フェンタニル注射液0.1mg「テルモ」
添付文書情報2023年10月改定(第1版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 警告
- 本剤の硬膜外及びくも膜下投与は、これらの投与法に習熟した医師のみにより、本剤の投与が適切と判断される患者についてのみ実施すること。
- 禁忌
- 2.1. 〈投与方法共通〉筋弛緩剤の使用が禁忌の患者〔11.1.3参照〕。
2.2. 〈投与方法共通〉本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.3. 〈投与方法共通〉頭部外傷による昏睡状態、脳腫瘍による昏睡状態等のような呼吸抑制を起こしやすい患者[フェンタニル投与により重篤な呼吸抑制が起こることがある]。
2.4. 〈投与方法共通〉痙攣発作の既往歴のある患者[麻酔導入中に痙攣が起こることがある]。
2.5. 〈投与方法共通〉喘息患者[気管支収縮が起こることがある]。
2.6. 〈投与方法共通〉ナルメフェン塩酸塩水和物投与中又はナルメフェン塩酸塩水和物投与中止後1週間以内の患者〔10.1参照〕。
2.7. 〈硬膜外投与及びくも膜下投与〉注射部位又はその周辺に炎症のある患者[硬膜外投与及びくも膜下投与により化膿性髄膜炎症状を起こすことがある]。
2.8. 〈硬膜外投与及びくも膜下投与〉敗血症の患者[硬膜外投与及びくも膜下投与により敗血症性髄膜炎を生じるおそれがある]。
2.9. 〈くも膜下投与〉中枢神経系疾患(髄膜炎、灰白脊髄炎、脊髄癆等)の患者〔9.1.6参照〕。
2.10. 〈くも膜下投与〉脊髄に結核・脊椎に結核、脊椎炎及び脊髄に転移性腫瘍・脊椎に転移性腫瘍等の脊髄に活動性疾患・脊椎に活動性疾患のある患者〔9.1.7参照〕。
- 効能・効果
- 1). 全身麻酔、全身麻酔における鎮痛。
2). 局所麻酔における鎮痛の補助。
3). 激しい疼痛(術後疼痛、癌性疼痛など)に対する鎮痛。
- 用法・用量
- 1). 全身麻酔、全身麻酔における鎮痛:
①. 通常、成人には、次記用量を用いる。なお、患者の年齢、全身状態に応じて適宜増減する。
[バランス麻酔に用いる場合]
麻酔導入時:フェンタニル注射液として0.03~0.16mL/kg(フェンタニルとして1.5~8μg/kg)を緩徐に静注するか、又はブドウ糖液などに希釈して点滴静注する。
麻酔維持:ブドウ糖液などに希釈して、次記(1)又は(2)により投与する。
(1). 間欠投与:フェンタニル注射液として0.5~1mL(フェンタニルとして25~50μg)ずつ静注する。
(2). 持続投与:フェンタニル注射液として0.01~0.1mL/kg/h(フェンタニルとして0.5~5μg/kg/h)の速さで点滴静注する。
[大量フェンタニル麻酔に用いる場合]
麻酔導入時:フェンタニル注射液として0.4~3mL/kg(フェンタニルとして20~150μg/kg)を緩徐に静注するか、又はブドウ糖液などに希釈して点滴静注する。
麻酔維持:必要に応じて、ブドウ糖液などに希釈して、フェンタニル注射液として0.4~0.8mL/kg/h(フェンタニルとして20~40μg/kg/h)の速さで点滴静注する。
②. 通常、小児には、次記用量を用いる。なお、患者の年齢、全身状態に応じて適宜増減する。
[バランス麻酔又は大量フェンタニル麻酔に用いる場合]
麻酔導入時:フェンタニル注射液として0.02~0.1mL/kg(フェンタニルとして1~5μg/kg)を緩徐に静注するか、又はブドウ糖液などに希釈して点滴静注する。大量フェンタニル麻酔に用いる場合は、通常、フェンタニル注射液として2mL/kg(フェンタニルとして100μg/kg)まで投与できる。
麻酔維持:フェンタニル注射液として0.02~0.1mL/kg(フェンタニルとして1~5μg/kg)ずつ間欠的に静注するか、又はブドウ糖液などに希釈して点滴静注する。
2). 局所麻酔における鎮痛の補助:通常、成人には、フェンタニル注射液として0.02~0.06mL/kg(フェンタニルとして1~3μg/kg)を静注する。なお、患者の年齢、全身状態、疼痛の程度に応じて適宜増減する。
3). 激しい疼痛(術後疼痛、癌性疼痛など)に対する鎮痛:通常、成人には、次記用量を用いる。なお、患者の年齢、症状に応じて適宜増減する。
[静脈内投与の場合]
術後疼痛に用いる場合は、フェンタニル注射液として0.02~0.04mL/kg(フェンタニルとして1~2μg/kg)を緩徐に静注後、フェンタニル注射液として0.02~0.04mL/kg/h(フェンタニルとして1~2μg/kg/h)の速さで点滴静注する。
癌性疼痛に対して点滴静注する場合は、フェンタニル注射液として1日2~6mL(フェンタニルとして0.1~0.3mg)から開始し、患者の症状に応じて適宜増量する。
[硬膜外投与の場合]
単回投与法:フェンタニル注射液として1回0.5~2mL(フェンタニルとして1回25~100μg)を硬膜外腔に注入する。
持続注入法:フェンタニル注射液として0.5~2mL/h(フェンタニルとして25~100μg/h)の速さで硬膜外腔に持続注入する。
[くも膜下投与の場合]
単回投与法:フェンタニル注射液として1回0.1~0.5mL(フェンタニルとして1回5~25μg)をくも膜下腔に注入する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 〈投与方法共通〉バランス麻酔においては、適宜、全身麻酔剤や筋弛緩剤等を併用すること。
7.2. 〈投与方法共通〉大量フェンタニル麻酔の導入時(開心術においては人工心肺開始時まで)には、適切な麻酔深度が得られるよう患者の全身状態を観察しながら補助呼吸下で緩徐に投与すること(また、必要に応じて、局所麻酔剤、静脈麻酔剤、吸入麻酔剤、筋弛緩剤等を併用すること)。
7.3. 〈投与方法共通〉患者の状態(呼吸抑制等)を観察しながら慎重に投与すること。特に癌性疼痛に対して追加投与及び他のオピオイド製剤から本剤へ変更する場合には、*前投与薬剤の投与量、効力比及び鎮痛効果の持続時間を考慮して、副作用の発現に注意しながら、適宜用量調節を行うこと(ガイドライン参照)。
7.4. 〈投与方法共通〉癌性疼痛に対して初めてオピオイド製剤として本剤を静注する場合には、個人差も踏まえ、*通常よりも低用量(ガイドライン参照)から開始することを考慮し、鎮痛効果及び副作用の発現状況を観察しながら用量調節を行うこと。
*日本麻酔科学会-麻酔薬および麻酔関連薬使用ガイドライン(抜粋)
3). 使用法(フェンタニル注射液について)
(3). 激しい疼痛(術後疼痛、癌性疼痛など)に対する鎮痛
①. 静注
a). 術後痛◆術後痛に対しては、初回投与量として1~2μg/kgを静注し、引き続き1~2μg/kg/hrで持続静注する。患者の年齢、症状に応じて適宜増減が必要である。患者自己調節鎮痛(PCA)を行う場合は、4~60μg/hrで持続投与を行い、痛みに応じて5~10分以上の間隔で7~50μg(10~20μgを用いることが多い)の単回投与を行う。
b). 癌性疼痛◆癌性疼痛に対して、経口モルヒネ製剤から切り替える場合は、1日量の1/300量から開始する。持続静注の維持量は、0.1~3.9mg/dayと個人差が大きいので、0.1~0.3mg/dayから開始し、投与量を滴定する必要がある。
7.5. 〈硬膜外投与及びくも膜下投与〉局所麻酔剤等を併用すること。
- 肝機能障害患者
- 8.1. 〈投与方法共通〉本剤の使用に際しては、一般の全身麻酔剤と同様、必ず気道確保、呼吸管理等の蘇生設備の完備された場所で、厳重な管理の下に使用すること。
特に全身麻酔時は麻酔医の管理の下に使用すること。
8.2. 〈投与方法共通〉まれにショックあるいは中毒症状を起こすことがあるので、本剤の投与に際しては、十分な問診により患者の全身状態を把握するとともに、異常が認められた場合には直ちに救急処置のとれるよう、常時準備をしておく(なお、事前の静脈路確保が望ましい)。
8.3. 〈投与方法共通〉バイタルサイン(血圧、心拍数、呼吸、意識レベル)及び麻酔高に注意し、患者の全身状態の観察を十分に行い、必要に応じて適切な処置を行うこと。
8.4. 〈投与方法共通〉麻酔の深度は手術、検査に必要な最低の深さにとどめること。
8.5. 〈投与方法共通〉本剤の影響が完全に消失するまでは、自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう注意すること。
8.6. 〈硬膜外投与及びくも膜下投与〉重篤な呼吸抑制が投与から数時間以上経過した後に発現することがあるので、十分に注意すること。
9.1.1. 〈投与方法共通〉重症高血圧症、心弁膜症等の心血管系に著しい障害のある患者:血圧低下や病状の悪化が起こりやすい。
9.1.2. 〈投与方法共通〉慢性肺疾患等の呼吸機能障害のある患者:呼吸抑制を増強するおそれがある。
9.1.3. 〈投与方法共通〉不整脈のある患者:徐脈を起こすことがある。
9.1.4. 〈投与方法共通〉poor risk状態の患者:適宜減量すること(作用が強くあらわれることがある)。
9.1.5. 〈投与方法共通〉薬物依存の既往歴のある患者:依存性を生じやすい〔11.1.1参照〕。
9.1.6. 〈硬膜外投与及びくも膜下投与〉中枢神経系疾患(髄膜炎、灰白脊髄炎、脊髄癆等)の患者:硬膜外投与により病状が悪化するおそれがある。なお、中枢神経系疾患(髄膜炎、灰白脊髄炎、脊髄癆等)の患者の場合、くも膜下投与により病状が悪化するおそれがあるため投与しないこと〔2.9参照〕。
9.1.7. 〈硬膜外投与及びくも膜下投与〉脊髄に結核・脊椎に結核、脊椎炎及び脊髄に転移性腫瘍・脊椎に転移性腫瘍等の脊髄に活動性疾患・脊椎に活動性疾患のある患者:硬膜外投与により病状が悪化するおそれがある。なお、脊髄に結核・脊椎に結核、脊椎炎及び脊髄に転移性腫瘍・脊椎に転移性腫瘍等の脊髄に活動性疾患・脊椎に活動性疾患のある患者の場合、くも膜下投与により病状が悪化するおそれがあるため投与しないこと〔2.10参照〕。
9.1.8. 〈硬膜外投与及びくも膜下投与〉血液凝固障害のある患者又は抗凝血剤投与中の患者:出血しやすく、血腫形成や脊髄障害を起こすことがある。
9.1.9. 〈硬膜外投与及びくも膜下投与〉脊柱に著明な変形のある患者:脊髄損傷や神経根損傷のおそれがある。
9.1.10. 〈静脈内投与〉肥満の患者:実体重に基づき投与した場合、過量投与となり呼吸抑制が発現するおそれがある。
腎機能障害患者:血中濃度が高くなるため、副作用発現の危険性が増加する。
肝機能障害患者:血中濃度が高くなるため、副作用発現の危険性が増加する。
- 相互作用
- 本剤は、主として肝代謝酵素CYP3A4で代謝される。
10.1. 併用禁忌:ナルメフェン塩酸塩水和物<セリンクロ>〔2.6参照〕[本剤の離脱症状があらわれるおそれがあり、また、本剤の効果が減弱するおそれがある(緊急の手術等によりやむを得ず本剤を投与する場合、患者毎に用量を漸増し、呼吸抑制等の中枢神経抑制症状を注意深く観察し、また、手術等において本剤を投与することが事前にわかる場合には、少なくとも1週間前にナルメフェン塩酸塩水和物の投与を中断すること)(μオピオイド受容体拮抗作用により、本剤の作用が競合的に阻害される)]。
10.2. 併用注意:1). 中枢神経系抑制剤(フェノチアジン系薬剤、ベンゾジアゼピン系薬剤、バルビツール酸系薬剤等)、全身麻酔剤、モノアミン酸化酵素阻害剤、三環系抗うつ剤、骨格筋弛緩剤、鎮静抗ヒスタミン剤、アルコール、オピオイド剤[中枢神経抑制作用が増強されることがあるので、減量投与など注意すること(相加的に中枢神経抑制作用が増強される)]。
2). セロトニン作用薬(選択的セロトニン再取り込み阻害剤<SSRI>、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤<SNRI>、モノアミン酸化酵素阻害剤等)[セロトニン症候群(不安、焦燥、興奮、錯乱、発熱、発汗、頻脈、振戦、ミオクローヌス等)があらわれるおそれがある(相加的にセロトニン作用が増強するおそれがある)]。
3). CYP3A4阻害作用を有する薬剤(リトナビル、フルコナゾール、ボリコナゾール等)[本剤のAUCが上昇し呼吸抑制等の副作用が発現するおそれがあるので、観察を十分に行い、慎重に投与すること(肝代謝酵素CYP3A4に対する阻害作用により、本剤の代謝が阻害される)]。
4). CYP3A4誘導作用を有する薬剤(リファンピシン、カルバマゼピン、フェノバルビタール、フェニトイン等)[本剤の血中濃度が低下し治療効果が減弱するおそれがあるので、必要に応じて本剤の用量調整を行うこと(肝代謝酵素CYP3A4に対する誘導作用により、本剤の代謝が促進される)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 依存性(頻度不明):モルヒネ様の薬物依存を起こすことがある〔9.1.5参照〕。
11.1.2. 呼吸抑制(頻度不明)、無呼吸(頻度不明):術中の場合は補助呼吸、調節呼吸を、また術後の場合は麻薬拮抗剤(ナロキソン、レバロルファン等)の投与又は補助呼吸等の処置を行うこと。
11.1.3. 換気困難(頻度不明):筋強直による換気困難がみられることがあるので、このような場合には筋弛緩剤の投与及び人工呼吸等の処置を行うこと〔2.1参照〕。
11.1.4. 血圧降下(頻度不明):血圧降下がみられた場合には輸液を行い、更に必要な場合は昇圧剤(アドレナリンを除く)又は麻薬拮抗剤(ナロキソン、レバロルファン等)の投与を行うこと。なお、本剤を腰椎麻酔、硬膜外麻酔に併用すると、更に血圧降下を招くおそれがある。
11.1.5. ショック(頻度不明)、アナフィラキシー(頻度不明):血圧低下、蕁麻疹等があらわれた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.6. 不整脈(頻度不明)、期外収縮(頻度不明)、心停止(頻度不明)。
11.1.7. 興奮(頻度不明)、筋強直(頻度不明)。
11.1.8. チアノーゼ(頻度不明)。
- 11.2. その他の副作用
1). 過敏症:(1%未満:発現頻度は静脈内投与の場合)発疹、紅斑、そう痒症、蕁麻疹。
2). 循環器系:(1%未満:発現頻度は静脈内投与の場合)徐脈、(頻度不明)血圧上昇、*起立性低血圧[*:術後患者を動かしたり、体位を変えるときには注意すること]、頻脈。
3). 精神神経系:(1%未満:発現頻度は静脈内投与の場合)不眠、後睡眠、めまい、頭痛、精神症状、気分動揺、(頻度不明)ふるえ、錐体外路症状、四肢振戦、視力障害、多幸症、うわ言、傾眠、しびれ。
4). その他:(5%以上:発現頻度は静脈内投与の場合)悪心・嘔吐、(1~5%未満:発現頻度は静脈内投与の場合)発汗、咽頭痛、喀痰排出増加、喀痰排出困難、(1%未満:発現頻度は静脈内投与の場合)体温低下・悪寒、四肢冷感、喘鳴、吃逆、嗄声、(頻度不明)口渇、咳嗽、発熱、尿閉。
- 高齢者
- 減量するなど注意すること(一般に生理機能が低下している)。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(動物実験(マウス、ラット)で生仔平均体重低下が報告されている)。
本剤は胎盤を通過するため、分娩時の投与により新生児に呼吸抑制があらわれることがある。また、分娩時を含む妊娠中の投与により胎児に徐脈があらわれることがある。
本剤投与中は授乳を避けさせること(ヒトで母乳中への移行が報告されている)。
- 小児等
- 低出生体重児、新生児及び乳児に自発呼吸下で投与する場合は、低用量から開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(低出生体重児、新生児及び乳児では呼吸抑制を起こしやすい)。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤調製時の注意本剤が皮膚に触れた場合には、水で洗い流すこと(本剤の皮膚からの吸収が増加する可能性があるため、石けん、アルコール等は使用しないこと)。
14.2. 薬剤投与時の注意14.2.1. 〈硬膜外投与〉硬膜外投与の場合、注射針又はカテーテル先端が、血管又はくも膜下腔に入っていないことを確かめること。
14.2.2. 〈硬膜外投与〉硬膜外投与の場合、試験的に注入(test dose)し、注射針又はカテーテルが適切に留置されていることを確認すること。
14.2.3. 〈くも膜下投与〉髄液の漏出を最小に防ぐために、脊髄くも膜下麻酔針は、できるだけ細いものを用いること(脊髄くも膜下腔穿刺により脊髄麻酔後頭痛が、また、まれに一過性外転神経麻痺等があらわれることがある(なお、このような症状があらわれた場合には輸液投与を行うなど適切な処置を行うこと))。
14.2.4. 〈くも膜下投与〉まれに脊髄神経障害があらわれることがあるので、くも膜下投与時、穿刺に際して患者が放散痛を訴えた場合、脳脊髄液が出にくい場合又は血液混入を認めた場合には、本剤を注入しないこと。
同一患者に対する一回の手術時の使用で残液がでた場合には、麻薬に関する所定の手続きにしたがって廃棄すること。
16.1 血中濃度
健康男子5例に3H‐フェンタニル6.4μg/kgを静注投与した場合、フェンタニルの血漿中濃度は投与後60分以内に急速に低下し、投与量の約98%が消失した。その後は徐々に低下した。また、AUC(0-8)は平均約511ng/mL・minを示し、半減期は平均約3.6時間であった(外国人のデータ)。
3H‐フェンタニル6.4μg/kg静注投与時の血漿中濃度
16.4 代謝
フェンタニルは主に肝臓で代謝され、主代謝物はノルフェンタニルである。また、ヒト肝ミクロソームを用いたin vitro代謝試験において、フェンタニルはCYP3A4によりノルフェンタニルに代謝されるとの報告がある。
16.5 排泄
健康男子5例に3H‐フェンタニル6.4μg/kgを静注投与した場合、72時間以内に投与量の約85%が代謝物として尿糞中に排泄され、未変化体は8%未満であった(外国人のデータ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 小児における血中濃度(医師主導治験)
新生児及び6歳以下の小児103例(N群;受胎後週数45週未満:7例、I群;受胎後週数45週以上2歳以下:48例、C群;3歳以上6歳以下:48例)に初回投与量としてフェンタニルクエン酸塩注射液2~15μg/kg(必要に応じて投与される麻酔導入時の投与1~5μg/kgを含む)を投与し、血中濃度が測定可能であった30例(I群:11例及びC群:19例)で検討された。初回投与量(最小値~最大値)はI群2.00~4.63μg/kg及びC群1.88~4.89μg/kgであった。初回投与後の血中フェンタニル濃度(最小値~最大値)はI群(10例)で0.2~0.7ng/mL及びC群(18例)で0.2~0.9ng/mLと両群の間で違いは認められなかった。採血時間は23/30例で初回投与後1時間±5分であった。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 小児を対象とした国内第III相試験(医師主導治験)
新生児から6歳以下の小児患者103例を対象に、フェンタニルクエン酸塩注射液を全身麻酔時の鎮痛に使用した医師主導治験が実施された。
治験実施計画書適合集団(PPS)84例において、フェンタニルクエン酸塩注射液は静脈内投与により、初回時にフェンタニルとして1.9~6.0μg/kg、追加時にフェンタニルとして1回あたり0.6~5.2μg/kgが用いられ(総量1.9~12.1μg/kg)、有効性主要評価項目である医師の総合判定では、評価対象症例84例中77例(91.7%)が有効注)と判定された。副作用発現頻度は19.4%(20/103例)で、主な副作用は、嘔吐5.8%(6/103例)、そう痒症4.9%(5/103例)、呼吸抑制2.9%(3/103例)であった。
注)初回投与後の最初の外科・処置侵襲開始後20分以内の最大変動を示す収縮期血圧、脈拍数(心拍数)を指標とした医師の総合判定による
18.1 作用機序
オピオイド受容体は末梢神経や脳脊髄の神経細胞体および神経終末に広く分布しており、フェンタニルはオピオイド受容体のうちμ受容体に作用する。
18.2 鎮痛
フェンタニルはきわめて強力な鎮痛薬であり、非経口的に投与されると一般的に非常に短い作用持続時間を示す。全身投与後では、フェンタニルはモルヒネの約100倍強力である。
18.3 生物学的同等性試験
ラットに本剤又はフェンタニル注射液0.1mg「第一三共」を0.1mg硬膜外投与し、Tailflick法により侵害刺激に対する反応潜時を測定する生物学的同等性試験を実施した。その結果、両剤の反応潜時の延長効果に差は認められず、生物学的同等性が確認された。
硬膜外投与後の反応潜時推移(平均値±S.D.)
- 製造販売会社
- テルモ
- 販売会社
おくすりのQ&A
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