ヒフデュラ配合皮下注
添付文書情報2024年01月改定(第1版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 禁忌
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
- 効能・効果
- 全身型重症筋無力症(ステロイド剤又はステロイド剤以外の免疫抑制剤が十分に奏効しない場合に限る)。
- 用法・用量
- 通常、成人には本剤1回5.6mL(エフガルチギモド アルファ(遺伝子組換え)として1008mg及びボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)として11200単位)を1週間間隔で4回皮下投与する。これを1サイクルとして、投与を繰り返す。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 次サイクル投与の必要性は、臨床症状等に基づき、判断すること〔17.1.1、17.1.2参照〕。
7.2. 本剤を投与する場合に、何らかの理由により投与が遅れた際にはあらかじめ定めた投与日から3日以内であればその時点で投与を行い、その後はあらかじめ定めた日に投与し、あらかじめ定めた投与日から3日を超えていれば投与せず、次のあらかじめ定めた日に投与すること。
- 腎機能障害患者
- 8.1. 本剤の投与により、血中IgG濃度低下し、感染症が生じる又は感染症悪化するおそれがあるので、本剤の治療期間中及び治療終了後は定期的に血液検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。また、感染症の自他覚症状に注意し、異常が認められた場合には、速やかに医療機関に相談するよう患者に指導すること〔9.1.1、11.1.1、16.8.1参照〕。
8.2. 本剤の自己投与に際しては、次の点に注意すること。
・ 自己投与の適用については、医師がその妥当性を慎重に検討し、十分な教育訓練を実施した後、本剤投与による危険性と対処法について患者が理解し、自ら確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導の下で実施すること。
・ 使用済みの注射針及び注射器を再使用しないように患者に注意を促し、すべての器具の安全な廃棄方法に関する指導を行うこと。
9.1.1. 感染症のある患者:感染症を合併している場合は、感染症の治療を優先すること(感染症が増悪するおそれがある)〔8.1、11.1.1参照〕。
9.1.2. 肝炎ウイルスキャリアの患者:肝炎ウイルスキャリアの患者に本剤を投与する場合は、肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルス再活性化やC型肝炎悪化の徴候や症状の発現に注意すること。
腎機能障害患者:エフガルチギモド アルファ(遺伝子組換え)の血中濃度が上昇するおそれがある〔16.6.1参照〕。
- 相互作用
- 10.2. 併用注意:1). 人免疫グロブリン製剤(ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン等)、抗補体<C5>モノクローナル抗体製剤(エクリズマブ<遺伝子組換え>、ラブリズマブ<遺伝子組換え>)[これらの薬剤の治療効果が減弱する可能性があるので、これらの薬剤による治療を開始する場合、本剤のサイクル投与における最終投与から2週間後以降に投与することが望ましい(本剤がこれらの薬剤の血中濃度を低下させる可能性がある)]。
2). 抗FcRnモノクローナル抗体製剤(ロザノリキシズマブ<遺伝子組換え>)[本剤又は抗FcRnモノクローナル抗体製剤の治療効果が減弱する可能性があるので、抗FcRnモノクローナル抗体製剤による治療を開始する場合、本剤のサイクル投与における最終投与から2週間後以降に投与することが望ましい(本剤を含むFcRnに結合する薬剤の血中濃度が低下する可能性がある)]。
3). 血液浄化療法[本剤の治療効果が減弱する可能性があるため、併用を避けることが望ましい(本剤による治療中に施行することにより本剤の血中濃度を低下させる可能性がある)]。
4). 生ワクチン及び弱毒生ワクチン[本剤による治療中の接種を避けることが望ましいが、接種が必要な場合は本剤投与開始の少なくとも4週間前までに接種することが望ましく、本剤による治療中の場合、最終投与から2週間以降にワクチンを投与することが望ましい(生ワクチン又は弱毒生ワクチンによる感染症発現のリスクが増大するおそれがある)]。
5). 生ワクチン及び弱毒生ワクチン以外のワクチン[ワクチンの効果が減弱する可能性がある(本剤の作用機序により、ワクチンに対する免疫応答が得られない可能性がある)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 感染症(4.8%)〔8.1、9.1.1、11.2参照〕。
11.1.2. ショック、アナフィラキシー(頻度不明)。
- 11.2. その他の副作用
1). 一般・全身障害および投与部位の状態:(5~15%未満)注射部位紅斑、注射部位疼痛、注射部位そう痒感、注射部位発疹、(5%未満)疲労。
2). 神経系障害:(5~15%未満)頭痛、(5%未満)浮動性めまい。
3). 胃腸障害:(5%未満)悪心、嘔吐。
4). 臨床検査:(5%未満)リンパ球数減少、好中球数増加。
5). 感染症および寄生虫症:(5%未満)帯状疱疹、尿路感染、上咽頭炎、上気道感染。
6). 皮膚および皮下組織障害:(5%未満)発疹。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(IgG抗体は胎盤通過性があることが知られており、本剤の投与を受けた患者からの出生児においては、母体から移行するIgG抗体が減少し、感染のリスクが高まる可能性がある)。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(本剤のヒト乳汁中への移行は不明であるが、ヒトIgGは乳汁中に移行することが知られている)。
- 小児等
- 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤投与前の注意14.1.1. バイアル中が帯黄色の澄明又は僅かに乳濁した液であることを目視により確認する(異物が認められる場合は使用しない)。バイアルは振盪しないこと。
14.2. 薬剤投与時の注意14.2.1. 注射部位は腹部又は大腿部とし、同一箇所へ繰り返し投与することは避けること。皮膚に異常のある部位<発赤・傷・硬結・瘢痕等>は避けること。
14.2.2. 本剤5.6mLを通常、30~90秒かけて投与すること。
14.2.3. 他の薬剤と混合しないこと。
14.2.4. 本剤は1回で全量使用する製剤であり、再使用しないこと。
凍結を避け、外箱開封後は遮光して保存すること。
- その他の注意
- 15.1. 臨床使用に基づく情報国際共同第3相試験(ARGX-113-2001)において、本剤が投与され抗体が測定された55例のうち、エフガルチギモド アルファ(遺伝子組換え)に対する抗体が19例(34.5%)、中和抗体が2例(3.6%)に認められた。ボルヒアルロニダーゼアルファ(遺伝子組換え)に対する抗体は3例(5.5%)に認められ、中和抗体は検出されなかった。
16.1 血中濃度
全身型重症筋無力症患者55例(日本人患者を4例含む)に本剤(エフガルチギモド アルファ(遺伝子組換え)として1,008mg及びボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)として11,200単位)を1週間間隔で計4回皮下投与するサイクルを1回行ったとき、外国人及び日本人患者の初回及び4回目投与時の薬物動態パラメータを次表に示す。
→図表を見る(PDF)
外国人健康被験者54例に本剤(エフガルチギモド アルファ(遺伝子組換え)として1,006.5mg及びボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)として12,200単位)又はエフガルチギモド アルファ(遺伝子組換え)点滴静注製剤10mg/kgを1週間間隔で計4回皮下又は静脈内投与するサイクルを1回行った。4回目の投与後の薬物動態パラメータを次表に、血清中濃度推移を添付文書の図に示す(外国人データ)。
→図表を見る(PDF)
図 4回目の投与後の血清中濃度推移(平均値±標準偏差)
16.3 分布
エフガルチギモド アルファ(遺伝子組換え)点滴静注投与時の分布容積は15~20Lであった(外国人データ)。
16.4 代謝
エフガルチギモド アルファ(遺伝子組換え)は、一般的なタンパク異化経路によってアミノ酸に分解されると推定される。
16.5 排泄
健康成人にエフガルチギモド アルファ(遺伝子組換え)点滴静注製剤10mg/kg単回投与後の尿中排泄率は投与量の0.1%未満であった(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害
腎機能障害患者を対象とした薬物動態試験は実施していないが、母集団薬物動態解析の結果から、本剤(エフガルチギモド アルファ(遺伝子組換え)として1,008mg及びボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)として11,200単位)を1週間間隔で計4回皮下投与したとき、軽度腎機能障害患者(eGFR:60mL/min/1.73m2以上90mL/min/1.73m2未満)は、腎機能正常患者(eGFR:90mL/min/1.73m2以上)と比較して、4回目投与後のAUC0-168hが11%高くなると推定された。なお、中等度(eGFR:30mL/min/1.73m2以上60mL/min/1.73m2未満)及び重度(eGFR:30mL/min/1.73m2未満)の腎機能障害患者における有効性及び安全性を評価する十分な臨床試験データはない。[9.2参照]
16.8 その他
16.8.1 薬力学
国際共同第III相試験(ARGX‐113‐2001)において、本剤(エフガルチギモド アルファ(遺伝子組換え)として1,008mg及びボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)として11,200単位)又はエフガルチギモド アルファ(遺伝子組換え)点滴静注製剤10mg/kgを1週間間隔で計4回投与したときの総IgG濃度の推移は、次のとおりであった。
図 ベースラインからの総IgG濃度の変化率(全患者、平均値±標準誤差)
国際共同第III相試験(ARGX‐113‐2001)における本剤投与後の総IgG濃度の最低値の分布は、中央値[25パーセンタイル値、75パーセンタイル値]は2.38[1.87、3.20]、[最小値、最大値]は[1.04、8.01]g/Lであった。[8.1参照]
なお、点滴静注製剤の臨床試験では投与によるIgG以外の免疫グロブリン濃度(IgA、IgD、IgE及びIgM)及びアルブミン濃度への影響は認められなかった。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国際共同第III相試験(ARGX‐113‐2001)
全身型重症筋無力症患者110例(日本人患者8例を含む)を対象として、エフガルチギモド アルファ(遺伝子組換え)静注製剤に対する本剤の非劣性を確認するランダム化非盲検群間比較試験を実施した。本試験では、スクリーニング時にMGFA分類Class II、III又はIVとされた患者に対し、治験薬投与期の3週間後に7週間の観察を行う10週間(1サイクル)で実施した。治験薬投与期において、コリンエステラーゼ阻害薬、経口副腎皮質ステロイド及び/又は非ステロイド性免疫抑制剤投与下で、1週間間隔注1)で計4回、本剤(エフガルチギモド アルファ(遺伝子組換え)として1,008mg及びボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)として11,200単位)を皮下投与、又は点滴静注製剤10mg/kgを静脈内投与したとき、主要評価項目である総IgG濃度のベースラインから4週目(治験薬最終投与1週間後)までの変化率は次表に示すとおりであり、最小二乗平均の群間差の95%信頼区間の上限値が非劣性の限界値(10%)を下回ったことから、本剤の点滴静注製剤に対する非劣性が検証された。
表 総IgG濃度のベースラインから4週目(治験薬最終投与1週間後)までの変化率
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副次評価項目であるMG‐ADLレスポンダー注2)及びQMGレスポンダー注3)の割合、及びベースラインから4週目(治験薬最終投与1週間後)までのMG‐ADL総スコア及びQMG総スコアの変化量は、次表のとおりであった。
表 MG‐ADLレスポンダー及びQMGレスポンダーの割合
→図表を見る(PDF)
表 ベースラインから4週目(治験薬最終投与1週間後)までのMG‐ADL総スコア及びQMG総スコアの変化量
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本剤群の副作用発現頻度は43.6%(24/55例)であった。主な副作用は注射部位反応であり、注射部位発疹(8例、14.5%)、注射部位紅斑(7例、12.7%)、注射部位そう痒感(5例、9.1%)及び注射部位疼痛(3例、5.5%)であった。
注1)1週間間隔の治験薬投与において、来院の許容期間は±1日と設定された。
注2)治験薬最終投与から1週間後までにMG‐ADL総スコアがベースラインと比べて2点以上減少し、かつその減少が連続して4週間以上維持された患者
注3)治験薬最終投与から1週間後までにQMG総スコア(肺活量がグレードFの場合、最悪値3点で補完した値)がベースラインから3点以上減少し、かつその減少が連続して4週間以上維持された患者
17.1.2 国際共同第III相継続投与試験(ARGX‐113‐2002)
国際共同第III相試験(ARGX‐113‐2001)又は国際共同第III相継続投与試験(ARGX‐113‐1705)に参加した全身型重症筋無力症患者179例(日本人患者16例を含む)を対象として、本剤の皮下投与による非盲検非対照継続投与試験が実施された。本試験は、3週間の治験薬投与期と、その後の投与間観察期を1サイクルとし、次のサイクルは最終投与から4週間以上経過後に医師の判断により開始することが可能とされた。本剤初回投与時から次のサイクル投与開始時までの期間の中央値は約7.1~8.1週間の範囲であった。各サイクルの治験薬投与期(3週間)において、コリンエステラーゼ阻害薬、経口副腎皮質ステロイド及び/又は非ステロイド性免疫抑制剤投与下で、本剤(エフガルチギモド アルファ(遺伝子組換え)として1,008mg及びボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)として11,200単位)を1週間間隔で計4回皮下投与したとき、各サイクルでのベースラインから4週目(本剤最終投与1週間後)までのMG‐ADL総スコアの変化量は次表のとおりであった。
表 各サイクルでのベースラインから4週目(本剤最終投与1週間後)までのMG‐ADL総スコアの変化量(ARGX‐113‐2002)
→図表を見る(PDF)
副作用発現頻度は、53.6%(96/179例)で、大部分は注射部位反応(78例、43.6%)であった。主な副作用は、注射部位紅斑(50例、27.9%)、注射部位疼痛(21例、11.7%)、注射部位そう痒感(19例、10.6%)であった。
18.1 作用機序
エフガルチギモド アルファは、胎児性Fc受容体(FcRn)を標的とするアミノ酸残基を改変したヒトIgG1抗体のFcフラグメントであり、内因性IgGのFcRnへの結合を競合阻害することによって、内因性IgGのリサイクルを阻害して、IgG分解を促進し、IgG自己抗体を含む血中IgG濃度を減少させる。ボルヒアルロニダーゼ アルファは加水分解によりヒアルロン酸を分解する。ボルヒアルロニダーゼ アルファがヒアルロン酸を分解することで皮下組織の浸透性が増加し、エフガルチギモド アルファを吸収及び拡散させる。
18.2 FcRnに対する結合作用(in vitro)
エフガルチギモド アルファのヒトFcRnに対する平衡解離定数(Kd)(平均値±標準偏差)は、pH6.0及びpH7.4の条件下において、それぞれ0.35±0.06nmol/L及び8.59±1.35nmol/Lであった。
18.3 内因性IgGに対する作用(in vivo)
エフガルチギモド アルファ20mg/kgをサルに単回皮下投与したとき、血清中IgG濃度の減少が認められた。
- 製造販売会社
- アルジェニクスジャパン
- 販売会社
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