アクトシン注射用300mg

添付文書情報2021年05月改定(第1版)
商品情報
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- 効能・効果
- 急性循環不全における心収縮力増強、末梢血管抵抗軽減、インスリン分泌促進、血漿遊離脂肪酸低減及び無機リン低減ならびに利尿。
- 用法・用量
- 用時、添付の溶解液に溶解し、ブクラデシンナトリウムとして1分間あたり0.005~0.2mg/kgを静脈内に投与する。
必要に応じて日局ブドウ糖注射液、ブドウ糖・乳酸ナトリウム・無機塩類剤で希釈する。
なお、投与量は患者の病態に応じ適宜増減する。
- 合併症・既往歴等のある患者
- 8.1. 投与前に体液、呼吸等全身管理に必要な処置を行うこと。
8.2. 投与中は血圧、脈拍数、心電図、尿量、全身状態、また可能な限り肺動脈楔入圧、心拍出量、血液ガス等の観察を行うこと〔11.1.1参照〕。
8.3. 用量の増加に伴い、循環器系副作用(血圧低下、心拍数増加等)の発現頻度が高まる傾向がみられるので、投与開始にあたっては少量から始めること〔11.1.1参照〕。
8.4. 本剤は末梢血管収縮作用を示さないので過度の血圧低下を伴う場合は、末梢血管収縮薬を投与するなど、他の適切な処置を考慮すること〔11.1.1参照〕。
8.5. 本剤は血糖上昇作用を有するため、投与中は血糖値に注意し、著しい血糖値上昇が認められた場合は、インスリン製剤の投与、本剤の減量・中止等適切な処置を行うこと〔9.1.3参照〕。
9.1.1. 急性心筋梗塞及び心筋症の患者:全身状態が悪化するおそれがある〔11.1.1参照〕。
9.1.2. 不整脈のある患者:不整脈が悪化するおそれがある〔11.1.1参照〕。
9.1.3. 糖尿病の患者〔8.5参照〕。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 高度血圧低下、期外収縮・心室性頻拍・心房細動等の不整脈、肺動脈楔入圧上昇、心拍出量低下(いずれも頻度不明)〔8.2-8.4、9.1.1、9.1.2参照〕。
- 11.2. その他の副作用
1). 循環器:(1%以上)動悸、(頻度不明)胸部不快感、胸痛、頻脈。
2). 呼吸器:(頻度不明)動脈血酸素分圧低下(PaO2低下)。
3). 消化器:(1%以上)悪心、(1%未満)嘔吐、(頻度不明)食欲不振、腹痛。
4). 肝臓:(頻度不明)AST上昇、ALT上昇。
5). 腎臓:(頻度不明)BUN上昇、血中クレアチニン上昇。
6). その他:(1%未満)頭痛、倦怠感、熱感、(頻度不明)高血糖、尿糖、発汗、四肢冷感、注射部発赤。
- 高齢者
- 減量するなど注意すること(一般に生理機能が低下している)。
- 小児等
- 少量より開始するなど慎重に投与すること(小児等を対象とした臨床試験は実施していない)。
- 適用上の注意
- 14.1. 薬剤投与時の注意点滴あるいは持続注入器により静脈内に投与すること。
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人(5例)にブクラデシンナトリウムを300mg静注した場合、未変化体のt1/2は5.5分であった。
また、開心術後患者(5例)にブクラデシンナトリウムを点滴静注した場合、未変化体の血漿中濃度は経時的に増加し、投与速度に比例した。点滴開始60分では0.1mg/kg/minで平均4.7μg/mL、0.2mg/kg/minでは平均10.83μg/mLに達し、点滴終了後は速やかに減少した。なお、血漿中には代謝物は認められなかった。
点滴静注した時のブクラデシンナトリウムの血漿中濃度推移
16.3 分布
ラットに14C‐ブクラデシンナトリウムを投与した場合、多くの組織に移行するが、肝、腎で高く、筋肉、睾丸、脂肪、脳では低く、消失は血液と同様緩やかである。母体血液から胎児への移行は軽度である。
16.4 代謝
14C‐ブクラデシンナトリウム投与ラットにおける尿、胆汁、血液及び組織中代謝物の検討結果より、ブクラデシンナトリウムは組織に取り込まれ脱アシル化酵素によりN6‐モノブチリルサイクリックAMP、2’‐O‐モノブチリルサイクリックAMP及びサイクリックAMPに代謝される。そして内因性のサイクリックAMPと同様の代謝を受けると考えられている。
16.5 排泄
健康成人(5例)及び開心術後患者(5例)にブクラデシンナトリウムを点滴静注した場合、尿中未変化体排泄率は次のとおりであった。
→図表を見る(PDF)
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内臨床試験
長時間体外循環を伴う開心術後の急性循環不全及び重症心不全等を対象とした総臨床症例308例のうち、効果判定が行われた298例中57.0%(170例)に著効あるいは有効の評価を得た。
開心術後の急性循環不全164例を対象として実施されたプラセボとの二重盲検比較試験の結果、本剤の有用性が認められている。本剤は心臓の一回拍出量を増加し、拡張期血圧を減少して脈圧を増加する。さらに深部温度と皮膚温度の差を減少(末梢循環改善)し、尿量を増加する。また、血中インスリンを増加し、遊離脂肪酸及び無機リンを低減することが認められている。
承認前の調査308例中報告された副作用は15.3%(47例)で、主な副作用は血圧低下4.5%(14件)、心拍数増加4.2%(13件)、心室性期外収縮1.6%(5件)等の循環器症状、悪心1.6%(5件)等の消化器症状であった。
18.1 作用機序
ブクラデシンナトリウムの作用の基本は細胞膜を通過してそれ自身がサイクリックAMPに変化し、細胞内のサイクリックAMPを直接増加させることにある。心臓に対しては、収縮力を増強して心拍出量を増加する。さらに末梢血管を拡張して血管抵抗を軽減し、心臓の負荷を減少させるとともに末梢循環を改善する。一方、代謝面では肝グリコーゲンを動員するとともに、カテコールアミンで抑制されている膵ラ氏島からのインスリン分泌を促進する。増加したインスリンは、カテコールアミンにより亢進している脂肪分解を抑制して遊離脂肪酸を低減させる一方、糖の組織内取り込みを促進する。この結果、急性循環不全において、エネルギー代謝は促進され、組織では高エネルギーリン酸化物質の減少が抑制される。
18.2 細胞膜通過性
サイクリックAMPと異なりブクラデシンナトリウムは細胞膜を通過し、直接細胞内で作用する(イヌ)。
18.3 ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害作用
サイクリックAMPの分解酵素であるPDEの活性を阻害するが、ブクラデシンナトリウム自身はPDEによる分解を受けない(イヌ)。
18.4 心機能賦活作用
ブクラデシンナトリウムは細胞内でPDEを阻害する一方、脱アシル化酵素によりサイクリックAMPに分解され、蛋白リン酸化酵素を活性化し、Ca++移動を増加して(イヌ)、心筋の収縮・弛緩を活発にする(イヌ、モルモット、ラット)。またこの心機能賦活作用はβ‐遮断薬によって阻害されない(イヌ)。
18.5 末梢循環改善作用
末梢血管を拡張し、血管抵抗を軽減する(イヌ)。
18.6 利尿作用
腎血流量を増加し、尿排泄量を増加する(イヌ)。
18.7 エネルギー代謝改善作用
急性循環不全時に増加するカテコールアミンのインスリン分泌抑制を解除し、さらに分泌を亢進する(ラット)。これにより組織の糖の取り込みを促進し、エネルギー代謝を改善する(ラット、ウサギ)。
18.8 生存率増加作用
エンドトキシンショック(マウス)、ドラムショック(ラット)の生存率を増加する。
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