スインプロイク錠0.2mg

添付文書情報2022年09月改定(第2版)
商品情報
- 禁忌
- 2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.2. 消化管閉塞若しくはその疑いのある患者、又は消化管閉塞の既往歴を有し再発のおそれの高い患者[消化管穿孔を起こすおそれがある]。
- 効能・効果
- オピオイド誘発性便秘症。
- 用法・用量
- 通常、成人にはナルデメジンとして1回0.2mgを1日1回経口投与する。
(用法及び用量に関連する注意)
オピオイドの投与を中止する場合は本剤の投与も中止すること。
- 合併症・既往歴等のある患者
- 8.1. 海外で類薬の投与により、消化管穿孔を来し死亡に至ったとの報告があるので、激しい腹痛又は持続する腹痛等、消化管穿孔が疑われる症状が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと〔9.1.1参照〕。
8.2. オピオイド離脱症候群(一般的には、投与後数分あるいは数日以内に起こる次の症状の複合的な発現:不安、悪心、嘔吐、筋肉痛、流涙、鼻漏、散瞳、立毛、発汗、下痢、あくび、発熱、不眠)を起こすおそれがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと〔9.1.2、13.1参照〕。
9.1.1. 消化管壁脆弱性が認められる又は疑われる疾患を有する患者:消化管潰瘍、憩室疾患、浸潤性消化管がん、がんの腹膜転移、クローン病などの患者では、消化管穿孔の危険性が高まるおそれがある〔8.1参照〕。
9.1.2. 血液脳関門が機能していない又は血液脳関門機能不全が疑われる患者:脳腫瘍<転移性を含む>などの患者では、オピオイド離脱症候群又はオピオイドの鎮痛作用
減弱を起こすおそれがある〔8.2参照〕。
- 相互作用
- 10.2. 併用注意:1). CYP3A阻害剤(イトラコナゾール、フルコナゾール等)〔16.7.4、16.7.5参照〕[本剤の血中濃度が上昇し副作用が発現するおそれがある(CYP3A4を介する本剤の代謝が阻害される)]。
2). CYP3A誘導剤(リファンピシン等)〔16.7.3参照〕[本剤の血中濃度が低下し効果が減弱するおそれがある(CYP3A4を介する本剤の代謝が促進される)]。
3). P-糖蛋白阻害剤(シクロスポリン等)〔16.7.2参照〕[本剤の血中濃度が上昇し副作用が発現するおそれがあり、また、血液脳関門への影響により本剤の脳内濃度が上昇するおそれがある(P-糖蛋白を介する本剤の輸送が阻害される)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 重度下痢(0.7%):脱水症状まで至ることがあるため、異常が認められた場合には補液等の適切な処置を行うこと。
- 11.2. その他の副作用
1). 消化器:(5%以上)下痢(21.3%)、(1~5%未満)腹痛、嘔吐、悪心、食欲減退。
2). その他:(1~5%未満)ALT増加、AST増加、(1%未満)倦怠感、(頻度不明)オピオイド離脱症候群。
- 高齢者
- 一般に生理機能が低下している。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(動物試験において、ウサギで流産及び早産、胎仔体重低値、ラットで分娩中の母動物死亡、出生率低下及び出生仔生存率低下、並びに発育遅延が報告されており、また、ラットで胎仔への移行が認められているが、いずれの動物種でも催奇形性は認められていない)。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(ラットで乳汁中への移行が報告されている)。
- 小児等
- 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤交付時の注意PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
遮光して保存すること。
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人男女に、0.2mgを空腹時(15例)又は食後(高脂肪食)(18例)に単回経口投与したときのナルデメジンの薬物動態パラメータを表16‐1に、平均血漿中濃度推移を添付文書の図16‐1に示す。空腹時投与と比べ食後投与でCmaxは35%減少したが、AUCはほぼ同様の値であった。Tmaxは空腹時の0.75時間から2.50時間に遅延した。食事摂取による吸収の遅延が示唆されたが、吸収量への影響は認められなかった(外国人データ)。
表16‐1 健康成人における単回経口投与時の薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
図16‐1 ナルデメジンの平均血漿中濃度推移
16.1.2 反復投与
〈健康成人〉
健康成人男性各9例に3注、10注、30mg注を1日1回10日間空腹時反復経口投与したとき、血漿中濃度は2日以内に定常状態に達し、Cmax及びAUCはわずかに蓄積(1~1.3倍)した。
〈がん患者〉
オピオイド誘発性便秘症(OIC)を有するがん患者に0.2mgを1日1回14日間経口投与したときの投与1日目の薬物動態パラメータを表16‐2に示す。
表16‐2 OICを有する日本人がん患者における投与1日目の薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
〈非がん患者〉
OICを有する非がん性慢性疼痛患者に0.2mgを1日1回28日間反復経口投与したときの投与1日目及び28日目の薬物動態パラメータを表16‐3に示す(外国人データ)。
表16‐3 OICを有する外国人非がん患者における反復経口投与時の薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
16.3 分布
0.02~2μg/mLの濃度範囲で、ヒト血清蛋白結合率は93.2~94.2%、ヒト血球移行率は13.9~15.5%であった(in vitro試験)。
16.4 代謝
16.4.1 健康成人男性12例に2mg注を単回経口投与したときの血漿中代謝物を検索した結果、血漿中の主要な成分は未変化体であり、nor‐ナルデメジン及びナルデメジン3‐Gの全身曝露量は、それぞれ未変化体の9~13%及び1~2%であった(外国人データ)。
16.4.2 ナルデメジンは主にCYP3A4によってnor‐ナルデメジンに代謝され、一部の代謝にUGT1A3が寄与し、UGT1A3によりナルデメジン3‐Gへと代謝されると推定された(in vitro試験)。
16.5 排泄
放射能で標識した[carbonyl‐14C]‐ナルデメジン及び[oxadiazole‐14C]‐ナルデメジン2mg注をそれぞれ健康成人男性6例に空腹時単回経口投与したとき、[oxadiazole‐14C]‐ナルデメジン投与では投与された放射能の57.3%及び34.8%がそれぞれ尿及び糞中に排泄され、[carbonyl‐14C]‐ナルデメジン投与では投与された放射能の20.4%及び64.3%がそれぞれ尿及び糞中に排泄された。投与量の約20%が尿中に未変化体として排泄された(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害者
健康成人、軽度~重度腎機能障害患者、血液透析を要する末期腎機能不全(ESRD)患者各6~8例に0.2mgを単回経口投与したとき、健康成人と比較し、軽度、中等度、重度の腎機能障害患者及びESRD患者でAUC0-infの比がそれぞれ1.08、1.06、1.38、0.83倍であった。ナルデメジンは血液透析により除去されなかった(外国人データ)。
16.6.2 肝機能障害者
健康成人、軽度(Child‐Pugh分類A)、中等度(Child‐Pugh分類B)の肝機能障害患者各8例に0.2mgを単回経口投与したとき、健康成人と比べ軽度及び中等度の肝機能障害患者でAUC0-infの比がそれぞれ0.83及び1.05倍であった(外国人データ)。
16.6.3 高齢者
母集団薬物動態解析で、OICを有するがん患者の高齢患者(65~85歳)47例と非高齢患者(37~64歳)50例を比較した結果、年齢は本剤の薬物動態に影響を及ぼさなかった。
また、OICを有する非がん性慢性疼痛患者の高齢患者(65~79歳)58例と非高齢患者(19~64歳)387例を比較した結果、年齢は本剤の薬物動態に影響を及ぼさなかった(外国人データ)。
16.7 薬物相互作用
16.7.1 ナルデメジンはP‐糖蛋白トランスポーターの基質である(in vitro試験)。
16.7.2 健康成人男性14例にナルデメジン0.4mg注単独、あるいはシクロスポリン600mgとの併用で、空腹時単回経口投与した。P‐糖蛋白の阻害剤シクロスポリンとの併用により、ナルデメジンのAUCは1.8倍に増大し、Cmaxは1.4倍であった(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.3 健康成人男女14例にナルデメジン0.2mgを単独単回経口投与したのち、リファンピシン600mgを1日1回17日間反復経口投与し、リファンピシン投与15日目にナルデメジン0.2mgを併用投与した。強力なCYP3A誘導剤リファンピシンとの併用で、ナルデメジンのCmaxは38%、AUCは83%低下した(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.4 健康成人男女14例にナルデメジン0.2mgを単独単回経口投与したのち、イトラコナゾールを7日間反復経口投与(1日目に200mgを1日2回投与、その後200mgを1日1回6日間投与)し、イトラコナゾール投与5日目にナルデメジン0.2mgを併用投与した。強力なCYP3A阻害剤及びP‐糖蛋白の阻害剤イトラコナゾールとの併用で、ナルデメジンのAUCは2.9倍に増大し、Cmaxは1.1倍であった。[10.2参照]
16.7.5 健康成人男女14例にナルデメジン0.2mgを単独単回経口投与したのち、フルコナゾールを7日間反復経口投与(1日目に400mgを1日1回投与、その後200mgを1日1回6日間投与)し、フルコナゾール投与5日目にナルデメジン0.2mgを併用投与した。中程度のCYP3A阻害剤フルコナゾールとの併用で、ナルデメジンのAUCは1.9倍に増大し、Cmaxは1.4倍であった。[10.2参照]
注)本剤の承認された用法・用量は、ナルデメジンとして1回0.2mgの1日1回経口投与である。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
〈がん患者でのオピオイド誘発性便秘症〉
17.1.1 国内第III相二重盲検並行群間比較試験
本剤又はプラセボ投与開始日前14日間のオピオイド投与量が安定し、かつその間の自発排便回数が5回以下であるOICを有するがん患者に、本剤0.2mg又はプラセボを2週間投与した。主要評価指標である自発排便レスポンダー率は表17‐1のとおりであり、本剤のプラセボに対する優越性が示された。
表17‐1 自発排便レスポンダー率
→図表を見る(PDF)
副作用発現頻度は21.6%(21/97例)であった。主な副作用は下痢17.5%(17/97例)、腹痛2.1%(2/97例)、嘔吐2.1%(2/97例)であった。
17.1.2 国内第III相継続投与試験
OICを有するがん患者131例を対象として、本剤0.2mgを12週間投与した。患者報告型便秘症状評価(PAC‐SYM)の全体スコア、患者報告型便秘QOL評価(PAC‐QOL)の全体及び満足度スコアは治療期間にわたりベースラインと比較し有意な改善がみられた。最終観測時点のPAC‐SYM(全体)レスポンダー率は18.5%、PAC‐QOL(満足度)レスポンダー率は35.3%であった。
副作用発現頻度は15.3%(20/131例)であった。主な副作用は下痢9.2%(12/131例)であった。
〈非がん性慢性疼痛患者でのオピオイド誘発性便秘症〉
17.1.3 国内第III相長期投与試験
本剤投与開始日前14日間のオピオイド投与量が安定し、かつその間の自発排便回数が5回以下であるOICを有する非がん性慢性疼痛患者53例を対象に本剤0.2mgを48週間投与した(2試験の併合)。有効性評価項目未観測1例を除く計52例における、投与2週間での自発排便レスポンダー率は82.7%であった。
副作用発現頻度は32.1%(17/53例)であった。主な副作用は下痢18.9%(10/53例)、腹痛5.7%(3/53例)であった。
18.1 作用機序
ナルデメジンは末梢性μオピオイド受容体拮抗薬(peripherally‐acting mu‐opioid receptor antagonist:PAMORA)で、消化管に存在するμオピオイド受容体に結合し、オピオイドの末梢性作用に拮抗することによりOICを改善する。
18.2 薬理作用
18.2.1 オピオイド受容体に対する結合親和性
受容体結合実験において、選択的なヒト組換えμ、δ及びκオピオイド受容体結合親和性を示した(in vitro試験)。
18.2.2 オピオイド受容体に対する機能活性
ヒト組換えμ、δ及びκオピオイド受容体に対し、アンタゴニスト活性を示し、アゴニスト活性を示さなかった(in vitro試験)。
18.2.3 便秘に対する作用
単回経口投与により、ラットでモルヒネ及びオキシコドン皮下投与により誘発される小腸輸送能阻害作用及びヒマシ油誘発下痢モデルにおけるモルヒネにより誘発される便秘に対する改善が0.03mg/kg以上で認められた。
18.2.4 モルヒネ誘発鎮痛作用に対する影響
ラットに皮下投与したモルヒネの鎮痛作用に対し、単回経口投与で3mg/kgまで有意な影響を及ぼさなかった。
18.2.5 オピオイド離脱症状
モルヒネ依存ラットへの単回経口投与で1mg/kgの用量まで中枢性のオピオイド離脱症状は認められなかった。
- 一包可:不可
- 分割:不可
- 粉砕:不明
- 製造販売会社
- 塩野義製薬
- 販売会社
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