ケシンプタ皮下注20mgペン

添付文書情報2024年06月改定(第5版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 警告
- 1.1. 慢性リンパ性白血病の治療のためにオファツムマブを点滴静注したB型肝炎ウイルスキャリアの患者において、B型肝炎ウイルス再活性化により肝不全に至り死亡した例が報告されている〔8.1、9.1.1参照〕。
- 禁忌
- 2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
- 効能・効果
- 次記患者における再発予防及び身体的障害の進行抑制:
再発寛解型多発性硬化症における再発予防及び再発寛解型多発性硬化症における身体的障害の進行抑制。
疾患活動性を有する二次性進行型多発性硬化症における再発予防及び疾患活動性を有する二次性進行型多発性硬化症における身体的障害の進行抑制。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 臨床試験に組み入れられた患者における再発又はMRI画像所見に基づく疾患活動性も参考に、投与対象を選択すること〔17.1.1、17.1.2参照〕。
- 用法・用量
- 通常、成人にはオファツムマブ(遺伝子組換え)として1回20mgを初回、1週後、2週後、4週後に皮下注射し、以降は4週間隔で皮下注射する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 投与予定日に本剤を投与できなかった場合は、できるだけ速やかに投与し、その後は「6.用法及び用量」に規定された投与間隔で投与すること。
- 生殖能を有する者
- 8.1. B型肝炎ウイルス再活性化による肝炎があらわれるおそれがあるので、本剤投与に先立ってB型肝炎ウイルス感染の有無を確認すること〔1.1、9.1.1参照〕。
8.2. 本剤投与により免疫グロブリン濃度低下、並びに白血球減少、好中球減少及びリンパ球減少があらわれ、これに伴い感染症が生じる又は感染症悪化するおそれがあるので、本剤の治療期間中及び治療終了後は定期的に血液検査を行うなど患者の状態を十分に観察すること。また、感染症の自他覚症状に注意し、異常が認められた場合には、速やかに医療機関に相談するよう患者に指導すること〔9.1.2、11.1.1参照〕。
8.3. 本剤投与によりB細胞数減少し、本剤投与中止後も長期間にわたりB細胞数の低下が持続するため、本剤投与中止後においても、免疫抑制作用により細菌やウイルス等による感染症が生じる又は感染症悪化するおそれがあるので、患者の状態を十分に観察すること〔9.1.2、11.1.1、16.8.1参照〕。
8.4. 本剤の投与後に注射に伴う全身反応(発熱、頭痛、筋肉痛、悪寒、疲労等)があらわれることがある(臨床試験では、多くは初回投与時に認められているが、2回目以降の投与時にも認められている)。投与開始早期は注射に伴う全身反応の発現に注意するよう患者に指導すること。本剤の初回投与時には、注射に伴う全身反応を軽減させるために、必要に応じて副腎皮質ステロイド等の前投与を考慮すること〔11.1.2参照〕。
8.5. 本剤の投与開始にあたっては、医療施設において、必ず医師によるか、医師の直接の監督のもとで投与を行うこと。自己投与の適用については、医師がその妥当性を慎重に検討し、十分な教育訓練を実施した後、本剤投与による危険性と対処法について患者又はその介護者が理解し、確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導の下で実施すること。自己投与の適用後、感染症等の本剤による副作用が疑われる場合や自己投与の継続が困難な状況となる可能性がある場合には、直ちに自己投与を中止させ、医師の管理下で慎重に観察するなど適切な処置を行うこと。また、自己投与の適用後、本剤投与後に副作用の発現が疑われる場合は、速やかに医療機関へ連絡するよう患者に指導を行うこと。使用済みの注射器を再使用しないように患者に注意を促し、すべての器具の安全な廃棄方法に関する指導の徹底を行うと同時に、使用済みの注射器を廃棄する容器を提供すること。
9.1.1. 活動性B型肝炎患者、B型肝炎ウイルスキャリアの患者又はB型肝炎既往感染者(HBs抗原陰性かつHBc抗体陽性又はHBs抗原陰性かつHBs抗体陽性):活動性B型肝炎患者では、肝炎の治療を優先すること(本剤の治療期間中及び治療終了後は、継続して肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルス再活性化の徴候や症状の発現に注意すること)。B型肝炎ウイルスキャリアの患者又はB型肝炎既往感染者(HBs抗原陰性かつHBc抗体陽性又はHBs抗原陰性かつHBs抗体陽性)ではB型肝炎ウイルス再活性化により肝炎があらわれるおそれがある〔1.1、8.1参照〕。
9.1.2. 感染症のある患者:感染症を合併している場合は、感染症の治療を優先すること(感染症が増悪するおそれがある)〔8.2、8.3、11.1.1参照〕。
妊娠可能な女性:妊娠可能な女性に対しては、本剤投与中及び本剤最終投与後6ヵ月間は適切な避妊法を用いるよう指導すること〔9.5.1参照〕。
- 相互作用
- 10.2. 併用注意:1). 生ワクチン、弱毒生ワクチン[生ワクチン又は弱毒生ワクチンは本剤投与開始の少なくとも4週間前までに接種し、治療中及び投与中止後にB細胞数が回復するまでは生ワクチン又は弱毒生ワクチンを接種しないことが望ましい(生ワクチン又は弱毒生ワクチンによる感染症発現のリスクが増大するおそれがある)]。
2). 不活化ワクチン[不活化ワクチンは本剤投与開始の少なくとも2週間前までに接種すること(ワクチンの効果を減弱させるおそれがある)]。
3). 免疫抑制剤又は免疫調節剤(フマル酸ジメチル、フィンゴリモド、ナタリズマブ等)[これらの薬剤から切り替える場合は、本剤開始時に相加的な免疫抑制作用が生じるおそれがあるので、これらの薬剤の作用持続時間及び作用機序を考慮すること(相加的に免疫系に作用するリスクがある)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 感染症(15.0%):上気道感染(上咽頭炎、上気道感染、インフルエンザ)等の感染症があらわれることがある〔8.2、8.3、9.1.2参照〕。
11.1.2. 注射に伴う全身反応(20.6%):発熱、頭痛、筋肉痛、悪寒、疲労等の注射に伴う全身反応があらわれることがある。また、アナフィラキシーを含む重度の注射に伴う全身反応が認められた場合は、本剤の投与中止等の適切な処置を行うこと〔8.4参照〕。
11.1.3. 進行性多巣性白質脳症(PML)(頻度不明):本剤の治療期間中及び治療終了後は患者の状態を十分に観察し、意識障害、認知機能障害、麻痺症状(片麻痺、四肢麻痺)、構音障害、失語等の症状があらわれた場合には、MRIによる画像診断及び脳脊髄液検査を行うとともに、投与を中止し、適切な処置を行うこと。本剤の多発性硬化症を対象とした臨床試験ではPMLの報告はないが、慢性リンパ性白血病患者に対し点滴静注するオファツムマブ製剤を含む他の抗CD20抗体製剤及び他の多発性硬化症治療薬を投与した患者においてJCウイルス感染によるPMLが報告されている。
- 11.2. その他の副作用
1). 一般・全身障害及び投与部位の状態:(5%以上)注射部位反応(注射部位紅斑、注射部位疼痛、注射部位そう痒、注射部位腫脹)。
2). 免疫系障害:(頻度不明)過敏症反応。
3). 臨床検査:(5%以上)血中IgM減少。
- 授乳婦
- 9.5.1. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(サルを用いた胚及び胎仔発生・拡充型出生前及び出生後の発生並びに母体の機能に関する試験においてオファツムマブは胎盤を通過することが確認されており、胎仔末梢血B細胞数枯渇・乳仔末梢血B細胞数枯渇及び胎仔脾臓重量減少・乳仔脾臓重量減少、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)に対する乳仔液性免疫応答低下が認められている。臨床曝露量の160倍(AUCを指標)で母動物(サル)において、免疫調節による感染症を起因とした乳仔早期死亡が認められている)〔9.4生殖能を有する者の項、9.5.2参照〕。
9.5.2. 妊娠中に本剤を投与した患者からの出生児においては、B細胞数の回復が確認されるまでは、生ワクチン又は弱毒生ワクチンを投与しないこと(B細胞の枯渇は、生ワクチン又は弱毒生ワクチンによる感染症発現のリスクを増大するおそれがあり、不活化ワクチンはB細胞枯渇から回復する前に投与してもよいが、十分な免疫応答が得られているか評価すること)〔9.5.1参照〕。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(本剤の母乳中への移行は不明であるが、ヒトIgGは母乳中に移行することが知られている)。
- 小児等
- 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤投与前の注意14.1.1. 投与前に冷蔵庫から取り出し室温に戻しておくこと。
14.2. 薬剤投与時の注意14.2.1. 皮膚が敏感な部位、皮膚に異常のある部位<傷・発赤・硬結等>には注射しないこと。
14.2.2. 注射部位は腹部、大腿部又は上腕部とし、投与毎に注射部位を変えること。
14.2.3. 本剤は1回使用の製剤であるため、使用済みの注射器は再使用せず廃棄すること。
14.3. 薬剤交付時の注意14.3.1. 患者が家庭で保存する場合は、本剤は外箱に入れた状態で、冷蔵庫内で保存し、やむを得ず室温(30℃以下)で保存する場合は、7日間保存可能であるが、この期間内に使用しなかった場合は、冷蔵庫に戻し7日以内に使用すること。
光曝露を避けるため、本剤は外箱に入れて保存すること。
- その他の注意
- 15.1. 臨床使用に基づく情報臨床試験で抗オファツムマブ抗体陽性例が報告されている。
16.1 血中濃度
再発を伴う多発性硬化症患者(21例)に本剤20mgを皮下投与(初回、1週後、2週後、4週後、以降4週間隔で投与)したとき、血漿中濃度は次のとおりであった。
→図表を見る(PDF)
再発寛解型多発性硬化症患者、再発を伴う多発性硬化症患者を対象とした国際共同第II相試験及び海外臨床試験から得られた血漿中濃度データ(1483例、9464測定点)を用いて実施した母集団薬物動態解析の結果から、クリアランスは0.339L/day、分布容積は2.57L、バイオアベイラビリティは0.681と推定された。
16.2 吸収
再発を伴う多発性硬化症患者(284例)に本剤20mgを皮下投与(初回、1週後、2週後、4週後、以降4週間隔で投与)したとき、定常状態でのAUCtau及びCmaxの幾何平均値(幾何変動係数)はそれぞれ483μg・h/mL(90%)及び1.43μg/mL(77%)であった(n=282、外国人データ)。
16.8 その他
16.8.1 薬力学
再発を伴う多発性硬化症患者(32例)に本剤20mg又はプラセボを皮下投与(初回、1週後、2週後、4週後、以降4週間隔で投与)したとき、B細胞数の推移は次のとおりであった。
→図表を見る(PDF)
本剤投与中止36週目にB細胞数がベースライン又は基準値下限(40cells/μL)まで回復が認められた被験者の割合は、G2301試験で55.6%(15/27例)、G2302試験で70.3%(26/37例)であり、本剤の投与中止後のB細胞数の推移は次のとおりであった(外国人データ)。[8.3参照]
→図表を見る(PDF)
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国際共同第II相試験(G1301試験)
再発を伴う多発性硬化症患者注1)(64例、うち日本人患者32例)を対象として無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験を実施した。本剤20mg(初回、1週後、2週後、4週後、以降4週間隔で投与)、又はプラセボ(本剤と同一用法)を24週間皮下投与した(ランダム化比2:1)。
主要評価項目である投与12~24週後のGd造影T1病変数を本剤群はプラセボ群に比べ93.6%抑制した。
→図表を見る(PDF)
副作用は、本剤群で27.9%(12/43例)に認められ、主な副作用は、注射に伴う全身反応23.3%(10/43例)、リンパ球減少症4.7%(2/43例)であった。[5.1参照]
注1)次のいずれにも該当する患者
・McDonald診断基準(2010年改訂版)で多発性硬化症と診断された患者
・再発寛解型多発性硬化症又は疾患活動性を有する二次性進行型多発性硬化症患者
・過去2年以内に新規の神経学的異常又は既存の神経学的異常の悪化が1回以上認められ、かつ、過去1年以内に脳MRI画像で疾患活動性(Gd造影T1病変あるいは新規又は拡大T2病変)が認められた患者
17.1.2 海外第III相試験(G2301試験、G2302試験)
G2301試験及びG2302試験は同時期に実施された同一デザインの試験であり、再発を伴う多発性硬化症患者注2)(G2301試験:927例、G2302試験:955例)を対象とした無作為化二重盲検teriflunomide(国内未承認)対照並行群間比較試験である。
本剤20mg(初回、1週後、2週後、4週後、以降4週間隔で皮下投与)、又はteriflunomide14mg(1日1回経口投与)を1:1の比で割り付けた。投与期間は患者毎に異なり、終了基準を満たすまで投与を継続した。両試験の併合データの投与期間の中央値は本剤群で599.5日、対照群で576.0日であった。
両試験の主要評価項目である年間再発率を本剤群は対照群に比べ、各々50.5%及び58.5%抑制した。予め計画した両試験の併合解析により、副次評価項目であるEDSSに基づく3ヵ月持続する障害増悪及び6ヵ月持続する障害増悪を本剤群は対照群に比べ各々34.4%及び32.5%抑制した。
→図表を見る(PDF)
G2301試験での副作用は、本剤群で44.3%(206/465例)に認められ、主な副作用は、注射に伴う全身反応16.3%(76/465例)、注射部位反応9.0%(42/465例)、血中IgM減少5.4%(25/465例)であった。G2302試験での副作用は、本剤群で57.8%(278/481例)で認められ、主な副作用は、注射に伴う全身反応24.7%(119/481例)、注射部位反応12.7%(61/481例)、血中IgM減少6.2%(30/481例)であった。[5.1参照]
注2)次のいずれにも該当する患者
・McDonald診断基準(2010年改訂版)で多発性硬化症と診断された患者
・再発寛解型多発性硬化症又は疾患活動性を有する二次性進行型多発性硬化症患者
・過去1年以内に1回以上の再発、過去2年以内に2回以上の再発、又は過去1年以内に脳MRI画像で疾患活動性(Gd造影T1病変あるいは新規又は拡大T2病変)が認められた患者
18.1 作用機序
オファツムマブはヒトCD20の細胞外小ループ及び大ループに特異的に結合し、補体依存性細胞傷害(CDC)活性及び抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性によりCD20陽性B細胞及びCD20陽性T細胞を溶解させると考えられる。
18.2 ヒトCD20への特異的結合作用
B細胞株に発現するCD20に対して強い結合能を示し(平衡解離定数KD値167pM)、CD20からの解離速度は遅かった(in vitro)。本薬は細胞膜に近接してCD20に結合すると考えられ、これにより優れたCDC活性を示す。
18.3 CD20陽性細胞溶解作用
初代培養ヒトB細胞の検討から、本薬の細胞溶解作用は主としてCDC活性によるものであり、ADCC活性の程度は低かった(in vitro)。ヒトCD20をトランスフェクトしたT細胞株において、CD20発現量の少ない細胞に対してもCDC活性を示した(in vitro)。カニクイザルに1mg/kgを1週間隔で計3回皮下投与したとき、末梢血中のCD20陽性B細胞数及びCD20陽性T細胞数が完全に抑制され、リンパ節中のCD20陽性B細胞数が減少した。
- 製造販売会社
- ノバルティス ファーマ
- 販売会社
おくすりのQ&A
当該製品の添付文書では、効能又は効果として、『次の疾患で、他の緑内障治療薬が効果不十分又は使用できない場合:緑内障、高眼圧症』と記載されています。...
添付文書内の「有効性安全性」の正確な意味を教えてください。どのような条件ならば有効性があるとするのか、安全性があるというのかをその基準を教えて欲しいのです
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