ヒスロンH錠200mg

添付文書情報2024年12月改定(第3版)
商品情報
- 警告
- 本剤の投与中に重篤な動脈血栓症・重篤な静脈血栓症が発現し、死亡に至った報告がある〔2.1、8.1、9.1.1、11.1.1参照〕。
- 禁忌
- 2.1. 血栓症を起こすおそれの高い次の患者〔1.警告の項、8.1、11.1.1参照〕。
・ 手術後1週間以内の患者〔9.1.1参照〕。
・ 脳梗塞、心筋梗塞、血栓性静脈炎等の血栓性疾患又はその既往歴のある患者。
・ 動脈硬化症の患者。
・ 心臓弁膜症、心房細動、心内膜炎、重篤な心不全等の心疾患のある患者。
・ ホルモン剤投与中(黄体ホルモン、卵胞ホルモン、副腎皮質ホルモン等)の患者〔10.1参照〕。
2.2. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性〔9.5.1参照〕。
2.3. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.4. 診断未確定の性器出血、診断未確定の尿路出血、診断未確定の乳房病変のある患者[病因を見のがすおそれがある]。
2.5. 重篤な肝障害のある患者〔9.3.1参照〕。
2.6. 高カルシウム血症の患者[電解質代謝作用等の関与により症状を増悪させるおそれがある]。
- 効能・効果
- 1). 乳癌。
2). 子宮体癌(子宮内膜癌)。
- 用法・用量
- 乳癌には、メドロキシプロゲステロン酢酸エステルとして通常成人1日600~1200mgを3回に分けて経口投与する。
子宮体癌(内膜癌)には、メドロキシプロゲステロン酢酸エステルとして通常成人1日400~600mgを2~3回に分けて経口投与する。
なお、症状により適宜増減する。
- 肝機能障害患者
- 8.1. 本剤の投与により脳梗塞、心筋梗塞、肺塞栓等の重篤な血栓症があらわれることがあるので、次のことに注意すること〔1.警告の項、2.1、9.1.1、11.1.1参照〕。
・ 投与に際しては、FDP、α2プラスミンインヒビター・プラスミン複合体等の検査を行い、FDP異常、α2プラスミンインヒビター・プラスミン複合体異常が認められた場合には、投与しないこと。
・ 投与に際しては患者の状態を把握し、血栓症発現の危険因子の有無について十分に注意すること。
・ 投与中は定期的にFDP、α2プラスミンインヒビター・プラスミン複合体等の検査を実施し、FDP異常、α2プラスミンインヒビター・プラスミン複合体異常が認められた場合には投与を中止すること。
8.2. 本剤を長期間大量連用すると副腎皮質ホルモン様作用があらわれることがあるので、観察を十分に行うこと。
8.3. メドロキシプロゲステロン酢酸エステルの投与後に髄膜腫が報告されている。
本剤投与中は、頭痛、運動麻痺、視力視野障害、脳神経麻痺、けいれん発作、認知機能変化等の髄膜腫を示唆する症状に注意し、必要に応じて画像検査を実施すること。髄膜腫と診断された場合は本剤の投与中止を検討すること(投与中止後に髄膜腫が縮小した症例が報告されている)〔9.1.7、15.1.3参照〕。
9.1.1. 血栓症を起こすおそれのある次の患者〔1.警告の項、8.1、11.1.1参照〕。
・ 手術後1ヵ月以内<手術後1週間以内を除く>の患者〔2.1参照〕。
・ 高血圧症の患者:高血圧症が悪化することもある。
・ 糖尿病の患者:糖尿病が悪化することもある。
・ 高脂血症の患者。
・ 肥満症の患者。
9.1.2. 心疾患のある患者:ナトリウム貯留又は体液貯留があらわれることがある。
9.1.3. うつ病又はその既往歴のある患者:副腎皮質ホルモン様作用により、病態に影響を与えるおそれがある。
9.1.4. てんかん又はその既往歴のある患者:副腎皮質ホルモン様作用により、症状が悪化するおそれがある。
9.1.5. 片頭痛、喘息、慢性肺機能障害又はその既往歴のある患者:症状が悪化するおそれがある。
9.1.6. ポルフィリン症の患者:症状が悪化するおそれがある。
9.1.7. 髄膜腫又はその既往歴のある患者:髄膜腫や原疾患の状態を踏まえ、本剤投与の必要性を検討すること〔8.3、15.1.3参照〕。
腎機能障害患者:ナトリウム貯留又は体液貯留があらわれることがある。
9.3.1. 重篤な肝障害のある患者:投与しないこと(副作用を増悪させるおそれがある)〔2.5参照〕。
- 相互作用
- 10.1. 併用禁忌:ホルモン剤<血栓症を起こすおそれ>(黄体ホルモン、卵胞ホルモン、副腎皮質ホルモン等)〔2.1参照〕[血栓症を起こすおそれが高くなる(ともに血栓症を起こすおそれがある)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 血栓症(頻度不明):脳梗塞、心筋梗塞、肺塞栓症、腸間膜血栓症、網膜血栓症、血栓性静脈炎等の重篤な血栓症があらわれることがある〔1.警告の項、2.1、8.1、9.1.1参照〕。
11.1.2. うっ血性心不全(頻度不明)。
11.1.3. アナフィラキシー(頻度不明)。
11.1.4. 乳頭水腫(頻度不明):視力低下又は視力消失、眼球突出、複視、片頭痛が急にあらわれた場合には、投与を一時中止し、眼科的検査を行うこと。その結果、乳頭水腫であると診断された場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 11.2. その他の副作用
1). 内分泌:(5%以上)満月様顔貌(12.8%)、(1~5%未満)子宮出血、(1%未満)乳房痛、(頻度不明)クッシング様症状、月経異常、帯下の変化、脱毛、多毛、乳汁漏出、無月経。
2). 血液:(頻度不明)白血球数増加、血小板数増加。
3). 糖代謝:(1~5%未満)耐糖能異常、糖尿病悪化、(1%未満)糖尿、糖尿病性白内障増悪。
4). 精神神経系:(1%未満)筋痙攣、(頻度不明)意識低下、興奮、錯乱様、しびれ、集中困難、神経過敏、振戦、頭痛、多幸症、眠気、不眠、無関心、めまい、抑うつ。
5). 全身症状:(1%未満)体重増加、倦怠感、(頻度不明)食欲亢進、発熱、疲労感。
6). 電解質代謝:(1~5%未満)浮腫、(頻度不明)高カルシウム血症。
7). 眼:(頻度不明)視覚障害。
8). 肝臓:(1~5%未満)AST上昇、ALT上昇、(頻度不明)LDH上昇、胆汁うっ滞性黄疸。
9). 循環器:(1~5%未満)動悸、(1%未満)血圧上昇、(頻度不明)頻脈。
10). 消化器:(1~5%未満)口渇、悪心・嘔吐、(1%未満)便秘、下痢、(頻度不明)食欲不振、腹痛。
11). 皮膚・粘膜:(1~5%未満)ざ瘡、皮膚そう痒感・粘膜そう痒感、発疹、(1%未満)発汗、(頻度不明)じん麻疹。
12). その他:(1~5%未満)嗄声、潮紅、(1%未満)息切れ、熱感。
- 高齢者
- 一般に、生理機能が低下している。
- 授乳婦
- 9.5.1. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと(催奇形性を疑う疫学調査の報告があり、妊娠初期・中期に投与した場合には、女子胎児の外性器男性化又は男子胎児の女性化が起こることがある)〔2.2参照〕。
9.5.2. 黄体ホルモン剤の使用と先天異常児出産との因果関係はいまだ確立されたものではないが、心臓・四肢等の先天異常児を出産した母親では、対照群に比して妊娠初期に黄体又は黄体・卵胞ホルモン剤を使用していた率が有意に高いとする疫学調査の報告がある。
授乳しないことが望ましい(動物実験(ラット)で乳汁移行が認められている)〔16.3.4参照〕。
- 適用上の注意
- 14.1. 薬剤交付時の注意PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
- その他の注意
- 15.1. 臨床使用に基づく情報15.1.1. 放射線の併用により、本剤有効成分を含有する筋注製剤で放射線肺炎等が認められたとの報告がある。
15.1.2. 経口製剤での臨床試験成績はないが、外国において、本剤有効成分を含有する筋注製剤の長期投与で骨密度減少が認められたとの報告がある。
15.1.3. 海外の疫学調査において、メドロキシプロゲステロン酢酸エステルを使用している女性では、使用していない女性と比較して髄膜腫の発生リスクが高かった(オッズ比5.55(95%信頼区間:2.27-13.56))との報告がある〔8.3、9.1.7参照〕。
15.2. 非臨床試験に基づく情報イヌに投与すると乳房に小結節が生じ、そのうちいくつかは悪性であったとの報告及びサルに投与すると子宮内膜癌を生じたとの報告がある。
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
外国人健康成人男性にメドロキシプロゲステロン酢酸エステル(MPA)400mg(50mg錠×8)を単回経口投与したときの血清中濃度(19名の平均値)は次のとおりである。投与後6時間でCmaxは61ng/mLに達し、AUC0-144は4.13μg・h/mL、AUC0-∞は4.90μg・h/mLであった。
16.1.2 反復投与
乳癌患者各6例にMPA600mg(200mg錠を1日3回)及び1200mg(200mg錠×2を1日3回)を14日間反復経口投与したときの血漿中濃度の推移は次のとおりである。
16.3 分布
16.3.1 血漿蛋白結合率
14C‐MPAのヒト(健康成人女性)血漿蛋白結合率は93.3%(120ng/mL)であった(in vitro)。
16.3.2 体組織への分布
雌性ラットに14C‐MPA70mg/kgを単回投与したとき、回腸、肝臓、白色脂肪、褐色脂肪、乳腺、胃及び副腎に高い放射能が認められた。
16.3.3 胎児への移行
妊娠ラットに14C‐MPA70mg/kgを単回投与したとき、胎児への移行が認められ、胎児の肝、腎及び心臓の放射能濃度は、母体血漿中放射能濃度とほぼ同程度であった。
16.3.4 乳汁への移行
授乳期のラットに14C‐MPA70mg/kgを単回投与したとき、乳汁中放射能濃度は血漿中放射能濃度の3~8倍高かった。[9.6参照]
16.5 排泄
乳癌患者12例にMPA1200mg(200mg錠×2を1日3回)を反復経口投与したとき、尿中への17‐O‐hydroxycorticosteroids排泄量は正常域の上限をはるかに上回る増加を示し、17‐ketosteroidsの排泄量も同様であった。これは本剤の代謝産物が尿中に排泄された結果と考えられた。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
〈乳癌〉
17.1.1 国内臨床試験(二重盲検試験)
再発又は根治手術不能の女性乳癌患者57例に対し、本剤1日1200mgを3回に分けて12週間投与した。進行・再発乳癌患者における治療効果の判定基準に基づき効果を判定した結果、有効率は40.4%であり、内訳は完全寛解(CR)8.5%(4/47例)、部分寛解(PR)31.9%(15/47例)であった。
副作用発現頻度は、32.1%(17/53例)であった。主な副作用は、満月様顔貌15.1%(8/53例)、動悸7.5%(4/53例)、嗄声5.7%(3/53例)であった。
17.1.2 国内臨床試験(用量検討試験(一般臨床試験))
進行・再発の女性乳癌患者110例に対し、本剤1日600、800、1000、1200、1600、1800又は2400mgを2~4回に分けて4週間以上投与した。進行・再発乳癌患者における治療効果の判定基準に基づき効果を判定した結果、有効率は29.1%であり、内訳はCR3.6%(4/110例)、PR25.5%(28/110例)であった。試験中に投与量を変更した6例を除く投与量別の有効率は、600~1000mg群が14.3%(6/42例)、1200mg群が38.2%(21/55例)、1600~2400mg群が28.6%(2/7例)であった。
副作用発現頻度は31.8%(35/110例)であった。なお、試験中に投与量を変更した6例を除く投与量別の副作用発現頻度は、600~1000mg群が21.4%(9/42例)、1200mg群が38.2%(21/55例)、1600~2400mg群が28.6%(2/7例)であった。主な副作用は、満月様顔貌、性器出血、耐糖能異常、発疹、口渇、そう痒、糖尿病悪化、ざ瘡であった。
17.1.3 国内臨床試験(一般臨床試験)
原発進行・再発の女性乳癌患者42例に対し、本剤1日1200mgを3回に分けて12週間投与した。進行・再発乳癌患者における治療効果の判定基準に基づき効果を判定した結果、有効率は36.1%であり、内訳はCR13.9%(5/36例)、PR22.2%(8/36例)であった。
副作用発現頻度は19.0%(8/42例)であった。主な副作用は満月様顔貌であった。
〈子宮体癌〉
17.1.4 国内臨床試験(一般臨床試験)
子宮内膜癌患者88例に対し、本剤1日200、400、600又は800mgを2~3回に分けて12週間以上投与した。子宮頸がん及び体がん化学療法直接効果判定基準に基づき効果を判定した結果、有効率は23.6%であり、内訳はCR9.1%(5/55例)、PR14.5%(8/55例)であった。試験中に投与量を変更した5例を除く投与量別の有効率は、400mg群が36.8%(7/19例)、600mg群が15.4%(4/26例)、800mg群が20.0%(1/5例)であった注)。
副作用発現頻度は13.3%(8/60例)であった。なお、試験中に投与量を変更した5例を除く投与量別の副作用発現頻度は、400mg群が4.5%(1/22例)、600mg群が11.5%(3/26例)、800mg群が40.0%(2/5例)であった。主な副作用は満月様顔貌であった。
注)1日投与量200mgの症例は、全例試験中に投与量を変更した。
18.1 作用機序
DNA合成抑制作用、下垂体・副腎・性腺系への抑制作用及び抗エストロゲン作用などにより抗腫瘍効果を発現すると考えられている。
18.2 抗腫瘍作用
〈乳癌〉
18.2.1 DMBA誘発ラット乳癌に対し、MPA24、60、120mg/kg経口投与により用量依存的な抗腫瘍作用が認められた。
ヒト乳癌培養細胞MCF‐7及びそのTamoxifen耐性株R‐27を用いてコロニー形成能に及ぼす効果を検討した結果、両株ともE2(エストラジオール)の存在に関係なく10の-8乗~10の-5乗mol/Lで濃度依存的な細胞増殖抑制作用を示した。
また、ヒト乳癌細胞ZR‐75‐1に対する効果を細胞数計測により検討した結果、E2の存在に関係なく、10の-10乗及び10の-5乗mol/Lで濃度依存的な細胞増殖抑制作用を示し、その作用はE2存在下よりE2非存在下で強かった。
〈子宮内膜癌〉
18.2.2 ヌードマウスに移植したヒト子宮内膜腺癌細胞AD‐30に対する効果を0.1、10、100mg/kg/日の経口投与により検討した結果、各投与群で腫瘍倍加時間の有意な延長が認められ、組織学的には細胞の萎縮崩壊とともに、腺腔内への体液成分の貯留が認められた。
- 一包可:不可
抗悪性腫瘍剤
- 分割:不可
- 粉砕:不明
抗悪性腫瘍剤@粉砕後試験:判定不明
- 製造販売会社
- 協和キリン
- 販売会社
おくすりのQ&A
自費で接種された、風疹ワクチンが申請により
補助が受けれることになり、母子手帳記載以外に、予診票の控えがいるとのこと
保管中の予診票の控えを渡したら...
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