チャンピックス錠0.5mg
添付文書情報2020年10月改定(第1版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 禁忌
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
- 効能・効果
- ニコチン依存症の喫煙者に対する禁煙の補助。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. ニコチン依存症の診断については、ニコチン依存症に係わるスクリーニングテスト(TDS)により診断すること。
5.2. 本剤の使用にあたっては、患者に禁煙意志があることを確認すること。
- 用法・用量
- 通常、成人にはバレニクリンとして第1~3日目は0.5mgを1日1回食後に経口投与、第4~7日目は0.5mgを1日2回朝夕食後に経口投与、第8日目以降は1mgを1日2回朝夕食後に経口投与する。なお、本剤の投与期間は12週間とする。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 本剤は原則として、他の禁煙補助薬と併用しないこと(本剤の有効性及び安全性は単剤投与により確認されており、他の禁煙補助薬と併用した際の有効性は検討されておらず、安全性についても経皮吸収ニコチン製剤との併用時に副作用発現率の上昇が認められている)〔16.7.3参照〕。
7.2. 患者が禁煙を開始する日を設定し、その日から1週間前に本剤の投与を始めること。
7.3. 本剤による12週間の禁煙治療により禁煙に成功した患者に対して長期間の禁煙をより確実にする為に、必要に応じ本剤を更に延長して投与することができ、その場合にはバレニクリンとして1mgを1日2回朝夕食後に12週間投与すること〔17.1.5参照〕。
7.4. 最初の12週間の投与期間中に禁煙に成功しなかった患者や投与終了後に再喫煙した患者で再度本剤を用いた禁煙治療をする場合は、過去の禁煙失敗の要因を明らかにしそれら要因の対処を行った後のみ、本剤の投与を開始すること。
7.5. 本剤の忍容性に問題がある場合には、0.5mg1日2回に減量することができる。
7.6. 重度腎機能障害患者(クレアチニン・クリアランス推定値:30mL/分未満)の場合、0.5mg1日1回で投与を開始し、その後必要に応じ、最大0.5mg1日2回に増量すること〔9.2.1、9.8高齢者の項、10.2、16.6.1参照〕。
- 腎機能障害患者
- 8.1. 医師等により、禁煙治療プログラムに基づいた指導の下に本剤を適切に使用すること。
8.2. 禁煙は治療の有無を問わず様々な症状(不快、抑うつ気分、不眠、いらだたしさ、欲求不満、怒り、不安、集中困難、落ち着きのなさ、心拍数の減少、食欲増加、体重増加等)を伴うことが報告されており、基礎疾患として有している精神疾患の悪化を伴うことがある。
8.3. 抑うつ気分、不安、焦燥、興奮、行動変化又は思考変化、精神障害、気分変動、攻撃的行動、敵意、自殺念慮及び自殺が報告されており、本剤との因果関係は明らかではないが、これらの症状があらわれることがあるので、本剤を投与する際には患者の状態を十分に観察すること(なお、本剤中止後もこれらの症状があらわれることがある)。また、抑うつ気分、不安、焦燥、興奮、行動又は思考の変化、精神障害、気分変動、攻撃的行動、敵意、自殺念慮及び自殺の症状・行動があらわれた場合には本剤の服用を中止し、速やかに医師等に連絡するよう患者に指導すること。
8.4. めまい、傾眠、意識障害等があらわれ、自動車事故に至った例も報告されているので、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること〔11.1.3参照〕。
8.5. 本剤の投与の有無にかかわらず、禁煙により生じる生理的な変化のため、テオフィリン、ワルファリン、インスリン等の薬物動態や薬力学が変化し、用量調節が必要になる場合がある。また、喫煙によりCYP1A2の活性が誘導されるため、禁煙を開始後、CYP1A2の基質となる薬剤の血漿濃度が上昇する可能性がある。
9.1.1. 統合失調症、双極性障害、うつ病等の精神疾患のある患者:精神症状を悪化させることがある。
9.2.1. 重度腎機能障害のある患者:血中濃度が高くなるおそれがある〔7.6、9.8高齢者の項、10.2、16.6.1参照〕。
9.2.2. 血液透析を受けている患者:本剤を投与する際には十分に観察を行うこと(血中濃度が高くなるおそれがある)〔16.6.1参照〕。
- 相互作用
- 10.2. 併用注意:シメチジン〔7.6、9.2.1、16.6.1、16.7.2参照〕[本剤は主として腎排泄され、シメチジンとの併用により、本剤の腎クリアランスが低下して全身曝露量が増加するおそれがあるので、重度腎機能障害のある患者で併用する場合は注意すること(シメチジンが尿細管における本剤の輸送を阻害し、腎クリアランスを低下させ、また、本剤は腎排泄される)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明)、多形紅斑(頻度不明):皮疹等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.2. 血管浮腫(頻度不明):顔面腫脹、舌腫脹、口唇腫脹、咽頭腫脹、喉頭腫脹等の腫脹を症状とする血管浮腫があらわれることがある。
11.1.3. 意識障害(頻度不明):意識レベル低下、意識消失等の意識障害があらわれることがある〔8.4参照〕。
11.1.4. 肝機能障害(頻度不明)、黄疸(頻度不明):AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
- 11.2. その他の副作用
1). 感染症及び寄生虫症:(0.5%以上5%未満)上気道感染、(0.5%未満)気管支炎。
2). 代謝及び栄養障害:(0.5%以上5%未満)食欲不振、食欲亢進、(0.5%未満)多飲症。
3). 精神障害:(5%以上)不眠症(16.3%)、異常な夢(13.0%)、(0.5%以上5%未満)リビドー減退、易刺激性、感情不安定、激越、睡眠障害、不安、抑うつ、落ち着きのなさ、(0.5%未満)精神緩慢、気分変動、思考異常、不快気分、(頻度不明)精神障害、攻撃的行動、敵意。
4). 神経系障害:(5%以上)頭痛(11.6%)、(0.5%以上5%未満)傾眠、振戦、注意力障害、味覚異常、嗜眠、(0.5%未満)協調運動異常、構語障害、感覚鈍麻、(頻度不明)記憶障害、健忘、一過性健忘、痙攣。
5). 心臓障害:(0.5%未満)心房細動、動悸、狭心症。
6). 血管障害:(0.5%以上5%未満)ほてり、高血圧。
7). 眼障害:(0.5%未満)眼痛、羞明、暗点、結膜炎。
8). 耳及び迷路障害:(0.5%未満)耳鳴。
9). 呼吸器、胸郭及び縦隔障害:(0.5%以上5%未満)咽喉刺激感、咳嗽、(0.5%未満)呼吸困難、嗄声、鼻漏、気道うっ血、副鼻腔うっ血、いびき。
10). 胃腸障害:(5%以上)嘔気(28.5%)、鼓腸、便秘、(0.5%以上5%未満)胃食道逆流性疾患、胃不快感、下痢、口内乾燥、消化不良、軟便、腹痛、腹部膨満、嘔吐、(0.5%未満)おくび、胃炎、歯肉痛、吐血、血便排泄、口内炎、(頻度不明)イレウス。
11). 皮膚及び皮下組織障害:(0.5%以上5%未満)ざ瘡、皮膚そう痒症、発疹、(0.5%未満)紅斑、多汗症。
12). 筋骨格系及び結合組織障害:(0.5%以上5%未満)筋痛、筋痙攣、(0.5%未満)関節硬直、関節痛、背部痛。
13). 腎及び尿路障害:(0.5%以上5%未満)頻尿・夜間頻尿、(0.5%未満)糖尿、多尿。
14). 生殖系及び乳房障害:(0.5%未満)月経過多、性機能不全。
15). 全身障害及び投与局所様態:(0.5%以上5%未満)胸痛、倦怠感、口渇、無力症、めまい、(0.5%未満)胸部不快感、発熱、(頻度不明)浮腫、末梢性浮腫。
16). 臨床検査:(0.5%以上5%未満)肝機能検査値異常(AST上昇、ALT上昇、ALP上昇、血中ビリルビン上昇)、(0.5%未満)心電図ST部分下降、心電図T波振幅減少、心拍数増加、血小板数減少、体重増加。
発現頻度は、承認時の国内及び外国第2相/第3相試験の結果に基づいている。
- 高齢者
- 腎機能を確認し、重度腎機能障害が認められた場合には、用量調節を行うこと(本剤は主として腎排泄され、また、高齢者では腎機能が低下していることが多い)〔7.6、9.2.1、16.6.1参照〕。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(バレニクリン15mg/kg/日をラットの妊娠~授乳期間中に経口投与したところ、出生仔体重低下及び受胎能低下と聴覚性驚愕反応亢進が認められ、また、妊娠ウサギにバレニクリン30mg/kg/日を経口投与したところ、胎仔体重低下が認められた)。
授乳中の女性には、治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(ヒト母乳中への本剤の移行は不明であるが、動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている)。
- 小児等
- 国内では小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
- 適用上の注意
- 14.1. 薬剤交付時の注意PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
- その他の注意
- 15.1. 臨床使用に基づく情報15.1.1. 海外で実施された心血管疾患を有する患者703例を対象とした本剤の有効性評価のためのランダム化二重盲検比較試験において、全試験期間における心血管イベント(心血管死、冠動脈疾患、脳血管疾患、末梢血管疾患)の発生割合は本剤投与群では7.1%(25/353)、プラセボ投与群では5.7%(20/350)[リスク差:1.4%、95%信頼区間-2.3%~5.0%]であったとの報告がある。また、前記試験を含む15のランダム化二重盲検比較試験の心血管イベント発生に関する安全性メタ解析において、投与期間及び投与期間+30日における主要心血管イベント(心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中)の発生割合及びハザード比は次の通りであった;投与期間[発生割合:本剤投与群0.17%(7/4190)、プラセボ投与群0.07%(2/2812)、ハザード比:2.83、95%信頼区間0.76~10.55]、投与期間+30日[発生割合:本剤投与群0.31%(13/4190)、プラセボ投与群0.21%(6/2812)、ハザード比:1.95、95%信頼区間0.79~4.82](なお、安全性メタ解析に用いた主要心血管イベントは、主として心血管疾患を有する等の高リスク患者で起きたものである)。
15.1.2. 海外で実施された12~19歳の喫煙者312例を対象とした本剤の有効性・安全性評価のための無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験において、主要評価項目の投与開始後第9~12週の4週間持続禁煙率は、バレニクリン群がプラセボ群と比較して統計学的に有意な増加を示さなかった。
15.2. 非臨床試験に基づく情報15.2.1. ラット自己摂取試験の結果から、バレニクリンは強化作用を有するが、その程度はニコチンより弱いことが示された。また、臨床試験成績から本剤が乱用される可能性は低いことが示された。
15.2.2. バレニクリンを2年間投与したがん原性試験において、雄ラットでは、褐色脂肪腫が5mg/kg/日で65例中1例及び15mg/kg/日で65例中2例にみられた。本所見とヒトとの関連性は明らかではない。
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人男性喫煙者14例にバレニクリン0.25、0.5、1及び2mgを食後単回投与した時の最高血漿中濃度(Cmax)はそれぞれ1.32、2.45、4.97及び9.96ng/mL、血漿中濃度-時間曲線下面積(AUC)はそれぞれ26.2、50.0、104及び226ng・h/mLであり、用量の増加に伴い増加した。最高血漿中濃度到達時間(Tmax)の平均値はいずれの投与量においても約3時間であった。血漿中濃度半減期(t1/2)の平均値は0.25、0.5、1及び2mg投与に対し、それぞれ13.1、14.5、18.4及び19.3時間であった。
→図表を見る(PDF)
注)本剤の承認用量は1回1mgまでである。
16.1.2 反復投与
健康成人男性喫煙者12例にバレニクリン0.5及び1mg1日2回を14日間反復経口投与した時、バレニクリン濃度は投与4日目には定常状態に達し、単回投与試験の結果から予想される蓄積を上回る値は認められなかった。
→図表を見る(PDF)
16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
健康成人喫煙者12例にバレニクリン1mgを空腹時及び食後に単回経口投与し、薬物動態を比較した。Cmax及びAUCは空腹時投与と食後投与の間で同等の値を示したことから、バレニクリンの薬物動態に対する食事の影響はない(外国人データ)。
16.3 分布
ヒト血漿蛋白結合率は低く(20%以下)、高齢者及び腎機能障害患者の試験から得られたヒト血漿蛋白結合率も同様であった。
16.4 代謝
In vitroにおいてヒト肝ミクロソーム分画及びヒトリコンビナントUGTとバレニクリンをインキュベーションした時、ヒト肝ミクロソームでは代謝されず、UGT2B7によりN‐カルバモイルグルクロン酸抱合体のみが生成された。
16.5 排泄
16.5.1 バレニクリンの腎排泄は主として糸球体濾過によるものであるが、有機カチオントランスポーターOCT‐2を介した尿細管からの分泌排泄も一部寄与している。
16.5.2 健康成人男性(外国人)6例に14C‐標識バレニクリン1mgを単回経口投与した時、投与148時間後までに投与放射能の87.1%及び0.9%が、それぞれ尿中及び糞中に排泄された。尿中に排泄された放射能のほとんどが未変化体(投与放射能の80.5%、尿中に排泄された放射能の91.6%)であったことから、経口投与されたバレニクリンの吸収率は高く、肝代謝をほとんど受けずに主として未変化体として尿中排泄される。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
軽度の腎機能障害を有する被験者(クレアチニン・クリアランス(CLCR)推定値:50mL/分<CLCR≦80mL/分)では、バレニクリンの薬物動態に対する腎機能障害の影響は認められなかった。中等度(CLCR推定値:30mL/分≦CLCR≦50mL/分)及び重度(CLCR推定値:CLCR<30mL/分)の腎機能障害を有する被験者では、腎機能が正常な被験者(CLCR推定値:CLCR>80mL/分)と比較してバレニクリンの全身曝露量がそれぞれ1.5倍及び2.1倍に増加した。また、週3回3時間の透析を行っている腎疾患を有する被験者では、バレニクリンの全身曝露量が2.7倍に増加した。なお、血液透析での除去率を検討した結果、血液透析は健康被験者における腎機能とほぼ同程度の排泄効果があると考えられた(外国人データ)。[7.6、9.2.1、9.2.2、9.8、10.2、13.1参照]
→図表を見る(PDF)
16.6.2 肝機能障害患者
バレニクリンはその大部分が未変化体として尿中に排泄され、ほとんど肝代謝を受けないことから、バレニクリンの薬物動態は肝障害の影響を受けないことが予測される。
16.6.3 高齢者
健康高齢男女喫煙者16例(65~75歳)にバレニクリンを反復投与(1mg1日1回又は1日2回7日間)した時、バレニクリンの高齢喫煙者における薬物動態は、非高齢喫煙者と同様であった(外国人データ)。
16.6.4 小児
12~17歳の喫煙者22例にバレニクリン0.5及び1mgを単回投与した時、バレニクリンの薬物動態はほぼ用量に比例し、全身曝露量及び腎クリアランスは、健康成人被験者と同様であった(外国人データ)。
16.7 薬物相互作用
16.7.1 In vitro試験
バレニクリンは肝ミクロソームによるチトクロームP450酵素(1A2、2A6、2B6、2C8、2C9、2C19、2D6、2E1及び3A4/5)の基質代謝を阻害しなかった(IC50>6,400ng/mL)。また、バレニクリンはヒト肝細胞のチトクロームP450酵素1A2及び3A4の活性を誘導しなかった。ヒト腎トランスポーター(hOCT‐2、hOAT‐1、hOAT‐3、hOCTN‐1又はhOCTN‐2)を発現させたヒト胎児腎細胞への取り込みを検討した結果、バレニクリンはhOCT‐2の基質であることが示され、シメチジン(1mM、OCT‐2の阻害剤)によってバレニクリンの取り込みは部分的に阻害された。
16.7.2 臨床試験
(1)シメチジン
健康成人喫煙者12例にシメチジンを反復投与(300mg1日4回5日間)し、2日目にバレニクリン2mgを単回併用投与した時のバレニクリンの薬物動態は、バレニクリン単独投与時に比べて全身曝露量が約29%増加し(90%信頼区間:21.5%、36.9%)、投与48時間後までの腎クリアランスは約25%低下した(外国人データ)。[10.2参照]
注)本剤の承認用量は1回1mgまでである。
(2)その他の薬剤
メトホルミン、ジゴキシン及びワルファリンとの相互作用について臨床成績により検討しているが、バレニクリン併用による薬物動態学的相互作用は認められなかった(外国人データ)。
16.7.3 他の禁煙補助薬(ニコチン代替療法)との併用
喫煙者22例に経皮吸収ニコチン製剤(21mg/日)とバレニクリン(1mg1日2回)を併用反復投与(ニコチン14日間反復貼付期間中3日目からバレニクリン反復投与)した時、ニコチンの薬物動態に対する影響はなかったが、14日目に測定した最高血圧の平均値に統計学的に有意な低下(平均2.6mmHg)が認められた。副作用は経皮吸収ニコチン製剤単独投与群17例中14例(82.4%)、併用投与群22例中17例(77.3%)に認められた。嘔気、頭痛、嘔吐、浮動性めまい、消化不良及び疲労は併用投与群で多く認められ、その発現率は経皮吸収ニコチン製剤単独投与群で嘔気7例(41.2%)、頭痛4例(23.5%)、嘔吐2例(11.8%)、浮動性めまい1例(5.9%)、消化不良1例(5.9%)及び疲労3例(17.6%)、併用投与群で嘔気14例(63.6%)、頭痛11例(50.0%)、嘔吐7例(31.8%)、浮動性めまい7例(31.8%)、消化不良5例(22.7%)及び疲労6例(27.3%)であったが、いずれの有害事象も安全性上の問題は認められなかった。なお、これらの有害事象は他の試験のバレニクリン単独投与でも認められている。また、本試験で検討したニコチン代替療法を含め、本剤を他の禁煙補助薬と併用した場合の安全性及び有効性に関する試験は行われていない(外国人データ)。[7.1参照]
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内後期第II相用量反応試験
禁煙を希望する喫煙者を対象とした12週間投与の二重盲検比較試験において、主要評価項目の第9~12週の4週間持続禁煙率は、バレニクリン1mg1日2回投与群で65.4%(85/130例)、プラセボ群で39.5%(51/129例)であり、バレニクリン1mg1日2回投与群はプラセボ群と比較して統計学的に有意に高かった。また、第9~52週の持続禁煙率もプラセボ群と比較して優れていた。さらに、プラセボ群と比べて、離脱症状、タバコに対する切望感、喫煙から得られる満足感を軽減した。
→図表を見る(PDF)
副作用の発現率は、バレニクリン0.25mg群で43.1%、0.5mg群で42.6%、1mg群で53.8%及びプラセボ群で28.6%であった。発現率5%以上の副作用は、上腹部痛、便秘、嘔気及び頭痛であった。
17.1.2 外国後期第II相用量反応試験
禁煙を希望する喫煙者を対象とした12週間投与の二重盲検比較試験において、主要評価項目の第9~12週の4週間持続禁煙率は、バレニクリン1mg1日2回投与群ではプラセボ群と比較して統計学的に有意に高かった。また、第9~52週の持続禁煙率もプラセボ群と比較して優れていた。
→図表を見る(PDF)
国内外の後期第II相用量反応試験において、第9~12週の4週間持続禁煙率及び第9~52週持続禁煙率はバレニクリンの用量に依存して上昇した。
注)禁煙率と95%信頼区間を示した
注)禁煙率と95%信頼区間を示した
副作用の発現率は、バレニクリン0.5mg非漸増群で66.1%、0.5mg漸増群で56.6%、1mg非漸増群で73.4%、1mg漸増群で68.2%、プラセボ群で48.8%であった。いずれかのバレニクリン群で発現率15%以上の副作用は、嘔気、不眠症及び異常な夢であった。
17.1.3 国内再投与試験
バレニクリンを再投与した際の安全性を評価する目的で、国内後期第II相用量反応試験の第9~12週に持続禁煙できなかった喫煙者42例に本剤を12週間再投与したところ、安全性に問題がないことが示された。報告された有害事象とその発現頻度及び重症度は、国内後期第II相用量反応試験と同様であった。また、本剤の再投与により持続禁煙に成功した被験者が認められた。
副作用の発現率は、バレニクリン0.25mg群で35.7%、0.5mg群で36.4%、1mg群で38.5%、プラセボ群で25.0%であった。いずれかのバレニクリン群で発現率20%以上の副作用は、嘔気であった。
17.1.4 外国第III相比較検証試験(2試験)
12週間投与のプラセボを対照とした2つの二重盲検比較試験において、主要評価項目の第9~12週の4週間持続禁煙率は、バレニクリン1mg1日2回投与群でプラセボ群と比較して統計学的に有意に高かった。
→図表を見る(PDF)
試験1において副作用の発現率は、バレニクリン群で69.1%、プラセボ群で53.2%であった。試験2において副作用の発現率は、バレニクリン群で67.6%、プラセボ群で55.3%であった。
17.1.5 外国第III相禁煙維持療法試験
バレニクリン1mg1日2回を非盲検下で12週間投与し、第12週までに禁煙できた患者にバレニクリン1mg1日2回又はプラセボを二重盲検下で12週間追加投与し、禁煙維持に対する本剤の有効性及び安全性を評価した。主要評価項目の第13~24週の持続禁煙率は、バレニクリン1mg1日2回投与群で70.6%(425/602例)であり、プラセボ群の49.8%(301/604例)と比較して統計学的に有意に高かった。
→図表を見る(PDF)
非盲検期において副作用の発現率は、バレニクリン群で70.3%、二重盲検期において副作用の発現率は、バレニクリン群で16.9%、プラセボ群で15.4%であった。[7.3参照]
17.1.6 外国臨床試験において、最大3%の患者でバレニクリンの投与終了によって易刺激性、喫煙衝動、抑うつ、あるいは不眠症の増強が認められた。
18.1 作用機序
バレニクリンは、α4β2ニコチン受容体に対して高い結合親和性をもつ、ニコチン受容体の部分作動薬である。バレニクリンが脳内のα4β2ニコチン受容体に結合すると、ニコチンを遮断して喫煙による満足感を抑制する(拮抗作用)。同時に、ニコチンの作用で放出されるよりも少量のドパミンを放出させ、禁煙に伴う離脱症状やタバコに対する切望感を軽減する(刺激作用)。
18.2 ニコチン受容体結合能
バレニクリンはヒト大脳皮質のα4β2ニコチン受容体に高親和性に結合するが(Ki値=0.15nmol/L)、その他検討したニコチン受容体(α3β4、α7、α1βγδ受容体)やムスカリン受容体及びコリントランスポーターにはほとんど結合しなかった。
18.3 ニコチン受容体部分作動薬作用
18.3.1 バレニクリンは、ニコチンと同様、アフリカツメガエル卵母細胞やヒト胎児腎細胞に発現させたヒトα4β2ニコチン受容体の内向き電流を惹起し、ラット線条体切片やラット側坐核のドパミン遊離及びドパミン代謝回転を亢進させたが、その作用はニコチンより弱かった。
18.3.2 バレニクリンは、ニコチンと併用するとニコチン作用を抑制した。特に、ラット側坐核におけるニコチンによるドパミン遊離作用を抑制した。
18.4 ニコチン摂取の抑制作用
バレニクリンはニコチン依存ラットにおけるニコチン自己摂取行動を抑制した。
- 一包可:不可
- 分割:不可
- 粉砕:不明
- 製造販売会社
- ファイザー
- 販売会社
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