とし、前回投与から基点までの経過期間が12週以上の場合は、基点から2週後、4週後に120mgを投与し、以降は4週間隔で120mgを投与すること、2)可能な限り速やかに120mgを投与し、以降、その投与を基点とし、前回投与から基点までの経過期間が8週未満の場合、基点から4週間隔で120mgを投与すること、3)可能な限り速やかに120mgを投与し、以降、その投与を基点とし、前回投与から基点までの経過期間が8週以上12週未満の場合、基点から2週後に120mgを投与し、以降は4週間隔で120mgを投与すること。
7.2. 本剤を一定期間投与後、再発の頻度について検討し、再発の頻度の減少が認められない等、本剤のベネフィットが期待されないと考えられる患者では、本剤の投与中止を検討すること。
7.3. 小児患者では、臨床試験で組み入れられた患者の体重を考慮して、投与の可否を検討すること〔9.7小児等の項、16.1.3、17.1.1、17.1.2参照〕。
- 肝機能障害患者
- 8.1. 本剤投与により、急性期反応(発熱、CRP増加等)、感染症状が抑制され、感染症発見が遅れる可能性があるため、急性期反応が認められないときでも、白血球数、好中球数を定期的に測定し、白血球数変動、好中球数変動及び喘鳴、咳嗽、咽頭痛等の症状から感染症が疑われる場合には、胸部X線、CT等の検査を実施し適切な処置を行うこと。また、感染症の自他覚症状に注意し、異常が見られる場合には、速やかに医療機関に相談するよう、患者を指導すること〔1.1、2.1、9.1.1、11.1.1参照〕。
8.2. 本剤投与に先立って結核に関する十分な問診(結核の既往歴、結核患者との濃厚接触歴等)及び胸部X線検査に加え、インターフェロン-γ遊離試験又はツベルクリン反応検査を行い、適宜胸部CT検査等を行うことにより、結核感染の有無を確認すること。本剤投与中は、胸部X線検査等の適切な検査を定期的に行うなど結核症の発現には十分に注意し、患者に対し、結核を疑う症状が発現した場合(持続する咳、発熱等)には、速やかに担当医師に相談するよう指導すること〔2.2、9.1.3参照〕。
8.3. 抗IL-6受容体抗体製剤においてB型肝炎ウイルス再活性化が報告されているので、本剤投与に先立って、B型肝炎ウイルス感染の有無を確認すること〔9.1.2参照〕。
8.4. 本剤投与中は、生ワクチンの接種に起因する感染症発現の可能性を否定できないので、生ワクチンの接種は行わないこと。
8.5. 本薬は消失半減期が長く、投与中止後の本薬の血中からの消失は緩徐であり、その間IL-6シグナルの抑制効果が持続するため、感染症の発現等に注意すること〔1.1、11.1.1、16.1.2、16.8.1参照〕。
8.6. アナフィラキシーショック、アナフィラキシーがあらわれるおそれがあるので、適切な薬物治療(アドレナリン、副腎皮質ステロイド薬、抗ヒスタミン薬等)や緊急処置を直ちに実施できるようにしておくこと(また、投与終了後も症状のないことを確認すること)〔11.1.2参照〕。
8.7. 総コレステロール値増加、トリグリセリド値増加、LDLコレステロール値増加等の脂質検査値異常があらわれることがあるので、必要に応じて脂質検査を実施し、臨床上必要と認められた場合には、高脂血症治療薬の投与等の適切な処置を考慮すること。
8.8. 本剤の投与開始にあたっては、医療機関において、必ず医師によるか、医師の直接の監督のもとで投与を行うこと。自己投与の適用については、医師がその妥当性を慎重に検討し、十分な教育訓練を実施した後、本剤投与による危険性と対処法について患者又はその介護者が理解し、確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導の下で実施すること。自己投与の適用後、感染症等の本剤による副作用が疑われる場合や自己投与の継続が困難な状況となる可能性がある場合には、直ちに自己投与を中止させ、医師の管理下で慎重に観察するなど適切な処置を行うこと。また、自己投与の適用後、本剤投与後に副作用の発現が疑われる場合は、速やかに医療機関へ連絡するよう患者に指導を行うこと。使用済みの注射器を再使用しないように患者に注意を促し、すべての器具の安全な廃棄方法に関する指導の徹底を行うと同時に、使用済みの注射器を廃棄する容器を提供すること。
9.1.1. 感染症<重篤な感染症を除く>を合併している患者又は感染症が疑われる患者:感染症を合併している場合は感染症の治療を優先すること〔2.1、8.1、11.1.1参照〕。
9.1.2. B型肝炎ウイルスキャリアの患者又はB型肝炎既往感染者(HBs抗原陰性かつHBc抗体陽性又はHBs抗原陰性かつHBs抗体陽性):最新のB型肝炎治療ガイドラインを参考に肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルス再活性化の徴候や症状の発現に注意すること〔8.3参照〕。
9.1.3. 結核の既感染者(特に結核の既往歴のある患者及び胸部X線上結核治癒所見のある患者)又は結核感染が疑われる患者。
(1). 結核の既感染者では、結核を活動化させる可能性が否定できない〔2.2、8.2参照〕。
(2). 結核の既往歴を有する場合及び結核感染が疑われる場合には、結核の診療経験がある医師に相談すること。次のいずれかの患者には、原則として本剤の投与開始前に適切に抗結核薬を投与すること〔2.2、8.2参照〕[1)胸部画像検査で陳旧性結核に合致するか推定される陰影を有する患者、2)結核の治療歴(肺外結核を含む)を有する患者、3)インターフェロン-γ遊離試験やツベルクリン反応検査等の検査により、結核既感染が強く疑われる患者、4)結核患者との濃厚接触歴を有する患者]。
9.1.4. 易感染性の状態にある患者:投与を避けることが望ましい(なお、リンパ球数減少が遷延化した場合(目安として500/μL)は、投与を開始しないこと)、日和見感染を含む感染症を誘発するおそれがある。
9.1.5. 白血球減少、好中球減少、血小板減少のある患者:白血球減少、好中球減少、血小板減少が更に悪化するおそれがある〔11.1.3参照〕。
肝機能障害患者:トランスアミナーゼ値増加に注意するなど観察を十分に行うこと〔11.1.4参照〕。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 感染症:肺炎(1.4%)等の感染症があらわれることがある〔1.1、2.1、8.1、8.5、9.1.1参照〕。
11.1.2. アナフィラキシーショック(頻度不明)、アナフィラキシー(頻度不明):血圧低下、呼吸困難、意識消失、めまい、嘔気、嘔吐、そう痒感、潮紅等があらわれるおそれがあるので、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、アドレナリン、副腎皮質ステロイド薬、抗ヒスタミン薬を投与するなど適切な処置を行うとともに症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること〔8.6参照〕。
11.1.3. 無顆粒球症(頻度不明)、白血球減少(11.7%)、好中球減少(4.8%)、血小板減少(1.4%)〔9.1.5参照〕。
11.1.4. 肝機能障害(頻度不明):AST上昇、ALT上昇、ビリルビン上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがある〔9.3肝機能障害患者の項参照〕。
- 11.2. その他の副作用
1). 感染症:(5%未満)上気道感染、副鼻腔炎、帯状疱疹。
2). 血液・凝固:(5%以上)リンパ球数減少、(5%未満)フィブリノゲン減少、貧血。
3). 肝臓:(5%未満)ビリルビン増加、ALT増加。
4). 代謝:(5%未満)コレステロール増加、脂質異常症。
5). 消化器:(5%未満)下痢。
6). その他:(5%以上)注射に伴う反応(発疹、発赤、頭痛等)(11.7%)。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(動物実験(カニクイザル)で本薬は胎盤関門を通過することが示されている)。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(本薬のヒト乳汁への移行は不明であるが、一般にIgGは乳汁中に移行することが知られており、非臨床試験においても本薬は乳汁中へ移行することが確認されている)。
- 小児等
- 低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は12歳未満の小児を対象とした臨床試験は実施していない〔7.3、17.1.1、17.1.2参照〕。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤投与前の注意14.1.1. 混濁、変色又は容易に認められる粒子がある場合は使用しない(半透明~白色の製品由来の微粒子を含むことがある)。
14.1.2. シリンジに損傷がないか確認し、異常が認められた場合には使用しないこと。
14.2. 薬剤投与時の注意14.2.1. 注射部位は、腹部又は大腿部を選ぶこと。同一箇所へ繰り返し注射することは避けること。
14.2.2. 皮膚が敏感な部位、皮膚に異常のある部位<傷・発疹・発赤・硬結等>には注射しないこと。
14.2.3. 本剤は1回使用の製剤であるため、使用済みの注射器は再使用せず廃棄すること。
14.3. 薬剤交付時の注意14.3.1. 患者が家庭で保存する場合は、本剤は外箱に入れた状態で、凍結を避け、冷蔵庫内で保管し、やむを得ず室温(30℃以下)で保存する場合は、累積8日以内に使用するか、使用しない場合は廃棄すること。
外箱開封後は遮光して保存すること。
- その他の注意
- 15.1. 臨床使用に基づく情報15.1.1. 視神経脊髄炎スペクトラム障害患者を対象とした国際共同第3相試験及び海外第3相試験の二重盲検期間において、抗サトラリズマブ抗体発現がそれぞれ41例中17例(41%)及び63例中45例(71%)に認められた。抗サトラリズマブ抗体は本薬の薬物動態に影響を及ぼす可能性が示唆された。
15.1.2. 炎症反応を有する患者では、IL-6の過剰産生によりCYPの発現が抑制されているとの報告がある。視神経脊髄炎スペクトラム障害患者を対象とした国際共同第3相試験及び海外第3相試験の二重盲検期間において、本剤投与前のIL-6の濃度は低かった(平均値はそれぞれ1.92pg/mL及び3.49pg/mL)が、本剤投与により抑制されたCYPの発現が回復し、CYPで代謝される併用薬の効果が減弱する可能性は否定できない。
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
日本人健康成人を対象にサトラリズマブ30、60、120、240mg注1)を腹部に単回皮下投与した際の薬物動態パラメータを表1に、血清中サトラリズマブ濃度推移を添付文書の図1に示す。Cmax及びAUCは投与量比を上回って上昇した。
表1 サトラリズマブを単回皮下投与した際の薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
注1)承認された用法及び用量は、「1回120mgを初回、2週後、4週後に皮下注射し、以降は4週間隔で皮下注射する。」である。
図1 サトラリズマブを単回皮下投与した際の血清中サトラリズマブ濃度推移
16.1.2 反復投与
日本人関節リウマチ患者注2)を対象とした国内第I相試験において、サトラリズマブ120mgを0週、2週後、4週後に皮下投与し、以降4週間隔で30、60、120mg注1)を16週後まで反復皮下投与した際の血清中サトラリズマブ濃度推移は添付文書の図2のとおりであり、120mg群では初回投与後4~8週間で定常状態に達し、32週目(投与終了から16週後)までにほぼ全被験者で血清中サトラリズマブ濃度は定量下限(0.2μg/mL)未満となった。
図2 サトラリズマブを関節リウマチ患者注2)に反復皮下投与した際の血清中サトラリズマブ濃度推移
定量下限未満のサンプルは定量下限の1/2で集計
注2)承認された効能又は効果は「視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)の再発予防」である。
注2)承認された効能又は効果は「視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)の再発予防」である。
また、視神経脊髄炎スペクトラム障害患者を対象とした国際共同第III相試験において、サトラリズマブ120mgを0週、2週後、4週後に皮下投与し、以降4週間隔で皮下投与した際の、8週後のCminは21.2±9.05μg/mL(平均値±標準偏差)であった(日本人及び外国人データ)。
16.1.3 母集団薬物動態解析
健康成人及び視神経脊髄炎スペクトラム障害患者から得られた血清中サトラリズマブ濃度を用いて母集団薬物動態解析を行った結果、クリアランス(CL)に対して病態、体重、製剤、抗サトラリズマブ抗体の有無、中央及び末梢コンパートメント分布容積(Vc及びVp)並びにコンパートメント間クリアランス(Q)に対して体重、バイオアベイラビリティに対して抗サトラリズマブ抗体の有無が統計学的に有意な共変量であった。視神経脊髄炎スペクトラム障害患者に、サトラリズマブ120mgを0週、2週後、4週後に皮下投与し、以降4週間隔で皮下投与したときの、シミュレーションに基づく定常状態(52週時点)におけるCmax及び1投与間隔におけるAUC(AUC0-28d)は表2のとおりであった。
表2 視神経スペクトラム障害患者全体及び体重群別の、シミュレーションに基づく定常状態(52週時点)における曝露量
→図表を見る(PDF)
16.2 吸収
日本人健康成人を対象にサトラリズマブ60mg及び120mg注1)を投与した際の、静脈内投与に対する皮下投与時のバイオアベイラビリティは63.6%(90%信頼区間:42.5%、95.3%)及び69.4%(90%信頼区間:56.4%、85.4%)であった。
16.8 その他
16.8.1 薬力学
日本人関節リウマチ患者注2)を対象にサトラリズマブ120mgを0週、2週後、4週後に皮下投与し、以降4週間隔で30、60、120mg注1)を16週後まで反復皮下投与した際の血清中可溶性IL‐6レセプター濃度推移、血清中IL‐6濃度推移、血清中CRP濃度推移は、それぞれ添付文書の図3、図4及び図5のとおりであった。
図3 サトラリズマブを関節リウマチ患者注2)に反復皮下投与した際の血清中可溶性IL‐6レセプター濃度推移
注2)承認された効能又は効果は「視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)の再発予防」である。
図4 サトラリズマブを関節リウマチ患者注2)に反復皮下投与した際の血清中IL‐6濃度推移
注2)承認された効能又は効果は「視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)の再発予防」である。
図5 サトラリズマブを関節リウマチ患者注2)に反復皮下投与した際の血清中CRP濃度推移
注2)承認された効能又は効果は「視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)の再発予防」である。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国際共同第III相二重盲検並行群間比較試験(併用試験、SA‐307JG試験)
12~74歳の視神経脊髄炎スペクトラム障害患者(39.4~140.4kg)を対象に、経口副腎皮質ステロイド(15mg/日以下、プレドニゾロン換算)及び/又は免疫抑制剤[アザチオプリン(3mg/kg/日以下)又はミコフェノール酸モフェチル(3000mg/日以下)]投与下で、サトラリズマブ120mg又はプラセボを0週、2週、4週、以降は4週間隔で皮下投与する二重盲検比較試験を実施した。二重盲検期間は再発(臨床主要評価判定委員会が判断した治験実施計画書に規定された再発)が26件集まるまでの期間であった。成績は次のとおりであった。
・初回再発までの期間
初回再発までの期間に関する主な結果は表1、添付文書の図1及び図2のとおりであった(83例、うち日本人21例)。本剤群のプラセボ群に対する初回再発までの期間のハザード比は0.38であった(P=0.0184、層別ログランク検定)。抗AQP4抗体陽性集団における本剤群のプラセボ群に対する初回再発までの期間のハザード比は0.21であった。
表1 初回再発注)までの期間に関する主な結果(SA‐307JG試験)
→図表を見る(PDF)
図1 初回再発までの期間(SA‐307JG試験、全体集団)
図2 初回再発までの期間(SA‐307JG試験、抗AQP4抗体陽性集団)
二重盲検期間中において、本剤を投与された41例中17例(41.5%)に副作用が認められた。主な副作用は、注射に伴う反応5例(12.2%)、白血球減少症5例(12.2%)、リンパ球減少症3例(7.3%)であった。
17.1.2 海外第III相二重盲検並行群間比較試験(単剤試験、SA‐309JG試験)
18~74歳の視神経脊髄炎スペクトラム障害患者(42.1~151.0kg)を対象に、サトラリズマブ120mg又はプラセボを単剤で0週、2週、4週、以降は4週間隔で皮下投与する二重盲検比較試験を実施した。二重盲検期間は最終症例がランダム化されてから1.5年後までであった。成績は次のとおりであった。
・初回再発までの期間
初回再発までの期間に関する結果は表2、添付文書の図3及び図4のとおりであった。本剤群のプラセボ群に対する初回再発までの期間のハザード比は0.45であった(P=0.0184、層別ログランク検定)。抗AQP4抗体陽性集団における本剤群のプラセボ群に対する初回再発までの期間のハザード比は0.26であった。
表2 初回再発注)までの期間に関する主な結果(SA‐309JG試験)
→図表を見る(PDF)
図3 初回再発までの期間(SA‐309JG試験、全体集団)
図4 初回再発までの期間(SA‐309JG試験、抗AQP4抗体陽性集団)
二重盲検期間中において、本剤を投与された63例中22例(34.9%)に副作用が認められた。主な副作用は、注射に伴う反応6例(9.5%)、下痢4例(6.3%)であった。
18.1 作用機序
サトラリズマブはヒトIL‐6レセプターに対しpH依存的な結合親和性を示すヒト化モノクローナル抗体である。サトラリズマブはin vitroにおいて、膜結合型及び可溶性IL‐6レセプターに結合してそれらを介したIL‐6の生物活性の発現を抑制した。また、サトラリズマブはカニクイザルに投与されたサルIL‐6の活性発現を抑制した。
18.2 プラズマブラストのイムノグロブリンG1産生に対する抑制作用
サトラリズマブはin vitroにおいて、健康成人末梢血から分離されたプラズマブラストの、IL‐6によるイムノグロブリンG1産生を抑制した。
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