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レケンビ点滴静注500mg

販売名
レケンビ点滴静注500mg
薬価
500mg5mL1瓶 114443.00円
製造メーカー
エーザイ

添付文書情報2024年06月改定(第3版)

商品情報

薬効分類名
その他の中枢神経系用薬
一般名
レカネマブ(遺伝子組換え)注射液
規制区分
  • 特生
  • 特承
  • 覚原
警告
1.1. 本剤の投与は、アミロイドPET、MRI等の本剤投与にあたり必要な検査及び管理が実施可能な医療施設又は当該医療施設と連携可能な医療施設において、アルツハイマー病の病態、診断、治療に関する十分な知識及び経験を有し、本剤のリスク等について十分に管理・説明できる医師の下で、本剤の投与が適切と判断される患者のみに投与を行うこと。
1.2. 本剤の投与開始に先立ち、本剤投与によるARIAの発現割合、ARIAのリスク及びリスク管理のために必要な検査、ARIA発現時の対処法について患者及び家族・介護者に十分な情報を提供して説明し、同意を得てから投与すること。また、異常が認められた場合には、速やかに主治医に連絡するよう指導すること〔7.1、8.1、11.1.2参照〕。
禁忌
2.1. 本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者。
2.2. 本剤投与開始前に血管原性脳浮腫が確認された患者[ARIAのリスクが高まるおそれがある]〔7.1、8.1.1参照〕。
2.3. 本剤投与開始前に5個以上の脳微小出血、投与開始前に脳表ヘモジデリン沈着症又は投与開始前に1cmを超える脳出血が確認された患者[ARIAのリスクが高まるおそれがある]〔7.1、8.1.1参照〕。
効能・効果
アルツハイマー病による軽度認知障害及びアルツハイマー病による軽度の認知症の進行抑制。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 本剤は、疾患の進行を完全に停止、又は疾患を治癒させるものではない。
5.2. 承認を受けた診断方法、例えばアミロイドPET、脳脊髄液(CSF)検査、又は同等の診断法によりアミロイドβ病理を示唆する所見が確認され、アルツハイマー病と診断された患者のみに本剤を使用すること。
5.3. 無症候でアミロイドβ病理を示唆する所見のみが確認できた者、及び中等度以降のアルツハイマー病による認知症患者に本剤を投与開始しないこと。
5.4. 「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、国際共同第3相試験で用いられた診断基準、組み入れられた患者の臨床症状スコアの範囲、試験結果等を十分に理解した上で本剤投与の適否を判断すること〔17.1.2参照〕。
用法・用量
通常、レカネマブ(遺伝子組換え)として10mg/kgを、2週間に1回、約1時間かけて点滴静注する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 本剤投与により、アミロイド関連画像異常(ARIA)として、ARIA-浮腫/ARIA-滲出液貯留(ARIA-E)、ARIA-脳微小出血・ARIA-脳表ヘモジデリン沈着症・ARIA-脳出血(ARIA-H)があらわれることがある〔1.2、2.2、2.3、8.1、11.1.2参照〕。
(1). MRI画像上軽度かつ無症候性のARIA-E、ARIA-Hが認められた場合は、慎重に臨床評価した上で、本剤の投与継続の可否を検討すること。投与継続する場合、特に注意深く経過観察すること。
(2). MRI画像上中等度及び重度のARIA-Eが認められた場合は、画像所見の消失まで投与を一時中断すること。MRI画像上1cmを超える脳出血並びに中等度及び重度のARIA-Hが認められた場合は、画像所見の安定化まで投与を一時中断すること。いずれの場合も注意深く経過観察し、投与再開は慎重な臨床判断の上で行うこと。
(3). 症候性ARIAが認められた場合は、これらの症状が消失するとともに、ARIA-Eでは画像所見の消失まで、ARIA-Hでは画像所見の安定化まで投与を一時中断すること。注意深く経過観察し、投与再開は慎重な臨床判断の上で行うこと。
【参考】
<ARIAの重症度分類:MRI画像による分類>
1). ARIA-E(MRI所見)
①. 軽度:脳溝、皮質、又は皮質下白質の1ヵ所に限局した、5cm未満のFluid Attenuated Inversion Recovery(FLAIR)高信号。
②. 中等度:最大径が5~10cmのFLAIR高信号が1ヵ所にみられる、又は10cm未満の高信号が複数部位にみられる。
③. 重度:10cmを超えるFLAIR高信号で、脳回腫脹及び脳溝消失を伴う。1ヵ所又は複数ヵ所に独立した病変を認める。
2). ARIA-H(MRI所見)
①. 軽度:(脳微小出血)新規が1~4個、(脳表ヘモジデリン沈着症)1ヵ所。
②. 中等度:(脳微小出血)新規が5~9個、(脳表ヘモジデリン沈着症)2ヵ所。
③. 重度:(脳微小出血)新規が10個以上、(脳表ヘモジデリン沈着症)3ヵ所以上。
<ARIA発現時の対応>
1). ARIA-E
①. 無症候性
a. 軽度無症候性ARIA-E:投与継続可能[慎重に臨床評価した上で、本剤の投与継続の可否を検討し、投与継続する場合、特に注意深く経過観察すること]。
b. 中等度無症候性ARIA-E、重度無症候性ARIA-E:画像所見消失まで投与中断[注意深く経過観察し、本剤の投与再開は慎重な臨床判断の上で行うこと]。
②. 症候性
軽度、中等度、重度症候性ARIA-E:症状及び画像所見消失まで投与中断[注意深く経過観察し、本剤の投与再開は慎重な臨床判断の上で行うこと]。
2). ARIA-H
①. 無症候性
a. 軽度無症候性ARIA-H:投与継続可能[慎重に臨床評価した上で、本剤の投与継続の可否を検討し、投与継続する場合、特に注意深く経過観察すること]。
b. 中等度無症候性ARIA-H:画像所見安定化まで中断[注意深く経過観察し、本剤の投与再開は慎重な臨床判断の上で行うこと]。
c. 重度無症候性ARIA-H・画像上1cmを超える無症候性脳出血:画像所見安定化まで中断[注意深く経過観察し、投与の中止を含め治療内容を検討すること(本剤を投与再開する場合には、慎重な臨床判断の上で行うこと)]。
②. 症候性
a. 軽度症候性ARIA-H、中等度症候性ARIA-H:症状消失及び画像所見安定化まで中断[注意深く経過観察し、本剤の投与再開は慎重な臨床判断の上で行うこと]。
b. 重度症候性ARIA-H・画像上1cmを超える症候性脳出血:症状消失及び画像所見安定化まで中断[注意深く経過観察し、投与の中止を含め治療内容を検討すること(本剤を投与再開する場合には、慎重な臨床判断の上で行うこと)]。
<ARIA発現後のMRIモニタリング>
1). ARIA-E
①. 軽度:ARIA重症化の有無を確認するため、軽度ARIA-Eが無症候性で投与を継続する場合、発現から約1~2ヵ月後にMRI検査の実施を考慮する。軽度ARIA-Eが無症候性で投与を中断する場合、又は症候性の場合は、発現から約2~4ヵ月後にMRI検査を実施し、画像上ARIA-Eの消失が確認されない場合は、追加のMRI検査を実施する。
②. 中等度、重度:中等度、重度ARIA-E発現から約2~4ヵ月後にMRI検査を実施し、画像上ARIA-Eの消失が確認されない場合は、追加のMRI検査を実施する。
2). ARIA-H
①. 軽度:軽度ARIA-Hが症候性の場合、発現から約2~4ヵ月後にMRI検査を実施し、画像上ARIA-Hの安定化が確認されない場合は、追加のMRI検査を実施する。
②. 中等度、重度・1cmを超える脳出血:中等度、重度ARIA-H・画像上1cmを超える脳出血発現から約2~4ヵ月後にMRI検査を実施し、画像上ARIA-Hの安定化が確認されない場合は、追加のMRI検査を実施する。
7.2. 本剤投与中は6ヵ月毎を目安に認知機能検査、患者及び家族・介護者から自他覚症状の聴取等による臨床症状の評価を行い、臨床症状の経過、認知症の重症度等から本剤の有効性が期待できないと考えられる場合は本剤の投与を中止すること。なお、本剤投与中に認知症の重症度が中等度以降に進行した患者に投与を継続したときの有効性は確立していない。
特定の背景を有する患者に関する注意
8.1. 本剤はARIA管理に関する適切な知識を有する医師の下で使用し、投与開始前及び投与中は次の点に注意すること〔1.2、7.1、11.1.2参照〕。
8.1.1. 本剤投与開始前に、最新(1年以内)のMRI画像により、ARIAを含む異常所見の有無を確認すること〔2.2、2.3、17.1.2参照〕。
8.1.2. ARIAの発現は、本剤投与開始から14週間以内に多いことから、この期間は特に注意深く患者の状態を観察すること(ARIAを示唆する症状が認められた場合には、臨床評価を行い、必要に応じてMRI検査を実施すること)。
8.1.3. ARIAを示唆する症状がみられない場合であっても、本剤の5回目の投与前(投与開始後2ヵ月までを目安)、7回目の投与前(投与開始後3ヵ月までを目安)及び14回目の投与前(投与開始後6ヵ月までを目安)、並びにそれ以降も定期的にMRI検査を実施し、ARIAの有無を確認すること。
画像上ARIAが検出された場合は、十分な観察の下、症状の発現に注意し、7.1項を参考に、必要に応じて追加のMRI検査を実施すること。
8.1.4. アポリポ蛋白E<ApoE>ε4ホモ接合型キャリアでApoEε4ヘテロ接合型キャリア及びノンキャリアよりもARIAの発現割合及び画像上の重症度、症候性ARIAの発現割合が高かったが、ApoEε4保因状況にかかわらず、8.1.1項~8.1.3項及び11.1.2項に規定のMRI検査を含むARIA管理を実施すること。なお、アルツハイマー病患者におけるApoEε4ホモ接合型キャリアの割合は約15%である。
[ApoEε4遺伝子型別ARIA発現状況]1). ARIA-E:(ノンキャリア)プラセボ0.3%、本剤5.4%、(ヘテロ接合型キャリア)プラセボ1.9%、本剤10.9%、(ホモ接合型キャリア)プラセボ3.8%、本剤32.6%。
2). ARIA-H:(ノンキャリア)プラセボ4.2%、本剤11.9%、(ヘテロ接合型キャリア)プラセボ8.6%、本剤14.0%、(ホモ接合型キャリア)プラセボ21.1%、本剤39.0%。
臨床試験での有害事象発現率(%)。
8.2. 1年以内の一過性脳虚血発作、1年以内の脳卒中又は1年以内の痙攣の既往のある患者において、本剤の投与を開始した経験はない(これらの既往がある場合は、本剤投与によるリスクとベネフィットを考慮した上で、投与の可否を慎重に判断すること)。
8.3. 本剤投与前に高血圧の有無を確認し、高血圧が持続する患者への投与は慎重に行うこと(本剤投与中は適切な血圧管理を行うこと)。
相互作用
10.2. 併用注意:血液凝固阻止剤(ワルファリンカリウム、ヘパリンナトリウム、アピキサバン等)、血小板凝集抑制作用を有する薬剤(アスピリン、クロピドグレル硫酸塩等)、血栓溶解剤(アルテプラーゼ等)[本剤投与中に脳出血を発現した場合出血を助長するおそれがあるので、併用時には脳出血の副作用に注意すること(本剤の副作用として脳出血の報告があり、併用によりこれらの薬剤が出血を助長する可能性がある)]。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. Infusion reaction(26.1%):頭痛、悪寒、発熱、吐き気、嘔吐等の症状があらわれることがあるので、徴候や症状を注意深く観察し、異常が認められた場合は、必要に応じて本剤の注入速度を下げるか、注入を中断又は中止し適切な処置を行うこと(Infusion reactionがあらわれた場合は、次回以降の投与に際し、抗ヒスタミン薬、アセトアミノフェン、非ステロイド系抗炎症薬、副腎皮質ステロイドの予防的投与も考慮すること)。
11.1.2. アミロイド関連画像異常(ARIA):ARIA-EとしてARIA-浮腫/ARIA-滲出液貯留(12.6%)、ARIA-HとしてARIA-微小出血及びARIA-ヘモジデリン沈着(13.6%)、ARIA-脳表ヘモジデリン沈着症(5.2%)、ARIA-脳出血(0.4%)があらわれることがある〔1.2、7.1、8.1参照〕。
(1). ARIAは臨床症状を伴わないことが多いが、痙攣やてんかん重積等の重篤な事象が起こることがある。ARIAに関連する症状としては、頭痛、錯乱、視覚障害、めまい、吐き気、歩行障害等が報告されている。
(2). ARIAは再発することがあるため、投与を再開した場合は、注意深く患者の状態を観察するとともに、定期的なMRI検査の実施を検討すること。
(3). ARIA再発した患者において、本剤の投与を再開した経験は限られている。
11.2. その他の副作用
1). 過敏症:(1%以上)過敏症、(0.5~1%未満)皮疹、(0.5%未満)紅斑。
2). 消化器:(0.5%未満)悪心。
3). 肝臓:(0.5%未満)ALT増加。
4). 精神神経系:(1%以上)頭痛、(0.5%未満)めまい、平衡障害、錯乱状態、抑うつ症状、記憶障害、緊張性頭痛。
5). 一般・全身症状:(0.5~1%未満)倦怠感、(0.5%未満)起立性低血圧。
6). 筋骨格系:(0.5%未満)転倒。
7). その他:(0.5~1%未満)注射部位反応、(0.5%未満)血中コレステロール増加、蛋白尿、注射部位血管外漏出。
授乳婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ投与すること(本剤を用いた生殖発生毒性試験は実施していない、また、一般にヒトIgGは胎盤を通過することが知られている)。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(本剤のヒト乳汁中への移行は不明であるが、ヒトIgGは乳汁中に移行することが知られている)。
小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
取扱い上の注意
14.1. 薬剤調製時の注意14.1.1. 本剤を希釈調製するときは無菌的に操作すること。本剤は単回使用とし、残液は廃棄すること。
14.1.2. 必要量をバイアルから抜き取り、250mLの生理食塩液で希釈すること。
14.1.3. 容器を静かに反転させて、しっかりと混和する(振とうしないこと)。
14.1.4. 希釈後は速やかに使用すること(なお、希釈後やむを得ず保存する場合は、2~25℃で保存し、4時間以内に使用すること)。
14.1.5. 希釈液は投与前に室温にして用いること。
14.1.6. 他剤<生理食塩液を除く>と混合しないこと。
14.2. 薬剤投与時の注意14.2.1. 投与前に微粒子や変色がないか目視で確認すること(変色又は不透明な粒子や異物の混入が認められた場合は使用しないこと)。
14.2.2. 本剤は、蛋白結合性の低い0.2又は0.22ミクロンのインラインフィルターを通して投与すること。
14.2.3. 投与終了後、生理食塩液で点滴ラインをフラッシュすること。
20.1. 凍結を避け、振とうしないこと。
20.2. 外箱開封後は、遮光して保存すること。
その他の注意
15.1. 臨床使用に基づく情報15.1.1. 国際共同第3相試験において、本剤10mg/kgを隔週で投与された患者のうち、本剤に対する抗体産生が認められた患者の割合は5.5%(49例/884例)であり、このうち4.1%(2例/49例)では本剤に対する中和抗体が認められた。抗体産生は本剤の薬物動態、薬力学、有効性及び安全性に臨床的に意味のある影響を及ぼさなかった。
15.1.2. 国際共同第3相試験の非盲検継続投与期において、本剤投与中に脳出血又は重度ARIA-E/H<併発>を発現し、その後死亡に至った症例が報告されている(これらの事象が死因でない報告を含む)。

16.1 血中濃度
16.1.1 単回及び反復投与
アルツハイマー病による軽度認知障害又は軽度認知症患者に、本剤10mg/kgを単回静脈内投与後6週間休薬注)し、その後隔週で反復5回(計6回)静脈内投与したときの、単回及び反復5回目投与時の血清中レカネマブ濃度推移を添付文書の図1に、薬物動態パラメータを表1に示した。反復投与5回目におけるレカネマブのAUCに基づく累積係数は1.59であった。
注)承認された本剤の用法及び用量は、「通常、レカネマブ(遺伝子組換え)として10mg/kgを、2週間に1回、約1時間かけて点滴静注する。」である。
図1 アルツハイマー病による軽度認知障害又は軽度認知症患者に、本剤10mg/kgを単回及び隔週反復静脈内投与したときの血清中レカネマブ濃度(平均値±標準偏差)

表1 アルツハイマー病による軽度認知障害又は軽度認知症患者に、本剤10mg/kgを単回及び隔週反復静脈内投与したときの血清中レカネマブの薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)

16.3 分布
母集団薬物動態解析によると、中心コンパートメントの分布容積の母集団推定値は3.24L(95%信頼区間:3.18~3.30L)である。
16.4 代謝
レカネマブは、ヒト化IgG1モノクローナル抗体であることから、他の免疫グロブリンG1と同様に異化作用により分解されると推察される。
16.5 排泄
最終消失相の半減期は5~7日である。
母集団薬物動態解析によると、レカネマブのクリアランスの母集団推定値は0.0154L/h(95%信頼区間:0.0147-0.0160L/h)である。

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国際共同第II相試験(201試験)
アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度認知症856例(うち日本人34例)を対象に、本剤又はプラセボを18ヵ月静脈内投与する二重盲検並行群間比較用量設定試験を実施した。臨床認知症評価法(CDR)スコアが0.5~1、CDRの記憶スコアが0.5以上、MMSEスコアが22~30であり、アミロイドPET又はCSF検査でアミロイドβ病理を示唆する所見が確認された患者を登録した。プラセボ群247例、2.5mg/kg隔週投与群52例、5mg/kg月1回投与群51例、5mg/kg隔週投与群92例、10mg/kg月1回投与群253例、又は10mg/kg隔週投与群161例に割付けられた。
主要評価項目であるADCOMSの投与12ヵ月後の変化量について、10mg/kg隔週群がADCOMSの悪化をプラセボ群と比較して少なくとも25%抑制する確率は64%と算出され、成功基準として設定した80%以上は達成されなかった。
本剤の投与により、脳内アミロイドβ蓄積量を評価するPET SUVRの用量依存的かつ経時的な減少が認められた。また、投与開始後18ヵ月において、アルツハイマー病コンポジットスコアADCOMS、CDR‐Sum of Boxes(CDR‐SB)、認知機能評価尺度ADAS‐Cog14を指標とした用量依存的な臨床症状の悪化抑制が認められ、10mg/kg隔週群における抑制率はそれぞれ29.7%、26.5%、47.2%であった。これらの指標のベースラインからの変化量を表2に示す。
10mg/kg隔週投与群で発現した主な有害事象(発現率5%以上かつプラセボ群より高頻度)は、注入に伴う反応(19.9%)、頭痛(13.7%)、ARIA‐E(9.9%)、咳嗽(8.7%)、下痢(8.1%)、浮動性めまい(7.5%)、脳微小出血(5.6%)であった。
表2 投与18ヵ月後のバイオマーカー及び有効性の結果
→図表を見る(PDF)

17.1.2 国際共同第III相試験(301試験)
アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度認知症1795例(うち日本人152例)を対象に、本剤10mg/kg又はプラセボを隔週で18ヵ月静脈内投与する二重盲検並行群間比較試験を実施した。プラセボ群に897例(うち日本人64例)、本剤群に898例(うち日本人88例)が割付けられた。主な選択基準は次のとおりであった。
(1)CDRスコアが0.5~1、CDRの記憶スコアが0.5以上
(2)MMSEスコアが22~30
(3)アミロイドPET又はCSF検査でアミロイドβ病理を示唆する所見が確認される。
(4)スクリーニング前12ヵ月以内に一過性脳虚血発作、脳卒中又は痙攣発作の既往を有さない。
(5)スクリーニング期の脳MRI検査で、次に示すような臨床的意義のある所見が認められていない。
・5ヵ所以上の脳微小出血(最大径10mm以下)
・最大径10mm超の脳出血
・脳表ヘモジデリン沈着症
・血管原性脳浮腫
・脳挫傷、脳軟化、動脈瘤、血管奇形又は感染病巣
・多発性ラクナ梗塞、大血管支配領域の脳卒中、重度の小血管疾患又は白質疾患
・占拠性病変又は脳腫瘍(ただし、髄膜腫又はくも膜嚢胞と診断される病変で、最大径が1cm未満であれば除外する必要はないこととした)
本剤の投与開始後18ヵ月において、プラセボ群と比較して、CDR‐SB(主要評価項目)を指標とした臨床症状の有意な悪化抑制が認められ、本剤群における抑制率は27.1%であった。また、ADAS‐Cog14、ADCOMS、日常生活動作評価指標ADCS MCI‐ADLを指標とした臨床症状の悪化抑制も認められ、本剤群における悪化抑制率はそれぞれ25.8%、23.5%、36.6%であった。本剤群では、脳内アミロイドβ蓄積量を評価するPETセンチロイドスケールの経時的な減少も認められた。これらの指標のベースラインからの変化量を表3に示す。
本剤群で発現した主な副作用(発現率1%以上)は、注入に伴う反応(26.1%)、ARIA‐H(16.5%)、ARIA‐E(12.6%)、頭痛(1.8%)、過敏症(1.7%)であった。
本剤群における症候性ARIA‐E、ARIA‐Hの有害事象発現率はそれぞれ2.8%、1.4%であった。[5.4、8.1.1参照]
表3 投与18ヵ月後の有効性及びバイオマーカーの結果
→図表を見る(PDF)

図2 CDR‐SBのベースラインからの変化量(FAS+、MMRM、調整済み平均)

18.1 作用機序
アルツハイマー病は、脳内のアミロイド斑の蓄積を病理組織学的な特徴とする。レカネマブは、ヒト化IgG1モノクローナル抗体であり、可溶性アミロイドβ凝集体(プロトフィブリル)に選択的に結合するが、アミロイド斑の主要構成成分である不溶性アミロイドβ凝集体(フィブリル)にも結合性を示す。レカネマブは、ラット海馬神経細胞へのプロトフィブリルの結合を阻害した。レカネマブは、ミクログリア細胞によるFc受容体を介したアミロイドβの食作用を促進したことから、ミクログリア細胞による食作用の活性化が脳内アミロイドβの減少作用に寄与すると考えられる。
18.2 脳内アミロイドβに対する作用
レカネマブのマウスサロゲート抗体は、変異型アミロイド前駆体タンパク質(APP)を発現するマウスにおいて、脳内のアミロイドβプロトフィブリル及びアミロイド斑を減少させた。

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