タペンタ錠50mg
添付文書情報2023年08月改定(第1版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 禁忌
- 2.1. 重篤な呼吸抑制のある患者、重篤な慢性閉塞性肺疾患の患者[呼吸抑制を増強する]。
2.2. 気管支喘息発作中の患者[呼吸を抑制し、気道分泌を妨げる]。
2.3. 麻痺性イレウスの患者[消化管運動を抑制する]。
2.4. アルコールによる急性中毒、睡眠剤による急性中毒、中枢性鎮痛剤による急性中毒、又は向精神薬による急性中毒患者[中枢神経抑制及び呼吸抑制を悪化させるおそれがある]。
2.5. モノアミン酸化酵素<MAO>阻害剤投与中(セレギリン塩酸塩、ラサギリンメシル酸塩、サフィナミドメシル酸塩)の患者又はモノアミン酸化酵素<MAO>阻害剤投与中止後14日以内の患者〔10.1参照〕。
2.6. ナルメフェン塩酸塩投与中の患者又はナルメフェン塩酸塩投与中止後1週間以内の患者〔10.1参照〕。
2.7. 出血性大腸炎の患者[腸管出血性大腸菌(O157等)や赤痢菌等の重篤な感染性下痢患者では、症状の悪化、治療期間の延長を来すおそれがある]。
2.8. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
- 効能・効果
- 中等度から高度の疼痛を伴う各種癌における鎮痛。
(効能又は効果に関連する注意)
本剤は、非オピオイド鎮痛剤で治療困難な場合にのみ使用すること。
- 用法・用量
- 通常、成人にはタペンタドールとして1日50~400mgを2回に分けて経口投与する。なお、症状により適宜増減する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 初回投与
初回投与時、本剤投与開始前のオピオイド鎮痛剤による治療の有無を考慮し、本剤の1日投与量を決め、2分割して12時間ごとに投与すること。
7.1.1. オピオイド鎮痛剤を使用していない患者に本剤を投与する場合には、タペンタドールとして25mg1日2回より開始すること。
7.1.2. 他のオピオイド鎮痛剤から本剤に変更する場合には、前治療薬の投与量等を考慮し、投与量を決めること(本剤の1日投与量は、タペンタドールとして、オキシコドン徐放錠1日投与量の5倍を目安とするが、初回投与量として400mg/日を超える用量は推奨されない(タペンタドールとして400mg/日を超える用量を初回投与量とした使用経験はない))。
7.1.3. フェンタニル経皮吸収型製剤から本剤へ変更する場合には、フェンタニル経皮吸収型製剤剥離後にフェンタニルの血中濃度が50%に減少するまで17時間以上かかることから、剥離直後の本剤の使用は避け、本剤の使用を開始するまでに、フェンタニルの血中濃度が適切な濃度に低下するまでの時間をあけるとともに、本剤の低用量から投与することを考慮すること。
7.2. 疼痛増強時
本剤服用中に疼痛が増強した場合や鎮痛効果が得られている患者で突出痛(一時的にあらわれる強い痛み)が発現した場合には、直ちに速放性オピオイド鎮痛剤の追加投与(レスキュー)により鎮痛を図ること。
7.3. 増量
本剤投与開始後は患者の状態を観察し、適切な鎮痛効果が得られ副作用が最小となるよう用量調整を行うこと(50mg/日から100mg/日への増量の場合を除き増量の目安は使用量の25~50%増とし、増量は投与開始又は前回の増量から3日目以降とすることが望ましい)。
なお、1日投与量が500mgを超える使用に関する成績は得られていないため、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ投与すること。
7.4. 減量
連用中における急激な減量は、退薬症候があらわれることがあるので行わないこと(副作用等により減量する場合は、患者の状態を観察しながら慎重に行うこと)。
7.5. 投与の中止
本剤の投与を必要としなくなった場合には、退薬症候の発現を防ぐために徐々に減量すること。
- 肝機能障害患者
- 8.1. 本剤は徐放性製剤であることから、服用に際して噛んだり、割ったり、砕いたり、溶解したりせず、必ず飲み物と一緒にそのまま服用するよう指導すること。
8.2. 連用により薬物依存を生じることがあるので、観察を十分に行い、慎重に投与すること。また、乱用や誤用により過量投与や死亡に至る可能性があるので、これらを防止するため観察を十分行うこと。
8.3. 眠気、めまいが起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。特に本剤投与開始時及び用量変更時、並びに飲酒時及び鎮静剤併用時等には、眠気・めまいが増強されるおそれがあるため注意すること。
8.4. 本剤を投与する場合には、便秘に対する対策として緩下剤の併用、嘔気・嘔吐に対する対策として制吐剤の併用を、また、鎮痛効果が得られている患者で通常とは異なる強い眠気がある場合には、過量投与の可能性を念頭において本剤の減量を考慮するなど、本剤投与時の副作用に十分注意すること。
8.5. 本剤を増量する場合には、副作用に十分注意すること。
8.6. 本剤の医療目的外使用を防止するため、適切な処方を行い、保管に留意するとともに、患者等に対して適切な指導を行うこと〔14.1.1-14.1.4参照〕。
9.1.1. 感染性下痢患者:治療期間の延長を来すおそれがある。
9.1.2. 呼吸機能障害のある患者:呼吸抑制を増強するおそれがある。
9.1.3. 脳器質的障害のある患者:呼吸抑制や頭蓋内圧上昇を起こすおそれがある。
9.1.4. ショック状態にある患者:循環不全や呼吸抑制を増強するおそれがある。
9.1.5. 薬物依存・アルコール依存又はその既往歴のある患者:依存性を生じやすい。
9.1.6. てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者、あるいは痙攣発作の危険因子を有する患者(頭部外傷、代謝異常、アルコール離脱症状又は薬物離脱症状、中枢性感染症等):本剤投与中は観察を十分に行うこと(痙攣発作を誘発することがある)。
9.1.7. 胆嚢障害、胆石症又は膵炎の患者:オッジ筋を収縮させ症状が増悪することがある。
9.1.8. 前立腺肥大による排尿障害、尿道狭窄、尿路手術後の患者:排尿障害を増悪することがある。
9.1.9. 器質的幽門狭窄又は最近消化管手術を行った患者:消化管運動を抑制する。
9.1.10. 重篤な炎症性腸疾患のある患者:連用した場合、巨大結腸症を起こすおそれがある。
腎機能障害患者:本剤の代謝物の排泄が遅延するおそれがある〔16.6.3参照〕。
9.3.1. 重度の肝機能障害患者:重度肝機能障害患者(Child PughスコアC)を対象とした臨床試験は実施していない。
9.3.2. 中等度の肝機能障害患者:中等度肝機能障害患者(Child PughスコアB)では低用量(1日1回25mg等)から開始するなど慎重に投与すること(代謝が遅延し副作用があらわれるおそれがある)〔16.6.2参照〕。
- 相互作用
- 本剤は主にグルクロン酸抱合により代謝され、チトクロームP450(CYP)の寄与は小さい。
10.1. 併用禁忌:1). MAO阻害剤(セレギリン塩酸塩<エフピー>、ラサギリンメシル酸塩<アジレクト>、サフィナミドメシル酸塩<エクフィナ>)〔2.5参照〕[心血管系副作用の増強やセロトニン症候群等の重篤な副作用発現のおそれがあるので、MAO阻害剤を投与中又は投与中止後14日以内の患者には投与しないこと(相加的に作用が増強されると考えられる)]。
2). ナルメフェン塩酸塩<セリンクロ>〔2.6参照〕[離脱症状を起こすおそれがあり、また、鎮痛作用が減弱するおそれがあるので、ナルメフェン塩酸塩を投与中又は投与中止後1週間以内の患者には投与しないこと(μオピオイド受容体への競合的阻害による)]。
10.2. 併用注意:1). オピオイド鎮痛剤、中枢神経抑制剤(フェノチアジン誘導体、バルビツール酸誘導体等)、アルコール[呼吸抑制、低血圧及び顕著な鎮静又は昏睡が起こることがあるので、減量するなど慎重に投与すること(中枢神経抑制作用が相加的に増強される)]。
2). 三環系抗うつ剤、セロトニン作用薬(選択的セロトニン再取り込み阻害剤<SSRI>、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤<SNRI>等)[セロトニン症候群(錯乱、激越、発熱、発汗、運動失調、反射亢進、ミオクローヌス、下痢等)があらわれるおそれがある(相加的に作用が増強され、また、中枢神経のセロトニンが蓄積すると考えられる)]。
3). ブプレノルフィン、ペンタゾシン等[本剤の鎮痛作用を減弱させることがあり、また、退薬症候を起こすことがある(これらの薬剤は本剤が作用するμ受容体の部分アゴニストである)]。
4). プロベネシド〔16.7.3参照〕[本剤の血中濃度が上昇することがある(本剤の代謝を阻害する可能性がある)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 呼吸抑制(0.3%):本剤による呼吸抑制には、麻薬拮抗剤(ナロキソン、レバロルファン等)が有効である。
11.1.2. アナフィラキシー(頻度不明)。
11.1.3. 依存性(頻度不明):連用により生じることがある。
11.1.4. 痙攣(頻度不明)。
11.1.5. 錯乱状態(0.3%)、譫妄(0.3%)。
- 11.2. その他の副作用
1). 免疫系障害:(1%未満)薬物過敏症。
2). 代謝及び栄養障害:(1%以上)食欲減退、(頻度不明)体重減少。
3). 精神障害:(1%未満)不安、知覚障害、睡眠障害、異常な夢、(頻度不明)抑うつ気分、失見当識、激越、神経過敏、落ち着きのなさ、多幸気分、思考異常、パニック発作。
4). 神経系障害:(1%以上)傾眠(13.9%)、浮動性めまい、頭痛、(1%未満)構語障害、感覚鈍麻、(頻度不明)振戦、注意力障害、記憶障害、失神寸前状態、鎮静、運動失調、錯感覚、意識レベル低下、協調運動異常、平衡障害、失神、精神的機能障害。
5). 眼障害:(頻度不明)視覚障害。
6). 心臓障害:(1%未満)心拍数減少、心拍数増加、(頻度不明)動悸。
7). 血管障害:(1%未満)潮紅、(頻度不明)血圧低下。
8). 呼吸器、胸郭及び縦隔障害:(頻度不明)酸素飽和度低下、呼吸困難。
9). 胃腸障害:(1%以上)便秘(17.9%)、悪心(16.6%)、嘔吐(12.5%)、下痢、(1%未満)腹部不快感、消化不良、(頻度不明)口内乾燥、胃排出不全。
10). 皮膚及び皮下組織障害:(1%以上)皮膚そう痒症、発疹、(1%未満)多汗症、蕁麻疹。
11). 筋骨格系障害:(1%未満)筋痙縮。
12). 腎及び尿路障害:(1%未満)排尿困難、(頻度不明)頻尿。
13). 生殖系及び乳房障害:(頻度不明)性機能不全。
14). 一般・全身障害及び投与部位の状態:(1%以上)無力症、疲労、(1%未満)体温変動感、浮腫、(頻度不明)薬剤離脱症候群、異常感、酩酊感、易刺激性、粘膜乾燥。
- 高齢者
- 患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること(一般に生理機能が低下しており、特に呼吸抑制の感受性が高い)。
- 授乳婦
- 9.5.1. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(動物実験(ラット)で発育遅延及び胎仔毒性が報告されている)。
9.5.2. 分娩前に投与した場合、出産後新生児に退薬症候(多動、神経過敏、不眠、振戦等)があらわれることがある。
9.5.3. 分娩時の投与により、新生児に呼吸抑制があらわれることがある。
授乳しないことが望ましい(動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが知られている)。
- 小児等
- 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
- 適用上の注意
- 14.1. 薬剤交付時の注意14.1.1. 本剤の使用開始にあたっては、患者等に対して具体的な使用方法、使用
時の注意点、保管方法等を患者向けの説明書を用いるなどの方法によって十分に説明すること(子供の手の届かないところに保管する)〔8.6参照〕。
14.1.2. 患者等に対して、本剤を指示された目的以外に使用してはならないことを指導すること〔8.6参照〕。
14.1.3. 患者等に対して、本剤を他人へ譲渡してはならないことを指導すること〔8.6参照〕。
14.1.4. 本剤が不要となった場合には、未使用製剤を病院又は薬局へ返却するよう指導すること〔8.6参照〕。
14.1.5. PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
14.1.6. 本剤の残渣が消化されず糞便中に排泄される可能性があるが、有効成分は吸収されており臨床的影響はない。
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人に本剤25mg、50mg、100mg及び200mgを単回経口投与したとき、血清中タペンタドール濃度は投与後5時間(中央値)に最高濃度に達し、約4.7~6.1時間(平均値)の消失半減期で消失した(添付文書の図1)。血清中タペンタドールのAUC∞は用量に比例して増加した。
図1 健康成人に本剤25mg~200mgを単回経口投与したときの血清中タペンタドール濃度-時間推移(平均値+標準偏差、n=21~23)
表1 健康成人に本剤25mg~200mgを単回経口投与したときの薬物動態パラメータ[平均値(標準偏差)]
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16.1.2 反復投与
健康成人に本剤250mgを1日2回反復経口投与したとき、3回目の投与後に定常状態に達した。このとき、AUCτ及びCmaxから算出した累積比は、それぞれ1.86及び1.60であった。(外国人データ)
16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
健康成人に本剤100mgを、食後に単回経口投与したときの血清中タペンタドールのAUC∞及びCmaxは、空腹時に単回経口投与したときと比較して、それぞれ、12.1%及び54.5%高かった。
16.3 分布
健康成人(外国人)にタペンタドールを静脈内投与注)したとき、タペンタドールの最終相の分布容積(Vdz)は471~540L(平均値)であり、タペンタドールは、体内で広範に分布すると考えられる。(外国人データ)
血漿蛋白結合率は、約20%であった(in vitro、限外ろ過法)。
16.4 代謝
タペンタドールは、投与した約97%が代謝される。主要な代謝経路は、グルクロン酸抱合であり、経口投与後、約70%(グルクロン酸抱合体が55%、硫酸抱合体が15%)が抱合体として、3%が未変化体として尿中に排泄された。In vitro試験で、タペンタドールのグルクロン酸抱合に関与する主要なUDP‐グルクロン酸転移酵素(UGT)分子種は、UGT1A6、UGT1A9及びUGT2B7であった。また、CYP2C9及びCYP2C19並びにCYP2D6により、それぞれN‐脱メチル化並びに水酸化されるが、これらの代謝物も抱合反応によりさらに代謝され、N‐脱メチル体(13%)並びに水酸化体(2%)の抱合体として尿中に排泄された。タペンタドールの代謝へのCYPの寄与は小さかった。なお、大部分の代謝物は鎮痛作用を示さず、鎮痛作用を示す代謝物の生成はわずかであることから、代謝物は鎮痛作用に寄与しないと考えられた。
16.5 排泄
タペンタドール及びその代謝物は、投与量の99%が尿中に排泄された。健康成人にタペンタドールを静脈内投与注)したときの全身クリアランスは、1531mL/min(平均値)であった。(外国人データ)
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 高齢者
高齢者(65歳以上)にタペンタドール速放性(IR)カプセル80mg注)を投与したとき、若年者に投与したときと比べ、AUC∞は類似していたものの、Cmaxは16%低下した。(外国人データ)
16.6.2 肝機能障害患者
軽度及び中等度肝機能障害患者にタペンタドールIRカプセル80mg注)を経口投与したとき、正常肝機能被験者と比較して血清中タペンタドールのCmaxは1.4倍及び2.5倍、AUC∞は1.7倍及び4.2倍高値を示し、t1/2は1.2倍及び1.4倍延長した。なお、重度肝機能障害患者を対象とした試験は実施されていない。(外国人データ)[9.3.2参照]
表2 正常肝機能被験者及び肝機能障害患者にIRカプセル80mg注)を単回経口投与したときの血清中タペンタドールの薬物動態パラメータ[平均値(標準偏差)]
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16.6.3 腎機能障害患者
軽度、中等度及び重度腎機能障害患者にタペンタドールIRカプセル80mg注)を経口投与したとき、正常腎機能被験者と比較してタペンタドールの腎クリアランス及び尿中排泄率が腎機能の低下に伴い減少した。しかしながら、タペンタドールの尿中排泄率は約3~5%であるため、血清中タペンタドールのCmax及びAUC∞は腎機能障害の影響を受けなかった。一方、グルクロン酸抱合体のCmax及びAUC∞は腎機能の低下に伴い増加し、重度腎機能障害者のt1/2は2.9倍延長した。(外国人データ)[9.2参照]
表3 正常腎機能被験者及び腎機能障害患者にIRカプセル80mg注)を単回経口投与したときの血清中タペンタドール及びグルクロン酸抱合体の薬物動態パラメータ[平均値(標準偏差)]
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16.7 薬物相互作用
16.7.1 メトクロプラミド
健康成人を対象に、タペンタドールIRカプセル80mg注)(単回投与)及びメトクロプラミド20mg(6時間間隔で2日間反復投与)を併用経口投与したとき、タペンタドールの薬物動態に影響は認められなかった。(外国人データ)
16.7.2 オメプラゾール
健康成人を対象に、タペンタドールIRカプセル80mg注)(単回投与)及びオメプラゾール40mg(1日1回4日間反復投与)を併用経口投与したとき、タペンタドールのCmaxは約11%低下したが、AUC∞に影響は認められなかった。(外国人データ)
16.7.3 プロベネシド
健康成人を対象に、タペンタドールIRカプセル80mg注)(単回投与)及びプロベネシド500mg(1日2回2日間反復投与)を併用経口投与したとき、タペンタドールのAUC∞及びCmaxはそれぞれ、約57%及び約30%増加した。(外国人データ)[10.2参照]
16.7.4 ナプロキセン
健康成人を対象に、タペンタドールIRカプセル80mg注)(単回投与)及びナプロキセン500mg(1日2回2日間反復投与)を併用経口投与したとき、タペンタドールのAUC∞は約17%増加したが、Cmaxに影響は認められなかった。(外国人データ)
16.7.5 アスピリン
健康成人を対象に、タペンタドールIRカプセル80mg注)(単回投与)及びアスピリン325mg(1日1回2日間反復投与)を併用経口投与したとき、タペンタドールの薬物動態に影響は認められなかった。(外国人データ)
16.7.6 アセトアミノフェン
健康成人を対象に、タペンタドールIRカプセル80mg注)(単回投与)及びアセトアミノフェン1000mg(6時間間隔2日間反復投与)を併用経口投与したとき、タペンタドールの薬物動態に影響は認められなかった。(外国人データ)
16.8 その他
16.8.1 QT間隔への影響
タペンタドールIR錠100mg注)及び150mg注)を反復経口投与、又は徐放錠86mg注)及び172mg注)を反復経口投与したとき、両試験で、QTc間隔(Fridericia法)のベースラインからの変化量は10ms未満(平均値)であり、影響は認められなかった[プラセボ及び陽性対照(モキシフロキサシン400mg又は800mg1日1回)を用いた無作為割付クロスオーバー試験]。(外国人データ)
注)国内未承認製剤
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 実薬対照二重盲検比較試験(日韓共同試験)
非オピオイド鎮痛剤で十分な除痛が得られずオピオイド鎮痛剤の投与が必要と判断されたがん疼痛患者340例(日本人221例を含む)を対象に、本剤25mg1日2回又はオキシコドン塩酸塩徐放錠5mg1日2回から投与開始し、適宜増減しながら4週間投与した時の有効性と安全性を検討した。有効性主要評価項目である11ポイントNRS(Numerical Rating Scale)による平均疼痛強度スコアのベースラインから治験薬投与最終3日間までの平均変化量は、本剤群-2.69、オキシコドン群-2.57で、最小二乗平均値の群間差の95%信頼区間の上限が非劣性限界値の1を下回ったことから、オキシコドン塩酸塩徐放錠に対する本剤の非劣性が検証された。
ベースラインから治験薬投与最終3日間までのNRS変化量(PPS)
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本剤が投与された168例中81例(48.2%)に副作用が認められた。主な副作用は、便秘35例(20.8%)、悪心28例(16.7%)、嘔吐23例(13.7%)、傾眠25例(14.9%)、食欲減退5例(3.0%)等であった。
17.1.2 非盲検試験(国内試験)
中等度から高度のがん疼痛に対してオピオイド鎮痛剤(モルヒネ徐放性製剤、オキシコドン徐放性製剤、フェンタニル経皮吸収型製剤)を定時投与しているがん疼痛患者50例を対象に、既に投与されているオピオイド鎮痛剤の1日投与量に基づき本剤に変更し、適宜増減しながら8週間投与した。有効性主要評価項目である変更後1週以内に疼痛コントロールが達成された被験者の割合は84.0%であった。また、本剤への変更前の11ポイントNRSの平均値(標準偏差)は1.5(1.11)、変更後8週目は1.5(1.12)であり、本剤の鎮痛効果は維持された。
本剤が投与された50例中19例(38.0%)に副作用が認められた。主な副作用は、傾眠、便秘、悪心各4例(8.0%)、嗜眠、下痢各2例(4.0%)等であった。
疼痛コントロールが達成された被験者の割合(FAS)
→図表を見る(PDF)
疼痛コントロールが達成された被験者=治験薬投与期1週目の任意の連続する3日間で次の両方の基準を満たした被験者
・任意の連続する3日間における24時間NRSスコアの平均値のベースラインからの変化量が+1.5未満
・3日間の各日のレスキュー投与回数が2回以下
18.1 作用機序
タペンタドールはin vitroにおいて、μオピオイド受容体作動作用及びノルアドレナリン再取り込み阻害作用を示した。
18.2 鎮痛作用
18.2.1 マウス又はラットの各種動物モデル(急性侵害刺激、炎症性疼痛及び神経障害性疼痛モデル)において、タペンタドール(静脈内又は腹腔内投与)は用量依存的な鎮痛作用を示した。
18.2.2 ラットのTail‐flickテスト(急性侵害刺激)及び神経障害性疼痛モデルに対するタペンタドール(静脈内投与)の鎮痛作用は、それぞれオピオイド受容体拮抗薬ナロキソン及びアドレナリンα2受容体拮抗薬ヨヒンビンによって強く阻害された。これらのことから、タペンタドールの鎮痛作用には、主にμオピオイド受容体作動作用及びノルアドレナリン再取り込み阻害作用に基づくアドレナリンα2受容体作動作用が寄与していると考えられる。
- 一包可:不可
- 分割:不可
- 粉砕:不明
徐放性製剤であることから、服用に際してかんだり、割ったり、砕いたり、溶解したりせず、必ず飲み物と一緒にそのまま服用するよう指導する。
- 製造販売会社
- ヤンセンファーマ
- 販売会社
- ムンディファーマ
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