イソビスト注240
添付文書情報2023年06月改定(第2版)
商品情報
- 警告
- ショック等の重篤な副作用があらわれることがある〔8.1-8.3、9.1.8、9.1.9、11.1.1、11.1.2参照〕。
- 禁忌
- 2.1. 〈効能共通〉ヨードに過敏症又はヨード造影剤に過敏症の既往歴のある患者〔8.1参照〕。
2.2. 〈効能共通〉重篤な甲状腺疾患のある患者[ヨード過剰に対する自己調節メカニズムが機能できず、症状が悪化するおそれがある]〔9.1.14参照〕。
2.3. 〈脊髄撮影、コンピューター断層撮影における脳室、脳槽、脊髄造影〉既往歴を含め、痙攣、てんかん及びその素質のある患者[痙攣発作があらわれるおそれがある]〔9.1.18参照〕。
- 効能・効果
- 1). 脊髄撮影。
2). コンピューター断層撮影における脳室造影、脳槽造影、脊髄造影。
3). 関節撮影。
- 用法・用量
- 〈脊髄撮影、コンピューター断層撮影における脳室、脳槽、脊髄造影〉
本剤の使用濃度と用量は、撮影部位での必要なコントラストの程度と範囲及び使用X線装置と技術により左右される。通常、撮影部位、穿刺部位に応じて次の濃度、用量を使用する。なお、年齢、体重、撮影部位の大きさにより適宜増減する。
1). 脊髄撮影:
①. 腰部(穿刺部位:腰椎)使用濃度190~240mgI/mL、用量6~10mL。
②. 胸部(穿刺部位:腰椎)使用濃度240mgI/mL、用量6~10mL。
③. 頸部(穿刺部位:腰椎又は頸椎)使用濃度240mgI/mL、用量6~10mL。
2). コンピューター断層撮影:脳室・脳槽・脊髄(穿刺部位:腰椎)使用濃度240mgI/mL、用量6~10mL。
〈関節撮影〉
通常、成人1回1~10mLを関節腔内に注入する。
なお、年齢、体重、撮影部位の大きさにより適宜増減する。
- 肝機能障害患者
- 8.1. 〈効能共通〉ショック等の発現に備え、十分な問診を行うこと〔1.警告の項、2.1、9.1.8、9.1.9、11.1.1、11.1.2参照〕。
8.2. 〈効能共通〉投与量と投与方法の如何にかかわらず過敏反応を示すことがある(本剤によるショック等の重篤な副作用は、ヨード過敏反応によるものとは限らず、それを確実に予知できる方法はないので、投与に際しては必ず救急処置の準備を行うこと)〔1.警告の項、11.1.1、11.1.2参照〕。
8.3. 〈効能共通〉ショック等の重篤な副作用があらわれることがあるので、投与にあたっては、開始時より患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること(過敏反応の発現等異常が認められた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと)、また、投与後も患者の状態を十分に観察すること〔1.警告の項、11.1.1、11.1.2参照〕。
8.4. 〈効能共通〉遅発性副作用に備えて、検査終了数時間後にも副作用発現の可能性があることを患者に説明した上で、頭痛、頭重感、悪心、嘔吐、発疹、発赤、そう痒感、腰・背痛、下肢痛、めまい、発熱等が発現した場合には速やかに主治医等に連絡するよう注意を与えること。
8.5. 〈効能共通〉ヨード造影剤の投与により腎機能低下があらわれるおそれがあるので、適切な水分補給を行うこと〔9.1.5、9.1.10、9.1.13、9.1.16、9.2.1、14.1.2、14.1.3、14.3.1参照〕。
8.6. 〈脊髄撮影、コンピューター断層撮影における脳室、脳槽、脊髄造影〉大量の本剤が頭蓋内に流入した場合には、痙攣発作の発現のおそれがあるので、フェノバルビタール等バルビツール酸誘導体又はジアゼパム等を24~48時間経口投与すること〔11.1.3参照〕。
8.7. 〈脊髄撮影、コンピューター断層撮影における脳室、脳槽、脊髄造影〉検査終了後は、副作用を防止するために患者を数分間座位(垂直位)にさせることにより、造影剤をできるだけ腰部に移動させ、また検査終了後8時間は患者の頭部を10~15度挙上し、以後も16時間は安静にしておくこと。
9.1.1. 〈効能共通〉一般状態の極度に悪い患者:診断上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。
9.1.2. 〈効能共通〉気管支喘息の患者:診断上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと(類薬で副作用の発生頻度が高いとの報告がある)。
9.1.3. 〈効能共通〉重篤な心障害のある患者:診断上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと(本剤投与により、血圧低下、不整脈等の報告があり、重篤な心障害患者においては症状が悪化するおそれがある)。
9.1.4. 〈効能共通〉マクログロブリン血症の患者:診断上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと(静脈性胆のう造影剤で血液のゼラチン様変化をきたし死亡した報告がある)。
9.1.5. 〈効能共通〉多発性骨髄腫の患者:診断上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと(特に多発性骨髄腫で脱水症状のある場合、腎不全(無尿等)を起こすおそれがある)〔8.5参照〕。
9.1.6. 〈効能共通〉テタニーのある患者:診断上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと(血中カルシウム低下により、症状が悪化するおそれがある)。
9.1.7. 〈効能共通〉褐色細胞腫又はパラガングリオーマのある患者及びその疑いのある患者:診断上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと(類薬による副腎静脈造影で、血圧上昇発作が起こったとの報告がある)。
9.1.8. 〈効能共通〉本人又は両親、兄弟に気管支喘息、発疹、じん麻疹等のアレルギーを起こしやすい体質を有する患者〔1.警告の項、8.1、11.1.1、11.1.2参照〕。
9.1.9. 〈効能共通〉薬物過敏症の既往歴のある患者〔1.警告の項、8.1、11.1.1、11.1.2参照〕。
9.1.10. 〈効能共通〉脱水症状のある患者:急性腎障害を起こすおそれがある〔8.5参照〕。
9.1.11. 〈効能共通〉高血圧症の患者:血圧の上昇等、症状が悪化するおそれがある。
9.1.12. 〈効能共通〉動脈硬化のある患者:心・循環器系に影響を及ぼすことがある。
9.1.13. 〈効能共通〉糖尿病の患者:急性腎障害を起こすおそれがある〔8.5参照〕。
9.1.14. 〈効能共通〉甲状腺疾患<重篤な甲状腺疾患を除く>のある患者:ヨード過剰に対する自己調節メカニズムが機能できず、症状が悪化するおそれがある〔2.2参照〕。
9.1.15. 〈効能共通〉慢性呼吸器疾患のある患者:症状が悪化するおそれがある。
9.1.16. 〈効能共通〉急性膵炎の患者:本剤投与前後にはガイドライン等を参考にして十分な輸液を行うこと(症状が悪化するおそれがある)〔8.5、14.1.2、14.1.3、14.3.1参照〕。
9.1.17. 〈脊髄撮影、コンピューター断層撮影における脳室、脳槽、脊髄造影〉アルコール中毒患者:痙攣発作が起こるおそれがある〔11.1.3参照〕。
9.1.18. 〈脊髄撮影、コンピューター断層撮影における脳室、脳槽、脊髄造影〉抗痙攣剤投与中<既往歴を含め痙攣・てんかん及びその素質を除く>の患者:抗痙攣剤の投与を継続し、もし痙攣発作が発現した場合には、フェノバルビタール等バルビツール酸誘導体又はジアゼパム等を投与すること〔2.3、11.1.3参照〕。
9.2.1. 重篤な腎障害(無尿等)のある患者:診断上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと(本剤の主たる排泄臓器は腎臓であり、腎機能低下患者では急性腎障害等、症状が悪化するおそれがある)〔8.5参照〕。
9.3.1. 重篤な肝障害のある患者:診断上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと(症状が悪化するおそれがある)。
- 相互作用
- 10.2. 併用注意:〈効能共通〉ビグアナイド系糖尿病用剤(メトホルミン塩酸塩、ブホルミン塩酸塩等)[類薬で乳酸アシドーシスを起こしたとの報告があるので、異常が認められた場合には、ビグアナイド系糖尿病用剤の減量若しくは投与を中止するなど適切な処置を行うこと(ビグアナイド系糖尿病用剤の腎排泄が減少し、血中濃度が上昇するためと考えられている)]。
〈脊髄撮影、コンピューター断層撮影における脳室、脳槽、脊髄造影〉フェノチアジン系化合物等の抗精神病薬(クロルプロマジン塩酸塩等)〔11.1.3参照〕[併用により痙攣発作の発現の可能性が増大するとの報告があるので注意し、少なくとも検査48時間前から検査後12時間は抗精神病薬の投与を中止すること(併用により痙攣閾値を低下させる)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 〈効能共通〉ショック(頻度不明):ショックを起こすことがある。また、軽度の過敏症状も重篤な症状に進展する場合がある〔1.警告の項、8.1-8.3、9.1.8、9.1.9参照〕。
11.1.2. 〈効能共通〉アナフィラキシー(頻度不明):アナフィラキシー(顔面浮腫等)があらわれることがある〔1.警告の項、8.1-8.3、9.1.8、9.1.9参照〕。
11.1.3. 〈脊髄撮影、コンピューター断層撮影における脳室、脳槽、脊髄造影〉痙攣発作(頻度不明):発現した場合にはフェノバルビタール等バルビツール酸誘導体又はジアゼパム等を投与すること〔8.6、9.1.17、9.1.18、10.2参照〕。
11.1.4. 〈脊髄撮影、コンピューター断層撮影における脳室、脳槽、脊髄造影〉麻痺(0.2%)、髄膜炎(頻度不明)等。
- 11.2. その他の副作用
1). 〈脊髄撮影、コンピューター断層撮影における脳室、脳槽、脊髄造影〉①. 〈脊髄撮影、コンピューター断層撮影における脳室、脳槽、脊髄造影〉過敏症:(0.1~5%未満)発疹、そう痒感、発赤、(頻度不明)じん麻疹、潮紅。
②. 〈脊髄撮影、コンピューター断層撮影における脳室、脳槽、脊髄造影〉循環器:(頻度不明)血圧低下。
③. 〈脊髄撮影、コンピューター断層撮影における脳室、脳槽、脊髄造影〉消化器:(5%以上)悪心、(0.1~5%未満)嘔吐。
④. 〈脊髄撮影、コンピューター断層撮影における脳室、脳槽、脊髄造影〉精神神経系:(5%以上)頭痛、(0.1~5%未満)下肢脱力感・下肢しびれ感、めまい、項部硬直、頭重感。
⑤. 〈脊髄撮影、コンピューター断層撮影における脳室、脳槽、脊髄造影〉内分泌系:(頻度不明)甲状腺機能低下症。
⑥. 〈脊髄撮影、コンピューター断層撮影における脳室、脳槽、脊髄造影〉その他:(0.1~5%未満)発熱<37~38℃>、腰痛・背痛、下肢痛、(頻度不明)胸内苦悶感、熱感。
2). 〈関節撮影〉①. 〈関節撮影〉過敏症:(頻度不明)発赤、発疹、そう痒感。
②. 〈関節撮影〉消化器:(頻度不明)悪心、嘔吐。
③. 〈関節撮影〉内分泌系:(頻度不明)甲状腺機能低下症。
④. 〈関節撮影〉その他:(頻度不明)疼痛。
- 高齢者
- 患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること(一般に生理機能が低下している)。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、診断上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(本剤投与の際にはX線照射を伴う)。
診断上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(動物(ラット静脈内投与)で乳汁中への移行が報告されている)。
- 小児等
- 〈脊髄撮影、コンピューター断層撮影における脳室、脳槽、脊髄造影〉患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること(小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない)。
〈関節撮影〉小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤投与前の注意14.1.1. 〈効能共通〉投与前に体温まで温めること。
14.1.2. 〈脊髄撮影、コンピューター断層撮影における脳室、脳槽、脊髄造影〉脊髄撮影、コンピューター断層撮影における脳室、脳槽、脊髄造影の場合、嘔吐をできるだけ回避するため、患者を空腹状態としておく(ただし、水分制限をしない)〔8.5、9.1.16参照〕。
14.1.3. 〈関節撮影〉関節撮影の場合、投与前に水分制限はしないこと〔8.5、9.1.16参照〕。
14.2. 薬剤投与時の注意14.2.1. 〈効能共通〉他の薬剤<生理食塩液を除く>との混注はしないこと。
14.2.2. 〈効能共通〉注入装置の洗浄が不十分な場合には、注入器内部に付着する残存液に由来する銅イオン溶出等によって、生成物(緑色等に着色)を生じるおそれがあるので、使い捨て以外の器具を用いる場合には内部の汚れに注意し、洗浄、滅菌を十分に行うこと。
14.2.3. 〈脊髄撮影、コンピューター断層撮影における脳室、脳槽、脊髄造影〉1回の検査(クモ膜下注入)には、15mLを超えないことが望ましい。
14.2.4. 〈脊髄撮影、コンピューター断層撮影における脳室、脳槽、脊髄造影〉240mgI/mL以下の濃度を得る場合には、生理食塩液で希釈すること。
14.2.5. 〈脊髄撮影、コンピューター断層撮影における脳室、脳槽、脊髄造影〉本剤の注入量より多量の脳脊髄液を除去しないこと。
14.3. 薬剤投与後の注意14.3.1. 〈効能共通〉投与後は水分補給を行い、造影剤の速やかな排泄を促すこと〔8.5、9.1.16参照〕。
14.3.2. 〈効能共通〉1回の検査にのみ使用し、余剰の溶液は廃棄すること。
14.3.3. 〈脊髄撮影、コンピューター断層撮影における脳室、脳槽、脊髄造影〉再検査には5~7日の期間をおくこと。
外箱開封後は遮光して保存すること。
16.2 吸収
〈脊髄撮影、コンピューター断層撮影における脳室、脳槽、脊髄造影〉
脊髄疾患を有し腰部脊髄撮影を必要とした患者6例にイオトロラン注射液(190mgI/mL)8mLを腰部クモ膜下腔に投与したところ、髄液から血中への吸収半減期は1.8±0.3時間で、約3時間後に最大血中濃度(32.0±8.7μgI/mL)に達し、24時間後には検出限界(5μgI/mL)以下に低下した。
16.5 排泄
〈脊髄撮影、コンピューター断層撮影における脳室、脳槽、脊髄造影〉
16.5.1 脊髄疾患を有し腰部脊髄撮影を必要とした患者6例にイオトロラン注射液(190mgI/mL)8mLを腰部クモ膜下腔に投与したところ、投与後24時間で83.8±6.9%が、48時間で94.0±4.2%が尿中に排泄された。
〈関節撮影〉
16.5.2 イオトロラン注射液(300mgI/mL)100mgI/kgをウサギ後肢膝関節腔内に投与したところ、24時間以内にほぼ完全に尿中に排泄され、糞中への排泄あるいは投与部位での残存は認められなかった。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
〈脊髄撮影、コンピューター断層撮影における脳室、脳槽、脊髄造影〉
17.1.1 国内第II相及び第III相臨床試験
比較臨床試験を含む国内第II相及び第III相臨床試験における有効率は次のとおりであった。
→図表を見る(PDF)
〈関節撮影〉
17.1.2 国内第II相及び第III相臨床試験
国内第II相及び第III相臨床試験における有効率は次のとおりであった。
→図表を見る(PDF)
18.1 測定法
本剤の主成分(イオトロラン)の構成元素であるヨウ素は高いX線吸収能をもつ。これに基づき、本剤の存在部位と他の生体組織との間にX線画像上のコントラストが生じる。
- 製造販売会社
- バイエル薬品
- 販売会社
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