ケンブラン吸入粉末溶解用100mg
添付文書情報2021年04月改定(第1版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 警告
- 1.1. 本剤を使用する際は、呼吸器疾患や喘息の診断・治療に十分な経験のある医師の監督のもとで投与すること。
1.2. 重度気管支収縮及び呼吸機能低下を生じるおそれがあるので、使用に際して次の点に留意すること〔11.1.1参照〕。
・ 急性の呼吸困難に対応するための緊急用の備品及び治療薬を使用可能な状態で準備する(必要に応じ、検査前に血管確保も検討する)。
・ 重度気管支収縮及び呼吸困難が生じた場合は、直ちに速効型吸入用気管支拡張薬(吸入β2刺激薬)の投与を行い、必要に応じ、その他の呼吸困難に対する緊急処置も行い、なお、β遮断薬を使用している患者では、吸入β2刺激薬による処置に反応しない可能性があることに留意すること。
・ 本剤による検査終了後は、原則として吸入β2刺激薬を投与し、速やかに1秒量(FEV1)を回復させること。
- 禁忌
- 2.1. 本剤に対して過敏症の既往歴のある患者。
2.2. 気流制限が高度の場合(対標準1秒量<%FEV1>が50%未満又は1秒量が1L未満)及び明らかな呼吸困難や喘鳴の症状がある患者[重度気管支収縮を発現する可能性がある]〔11.1.1参照〕。
2.3. 3ヵ月以内に心筋梗塞又は3ヵ月以内に脳梗塞を発症した患者、コントロール不良の高血圧患者、脳動脈瘤又は大動脈瘤がある患者[心血管イベントを誘発する可能性がある]。
2.4. 同日に気道過敏性検査を実施した患者[本剤の作用が増強される可能性がある]。
- 効能・効果
- 気道過敏性検査。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 本剤は検査専用の気管支収縮薬であり、気道過敏性検査にのみ使用すること。
5.2. 本剤による気道過敏性検査は、非典型的な臨床像を呈する場合の気管支喘息の確定診断、職業喘息の可能性がある場合の確定診断、喘息治療のモニタリング、喘息重症度の客観的な評価等の際に実施を検討する。
5.3. 本剤を使用する際には、適応症例、薬剤濃度及び薬剤投与法などについて、国内外の各種学会ガイドライン等、最新の情報を参考にすること。
- 用法・用量
- メタコリン塩化物100mg(1バイアル)に日局生理食塩液を加え溶解及び希釈し、通常0.039~25mg/mLの範囲の適切な希釈系列の希釈液を調製する。成人及び小児ともに、調製した希釈系列を低濃度よりネブライザーを用いて吸入し、気道過敏性検査を実施する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 本剤の薬理効果には若干の蓄積性あるいは高用量における効果の減弱が認められると考えられることから、再検査を実施する場合には実施間隔を1日以上空けること。
7.2. 気道過敏性検査における本剤の投与方法は、日本アレルギー学会標準法、アストグラフ法等を参考にすること。
7.3. 希釈系列の例示を参考に、適切な希釈液を調製すること。
[日本アレルギー学会標準法]
1). 希釈液A:本剤100mg(1バイアル)に日局生理食塩液5mLを加え、溶解する:濃度20mg/mL。
2). 希釈液B:Aから3mLを別の容器に取り分け、日局生理食塩液3mLを加え、希釈する:濃度10mg/mL。
3). 希釈液C:Bから3mLを別の容器に取り分け、日局生理食塩液3mLを加え、希釈する:濃度5mg/mL。
4). 希釈液D:Cから3mLを別の容器に取り分け、日局生理食塩液3mLを加え、希釈する:濃度2.5mg/mL。
5). 希釈液E:Dから3mLを別の容器に取り分け、日局生理食塩液3mLを加え、希釈する:濃度1.25mg/mL。
6). 希釈液F:Eから3mLを別の容器に取り分け、日局生理食塩液3mLを加え、希釈する:濃度0.625mg/mL。
7). 希釈液G:Fから3mLを別の容器に取り分け、日局生理食塩液3mLを加え、希釈する:濃度0.313mg/mL。
8). 希釈液H:Gから3mLを別の容器に取り分け、日局生理食塩液3mLを加え、希釈する:濃度0.156mg/mL。
9). 希釈液I:Hから3mLを別の容器に取り分け、日局生理食塩液3mLを加え、希釈する:濃度0.078mg/mL。
10). 希釈液J:Iから3mLを別の容器に取り分け、日局生理食塩液3mLを加え、希釈する:濃度0.039mg/mL。
[アストグラフ法]
1). 希釈液A:本剤100mg(1バイアル)に日局生理食塩液4mLを加え、溶解する:濃度25mg/mL。
2). 希釈液B:Aから2mLを別の容器に取り分け、日局生理食塩液2mLを加え、希釈する:濃度12.5mg/mL。
3). 希釈液C:Bから2mLを別の容器に取り分け、日局生理食塩液2mLを加え、希釈する:濃度6.25mg/mL。
4). 希釈液D:Cから2mLを別の容器に取り分け、日局生理食塩液2mLを加え、希釈する:濃度3.125mg/mL。
5). 希釈液E:Dから2mLを別の容器に取り分け、日局生理食塩液2mLを加え、希釈する:濃度1.563mg/mL。
6). 希釈液F:Eから2mLを別の容器に取り分け、日局生理食塩液2mLを加え、希釈する:濃度0.781mg/mL。
7). 希釈液G:Fから2mLを別の容器に取り分け、日局生理食塩液2mLを加え、希釈する:濃度0.391mg/mL。
8). 希釈液H:Gから2mLを別の容器に取り分け、日局生理食塩液2mLを加え、希釈する:濃度0.195mg/mL。
9). 希釈液I:Hから2mLを別の容器に取り分け、日局生理食塩液2mLを加え、希釈する:濃度0.098mg/mL。
10). 希釈液J:Iから2mLを別の容器に取り分け、日局生理食塩液2mLを加え、希釈する:濃度0.049mg/mL。
- 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1. 甲状腺機能亢進症の患者:心血管系に作用して不整脈を起こすおそれがある。
9.1.2. 徐脈を伴う心血管系疾患のある患者:心拍数、心拍出量の減少により、症状が悪化するおそれがある。
9.1.3. 消化性潰瘍疾患のある患者:消化管運動の促進及び胃酸分泌作用により、症状が悪化するおそれがある。
9.1.4. アジソン病の患者:副腎皮質機能低下による症状が悪化するおそれがある。
9.1.5. 消化管閉塞又は尿路閉塞のある患者:消化管又は排尿筋を収縮、緊張させ、閉塞状態が悪化するおそれがある。
9.1.6. てんかんの患者:痙攣を起こし、症状が悪化するおそれがある。
9.1.7. パーキンソニズムの患者:ドパミン作動性神経系とコリン作動性神経系に不均衡を生じ、症状が悪化するおそれがある。
9.1.8. 迷走神経亢進状態の患者:症状が悪化するおそれがある。
9.1.9. コリンエステラーゼ阻害薬常用中の重症筋無力症患者:症状が悪化するおそれがある〔10.2参照〕。
9.1.10. 気流制限が中等度の場合(対標準1秒量<%FEV1>が70%未満又は1秒量が1.5L未満)の患者:重度気管支収縮を発現する可能性がある〔11.1.1参照〕。
- 相互作用
- 10.2. 併用注意:1). β遮断薬(ビソプロロール、アテノロール、メトプロロール等)〔11.1.1参照〕[本剤による気管支収縮が増強又は持続する可能性がある(双方の気管支平滑筋収縮作用が増強されるおそれがある)]。
2). コリン作動薬(アセチルコリン塩化物等)、コリンエステラーゼ阻害薬(ネオスチグミン臭化物等)〔9.1.9参照〕[本剤のコリン作動性作用に基づく副作用を増強させるおそれがある(双方のコリン作動性作用が増強されるおそれがある)]。
3). β2刺激薬、抗コリン薬及びテオフィリンなどの抗喘息薬及び抗アレルギー薬、パパベリンを含む製剤、カフェインを含む飲食物[本剤による検査において正確な検査結果が得られない可能性がある(気管支拡張作用があり、本剤の作用と拮抗するおそれがある)]。
4). 吸入ステロイド薬(フルチカゾンプロピオン酸エステル<吸入>、ブデソニド<吸入>、フルチカゾンフランカルボン酸エステル<吸入>等)[本剤による検査において正確な検査結果が得られない可能性がある(抗炎症作用があり、検査結果に影響するおそれがある)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 呼吸困難(頻度不明):重度気管支収縮及び呼吸困難があらわれた場合は、直ちに速効型吸入用気管支拡張薬(吸入β2刺激薬)を投与するなど適切な処置を行うこと〔1.2、2.2、9.1.10、10.2参照〕。
- 11.2. その他の副作用
呼吸器:(5%以上)咳嗽(12.5%)、(1~5%未満)喘鳴、酸素飽和度低下、呼吸音異常、息詰まり感。
- 高齢者
- 副作用発現に留意し、経過を十分に観察しながら慎重に投与すること(一般に呼吸機能が低下している)。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、診断上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
診断上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
- 小児等
- 低出生体重児、新生児、乳児又は6歳未満の幼児を対象とした臨床試験は実施していない。
- 適用上の注意
- 14.1. 薬剤調製時の注意14.1.1. 本剤を取扱う場合、本剤に暴露しないよう注意すること。
14.1.2. 本剤は用時調製し、速やかに使用すること。
14.1.3. 本剤の溶解には消毒又は滅菌された機器を用い、希釈操作は清潔な環境で行うこと。
14.2. 検査後の注意残液は適切な方法で廃棄すること。
14.3. 診断上の注意喫煙者の慢性閉塞性肺疾患又はその他の病態生理学的原因により、1秒率(FEV1%)が70%未満の慢性の気流制限がある場合、気道過敏性検査で陽性となる可能性がある。
また、喘息症状のないアレルギー性鼻炎を有する患者又は将来喘息症状を発症し得る被験者でも気道過敏性検査で陽性となる可能性がある。
16.1 血中濃度
健康成人(男女13例)に0.039~25mg/mLの本剤を漸増吸入して気道過敏性検査を実施し、最高濃度25mg/mLを吸入投与した後の全血中メタコリン濃度推移及び薬物動態パラメータを次に示す。
→図表を見る(PDF)
16.4 代謝
メタコリンはアセチルコリンエステラーゼにより加水分解される。
ヒト血液中においてメタコリンは速やかに代謝され、インキュベート後15秒における血液中残存率は52.7%であったが、それ以降の代謝は緩やかとなり、終末相におけるメタコリンのt1/2は175分であった(in vitro)。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第III相試験(成人)
成人喘息患者15例(吸入ステロイド剤で治療中11例、73.3%)、健康成人15例を対象に、本剤注)による気道過敏性検査を実施し、PC20(FEV1がベースライン値より20%低下する濃度)を測定した。PC20の基準値を8mg/mLとした場合、喘息患者での陽性率(感度)は66.7%、健康成人での陰性率(特異度)は86.7%であった。
喘息患者において本剤との因果関係ありと判断された有害事象が15例中1例(6.7%)で4件(咳嗽、喘鳴、呼吸困難及び酸素飽和度低下が各1件)認められたが、すべて気道過敏性検査に伴う気道収縮により通常発現する生体反応と判断された。健康成人では有害事象は認められなかった。
17.1.2 国内第III相試験(小児)
小児喘息患者10例(吸入ステロイド剤で治療中9例、90.0%)を対象に、本剤注)による気道過敏性検査を実施し、PC20を測定した。PC20が8mg/mL以下であった症例の割合は70.0%であった。
本剤との因果関係ありと判断された有害事象が10例中7例(70%)で7件(主な事象は咳嗽4件、40%)認められたが、すべて気道過敏性検査に伴う気道収縮により通常発現する生体反応と判断された。
注)希釈系列は0.039、0.078、0.156、0.313、0.625、1.25、2.5、5、10、25mg/mLとし、低濃度からネブライザーを用いて吸入。
18.1 測定法
気管支平滑筋の収縮及び気管支分泌物の増加は、副交感神経(コリン作動性)支配を受けており、迷走神経の刺激によって、神経末端からアセチルコリンが放出され、受容体に作用することで生じる。メタコリンはアセチルコリンのβメチル同族体であり、直接アセチルコリン受容体に作用する。
喘息を有する被験者がメタコリンを含む溶液を吸入した場合、健康被験者と比べてメタコリンに対する感受性が高く、より低用量で気管支収縮が生じる。この反応の差がメタコリン負荷試験の薬理学的根拠となっている。
18.2 気管支平滑筋収縮作用
摘出ヒト気管組織標本を用い、気管平滑筋の収縮に対するメタコリンの作用を評価した。ヒト気管平滑筋標本をKrebs溶液中で120分間平衡化させた後、メタコリン溶液で段階的に濃度を上げて処理し、標本より発生する張力を等尺性に測定した。その結果、メタコリンは1~100μmol/Lの適用で濃度に依存した収縮作用を示した(in vitro)。
18.3 気道粘液分泌に対する作用
摘出ヒト気管組織標本を用いた器官培養において、[3H]glucosamine、[14C]glucosamine、[3H]threonine及びNa2[35S]O4をトレーサーに用いて、粘液糖タンパク質分泌に対するメタコリンの作用を検討した。予め摘出ヒト気管組織標本を各トレーサーを含む培養液で16時間培養した後、これらを含まないコントロール培地にメタコリンを溶解させた培養液で4時間培養した。それぞれの培養上清の放射線量を測定して比を求め、粘液糖タンパク質分泌の指標とした。その結果、メタコリンは100μmol/Lの濃度で、気管組織の粘液糖タンパク質の分泌をコントロール培地と比較して62%増加させた。アトロピンは100μmol/Lの濃度でメタコリンの作用を阻害した(in vitro)。
- 製造販売会社
- 参天製薬
- 販売会社
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