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タイロゲン筋注用0.9mg

販売名
タイロゲン筋注用0.9mg
薬価
0.9mg1瓶 70523.00円
製造メーカー
サノフィ

添付文書情報2023年07月改定(第1版)

商品情報

薬効分類名
他に分類されない治療を主目的としない医薬品
一般名
ヒトチロトロピン アルファ(遺伝子組換え)筋注用
禁忌
2.1. 本剤の成分又は甲状腺刺激ホルモン製剤に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.2. 妊婦、妊娠している可能性のある女性及び授乳婦〔9.5妊婦、9.6授乳婦の項参照〕。
効能・効果
1). 分化型甲状腺癌で甲状腺全摘又は分化型甲状腺癌で甲状腺準全摘術を施行された患者における、放射性ヨウ素シンチグラフィと血清サイログロブリン(Tg)試験の併用又は血清サイログロブリン(Tg)試験単独による診断の補助。
2). 分化型甲状腺癌で甲状腺全摘又は分化型甲状腺癌で甲状腺準全摘術を施行された遠隔転移を認めない患者における残存甲状腺組織の放射性ヨウ素によるアブレーションの補助。
(効能又は効果に関連する注意)
本剤は甲状腺全摘又は準全摘術を施行された以外の患者には有効性及び安全性は確立していないのでそれらの患者には投与しないこと。
用法・用量
本品1バイアルに日局注射用水1.2mLを加えて溶解し、その1mL(ヒトチロトロピン アルファ(遺伝子組換え)として0.9mg)を臀部筋肉内に24時間間隔で2回投与する。
(用法及び用量に関連する注意)
放射性ヨウ素の投与は、本剤最終投与24時間後とする。スキャニングは、放射性ヨウ素投与48時間~72時間後に行う。ただし術後アブレーションの際のスキャニングは、放射線量の減衰を考慮して適切な時期に行うこと。Tg試験を実施する時の血清検体の採取は、本剤最終投与72時間後とする。
肝機能障害患者
8.1. 本剤は、甲状腺癌患者の管理に精通した医師の監督下に使用すること。
8.2. 本剤投与後のTg濃度は、一般に、甲状腺ホルモン投与中止後のTg濃度よりも低く、両処置間でのTg濃度は必ずしも相関しない。
8.3. 本剤はたん白質製剤であるため、重篤な過敏症状が発現する可能性は否定できないので、観察を十分に行い、過敏症状等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
8.4. 本剤の投与後に、残存甲状腺組織増大又は転移癌増大が起きることがあり、これにより、腫瘍部位によっては、急性症状を示すことがある。例えば、中枢神経系転移癌患者で、片麻痺、不全片麻痺又は視力喪失が生じた。本剤投与後に、転移部位での喉頭浮腫痛や気管切開を要する呼吸困難も認められている。局所的な腫瘍の拡大が患者の生死に関わる場合には、副腎皮質ステロイド剤を前もって投与することを推奨する。
9.1.1. 転移癌のある甲状腺癌患者:腫瘍の増大による局所的な浮腫や出血の可能性がある(局所的な腫瘍の拡大が患者の生死に関わる場合には、本剤の投与に先立ち、副腎皮質ステロイド剤を前もって投与することを推奨する)。
9.1.2. 心疾患を有する又は既往歴のある患者、多量の残存甲状腺組織がある患者:血清中の甲状腺ホルモン濃度が上昇することがある(また、ごく稀に甲状腺機能亢進症や心房細動を発現するとの報告がある)。
9.1.3. ウシ甲状腺刺激ホルモンの投与を受けたことのある患者:過敏症状発現の可能性を上昇させるおそれがある。
腎機能障害患者:放射性ヨウ素の服用量は、核医学医師によって注意深く使用すること。
透析を必要とする末期腎不全患者では、本剤の排泄が遅くなり、高い血中濃度の延長をもたらす。
9.3.1. 肝機能低下している患者:投与経験が少なく安全性が確立していない。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.2. その他の副作用
1). 消化器:(10%以上)悪心、(1~10%)嘔吐、(1%未満)食欲不振、消化不良、腹痛、下痢、口渇、(頻度不明)腹部不快感。
2). 精神神経系:(1~10%)頭痛、浮動性めまい、異常感覚、(1%未満)錯感覚、情動不安定。
3). 血液:(1%未満)白血球減少。
4). 血管系:(1%未満)血管拡張。
5). 循環器:(1%未満)高血圧。
6). 筋・骨格系:(1%未満)骨痛、頸痛。
7). 呼吸器:(1%未満)呼吸困難、(頻度不明)発声障害。
8). 泌尿器:(頻度不明)頻尿。
9). 皮膚:(1%未満)発疹[本剤投与時の過敏症については、臨床試験、市販後調査、進行性疾患の患者に対する一般臨床試験において、蕁麻疹、発疹、そう痒症、潮紅、呼吸器徴候及び呼吸器症状が報告されている]、蕁麻疹、脱毛症、発汗、紅斑性丘疹。
10). 眼:(1%未満)眼球炎。
11). その他:(1~10%)無力症、疲労、悪寒、(1%未満)*インフルエンザ様症状[*:本剤の投与は、発熱<38℃以上>、悪寒、戦慄、筋肉痛、関節痛、疲労、無力症、倦怠感、頭痛<限局性ではない>を伴う一過性<48時間以内>インフルエンザ様症状(一過性<48時間以内>FLSとも呼ばれる)の原因となることがある]、味覚消失、疼痛、発熱、投与部位反応、味覚異常、浮腫、高コレステロール血症、(頻度不明)倦怠感、異常感、胸部不快感。
高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(生理機能が低下している)。
授乳婦
投与しないこと(動物での生殖試験は実施されていない)〔2.2参照〕。
授乳を避けさせること(ヒトの母乳中へ移行するかは不明である)〔2.2参照〕。
小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
取扱い上の注意
14.1. 薬剤調製時の注意14.1.1. バイアルに日本薬局方注射用水1.2mLを加え溶解する。異物や変色の見られたバイアルは使用しないこと。
14.1.2. 各バイアルは1回限りの使用とすること。
14.1.3. 本剤は溶解後、速やかに使用すること(なお、やむを得ず溶解後に保存する場合は、2~8℃で保存し、24時間以内に使用すること)。
14.2. 薬剤投与時の注意本剤は筋肉内注射にのみ使用すること。
外箱開封後は遮光して保存すること。
その他の注意
15.1. 臨床使用に基づく情報15.1.1. 本剤誘発Tg試験を放射性ヨウ素シンチグラフィと併用しても、甲状腺癌を検出できない、あるいは疾患の程度を過小評価する危険性があることに注意が必要である(必要に応じて、甲状腺ホルモン投与中止後に放射性ヨウ素シンチグラフィを併用してTg試験を実施することを考慮すること)。
15.1.2. 抗Tg抗体はTg測定に干渉し、Tg濃度の正しい測定を困難にするので、抗Tg抗体陽性症例においては、本剤投与後の放射性ヨウ素スキャン像が陰性もしくは低レベル期であっても、例えば、甲状腺癌の局在及び程度を確認するための甲状腺ホルモン投与中止後スキャンを追加実施する等を考慮すること。

16.1 血中濃度
分化型甲状腺癌により甲状腺全摘術を施行された患者(日本人9例)及び全摘又は準全摘術を施行された患者(外国人3例)に本剤を24時間間隔で2回投与した国内及び海外臨床試験における血中濃度パラメータ(平均値±標準偏差)を表に、国内臨床試験における血清中TSH濃度の推移(平均値±標準偏差)を添付文書の図に示した。
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日本人における血清中TSH濃度の推移
(n=9、平均値±標準偏差)

17.1 有効性及び安全性に関する試験
〈診断補助〉
17.1.1 国内第III相臨床試験
3施設において合計10例の分化型甲状腺癌(乳頭癌、濾胞癌)により甲状腺を全摘し、その後の残存甲状腺組織、分化型甲状腺癌及び転移癌の有無を診断する予定の患者を対象とした臨床試験では、放射性ヨウ素シンチグラムの評価において、本剤投与法と甲状腺ホルモン投与中止法を比較すると、「同等」以上が70%となった。また、甲状腺ホルモン中止法における陽性患者に対する本剤投与法でのTg試験単独及び放射性ヨウ素シンチグラフィとの併用に関して、それぞれの感度は100%(3/3例)及び90%(9/10例)となった。
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10例中7例(70.0%)に副作用(臨床検査値の異常を含む)が認められた。副作用としては、白血球減少3例(30%)、眼瞼浮腫1例(10%)、悪心1例(10%)、嘔吐1例(10%)、食欲減退1例(10%)、呼吸困難1例(10%)、白血球増加1例(10%)、尿中ブドウ糖陽性1例(10%)、血中乳酸脱水素酵素増加1例(10%)が認められた。
17.1.2 海外第III相臨床試験
分化型甲状腺癌(乳頭癌、濾胞癌)で甲状腺全摘、準全摘術を施行された患者(113例)を対象とした臨床試験では、放射性ヨウ素シンチグラムの評価において、本剤投与法と甲状腺ホルモン投与中止法と比較すると、「同等」以上が92.0%となった。また、甲状腺ホルモン中止法における陽性患者に対する本剤投与法でのTg試験単独及び放射性ヨウ素シンチグラフィとの併用に関して、それぞれの感度は72%(41/57例)及び88%(50/57例)となった。
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117例中34例(29.1%)に副作用が認められた。主な症状として、頭痛12例(10.3%)、悪心8例(6.8%)、無力症6例(5.1%)等が認められた。
〈アブレーション補助〉
17.1.3 海外第III相臨床試験
甲状腺全摘又は準全摘術を施行された低危険度の分化型甲状腺癌患者(63例)を対象とし、術後の残存甲状腺組織のアブレーションに、本剤を用いた群と甲状腺ホルモン中止法を用いた群を比較し評価した。アブレーション後の「甲状腺床への放射性ヨウ素の目視的取込みなし又は取込みが0.1%未満」を奏効基準とした奏効率は、解析対象症例60例において、両群とも100%を示した。また、「甲状腺床への放射性ヨウ素の目視的取込みなし」を奏効基準とした場合、解析対象症例60例において本剤投与法の75%(24/32例)、甲状腺ホルモン中止法の86%(24/28例)の患者がアブレーションは奏効したと評価された。
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本試験参加患者(63例)のうち追跡調査可能な48例を対象に、本剤を用いた頸部/全身シンチグラフィを用いたフォローアップ試験を3.4~4.4年後に実施した。その結果、解析対象43例において両群とも100%の奏効率が示された。
→図表を見る(PDF)

62例中18例(29.0%)に副作用が認められた。主な症状として、悪心7例(11.3%)、疲労5例(8.1%)、味覚消失3例(4.8%)、骨痛3例(4.8%)等が認められた。

18.1 作用機序
本剤は、甲状腺由来細胞へのヨウ素摂取促進作用や甲状腺ホルモン及びTg産生促進作用を示す、ヒト型甲状腺刺激ホルモンの遺伝子組換え製剤である。
18.2 ウシ甲状腺膜を用いたcAMP産生作用
ウシ甲状腺のミクロゾーム分画を用いたin vitro試験において、本剤による用量依存的なcAMPの産生作用が認められた。
18.3 甲状腺刺激作用
マウスに甲状腺ホルモンであるトリヨードチロニン(T3)をあらかじめ経口又は皮下投与して甲状腺機能を低下させた後、ヒトチロトロピン アルファを腹腔内に投与すると、血漿中テトラヨードチロニン(T4)が用量依存的に増加した。
また、カニクイザルにヒトチロトロピン アルファを筋肉内投与すると、用量依存的に血漿中T3及びT4の増加が認められた。
18.4 放射性ヨウ素摂取促進作用
アカゲザルにヒトチロトロピン アルファの筋肉内投与を行い、続いて放射性ヨウ素(123I)を静脈内投与したところ、頸部への123I摂取率増加が認められた。

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