イミダプリル塩酸塩錠10mg「サワイ」

添付文書情報2024年02月改定(第1版)
商品情報
- 禁忌
- 2.1. 本剤の成分に対し、過敏症の既往歴のある患者。
2.2. 血管浮腫の既往歴のある患者(アンジオテンシン変換酵素阻害剤等の薬剤による血管浮腫、遺伝性血管浮腫、後天性血管浮腫、特発性血管浮腫等)[呼吸困難を伴う血管浮腫を発現することがある]〔11.1.1参照〕。
2.3. デキストラン硫酸固定化セルロースを用いた吸着器によるアフェレーシス施行中、トリプトファン固定化PVAを用いた吸着器によるアフェレーシス施行中(PVA:ポリビニルアルコール)又はポリエチレンテレフタレートを用いた吸着器によるアフェレーシス施行中の患者〔10.1参照〕。
2.4. アクリロニトリルメタリルスルホン酸ナトリウム膜を用いた血液透析施行中(AN69を用いた血液透析施行中)の患者〔10.1参照〕。
2.5. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性〔9.5妊婦の項参照〕。
2.6. アリスキレンフマル酸塩投与中の糖尿病患者(ただし、他の降圧治療を行ってもなお血圧のコントロールが著しく不良の患者を除く)〔10.1参照〕。
2.7. サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物投与中の患者、又はサクビトリルバルサルタンナトリウム水和物投与中止から36時間以内の患者〔10.1参照〕。
- 効能・効果
- 1). 高血圧症。
2). 腎実質性高血圧症。
- 用法・用量
- 通常、成人にはイミダプリル塩酸塩として5~10mgを1日1回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、重症高血圧症、腎障害を伴う高血圧症又は腎実質性高血圧症の患者では2.5mgから投与を開始することが望ましい。
- 生殖能を有する者
- 8.1. 降圧作用に基づくめまい、ふらつきがあらわれることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。
8.2. 手術前24時間は投与しないことが望ましい。
9.1.1. 両側性腎動脈狭窄のある患者又は片腎で腎動脈狭窄のある患者:治療上やむを得ないと判断される場合を除き、使用は避けること(腎血流量の減少や糸球体ろ過圧の低下により急速に腎機能悪化させるおそれがある)。
9.1.2. 高カリウム血症の患者:治療上やむを得ないと判断される場合を除き、使用は避けること(高カリウム血症を増悪させるおそれがある)。
また、腎機能障害、コントロール不良の糖尿病等により血清カリウム値が高くなりやすい患者では、血清カリウム値に注意すること〔11.1.4参照〕。
9.1.3. 脳血管障害のある患者:過度の降圧が脳血流不全を惹起し、病態を悪化させることがある。
9.1.4. 重症高血圧症患者:投与は少量より開始し、増量する場合は患者の状態を十分に観察しながら徐々に行うこと(初回投与後一過性の急激な血圧低下を起こす場合がある)。
9.1.5. 厳重な減塩療法中の患者:投与は少量より開始し、増量する場合は患者の状態を十分に観察しながら徐々に行うこと(初回投与後一過性の急激な血圧低下を起こす場合がある)。
9.2.1. 重篤な腎機能障害患者(クレアチニンクリアランスが30mL/分以下、又は血清クレアチニンが3mg/dL以上):投与量を半量にするか、若しくは投与間隔をのばすなど慎重に投与すること(排泄の遅延による過度の血圧低下及び腎機能悪化させるおそれがある)〔11.1.3、16.6.1参照〕。
9.2.2. 血液透析中の患者:投与は少量より開始し、増量する場合は患者の状態を十分に観察しながら徐々に行うこと(初回投与後一過性の急激な血圧低下を起こす場合がある)。
9.4.1. 妊娠する可能性のある女性:妊娠していることが把握されずアンジオテンシン変換酵素阻害剤又はアンジオテンシン2受容体拮抗剤を使用し、胎児・新生児への影響(腎不全、頭蓋形成不全・肺形成不全・腎形成不全、死亡等)が認められた例が報告されているので、本剤の投与に先立ち、代替薬の有無等も考慮して本剤投与の必要性を慎重に検討し、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。また、投与が必要な場合には次の注意事項に留意すること〔9.5妊婦の項参照〕。
(1). 妊娠する可能性のある女性:妊娠する可能性のある女性の場合、本剤投与開始前に妊娠していないことを確認し、本剤投与中も、妊娠していないことを定期的に確認すること。投与中に妊娠が判明した場合には、直ちに投与を中止すること。
(2). 妊娠する可能性のある女性:次の事項について、本剤投与開始時に患者に説明すること。また、投与中も必要に応じ説明すること。
・ 妊娠する可能性のある女性:妊娠中に本剤を使用した場合、胎児・新生児に影響を及ぼすリスクがあること。
・ 妊娠する可能性のある女性:妊娠が判明した又は疑われる場合は、速やかに担当医に相談すること。
・ 妊娠する可能性のある女性:妊娠を計画する場合は、担当医に相談すること。
- 相互作用
- 10.1. 併用禁忌:1). デキストラン硫酸固定化セルロースを用いた吸着器によるアフェレーシス施行、トリプトファン固定化PVAを用いた吸着器によるアフェレーシス施行(PVA:ポリビニルアルコール)又はポリエチレンテレフタレートを用いた吸着器によるアフェレーシス施行<リポソーバー、イムソーバTR、セルソーバ等>〔2.3参照〕[ショックを起こすことがある(陰性に荷電したデキストラン硫酸固定化セルロース、トリプトファン固定化ポリビニルアルコール又はポリエチレンテレフタレートにより血中キニン系の産生が亢進し、さらに本剤によりブラジキニンの代謝が妨げられて、ブラジキニンが蓄積すると考えられる)]。
2). アクリロニトリルメタリルスルホン酸ナトリウム膜を用いた透析<AN69>〔2.4参照〕[アナフィラキシーを発現することがある(多価イオン体であるAN69により血中キニン系の産生が亢進し、さらに本剤によりブラジキニンの代謝が妨げられて、ブラジキニンが蓄積すると考えられる)]。
3). アリスキレンフマル酸塩<ラジレス>(糖尿病患者に使用する場合(ただし、他の降圧治療を行ってもなお血圧のコントロールが著しく不良の患者を除く))〔2.6参照〕[非致死性脳卒中・腎機能障害・高カリウム血症及び低血圧のリスク増加が報告されている(併用によりレニン・アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある)]。
4). サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物<エンレスト>〔2.7参照〕[血管浮腫があらわれるおそれがあるので、併用薬剤を投与する場合は、本剤を少なくとも36時間前に中止し、また、併用薬剤の投与終了後に本剤を投与する場合は、36時間以上の間隔をあけること(併用により相加的にブラジキニンの分解を抑制し、血管浮腫のリスクを増加させる可能性がある)]。
10.2. 併用注意:1). カリウム保持性利尿剤(スピロノラクトン、トリアムテレン等)、カリウム補給剤(塩化カリウム<補給剤>等)[血清カリウム値が上昇することがあるので、併用する場合は血清カリウム値に注意すること(本剤はアンジオテンシン2産生を抑制し、アルドステロンの分泌を低下させるため、カリウム排泄を減少させると考えられるので、腎機能障害のある患者には特に注意する)]。
2). アリスキレンフマル酸塩[腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがあるため、腎機能、血清カリウム値及び血圧を十分に観察すること(併用によりレニン・アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある)。なお、eGFRが60mL/min/1.73㎡未満の腎機能障害のある患者へのアリスキレンフマル酸塩との併用については、治療上やむを得ないと判断される場合を除き避けること(併用によりレニン・アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある)]。
3). アンジオテンシン2受容体拮抗剤[腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがあるため、腎機能、血清カリウム値及び血圧を十分に観察すること(併用によりレニン・アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある)]。
4). 利尿降圧剤(トリクロルメチアジド、ヒドロクロロチアジド等)[利尿降圧剤で治療中の患者(特に最近利尿降圧剤投与を開始した患者)に本剤を初めて投与する場合、降圧作用が増強するおそれがあるので少量より投与するなど慎重に投与すること(利尿剤の投与は血漿レニン活性を上昇させているため、本剤の投与により急激な血圧低下を起こすと考えられる)]。
5). リチウム製剤(炭酸リチウム)[リチウム中毒<眠気・振戦・錯乱等>を起こすことがあるので、定期的にリチウムの血中濃度を測定し、異常があれば減量もしくは投与中止する(腎尿細管におけるリチウムの再吸収を促進すると考えられる)]。
6). 非ステロイド性抗炎症剤:①. 非ステロイド性抗炎症剤(インドメタシン等)[定期的に血圧を観察し、適切な処置をとる(非ステロイド性抗炎症剤のプロスタグランジン合成阻害作用により、本剤の降圧作用を減弱させると考えられる)]。
②. 非ステロイド性抗炎症剤(インドメタシン等)[腎機能を悪化させるおそれがあるので、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと(非ステロイド性抗炎症剤のプロスタグランジン合成阻害作用により、腎血流量が低下するためと考えられる)]。
7). カリジノゲナーゼ製剤[過度の血圧低下が引き起こされる可能性がある(本剤のキニン分解抑制作用とカリジノゲナーゼ製剤のキニン産生作用により、血管平滑筋の弛緩が増強すると考えられる)]。
8). 他の降圧作用を有する薬剤(降圧剤、硝酸剤等)[定期的に血圧を測定し、両剤の用量を調節する(相加的に作用(降圧作用)を増強させると考えられる)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 血管浮腫(頻度不明):呼吸困難を伴う顔面腫脹、舌腫脹、声門腫脹、喉頭腫脹を症状とする血管浮腫があらわれることがあるので、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、抗ヒスタミン剤、副腎皮質ホルモン剤の投与及び気道確保等の適切な処置を行うこと〔2.2参照〕。
11.1.2. 血小板減少(0.1%未満)、汎血球減少(頻度不明)。
11.1.3. 急性腎障害(頻度不明)、腎機能障害増悪(0.1%未満)〔9.2.1、16.6.1参照〕。
11.1.4. 高カリウム血症(0.1%未満)〔9.1.2参照〕。
11.1.5. 紅皮症(剥脱性皮膚炎)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、天疱瘡様症状(いずれも頻度不明):紅斑、水疱、そう痒、発熱、粘膜疹等があらわれた場合には投与を中止すること。
11.1.6. 膵炎(頻度不明):血中アミラーゼ上昇、血中リパーゼ上昇等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 11.2. その他の副作用
1). 血液:(0.1~5%未満)赤血球減少、ヘモグロビン減少、ヘマトクリット減少、血小板減少、白血球減少、好酸球増多。
2). 腎臓:(0.1~5%未満)血清クレアチニン上昇、BUN上昇、蛋白尿。
3). 精神神経系:(0.1~5%未満)頭痛、ふらつき、めまい、立ちくらみ、不眠、(頻度不明)眠気。
4). 循環器:(0.1~5%未満)動悸、(頻度不明)低血圧。
5). 呼吸器:(0.1~5%未満)咳、咽頭部異和感・咽頭部不快感、痰、(頻度不明)嗄声。
6). 消化器:(0.1~5%未満)悪心、嘔吐、胃部不快感、腹痛、下痢、(頻度不明)嘔気、食欲不振。
7). 肝臓:(0.1~5%未満)AST上昇、ALT上昇、ALP上昇、LDH上昇、(頻度不明)γ-GTP上昇、黄疸。
8). 過敏症:(0.1~5%未満)発疹、そう痒、(頻度不明)光線過敏症、蕁麻疹。
9). その他:(0.1~5%未満)血清カリウム上昇、口渇、CK上昇、倦怠感、顔面潮紅、(頻度不明)脱毛、しびれ、脱力感、低血糖、耳鳴、味覚異常、胸部不快感、疲労、浮腫。
- 高齢者
- 低用量(例えば2.5mg)から投与を開始するなど、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(本剤は主として腎臓から排泄されるが、一般に高齢者では腎機能が低下していることが多いため高い血中濃度が持続するおそれがあり、副作用が発現又は作用が増強しやすい)。
高齢者では一般に過度の降圧は好ましくないとされている(脳梗塞等が起こるおそれがある)。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。また、投与中に妊娠が判明した場合には、直ちに投与を中止すること(妊娠中期及び後期にアンジオテンシン変換酵素阻害剤又はアンジオテンシン2受容体拮抗剤を投与された患者で羊水過少症、胎児・新生児の死亡、新生児の低血圧、腎不全、高カリウム血症、頭蓋形成不全及び羊水過少症によると推測される四肢拘縮、頭蓋顔面変形、肺低形成等があらわれたとの報告がある。また、海外で実施されたレトロスペクティブな疫学調査で、妊娠初期にアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与された患者群において、胎児奇形の相対リスクは降圧剤が投与されていない患者群に比べ高かったとの報告がある)〔2.5、9.4.1参照〕。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続または中止を検討すること(動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが認められている)。
- 小児等
- 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤交付時の注意PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
アルミピロー開封後は湿気を避けて保存すること。
- その他の注意
- 15.1. 臨床使用に基づく情報インスリン又は経口血糖降下剤の投与中にアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与することにより低血糖が起こりやすいとの報告がある。
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人にイミダプリル塩酸塩10mgを単回経口投与した場合、イミダプリルは投与2時間前後に最高血漿中濃度(Cmax)に達し、以後約2時間の半減期(t1/2)で減少した。一方、活性代謝物であるイミダプリラートの血漿中濃度は投与後6~8時間にCmax(約15ng/mL)に達した後、t1/2約8時間で緩徐に血漿中より消失した。
16.1.2 反復投与
健康成人にイミダプリル塩酸塩10mgを1日1回、7日間反復経口投与した時のイミダプリラートの血漿中濃度は投与3~5日目で定常状態に達した。
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16.1.3 生物学的同等性試験
〈イミダプリル塩酸塩錠2.5mg「サワイ」〉
イミダプリル塩酸塩錠2.5mg「サワイ」とタナトリル錠2.5を健康成人男子にそれぞれ1錠(イミダプリル塩酸塩として2.5mg)空腹時単回経口投与(クロスオーバー法)し、血漿中イミダプリル濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された。
各製剤1錠投与時の薬物動態パラメータ
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〈イミダプリル塩酸塩錠5mg「サワイ」〉
イミダプリル塩酸塩錠5mg「サワイ」とタナトリル錠5を健康成人男子にそれぞれ1錠(イミダプリル塩酸塩として5mg)空腹時単回経口投与(クロスオーバー法)し、血漿中イミダプリル濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された。
各製剤1錠投与時の薬物動態パラメータ
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〈イミダプリル塩酸塩錠10mg「サワイ」〉
イミダプリル塩酸塩錠10mg「サワイ」とタナトリル錠10を健康成人男子にそれぞれ1錠(イミダプリル塩酸塩として10mg)空腹時単回経口投与(クロスオーバー法)し、血漿中イミダプリル濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された。
各製剤1錠投与時の薬物動態パラメータ
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血漿中濃度ならびにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.3 分布
16.3.1 組織移行
ラットに14C‐イミダプリルを経口投与した場合、投与30分~1時間後の時点では消化管内容を除いて腎臓、肺に高濃度で分布し、次いで肝臓で高かった。他の臓器はいずれも血漿中濃度より低かった。動脈壁の濃度は投与2時間後まで血漿中濃度の約1/2であったが、6時間後以降は逆に2~4倍高くなった。投与24時間後における各組織の放射能濃度は検出限界近くまで減少したが、特に肺では血漿中濃度の約80倍の濃度を示した。
16.3.2 蛋白結合率
ヒトにおけるイミダプリル及びイミダプリラートの血漿蛋白結合率は、それぞれ、85%、51%(限外ろ過法)であった(in vitro)。
16.4 代謝
イミダプリル塩酸塩は、ヒトにおいて未変化体のほかに4種の代謝物が生成されるが、これらの代謝物の中で活性を有する代謝物はジアシド体(イミダプリラート)のみである。
16.5 排泄
健康成人にイミダプリル塩酸塩10mgを単回経口投与した場合、投与後24時間までの尿中総排泄率は投与量の25.5%である。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
高度腎障害を伴う高血圧症患者3例(血清クレアチニン:3.3、2.9、1.9mg/dL)にイミダプリル塩酸塩5mgを1日1回反復経口投与した時の血漿中イミダプリラート濃度推移は、腎障害を伴わない高血圧症患者13例に10mgを投与した成績と比較すると、最高血漿中濃度到達時間(tmax)の延長(約11時間)ならびにt1/2の延長(約18時間)が認められた。腎障害患者のCmax(約18ng/mL)は腎障害を伴わない患者の値(約11ng/mL)に比べ高かった。[9.2.1、11.1.3参照]
17.1 有効性及び安全性に関する試験
国内で実施された二重盲検比較試験を含む臨床試験の概要は次のとおりである。
〈本態性高血圧症(軽・中等症)〉
17.1.1 国内第III相比較試験
イミダプリル塩酸塩5mg錠又は10mg錠を1日1回12週間経口投与した二重盲検比較試験における有効率は、71.3%(77例/108例)であった。
副作用発現頻度は5.6%(6例/108例)であった。主な副作用は動悸1.9%(2例/108例)であった。
〈重症高血圧症〉
17.1.2 国内後期第II相試験
重症高血圧症を対象とした一般臨床試験の有効率は100%(24例/24例)であった。
〈腎実質性高血圧症〉
17.1.3 国内後期第II相試験
イミダプリル塩酸塩2.5~20mgを1日1回(外来4~8週間、入院2~4週間)経口投与した時の有効率は78.8%(26例/33例)であった。
副作用発現頻度は5.9%(2例/34例)であった。副作用の内訳は咽頭不快感、口渇感いずれも2.9%(1例/34例)であった。
〈1型糖尿病に伴う糖尿病性腎症〉
17.1.4 国内第III相比較試験
イミダプリル塩酸塩5mgを1日1回3年間経口投与した、二重盲検比較試験における尿中アルブミン排泄量の変化量はプラセボ群が72%増加したのに対し、イミダプリル塩酸塩投与群では41%減少し、両群間で有意な差が認められた(p<0.001)。
副作用発現頻度は8%(2例/26例)であった。副作用の内訳は握力低下、不眠いずれも4%(1例/26例)であった。
18.1 作用機序
イミダプリル塩酸塩は経口投与後、加水分解により活性代謝物であるジアシド体(イミダプリラート)に変換される。イミダプリラートが血中・組織中のACE活性を阻害し、昇圧物質であるアンジオテンシンIIの生成を抑制することによって降圧作用を発現する。
18.2 アンジオテンシン変換酵素阻害作用
18.2.1 イミダプリル塩酸塩の活性代謝物であるイミダプリラートは、ブタ腎皮質及びヒト血清から調製したACEの活性をin vitroで拮抗的かつ濃度依存的に阻害する。
18.2.2 イミダプリル塩酸塩及びイミダプリラートをラットに経口投与すると、アンジオテンシンIにより誘発される昇圧反応は用量依存的に抑制される。
18.3 降圧作用
18.3.1 自然発症高血圧ラット(SHR)及び2腎性高血圧ラットにイミダプリル塩酸塩を経口投与すると用量依存的な降圧作用が認められるが、正常血圧ラットに対する降圧作用は極めて軽度で、DOCA/食塩高血圧ラットでは十分な降圧を認めなかった。
18.3.2 SHRにおいてイミダプリル塩酸塩の2週間連続経口投与は心拍数に影響を与えず、持続的な降圧作用を示す。
18.3.3 本態性高血圧症患者において、イミダプリル塩酸塩を通常用量にて1日1回反復投与した時、24時間にわたって安定した降圧作用が持続し、血圧日内変動幅及び日内較差には影響が認められていない。
18.4 糖尿病性腎症改善作用
18.4.1 イミダプリル塩酸塩はストレプトゾシン(STZ)誘発糖尿病マウスに28日間連続経口投与することにより、腎ACE活性阻害作用、尿中アルブミン排泄量の増加抑制作用及び収縮期血圧低下作用を示す。
18.4.2 麻酔下、STZ誘発糖尿病ラットにおいて、イミダプリル塩酸塩の活性代謝物であるイミダプリラートは静脈内投与により、糸球体ろ過圧、輸入ならびに輸出細動脈血管抵抗を有意に低下させる。
18.5 その他の作用
18.5.1 イヌにイミダプリル塩酸塩又はイミダプリラートを十二指腸内投与又は静脈内投与すると、腎血流量及び糸球体ろ過値は有意に増加される。
18.5.2 昇圧進展期のSHRにイミダプリル塩酸塩を9~10週間連続経口投与した時、昇圧進展の抑制及び高血圧性心肥大の抑制作用が認められている。
- 一包可:不明
無包装状態試験:変化なし
- 分割:可能
- 粉砕:可能
粉砕後試験:判定不明
- 製造販売会社
- 沢井製薬
- 販売会社
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