パシーフカプセル120mg
添付文書情報2024年05月改定(第2版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 禁忌
- 2.1. 重篤な呼吸抑制のある患者[呼吸抑制を増強する]。
2.2. 気管支喘息発作中の患者[気道分泌を妨げる]。
2.3. 重篤な肝機能障害のある患者〔9.3.1参照〕。
2.4. 慢性肺疾患に続発する心不全の患者[呼吸抑制や循環不全を増強する]。
2.5. 痙攣状態(てんかん重積症、破傷風、ストリキニーネ中毒)にある患者[脊髄刺激効果があらわれる]。
2.6. 急性アルコール中毒の患者[呼吸抑制を増強する]。
2.7. 本剤の成分及びアヘンアルカロイドに対し過敏症の患者。
2.8. 出血性大腸炎の患者[腸管出血性大腸菌(O157等)や赤痢菌等の重篤な細菌性下痢のある患者では、症状の悪化、治療期間の延長をきたすおそれがある]〔9.1.1参照〕。
2.9. ナルメフェン塩酸塩水和物投与中又はナルメフェン塩酸塩水和物投与中止後1週間以内の患者〔10.1参照〕。
- 効能・効果
- 中等度から高度の疼痛を伴う各種癌における鎮痛。
(効能又は効果に関連する注意)
本剤は持続性癌疼痛治療剤であり、疼痛増強時や突発性の疼痛が発現した場合の追加投与(レスキュードーズ)には使用しないこと。
- 用法・用量
- 通常、成人にはモルヒネ塩酸塩水和物として1回30~120mgを1日1回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 初回投与
本剤の投与開始前のオピオイド系鎮痛薬による治療の有無を考慮して初回投与量を設定することとし、すでに治療されている場合にはその投与量及び鎮痛効果の持続を考慮して副作用の発現に注意しながら適宜投与量を調節すること。
7.1.1. モルヒネ硫酸塩徐放剤から本剤へ変更する場合:モルヒネ硫酸塩徐放剤の1日投与量と同量を、本剤の1日投与量の目安とすること。
7.1.2. オキシコドン塩酸塩徐放剤から本剤へ変更する場合:オキシコドン塩酸塩徐放剤1日投与量の1.5倍量を、本剤の1日投与量の目安とすること。
7.1.3. 経皮フェンタニル貼付剤から本剤へ変更する場合:経皮フェンタニル貼付剤剥離後にフェンタニルの血中濃度が50%に減少するまで17時間以上かかることから、剥離直後の本剤の使用は避け、本剤の使用を開始するまでに、フェンタニルの血中濃度が適切な濃度に低下するまでの時間をあけるとともに、本剤の低用量から投与することを考慮すること。
7.2. 疼痛増強時
本剤服用中に疼痛増強した場合や鎮痛効果が得られている患者で突発性の疼痛が発現した場合は、直ちにモルヒネ速溶性製剤の追加投与(レスキュードーズ:1日投与量の6分の1量を目安とする)を行い鎮痛を図ること。
7.3. 増量
本剤投与開始後は患者の状態を観察し、適切な鎮痛効果が得られ副作用が最小となるよう用量調節を行うこととし、増量する場合は1日あたり30mg増あるいは30%~50%増とする。
7.4. 減量
連用中における急激な減量は、退薬症候があらわれることがあるので行わないこと(副作用等により減量する場合は、患者の状態を観察しながら慎重に行うこと)。
7.5. 投与の中止
本剤の投与を必要としなくなった場合には、退薬症候の発現を防ぐために徐々に減量すること。
- 肝機能障害患者
- 8.1. 本剤は徐放性製剤であることから、急激な血中濃度の上昇により重篤な副作用
の発現を避けるため、服用に際してカプセルの内容物を砕いたり、すりつぶしたりしないで、そのままかまずに服用するよう指示すること〔14.2.1参照〕。
8.2. 連用により薬物依存を生じることがあるので、観察を十分に行い、慎重に投与すること〔11.1.1参照〕。
8.3. 眠気、めまいが起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
8.4. 本剤を投与する場合には、便秘に対する対策として緩下剤の併用、嘔気・嘔吐に対する対策として制吐剤の併用を、また、鎮痛効果が得られている患者で通常とは異なる強い眠気がある場合には、過量投与の可能性を念頭において本剤の減量を考慮するなど、本剤投与時の副作用に十分注意すること。
8.5. 本剤を増量する場合には、副作用に十分注意すること。
8.6. 本剤の医療目的外使用を防止するため、適切な処方を行い、保管に留意するとともに、患者等に対して適切な指導を行うこと〔14.2.3参照〕。
9.1.1. 細菌性下痢のある患者:治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと(治療期間の延長をきたすおそれがある)〔2.8参照〕。
9.1.2. 心機能障害のある患者:循環不全を増強するおそれがある。
9.1.3. 呼吸機能障害のある患者:呼吸抑制を増強するおそれがある。
9.1.4. 脳器質的障害のある患者:呼吸抑制や頭蓋内圧上昇を起こすおそれがある。
9.1.5. ショック状態にある患者:循環不全や呼吸抑制を増強するおそれがある。
9.1.6. 代謝性アシドーシスのある患者:呼吸抑制を起こすおそれがある。
9.1.7. 甲状腺機能低下症(粘液水腫等)の患者:呼吸抑制や昏睡を起こすおそれがある。
9.1.8. 副腎皮質機能低下症(アジソン病等)の患者:呼吸抑制作用に対し、感受性が高くなっている。
9.1.9. 薬物依存の既往歴のある患者:依存性を生じやすい。
9.1.10. 衰弱者:呼吸抑制作用に対し、感受性が高くなっている。
9.1.11. 前立腺肥大による排尿障害、尿道狭窄、尿路手術術後の患者:排尿障害を増悪することがある。
9.1.12. 器質的幽門狭窄、麻痺性イレウス又は最近消化管手術を行った患者:消化管運動を抑制する。
9.1.13. 痙攣の既往歴のある患者:痙攣を誘発するおそれがある。
9.1.14. 胆嚢障害及び胆石のある患者:胆道痙攣を起こすことがある。
9.1.15. 重篤な炎症性腸疾患のある患者:連用した場合、巨大結腸症を起こすおそれがある。
腎機能障害患者:排泄が遅延し、副作用があらわれるおそれがある。
9.3.1. 重篤な肝機能障害のある患者:投与しないこと(昏睡に陥ることがある)〔2.3参照〕。
9.3.2. 肝機能障害<重篤な肝機能障害を除く>患者:代謝が遅延し、副作用があらわれるおそれがある。
- 相互作用
- 10.1. 併用禁忌:ナルメフェン塩酸塩水和物<セリンクロ>〔2.9参照〕[本剤の離脱症状があらわれるおそれがあり、また、本剤の効果が減弱するおそれがある(μオピオイド受容体拮抗作用
により、本剤の作用が競合的に阻害される)]。
10.2. 併用注意:1). 中枢神経抑制剤(フェノチアジン系薬剤、バルビツール酸系薬剤等)、吸入麻酔剤、モノアミン酸化酵素阻害剤、三環系抗うつ剤、β-遮断剤、アルコール[呼吸抑制、低血圧及び顕著な鎮静又は昏睡が起こることがある(相加的に中枢神経抑制作用が増強される)]。
2). クマリン系抗凝血剤(ワルファリン)[クマリン系抗凝血剤の作用が増強されることがある(機序は不明である)]。
3). 抗コリン作動性薬剤[麻痺性イレウスに至る重篤な便秘又は尿貯留が起こるおそれがある(相加的に抗コリン作用が増強される)]。
4). ジドブジン(アジドチミジン)[ジドブジンの副作用<骨髄抑制等>を増強させるおそれがある(ジドブジンのグルクロン酸抱合が競合的に阻害され、ジドブジンの代謝が阻害される)]。
5). ブプレノルフィン[ブプレノルフィンの高用量(8mg連続皮下投与)において、本剤の作用に拮抗するとの報告がある(μオピオイド受容体拮抗作用により、本剤の作用が競合的に阻害される)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 依存性(頻度不明):連用により生じることがある。また、連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により、あくび、くしゃみ、流涙、発汗、悪心、嘔吐、下痢、腹痛、散瞳、頭痛、不眠、不安、せん妄、振戦、全身筋肉痛・全身関節痛、呼吸促迫等の退薬症候があらわれることがあるので、投与を中止する場合には、1日用
量を徐々に減量するなど、患者の状態を観察しながら行うこと〔8.2参照〕。
11.1.2. 呼吸抑制(頻度不明):息切れ、呼吸緩慢、不規則呼吸、呼吸異常等があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと(なお、本剤による呼吸抑制には、麻薬拮抗剤(ナロキソン、レバロルファン等)が拮抗する)。
11.1.3. 錯乱(頻度不明)、せん妄(頻度不明)。
11.1.4. 無気肺(頻度不明)、気管支痙攣(頻度不明)、喉頭浮腫(頻度不明)。
11.1.5. イレウス(1%)、腸管麻痺(0.5%)、中毒性巨大結腸(頻度不明):炎症性腸疾患の患者に投与した場合、中毒性巨大結腸があらわれるとの報告がある。
- 11.2. その他の副作用
1). 過敏症:(1~5%未満)そう痒、(頻度不明)発疹。
2). 精神神経系:(5%以上)眠気、(1~5%未満)頭痛、めまい、(頻度不明)不安、不穏、興奮、視調節障害、発汗、*痛覚過敏[*:増量により痛みが増悪する]、アロディニア。
3). 消化器:(5%以上)嘔気、嘔吐、便秘、(1~5%未満)食欲不振、下痢、口渇。
4). 循環器:(頻度不明)不整脈、血圧変動、顔面潮紅。
5). 肝臓:(1~5%未満)AST上昇(GOT上昇)、AL-P上昇、LDH上昇、ビリルビン上昇。
6). 血液:(1~5%未満)貧血、白血球増多、好中球増多、リンパ球減少、血小板減少、血小板増多。
7). その他:(1~5%未満)排尿障害、倦怠感、発熱、BUN上昇、クレアチニン上昇、(頻度不明)頭蓋内圧亢進。
- 高齢者
- 低用量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること(一般に生理機能が低下しており、特に呼吸抑制の感受性が高い)。
- 授乳婦
- 9.5.1. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(動物試験(マウス、ラット)で催奇形作用
(マウスでは脳脱、軸骨格癒合)が報告されている)。
9.5.2. 分娩前に投与した場合、出産後新生児に退薬症候(多動、神経過敏、不眠、振戦等)があらわれることがある。
9.5.3. 分娩時の投与により、新生児に呼吸抑制があらわれることがある。
本剤投与中は授乳を避けさせること(ヒト母乳中へ移行することがある)。
- 小児等
- 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
なお、新生児、乳児には、低用量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること(呼吸抑制の感受性が高い)。
- 適用上の注意
- 14.1. 薬剤投与時の注意14.1.1. 本剤は持続性製剤であることから、早期に除痛を必要とする場合は、速溶性製剤を用いることが望ましい。
14.2. 薬剤交付時の注意14.2.1. 本剤は徐放性製剤であるため、カプセルの内容物を砕いたり、すりつぶしたりしないで、そのままかまずに服用するように指示すること〔8.1参照〕。
14.2.2. PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
14.2.3. 本剤の投与にあたっては、具体的な服用方法、服用時の注意点、保管方法等を十分に説明し、本剤の目的以外への使用あるいは他人への譲渡をしないよう指導するとともに、本剤を子供の手の届かないところに保管するよう指導すること〔8.6参照〕。
14.2.4. 本剤が不要となった場合には、病院又は薬局へ返却するなどの処置について適切に指導すること。
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人男子12例を対象に、本剤30mg、60mg又は120mgを絶食下に単回経口投与した時の血中濃度の推移は次のとおりであった(外国人データ)。
1)投与後0.5時間:n=11(1例、採血時間が許容範囲から外れたため、要約統計量から除外した。)
本剤30mg、60mg又は120mg単回経口投与時(絶食下)の薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
16.1.2 反復投与
モルヒネ硫酸塩徐放剤30mgの1日2回経口投与により疼痛がコントロールされている癌患者11例に対し、本剤に切り替え1日1回60mgを5日間経口投与した時の血中濃度の推移は次のとおりであった。
16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
健康成人男子12例に朝食前絶食下又は高脂肪食を摂食5分後に本剤60mgを単回経口投与した時の血中濃度の推移は次のとおりであった(外国人データ)。
本剤60mg単回経口投与時の薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
16.4 代謝
モルヒネは主として肝臓及び消化管粘膜に存在するUDP‐glucuronyl transferaseにより代謝され、モルヒネ‐3‐グルクロニド(活性なし)及びモルヒネ‐6‐グルクロニド(活性あり)に代謝された(in vitro)。
16.5 排泄
既存の経口モルヒネ製剤の投与により疼痛治療されている癌患者(30mg/日2例、120mg/日1例)に対し、本剤に切り替え1日1回30mg2例又は150mg1例を5日間経口投与した時の尿中排泄率は、モルヒネ‐3‐グルクロニドが64.5~82.1%、モルヒネ‐6‐グルクロニドが7.3~15.7%、モルヒネの未変化体が2.4~5.8%であった。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第III相試験(二重盲検交差比較試験)
モルヒネ硫酸塩徐放剤30mg又は60mgの1日2回投与により疼痛がコントロールされている癌患者61例を対象に、前治療でのモルヒネ投与量と同じ1日用量にて、本剤(1日1回投与)及びモルヒネ硫酸塩徐放剤(1日2回投与)を交互に4日間投与した二重盲検交差比較試験の結果、安静時疼痛のVAS(Visual Analogue Scale)を指標とした鎮痛効果において本剤のモルヒネ硫酸塩徐放剤に対する非劣性が確認された。また、疼痛の程度、鎮痛効果と副作用を総合した治療の満足度、有痛時間及び睡眠時間においても薬剤間の差はみられなかった。
安静時疼痛のVAS注1)(57例)注2)
→図表を見る(PDF)
副作用発現頻度は、本剤投与期で17.7%(11/62例)及びモルヒネ硫酸塩徐放剤投与期で26.2%(16/61例)であった。主な副作用は、本剤投与期で嘔気11.3%(7/62例)、眠気、嘔吐がそれぞれ3.2%(2/62例)、モルヒネ硫酸塩徐放剤投与期で眠気11.5%(7/61例)、嘔気、嘔吐がそれぞれ4.9%(3/61例)であった。
17.1.2 国内第III相試験(長期投与試験)
モルヒネによる疼痛治療が行われていない癌患者10例(新規例)及び既存の経口モルヒネ製剤の120mg/日以下の投与で疼痛治療されている癌患者78例(切替例)を対象に、新規例では30mg/日、切替例では30~120mg/日より本剤の経口投与を開始し、1~141日間投与した試験の結果、新規例では、安静時疼痛のVASは観察期に対して本剤投与2日目より有意に低下し、鎮痛効果は本剤最終投与時まで維持された。また、切替例では、観察期と本剤投与期の安静時疼痛のVASに有意差は認められず切替前の効果が維持された。
安静時疼痛のVAS注)
→図表を見る(PDF)
副作用発現頻度は、新規例で90.0%(9/10例)、切替例で65.4%(51/78例)であった。主な副作用は、新規例で眠気60.0%(6/10例)、嘔吐(増悪も含む)50.0%(5/10例)、嘔気50.0%(5/10例)、切替例で眠気32.1%(17/78例)、嘔吐(増悪も含む)32.1%(25/78例)、嘔気26.9%(21/78例)であった。
18.1 作用機序
オピオイド受容体のうち、主としてμ受容体に作用して、中枢神経及び消化器系に対する作用を現すが、δ及びκ受容体に対する親和性も有する。
18.2 鎮痛作用
本剤に含まれる徐放性粒と同じ放出制御システムであるプロトタイプの徐放性粒による鎮痛効果を水溶液による鎮痛効果と比較した(ラット:Tail‐flick法)。
その結果、プロトタイプの徐放性粒(モルヒネ塩酸塩水和物として160mg/kg)を1日1回投与した時の鎮痛効果は、モルヒネ塩酸塩水和物水溶液(モルヒネ塩酸塩水和物として40mg/kg/回)を6時間毎に1日4回分割投与した時とほぼ同程度であった。また、この時同時に測定した血漿中モルヒネ濃度と鎮痛効果はほぼ同様に推移した。
- 一包可:不可
- 分割:不可
- 粉砕:不明
徐放性製剤であることから、急激な血中濃度の上昇により重篤な副作用の発現を避けるため、服用に際してカプセルの内容物を砕いたり、すりつぶしたりしないで、そのままかまずに服用するよう指示する。
- 製造販売会社
- 武田薬品
- 販売会社
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