ミンクリア内用散布液0.8%
添付文書情報2023年07月改定(第1版)
商品情報
- 禁忌
- 2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
- 効能・効果
- 上部消化管内視鏡時の胃蠕動運動の抑制。
(効能又は効果に関連する注意)
臨床試験成績等を踏まえ、本剤投与が適切と考えられる場合に使用すること〔17.1.1-17.1.3参照〕。
- 用法・用量
- 通常、本剤20mL(l-メントールとして160mg)を内視鏡の鉗子口より胃幽門前庭部に行きわたるように散布する。
- 特定の背景を有する患者に関する注意
- 8.1. 本剤の効果が認められない場合や本剤投与後に蠕動運動が再開した場合は、他の蠕動運動抑制薬の投与を考慮すること。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 11.2. その他の副作用
1). 過敏症:(頻度不明)発疹、蕁麻疹、接触性皮膚炎。
2). 循環器:(0.1~5%未満)心電図異常(不整脈、ST-T変化)。
3). 呼吸器:(0.1~5%未満)息詰まり感、(頻度不明)喘鳴。
4). 消化器:(0.1~5%未満)下痢、腹部不快感、上腹部痛、腹痛、(頻度不明)悪心、嘔吐、腹部膨満。
5). 血液:(0.1~5%未満)血中アミラーゼ増加、白血球数増加。
6). その他:(0.1~5%未満)頭痛、倦怠感、尿中ブドウ糖陽性、(頻度不明)気分不良。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが認められている)。
- 小児等
- 9.7.1. 小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.7.2. グルコース-6-リン酸脱水素酵素<G-6-PD>欠乏のある新生児等にl-メントール外用剤等を使用したところ、溶血、黄疸を起こしたとの報告がある。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤投与前の注意14.1.1. シリンジが破損するおそれがあるため、強い衝撃を避けること。
14.1.2. ピロー開封時は切り口からゆっくり開けること。
14.1.3. ピロー包装から取り出す際、押し子を持って無理に引き出さないこと。
14.1.4. 内容液が漏れている場合や、内容液に混濁や浮遊物等の異常が認められるときは使用しないこと。
14.1.5. シリンジに破損等の異常が認められるときは使用しないこと。
14.2. 薬剤投与時の注意14.2.1. 本剤を注射しないこと。本剤は胃への内用散布液であり、静脈内に注射すると肺浮腫等の急性肺障害を起こすおそれがある。
14.2.2. 本剤を経口投与しないこと(本剤は刺激性があるため、内視鏡の鉗子口より胃内に投与すること)。
14.2.3. 本剤は眼に対する刺激があるため、投与時はシリンジと鉗子口をしっかり連結後、薬液が内視鏡の外に飛散して眼に入らないように注意すること。
(1). 鉗子口から投与する際に、患者に眼を閉じさせるあるいは顔をそらさせるなど、眼に入らないように十分注意して行うこと。
(2). 鉗子口から投与する際に、万一眼に入った場合には、すぐに水又はぬるま湯で洗い流す(眼に異常を感じた場合には直ちに専門医の診療を受ける)。
14.2.4. 本剤の成分であるl-メントールは揮発性が高いため、眼、鼻、のど等に異常を感じた場合には直ちに専門医の診療を受けること。
14.2.5. 本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある医療従事者は、本剤投与時には必要に応じてゴーグル、マスク及び手袋等を着用すること。
14.2.6. 本剤(20mL)を内視鏡の鉗子口より胃幽門前庭部に薬剤が行きわたるように散布すること(添付文書の図参照)。
14.2.7. 本剤投与後、内視鏡の鉗子孔内に残った薬液は速やかに空気等で押し出すこと(残った薬液が鉗子口より噴き出してくるおそれがある)。
14.3. 薬剤投与後の注意14.3.1. 使用済みシリンジは速やかに廃棄し、再使用しないこと。
20.1. 冷蔵庫等での低温にて長期間保存した場合に、白濁等の外観変化が起こることがあるので、室温で保存すること。また、白濁等が認められたものは使用しないこと。
16.1 血中濃度
健康成人男性にl‐メントールとして160mgを胃内単回投与した時のl‐メントール及びl‐メントールグルクロン酸抱合体の薬物動態パラメータは次記のとおりであった。
→図表を見る(PDF)
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第III相比較臨床試験(上部消化管内視鏡検査における胃蠕動運動の抑制)
胃内視鏡検査を必要とする患者を対象とした二重盲検比較臨床試験において、本剤20mL(l‐メントールとして160mg)又はプラセボを胃内単回投与した結果、治験薬投与2分後及び内視鏡検査終了時ともに蠕動運動が認められなかった症例の割合は、本剤投与群では35.6%(16/45例)であり、プラセボ投与群での7.1%(3/42例)と比較して有意に高かった(p<0.001、Fisher’s検定)。
副作用発現頻度は本剤投与群で6.7%(3/45例)であり、その内訳は血中アミラーゼ増加、尿中ブドウ糖陽性、白血球数増加が各2.2%(1/45例)であった。[5.参照]
17.1.2 国内第III相比較臨床試験(上部消化管内視鏡治療における胃蠕動運動の抑制)
上部消化管内視鏡治療(胃内視鏡的粘膜下層剥離術[ESD])施行患者を対象に、本剤20mL(l‐メントールとして160mg)又はプラセボを胃内に投与し、必要に応じて本剤20mL又はプラセボの追加投与を行った結果、すべての評価時点(投与2分後、15分後、30分後及び治療終了時)で蠕動運動が軽度(蠕動波が幽門輪に到達しない)以下を継続した症例の割合は、本剤投与群では85.4%(35/41例)であり、プラセボ投与群での39.0%(16/41例)と比較して有意に高かった(p<0.001、Fisher’s検定)。
なお、治験薬の追加投与が行われた症例は本剤投与群6例、プラセボ投与群3例であった。
また、本試験での蠕動運動が軽度以下を継続した時間の中央値(最小値、最大値)は本剤投与群(41例)1,841.0秒(0秒、6,255秒)、プラセボ群(41例)1,340.0秒(0秒、4,908秒)であった。
副作用発現頻度は本剤投与群で、処置による疼痛の2.4%(1/42例)であった。[5.参照]
17.1.3 国内第III相一般臨床試験
上部消化管内視鏡治療(経皮内視鏡的胃瘻造設術[PEG]、ポリペクトミー、胃内視鏡的粘膜下層剥離術[ESD]、胃内視鏡的粘膜切除術[EMR])施行患者を対象に、本剤20mL(l‐メントールとして160mg)を胃内に投与した結果、すべての評価時点(投与2分後、15分後、30分後及び治療終了時)で蠕動運動が軽度以下を継続した症例の割合(有効率)は、54.8%(17/31例)であった。
治療別の有効率は、PEGが37.5%(6/16例)、ポリペクトミーが100.0%(7/7例)、ESDが33.3%(2/6例)、EMRが100.0%(2/2例)であった。
また、本試験の31例における蠕動運動が軽度以下を継続した時間の中央値(最小値、最大値)は593.0秒(0秒、2,566秒)であった。
副作用は認められなかった。[5.参照]
18.1 作用機序
細胞膜上にある電位依存性L型カルシウムチャネルに結合する。
18.2 蠕動運動抑制作用
18.2.1 摘出空腸平滑筋の自動運動に対する作用
l‐メントールは、ウサギ摘出空腸平滑筋の自動運動を濃度依存的に抑制した。
18.2.2 イヌ胃蠕動運動に対する作用
l‐メントールは、無麻酔イヌを用いてエリスロマイシン投与により生じる胃蠕動運動を用量依存的及び濃度依存的に抑制した。
18.2.3 サル胃蠕動運動に対する作用
l‐メントールは、覚醒下サルにおける胃蠕動運動を抑制した。
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