ゼポジアカプセルスターターパック

添付文書情報2024年12月改定(第1版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 警告
- 1.1. 本剤の投与は、緊急時に十分対応できる医療施設において、本剤についての十分な知識と適応疾患の治療の知識・経験をもつ医師のもとで、本剤による治療の有益性が危険性を上回ると判断される患者のみに使用すること。治療開始に先立ち、本剤が疾病を完治させる薬剤でないことも含め、本剤の有効性及び危険性を患者に十分説明し、患者が理解したことを確認した上で治療を開始すること。
1.2. 本剤の投与により心拍数低下がみられ、特に本剤の漸増期間中に生じる可能性が高いことから、循環器を専門とする医師と連携するなど、適切な処置が行える管理下で本剤の投与を開始すること〔2.3-2.5、7.1、8.1、9.1.1、11.1.5、17.3.2参照〕。
1.3. 本剤の投与により、黄斑浮腫等の重篤な眼疾患が発現することがあるので、十分に対応できる眼科医と連携がとれる場合に使用すること〔8.6、11.1.3参照〕。
1.4. 本剤の治療を行う前に、既存治療薬(5-アミノサリチル酸製剤、ステロイド等)の使用を十分勘案すること〔5.効能又は効果に関連する注意の項参照〕。
- 禁忌
- 2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.2. 活動性感染症を有する患者〔9.1.2、11.1.1参照〕。
2.3. 本剤の投与開始前6ヵ月以内に心筋梗塞、6ヵ月以内に不安定狭心症、6ヵ月以内に脳卒中、6ヵ月以内に一過性脳虚血発作、6ヵ月以内に入院を要する非代償性心不全、6ヵ月以内にNYHA分類3度の心不全又は6ヵ月以内にNYHA分類4度の心不全を発症した患者〔1.2、7.1、8.1、9.1.1、11.1.5、17.3.2参照〕。
2.4. モビッツ2型第2度房室ブロック<ペースメーカー使用を除く>、第3度房室ブロック<ペースメーカー使用を除く>又は洞不全症候群<ペースメーカー使用を除く>の既往歴又は合併症のある患者〔1.2、7.1、8.1、9.1.1、11.1.5、17.3.2参照〕。
2.5. 重度かつ未治療の睡眠時無呼吸のある患者〔1.2、7.1、8.1、9.1.1、11.1.5、17.3.2参照〕。
2.6. 重度肝機能障害<Child-Pugh分類C>のある患者〔9.3.1、11.1.4参照〕。
2.7. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性〔9.5妊婦の項参照〕。
2.8. 生ワクチンを接種しないこと〔10.1参照〕。
- 効能・効果
- 中等症から重症の潰瘍性大腸炎の治療(既存治療で効果不十分な場合に限る)。
(効能又は効果に関連する注意)
過去の治療において、他の薬物療法(5-アミノサリチル酸製剤、ステロイド等)で適切な治療を行っても、疾患に起因する明らかな臨床症状が残る場合に本剤を投与すること〔1.4参照〕。
- 用法・用量
- 通常、成人にはオザニモドとして1~4日目は0.23mg、5~7日目は0.46mg、8日目以降は0.92mgを1日1回経口投与する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 本剤投与開始時に漸増投与を行わなかった場合、心拍数低下が生じる可能性が高くなることから、用法・用量を遵守すること〔1.2、2.3-2.5、8.1、9.1.1、11.1.5、17.3.2参照〕。
7.2. 休薬前と同一の用量で投与再開した場合に一過性心拍数低下が生じる可能性があるため、本剤の休薬期間が次に該当する場合、0.23mgから投与再開し、用法・用量のとおり漸増する[1)投与開始後14日以内に1日以上の休薬、2)投与開始後15~28日の間に7日間を超えて連続して休薬、3)投与開始後28日を経過した後に14日間を超えて連続して休薬]。
7.3. 軽度又は中等度の肝機能障害<Child-Pugh分類A又はB>のある患者へは投与しないことが望ましい(やむを得ず投与する場合には、1~4日目は0.23mg、5~7日目は0.46mgを1日1回、8日目以降は1回0.92mgを2日に1回経口投与すること)〔9.3.2、16.6.2参照〕。
7.4. 本剤の投与開始後12週時点で治療反応が得られない場合は、他の治療への切り替えを考慮すること。
7.5. 感染症のリスクが増加する可能性があるため、本剤とステロイドを除く免疫抑制剤(タクロリムス、シクロスポリン、アザチオプリン等)、生物製剤、ヤヌスキナーゼ<JAK>阻害剤等との併用を避けること(本剤とこれらの薬剤を併用した臨床試験は実施していない、また、投与中止後の本剤の消失には3ヵ月を要することがあるため、本剤投与終了から3ヵ月以内にこれらの薬剤を投与する場合は、患者の状態をより慎重に観察し、感染症等の副作用の発現に十分注意すること)〔8.7、11.1.1参照〕。
7.6. スターターパックに含まれるカプセル(0.23mgカプセル及び0.46mgカプセル)と0.92mgカプセルの生物学的同等性は示されていないため、1~7日目はスターターパック、8日目以降は0.92mgカプセルを使用し、互換使用を行わないこと。
- 生殖能を有する者
- 8.1. 心拍数低下、房室伝導遅延が生じることがあるため、次に注意すること〔1.2、2.3-2.5、7.1、9.1.1、11.1.5、17.3.2参照〕。
8.1.1. 本剤の投与開始前に12誘導心電図により心伝導異常の有無を確認し、本剤の投与の可否を慎重に検討すること。
8.1.2. 患者又はその家族等に対し、本剤投与後に失神、浮動性めまい、息切れなどの症状がみられた場合には主治医に連絡するよう指導すること。特に本剤の漸増期間中は、心拍数低下、房室伝導遅延が生じる可能性が高いため、十分注意すること。
8.2. 本剤の漸増期間中には、めまい、ふらつきがあらわれることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械の作業をする際には注意させること〔11.1.5参照〕。
8.3. 肝機能障害があらわれることがあるため、本剤投与開始前に肝機能検査(ALT、AST、ビリルビン等)を行い、以後も定期的な肝機能検査を行うこと〔9.3.2、11.1.4参照〕。
8.4. 本剤の薬理作用により循環血中のリンパ球数が減少するため、本剤投与開始前に血液検査(血球数算定等)を行うとともに、投与中には定期的に血液検査(血球数算定等)を行うこと。本剤投与開始後、リンパ球数が200/mm3未満となった場合には投与を中断して、患者の状態を慎重に観察し、感染症の徴候に注意すること(投与再開は、リンパ球数500/mm3以上を目安とし、治療上の有益性と危険性を慎重に評価した上で判断すること)〔9.1.2、11.1.1、11.1.6参照〕。
8.5. 本剤投与中に水痘又は帯状疱疹を発症すると重症化の恐れがある為、投与開始前に水痘又は帯状疱疹の既往や予防接種の有無を確認、必要に応じワクチン接種を考慮(接種したワクチンの効果が十分得られる期間経過後に本剤投与開始)すること。
8.6. 黄斑浮腫があらわれることがあるため、本剤投与中は眼底検査を含む定期的な眼科学的検査を実施すること。患者が視覚障害を訴えた場合にも眼科学的検査を実施すること〔1.3、9.1.3、11.1.3参照〕。
8.7. 投与中止後の本剤の消失には3ヵ月を要することがあるため、投与中止後3ヵ月は感染症等の副作用の発現に対する観察を継続すること〔7.5、9.1.2、11.1.1参照〕。
9.1.1. 心拍数低下、心伝導異常、不整脈等を含む心疾患<禁忌対象を除く>のリスクを有する患者又は心拍数低下のリスクを有する薬剤投与中、心伝導異常のリスクを有する薬剤投与中、不整脈のリスクを有する薬剤投与中等を含む心疾患のリスクを有する薬剤投与中の患者:本剤投与による有益性と危険性を考慮した上で、投与の可否を慎重に検討し、本剤の投与を考慮する場合には、本剤の投与開始前に12誘導心電図及びバイタルサインを測定し、初回投与後6時間は継続してバイタルサインの測定を行い、投与から6時間経過後に12誘導心電図を測定し、異常が認められる場合には、12誘導心電図及びバイタルサインの測定を継続すること、また、初回投与後の患者の状態に応じて、漸増期間中も12誘導心電図及びバイタルサインを測定することを検討すること、なお、本剤を休薬し、再度漸増を行う場合も、12誘導心電図及びバイタルサインの測定を行うこと(本剤の投与により心拍数低下、房室伝導遅延が生じることがあり、特に本剤の漸増期間中に生じる可能性が高い)〔1.2、2.3-2.5、7.1、8.1、10.2、11.1.5、17.3.2参照〕。
9.1.2. 感染症<活動性の感染症を有する場合を除く>のある患者〔2.2、8.4、8.7、11.1.1参照〕。
9.1.3. 黄斑浮腫の既往又は黄斑浮腫のリスク因子を有する(ブドウ膜炎又は糖尿病の既往歴等)患者:本剤投与開始前に眼底検査を含む眼科学的検査を実施し、投与中にも定期的な眼科学的検査を実施すること〔8.6、11.1.3参照〕。
9.1.4. 重度呼吸器疾患を有する患者:症状が増悪するおそれがある〔15.2参照〕。
9.3.1. 重度肝機能障害<Child-Pugh分類C>のある患者:投与しないこと(重度の肝機能障害患者を対象とした臨床試験は実施していない、血中濃度が上昇するおそれがあり、また、肝機能障害がさらに悪化するおそれがある)〔2.6、11.1.4参照〕。
9.3.2. 軽度又は中等度の肝機能障害<Child-Pugh分類A又はB>のある患者:投与しないことが望ましいが、やむを得ず投与する場合には、用量を減量するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること(血中濃度が上昇するおそれがあり、また、肝機能障害がさらに悪化するおそれがある)〔7.3、8.3、11.1.4、16.6.2参照〕。
妊娠する可能性のある女性:妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後3ヵ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。本剤投与中に妊娠が確認された場合には直ちに投与を中止すること〔9.5妊婦の項参照〕。
- 相互作用
- オザニモドの活性代謝物CC112273はモノアミンオキシダーゼ(MAO)-Bにより生成し、その代謝にはCYP2C8が関与する〔16.7.1参照〕。
10.1. 併用禁忌:生ワクチン(乾燥弱毒性麻しんワクチン、乾燥弱毒性風しんワクチン、乾燥BCG等)〔2.8参照〕[生ワクチンを接種すると発症するおそれがあるので、本剤の投与中及び投与終了後最低3ヵ月間は接種を避けること、生ワクチンによる免疫獲得が必要な場合は、本剤投与開始1ヵ月以上前に接種すること(本剤は免疫系に抑制的に作用するため、生ワクチンを接種すると、病原性をあらわすおそれがある)]。
10.2. 併用注意:1). CYP2C8阻害作用を有する薬剤(クロピドグレル等)〔16.7.1参照〕[本剤の活性代謝物の血中濃度が上昇し副作用が増強する可能性があるので、これらの薬剤と併用する際には注意すること(本剤の活性代謝物の代謝が阻害され血中濃度が上昇する)]。
2). CYP2C8誘導作用を有する薬剤(リファンピシン等)〔16.7.1参照〕[本剤の活性代謝物の血中濃度が低下し本剤の効果が減弱するおそれがあるので、これらの薬剤と併用しないことが望ましい(本剤の活性代謝物の代謝が促進され血中濃度が低下する)]。
3). MAO阻害剤(セレギリン等)[本剤の活性代謝物の血中濃度が変動するおそれがあるので、これらの薬剤と併用しないことが望ましい(本剤の活性代謝物の生成が阻害され血中濃度が低下する、又は本剤の活性代謝物の代謝が阻害され血中濃度が上昇する)]。
4). QT延長作用のある薬剤、クラス1a抗不整脈剤(キニジン、プロカインアミド等)、クラス3抗不整脈剤(アミオダロン、ソタロール等)〔9.1.1、11.1.5参照〕[心拍数の減少によりTorsades de pointes等の重篤な不整脈を生じるおそれがあるので、本剤の投与開始時に、これらの薬剤と併用しないことが望ましい(本剤の投与により心拍数が減少するため、併用により不整脈を増強するおそれがある)]。
5). 心拍数を低下させる可能性のある薬剤(ジゴキシン等)〔9.1.1、11.1.5参照〕[心拍数の減少により徐脈や心ブロックが発現する可能性があるので、本剤の投与開始時に、これらの薬剤と併用しないことが望ましい(心拍数減少に対して潜在的な相加作用がある)]。
6). β遮断剤(プロプラノロール等)、カルシウムチャネル拮抗剤(ジルチアゼム等)〔9.1.1、11.1.5、16.7.4、16.7.5参照〕[心拍数の減少により徐脈や心ブロックが発現する可能性があるので、本剤の投与開始時に、これらの薬剤と併用する際には注意すること、なお、本剤の投与開始時に、β遮断剤とカルシウムチャネル拮抗剤との3剤併用はしないことが望ましい(心拍数減少に対して潜在的な相加作用がある)]。
7). 不活化ワクチン[本剤の投与中及び投与終了後3ヵ月間はワクチン接種の効果が減弱するおそれがある(本剤は免疫系に抑制的に作用するため、ワクチン接種の効果が減弱する可能性がある)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 感染症:帯状疱疹(2.8%)、口腔ヘルペス(0.6%)等の感染症があらわれることがある〔2.2、7.5、8.4、8.7、9.1.2参照〕。
11.1.2. 進行性多巣性白質脳症(PML)(頻度不明):本剤の投与中及び投与中止後は患者の状態を十分に観察し、意識障害、認知障害、麻痺症状(片麻痺、四肢麻痺)、言語障害、視覚障害等のPMLが疑われる症状があらわれた場合は、MRIによる画像診断及び脳脊髄液検査を行うとともに、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.3. 黄斑浮腫(0.6%):異常が認められた場合には眼科学的検査を実施し、黄斑浮腫が確認された場合には、本剤の投与を中止すること〔1.3、8.6、9.1.3参照〕。
11.1.4. 肝機能障害(4.5%):悪心、嘔吐、腹痛、疲労、食欲不振、黄疸、褐色尿等の肝機能障害が疑われる症状があらわれた場合には、肝機能検査を実施し、肝機能障害が確認された場合は、本剤の投与を中止するなど適切な処置を行うこと〔2.6、8.3、9.3.1、9.3.2参照〕。
11.1.5. 徐脈性不整脈(1.7%):本剤投与後に徐脈性不整脈に関連する徴候又は症状があらわれた場合には、本剤の投与を中止するなど、適切な処置を行うこと〔1.2、2.3-2.5、7.1、8.1、8.2、9.1.1、10.2、17.3.2参照〕。
11.1.6. リンパ球減少(10.2%)〔8.4参照〕。
11.1.7. 可逆性後白質脳症症候群(頻度不明):頭痛、意識障害、痙攣、視力障害等の症状があらわれた場合は、MRI等による画像診断を行うとともに、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 11.2. その他の副作用
1). 感染症および寄生虫症:(頻度不明)上咽頭炎。
2). 免疫系障害:(1%未満)過敏症(発疹、蕁麻疹を含む)。
3). 神経系障害:(1%以上)頭痛。
4). 血管障害:(1%以上)高血圧。
5). 一般・全身障害および投与部位の状態:(頻度不明)末梢性浮腫。
6). 臨床検査:(1%以上)γ-GTP増加、ALT増加、(頻度不明)努力呼気量減少、努力肺活量減少。
- 高齢者
- 患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(一般に高齢者では、生理機能が低下している)。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと(ウサギにおいて、オザニモドの臨床曝露量の5倍以上の曝露量で、胚死亡・胎仔死亡、骨化遅延、並びに大血管異常及び骨格異常が認められている)〔2.7、9.4生殖能を有する者の項参照〕。
授乳しないことが望ましい(ヒト乳汁中への本剤の移行、授乳児への影響及び乳汁産生への影響に関するデータはないが、ラットで本剤及びその代謝物が乳汁中へ移行することが認められている)。
- 小児等
- 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
- 適用上の注意
- 14.1. 薬剤交付時の注意PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
14.2. 薬剤投与時の注意本剤のカプセルを噛んだり、開けたりせずにそのまま飲み込んで服用すること。
- その他の注意
- 15.1. 臨床使用に基づく情報本剤との因果関係は明確ではないが、国内外の臨床試験において悪性腫瘍が報告されている。他のS1P受容体調節剤において皮膚悪性腫瘍のリスクの増加が報告されている。
15.2. 非臨床試験に基づく情報ラット及びサルを用いた一般毒性試験において、肺重量増加及び肺胞単核細胞浸潤の発現率の増加が認められた〔9.1.4参照〕。
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
日本人健康成人(33例)にオザニモド0.23mgを低脂肪食摂取後に単回経口投与したときのオザニモド及び主要活性代謝物CC112273の薬物動態パラメータを次表に示す。
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16.1.2 反復投与
日本人健康成人(33例)にオザニモド0.46、0.92、1.84mg注)を4~10日間の漸増期間を設け1日1回、28日間反復経口投与したときのオザニモド及びCC112273の薬物動態パラメータを次表に示す。
→図表を見る(PDF)
母集団薬物動態解析から推定された日本人の潰瘍性大腸炎患者にオザニモド0.92mgを1日1回反復経口投与したときの定常状態におけるオザニモド及びCC112273の薬物動態パラメータを次表に示す。オザニモドの血漿中濃度は投与開始後7日以内に定常状態に到達し、累積率は約2であった。CC112273の血漿中濃度は投与開始後約57日で定常状態に到達し、累積率は約18であった。
→図表を見る(PDF)
16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
健康成人(24例)にオザニモド0.92mgを高脂肪食又は低脂肪食摂取後に単回経口投与したとき、空腹時と比較してオザニモドのCmax及びAUCに食事の影響は認められなかった(外国人データ)。
16.3 分布
オザニモドの見かけの分布容積(Vz/F)は5590Lであり、組織に広範囲に分布することが示された(外国人データ)。オザニモド(500~1,000nmol/L)のヒト血漿蛋白結合率は97.8~98.7%であった。CC112273及び活性代謝物CC1084037(いずれも500nmol/L)のヒト血漿蛋白結合率は、それぞれ99.1%及び99.3%であった。
16.4 代謝
オザニモドはアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)/アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)及びCYP3A4による一次代謝によりそれぞれC‐酸化体及びN‐脱アルキル化体へと代謝され、N‐脱アルキル化体はN‐アセチルトランスフェラーゼ(NAT)‐2によりN‐アセチル化体が生成するか、MAO‐Bにより脱アミノ化されて主要活性代謝物CC112273が生成する。CC112273はカルボニルレダクターゼ(CBR)により還元されて活性代謝物CC1084037が生成するか、CYP2C8による酸化を受けC‐酸化体が生成する。CC1084037はアルド・ケトレダクターゼ(AKR)1C1/1C2及び/又は3β‐及び11β‐ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)により速やかに酸化されてCC112273となる。CC112273とCC1084037は酸化還元反応により相互変換される。さらに、オキサジアゾール環の嫌気性還元代謝による多くの不活性代謝物の形成に腸内細菌叢が関与する。
健康成人(28例)にオザニモド1.84mg注)を反復投与したとき、オザニモド、CC112273及びCC1084037の循環血中の曝露量はそれぞれ活性薬物の総曝露量の6%、73%及び15%であり、オザニモド、CC112273及びCC1084037を合わせると循環血中の活性薬物の総曝露量の約94%を占めた(外国人データ)。
16.5 排泄
健康成人(6例)に14C標識したオザニモド0.92mgを単回経口投与したとき、投与放射能の約26%及び37%がそれぞれ投与240時間後までの尿中及び投与504時間後までの糞中に、主に不活性代謝物として排泄された(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
末期腎不全(ESRD)の被験者(8例)及び腎機能正常被験者(8例)にオザニモド0.23mgを単回経口投与したとき、腎機能障害がオザニモド及びCC112273の薬物動態に及ぼす影響は次表のとおりであった(外国人データ)。
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16.6.2 肝機能障害患者
軽度(Child‐Pugh分類A)及び中等度(Child‐Pugh分類B)の肝機能障害被験者(各8例)並びに肝機能正常被験者(10例)にオザニモドを投与1~4日目に0.23mg、5~7日目に0.46mg、8日目に0.92mgを1日1回反復経口投与したとき、肝機能障害が投与8日目のオザニモド、CC112273及びCC1084037の薬物動態に及ぼす影響は次表のとおりであった(外国人データ)。重度の肝機能障害被験者(Child‐Pugh分類C)における試験は実施していない。[7.3、9.3.2参照]
→図表を見る(PDF)
16.7 薬物相互作用
16.7.1 併用薬が本剤の薬物動態に及ぼす影響
オザニモドは複数の生体内変換経路を介して広範に代謝され、一部CYP3A4により代謝される。主要活性代謝物CC112273はMAO‐Bにより生成し、その代謝にはCYP2C8が関与する。オザニモドはP‐gpの基質である。
薬物相互作用試験の結果は次表のとおりであった(外国人データ)。[10.、10.2参照]
併用薬の存在下におけるオザニモド及び活性代謝物の薬物動態パラメータの変化
→図表を見る(PDF)
母集団薬物動態解析より、潰瘍性大腸炎患者にオザニモド0.92mgを1日1回反復投与したときの定常状態におけるCC112273のAUC(TAU)は、プレドニゾン又はプレドニゾロンの非併用時及び併用時でそれぞれ93400pg・h/mL及び97800pg・h/mLと推定された。
16.7.2 本剤が併用薬の薬物動態に及ぼす影響
オザニモドが併用薬の薬物動態に及ぼす影響は次のとおりであった(外国人データ)。
オザニモドの存在下における併用薬の薬物動態パラメータの変化
→図表を見る(PDF)
16.7.3 プソイドエフェドリン
健康成人(56例)に、プラセボ又はオザニモド1.84mg注)を10日間の漸増期間を設け1日1回、30日間反復経口投与し、投与30日目にプソイドエフェドリン60mgを併用で単回経口投与し、オザニモドとプソイドエフェドリンの併用投与が血圧に及ぼす影響を評価した。オザニモドとプソイドエフェドリンを併用投与したときとプソイドエフェドリンを単独投与したときの収縮期血圧及び拡張期血圧の最小二乗平均値の差[90%信頼区間]は、それぞれ0.86[-1.81、3.53]mmHg及び0.64[-1.23、2.51]mmHgであった(外国人データ)。
16.7.4 プロプラノロール
健康成人(18例)に、プロプラノロール80mgを1日1回5日間反復経口投与、投与5日目にオザニモド0.23mgを併用で単回経口投与し、オザニモドとプロプラノロールの併用投与の陰性変時作用を評価した。プロプラノロールの定常状態時にオザニモドを併用投与したときの投与12時間までの心拍数の最低値の最小二乗平均値について、オザニモド単独投与時との差[95%信頼区間]は0.47[-2.18、3.12]bpm、プロプラノロール単独投与時との差[95%信頼区間]は-3.60[-5.09、-2.12]bpmであった(外国人データ)。オザニモド0.92mgを反復投与したときの定常状態における評価並びにオザニモド、プロプラノロール及びカルシウムチャネル拮抗薬の3剤を併用したときの評価は実施していない。[10.2参照]
16.7.5 ジルチアゼム
健康成人(18例)に、ジルチアゼム240mgを1日1回5日間反復経口投与、投与5日目にオザニモド0.23mgを併用で単回経口投与し、オザニモドとジルチアゼムの併用投与の陰性変時作用を評価した。ジルチアゼムの定常状態時にオザニモドを併用投与したときの投与12時間までの心拍数の最低値の最小二乗平均値について、オザニモド単独投与時との差[95%信頼区間]は-1.39[-3.17、0.39]bpm、ジルチアゼム単独投与時との差[95%信頼区間]は-4.60[-7.49、-1.71]bpmであった(外国人データ)。オザニモド0.92mgを反復投与したときの定常状態における評価並びにオザニモド、ジルチアゼム及びβ遮断薬の3剤を併用したときの評価は実施していない。[10.2参照]
注)本剤の承認された用法及び用量は「オザニモドとして1~4日目は0.23mg、5~7日目は0.46mg、8日目以降は0.92mgを1日1回経口投与」である。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第II/III相試験
経口5‐アミノサリチル酸製剤又はステロイドの投与歴がある中等症から重症の活動性潰瘍性大腸炎患者を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験を実施した。オザニモド0.92mg若しくは0.46mg※又はプラセボを1日1回経口投与した。オザニモドは漸増投与し、オザニモド0.46mg群では、1~4日目は0.23mg、以降は0.46mgを1日1回経口投与し、オザニモド0.92mg群では、1~4日目は0.23mg、5~7日目は0.46mg、以降は0.92mgを1日1回経口投与した。主要評価項目である投与12週時点の臨床的改善率注1)は次表のとおりであり、主要評価項目においてオザニモド0.46mg群及びオザニモド0.92mg群はプラセボ群と比較して統計学的に有意に高い改善が認められた。
→図表を見る(PDF)
投与12週時点の臨床的寛解率注2)は、オザニモド0.46mg群で17.6%(12/68例)、オザニモド0.92mg群で24.6%(16/65例)、プラセボ群で1.5%(1/65例)であった。
投与12週時に臨床的改善が認められた患者は同じ治療を継続した。当該患者における投与52週時点の臨床的寛解率注2)は、オザニモド0.46mg群で17.6%(12/68例)、オザニモド0.92mg群で29.2%(19/65例)、プラセボ群で7.7%(5/65例)であった。
投与12週までの副作用発現割合は、オザニモド0.46mg群で14.7%(10/68例)、オザニモド0.92mg群で23.1%(15/65例)及びプラセボ群で13.8%(9/65例)であった。主な副作用は、オザニモド0.46mg群で肝機能検査値上昇2.9%(2/68例)、オザニモド0.92mg群でALT増加3.1%(2/65例)、AST増加3.1%(2/65例)及び肝機能異常3.1%(2/65例)であった。
投与52週までの副作用発現割合は、オザニモド0.46mg群で20.6%(14/68例)、オザニモド0.92mg群で32.3%(21/65例)及びプラセボ群で13.8%(9/65例)であった。主な副作用は、オザニモド0.46mg群でγ‐GTP増加5.9%(4/68例)、頭痛2.9%(2/68例)及び肝機能検査値上昇2.9%(2/68例)、オザニモド0.92mg群でALT増加4.6%(3/65例)、帯状疱疹3.1%(2/65例)、回転性めまい3.1%(2/65例)、肝機能異常3.1%(2/65例)、γ‐GTP増加3.1%(2/65例)、AST増加3.1%(2/65例)及び肝機能検査値上昇3.1%(2/65例)であった。
注1)完全Mayoスコアがベースラインから3ポイント以上かつ30%以上低下、かつ直腸出血サブスコアがベースラインから1ポイント以上低下又は絶対値が1ポイント以下となった場合
注2)直腸出血サブスコアが0ポイントで、排便回数サブスコアが1ポイント以下で(かつ排便回数サブスコアがベースラインから1ポイント以上低下)、かつ内視鏡所見サブスコアが1ポイント以下の場合
17.3 その他
17.3.1 QT間隔に対する影響
健康成人を対象としたQT/QTc評価試験において、オザニモドを1~4日目に0.23mg、5~7日目に0.46mg、8~10日目に0.92mg、11~14日目に1.84mg※を1日1回反復経口投与したとき、QTcF間隔のベースラインからの変化量(プラセボ補正)の95%片側信頼区間の上限は閾値の10msecを下回り、QTc間隔の延長は認められなかった。国内第II/III相試験では、投与52週時までに500msec超又はベースラインから60msec超のQTcF延長を示した患者がオザニモド0.46mg群で、各々、3.0%(2/67例)及び3.0%(2/67例)に認められた。オザニモド0.92mg群ではいずれも認められなかった。
17.3.2 心拍数に対する影響
健康成人にオザニモドを1~4日目に0.23mg、5~7日目に0.46mg、8日目以降に0.92mgを1日1回反復経口投与したとき、投与1日目、5日目、8日目の心拍数の推移は次のとおりであった(外国人データ)。[1.2、2.3-2.5、7.1、8.1、9.1.1、11.1.5参照]
※本剤の承認された用法及び用量は「オザニモドとして1~4日目は0.23mg、5~7日目は0.46mg、8日目以降は0.92mgを1日1回経口投与」である。
18.1 作用機序
オザニモドは、スフィンゴシン1‐リン酸(S1P)受容体1(S1P1受容体)及びS1P5受容体に対して高い親和性で選択的に結合する。S1P1受容体に結合し活性化が生じるとS1P1受容体の内在化及び分解が誘導されるため、機能的には拮抗作用を示す。この作用により、リンパ球はリンパ組織と全身循環血間のS1P濃度勾配を感知することができなくなるため、末梢リンパ組織にリンパ球が保持され、循環血中のリンパ球数が減少する。大腸炎の非臨床モデルにおいて、循環血中及び結腸のリンパ球数の減少に伴い、大腸炎の症状及び病理組織学的所見が改善することが示されている。
18.2 げっ歯類炎症性腸疾患モデルに対する作用
2,4,6‐トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)誘発、又はナイーブT細胞養子移入による炎症性腸疾患げっ歯類モデルで、オザニモドの投与によって、疾患由来の体重減少、大腸の重量と長さに基づく疾患重症度並びに近位及び遠位結腸の病理組織学的所見の改善が認められた。
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おくすりのQ&A
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