フィアスプ注 100単位/mL

添付文書情報2023年07月改定(第3版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 禁忌
- 2.1. 低血糖症状を呈している患者〔11.1.1参照〕。
2.2. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
- 効能・効果
- インスリン療法が適応となる糖尿病。
(効能又は効果に関連する注意)
2型糖尿病患者においては、急を要する場合以外は、あらかじめ糖尿病治療の基本である食事療法、運動療法を十分行ったうえで適用を考慮すること。
- 用法・用量
- 通常、成人では、初期は1回2~20単位を毎食事開始時に皮下投与するが、必要な場合は食事開始後の投与とすることもできる。また、持続型インスリン製剤と併用することがある。投与量は、患者の症状及び検査所見に応じて適宜増減するが、持続型インスリン製剤の投与量を含めた維持量は通常1日4~100単位である。
通常、小児では、毎食事開始時に皮下投与するが、必要な場合は食事開始後の投与とすることもできる。また、持続型インスリン製剤と併用することがある。投与量は、患者の症状及び検査所見に応じて適宜増減するが、持続型インスリン製剤の投与量を含めた維持量は通常1日0.5~1.5単位/kgである。
必要に応じポータブルインスリン用輸液ポンプを用いて投与する。また、必要に応じ静脈内注射を行う。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 本剤は、ノボラピッド注より作用発現が速いため、食事開始時(食事開始前の2分以内)に投与し、また、食事開始後の投与の場合は、食事開始から20分以内に投与すること。なお、食事開始後の投与については、血糖コントロールや低血糖の発現に関する臨床試験成績を踏まえた上で、患者の状況に応じて判断すること〔16.1、16.8.1、17.1.1、17.1.2参照〕。
7.2. 他の追加インスリン製剤から本剤へ切り替える場合、前治療で使用していた製剤と同じ単位数を目安として投与を開始し、本剤への切替え時及びその後の数週間は血糖コントロールのモニタリングを十分に行うこと。
7.3. 小児では、インスリン治療開始時の初期投与量は、患者の状態により個別に決定すること。
7.4. 静脈内注射は、自己注射では行わず、医師等の管理下で行うこと。
- 肝機能障害患者
- 8.1. 低血糖に関する注意について、その対処法も含め患者及びその家族に十分徹底させる(本剤は、作用発現が速いため、ノボラピッド注と比べて低血糖が速く発現する可能性がある)〔9.1.2、11.1.1、16.1、16.8.1参照〕。
8.2. 低血糖症状を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときには注意すること〔11.1.1参照〕。
8.3. 肝機能障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合はインスリン製剤を変更するなど適切な処置を行うこと。
8.4. 急激な血糖コントロールに伴い、糖尿病網膜症の顕在化又は糖尿病網膜症増悪、眼の屈折異常、末梢浮腫、治療後神経障害(主として有痛性神経障害)があらわれることがあるので注意すること。
8.5. 本剤の自己注射にあたっては、次の点に留意すること。
・ 本剤の自己注射にあたっては、投与法について十分な教育訓練を実施したのち、患者自ら確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導の下で実施すること。
・ 本剤の自己注射にあたっては、全ての器具の安全な廃棄方法について指導を徹底すること。
8.6. 本剤と他のインスリン製剤を取り違えないよう、毎回注射する前に本剤のラベル等を確認するよう患者に十分指導すること。
8.7. 同一箇所への繰り返し投与により、注射箇所に皮膚アミロイドーシス又はリポジストロフィーがあらわれることがあるので、定期的に注射箇所を観察するとともに、次の点を患者に指導すること。
・ 本剤の注射箇所は、少なくとも前回の注射箇所から2~3cm離すこと〔14.1.3参照〕。
・ 注射箇所の腫瘤や硬結が認められた場合には、当該箇所への投与を避けること。
8.8. 皮膚アミロイドーシス又はリポジストロフィーがあらわれた箇所に本剤を投与した場合、本剤の吸収が妨げられ十分な血糖コントロールが得られなくなることがあるので、血糖コントロールの不良が認められた場合には、注射箇所の腫瘤や硬結の有無を確認し、注射箇所の変更とともに投与量の調整を行うなどの適切な処置を行うこと(血糖コントロールの不良に伴い、過度に増量されたインスリン製剤が正常な箇所に投与されたことにより、低血糖に至った例が報告されている)。
8.9. インスリン含有単位(UNITS)と液量の単位(mL)を混同することにより、誤ったインスリン量を投与する可能性があるので、本剤を調製又は投与する場合は、「単位」もしくは「UNITS」の目盛が表示されているインスリンバイアル専用注射器(持続皮下インスリン注入(CSII)療法に用いる場合はポータブルインスリン用輸液ポンプの取扱説明書に記載の器具)を用いる。
9.1.1. 手術、外傷、感染症等の患者:インスリン需要の変動が激しい。
9.1.2. 低血糖を起こすおそれがある次の患者又は状態。
・ 脳下垂体機能不全又は副腎機能不全。
・ 下痢、嘔吐等の胃腸障害。
・ 飢餓状態、不規則な食事摂取。
・ 激しい筋肉運動。
・ 過度のアルコール摂取者。
〔8.1、11.1.1参照〕。
9.1.3. 食物の吸収遅延が予測される疾患を有する患者又は食物の吸収を遅延させる薬剤服用中の患者:本剤は作用発現が速いことから、低血糖を起こすおそれがある〔11.1.1参照〕。
9.2.1. 重度腎機能障害患者:低血糖を起こすおそれがある〔11.1.1参照〕。
9.3.1. 重度肝機能障害患者:低血糖を起こすおそれがある〔11.1.1参照〕。
- 相互作用
- 10.2. 併用注意:1). 糖尿病用薬(ビグアナイド薬、スルホニルウレア薬、速効型インスリン分泌促進薬、α-グルコシダーゼ阻害薬、チアゾリジン薬、DPP-4阻害薬、GLP-1受容体作動薬、SGLT2阻害薬等)[血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること〔11.1.1参照〕(血糖降下作用が増強される)]。
2). モノアミン酸化酵素<MAO>阻害剤[血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること〔11.1.1参照〕(インスリン分泌促進、糖新生抑制作用による血糖降下作用を有する)]。
3). 三環系抗うつ剤(ノルトリプチリン塩酸塩等)[血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること〔11.1.1参照〕(機序は不明であるが、インスリン感受性を増強するなどの報告がある)]。
4). サリチル酸誘導体(アスピリン、エテンザミド)[血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること〔11.1.1参照〕(糖に対するβ細胞の感受性の亢進やインスリン利用率の増加等による血糖降下作用を有し、また、末梢で弱いインスリン様作用を有する)]。
5). 抗腫瘍剤(シクロホスファミド水和物)[血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること〔11.1.1参照〕(インスリンが結合する抗体の生成を抑制し、その結合部位からインスリンを遊離させる可能性がある)]。
6). β-遮断剤(プロプラノロール塩酸塩、アテノロール、ピンドロール)[血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること〔11.1.1参照〕(アドレナリンによる低血糖からの回復反応を抑制し、また、低血糖に対する交感神経系の症状(振戦、動悸等)をマスクし、低血糖を遷延させる可能性がある)]。
7). クマリン系薬剤(ワルファリンカリウム)、クロラムフェニコール[血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること〔11.1.1参照〕(機序不明)]。
8). ベザフィブラート[血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること〔11.1.1参照〕(インスリン感受性増強等の作用により、本剤の作用を増強する)]。
9). サルファ剤[血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること〔11.1.1参照〕(膵臓でのインスリン分泌を増加させることにより、低血糖を起こすと考えられており、腎機能低下、空腹状態遷延、栄養不良、過量投与が危険因子となる)]。
10). シベンゾリンコハク酸塩、ジソピラミド、ピルメノール塩酸塩水和物[血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること〔11.1.1参照〕(インスリン分泌作用を認めたとの報告がある)]。
11). チアジド系利尿剤(トリクロルメチアジド)[血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(カリウム喪失が関与すると考えられており、カリウム欠乏時には、血糖上昇反応に対するβ細胞のインスリン分泌能が低下する可能性がある)]。
12). 副腎皮質ステロイド(プレドニゾロン、トリアムシノロン)[血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(糖新生亢進、筋肉組織・脂肪組織からのアミノ酸や脂肪酸の遊離促進、末梢組織でのインスリン感受性低下等による血糖上昇作用を有する)]。
13). ACTH(テトラコサクチド酢酸塩)[血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(副腎皮質刺激作用により糖質コルチコイドの分泌が増加し、糖質コルチコイドは、糖新生亢進、筋肉組織・脂肪組織からのアミノ酸や脂肪酸の遊離促進、末梢組織でのインスリン感受性低下等による血糖上昇作用を有する)]。
14). アドレナリン[血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(糖新生亢進、末梢での糖利用抑制、インスリン分泌抑制による血糖上昇作用を有する)]。
15). グルカゴン、甲状腺ホルモン(レボチロキシンナトリウム水和物)[血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(糖新生亢進、肝グリコーゲン分解促進による血糖上昇作用を有する)]。
16). 成長ホルモン(ソマトロピン)[血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(抗インスリン様作用による血糖上昇作用を有する)]。
17). 卵胞ホルモン(エチニルエストラジオール、結合型エストロゲン)、経口避妊薬[血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(末梢組織でインスリンの作用
に拮抗する)]。
18). ニコチン酸[血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(末梢組織でのインスリン感受性を低下させるため耐糖能障害を起こす)]。
19). 濃グリセリン[血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(代謝されて糖になるため、血糖値が上昇する)]。
20). イソニアジド[血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(炭水化物代謝を阻害することによる血糖上昇作用を有する)]。
21). ダナゾール[血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(インスリン抵抗性を増強するおそれがある)]。
22). フェニトイン[血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(インスリン分泌抑制作用を有する)]。
23). 蛋白同化ステロイド(メテノロン)[血糖降下作用の増強による低血糖症状〔11.1.1参照〕、又は血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(機序不明)]。
24). ソマトスタチンアナログ製剤(オクトレオチド酢酸塩、ランレオチド酢酸塩)[血糖降下作用の増強による低血糖症状〔11.1.1参照〕、又は血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(インスリン、グルカゴン及び成長ホルモン等互いに拮抗的に調節作用をもつホルモン間のバランスが変化することがある)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 低血糖(頻度不明):脱力感、倦怠感、高度空腹感、冷汗、顔面蒼白、動悸、振戦、頭痛、めまい、嘔気、視覚異常、不安、興奮、神経過敏、集中力低下、精神障害、痙攣、意識障害(意識混濁、昏睡)等があらわれることがある。低血糖が無処置の状態が続くと低血糖昏睡等を起こし、重篤な転帰(中枢神経系の不可逆的障害、死亡等)をとるおそれがある。
長期にわたる糖尿病、糖尿病性神経障害、β-遮断剤投与中あるいは強化インスリン療法が行われている場合では、低血糖の初期の自覚症状(冷汗、振戦等)が通常と異なる場合や、自覚症状があらわれないまま、低血糖あるいは低血糖性昏睡に陥ることがある。
低血糖症状が認められた場合には糖質を含む食品を摂取する等、適切な処置を行うこと。
α-グルコシダーゼ阻害薬との併用時に低血糖症状が認められた場合には、ブドウ糖を投与すること。低血糖症状が認められ経口摂取が不可能な場合は、ブドウ糖の静脈内投与やグルカゴンの筋肉内投与等、適切な処置を行うこと。
低血糖は臨床的に回復した場合にも再発することがあるので継続的に観察すること〔2.1、8.1、8.2、9.1.2、9.1.3、9.2.1、9.3.1、9.8高齢者の項、10.2参照〕。
11.1.2. アナフィラキシーショック(頻度不明):呼吸困難、血圧低下、頻脈、発汗、全身発疹、血管神経性浮腫等の症状が認められた場合は投与を中止すること。
- 11.2. その他の副作用
1). 免疫系障害:(頻度不明)過敏症。
2). 代謝及び栄養障害:(頻度不明)抗インスリン抗体産生に伴う血糖コントロール不良。
3). 眼障害:(0.2~3%未満)糖尿病網膜症の顕在化又は糖尿病網膜症増悪。
4). 皮膚及び皮下組織障害:(0.2~3%未満)リポジストロフィー(皮下脂肪萎縮・皮下脂肪肥厚等)、アレルギー性皮膚疾患(発疹、じん麻疹、皮膚そう痒等)、(頻度不明)皮膚アミロイドーシス。
5). 全身障害及び投与部位状態:(0.2~3%未満)注射部位反応/注入部位反応。
- 高齢者
- 患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(生理機能が低下していることが多く、低血糖が発現しやすい)〔11.1.1参照〕。
- 授乳婦
- 妊娠した場合、あるいは妊娠が予測される場合には医師に知らせるよう指導すること。妊娠中、周産期等にはインスリンの需要量が変化しやすいため、用量に留意し、定期的に検査を行い投与量を調整すること(通常インスリン需要量は、妊娠初期は減少し、中期及び後期は増加する)。
用量に留意し、定期的に検査を行い投与量を調整すること(インスリンの需要量が変化しやすい)。
- 小児等
- 9.7.1. 定期的に検査を行い投与量を調整すること(成長、思春期及び活動性によりインスリンの需要量が変化する)。
9.7.2. 小児等に夕食開始後に投与する場合は、夜間低血糖の発現に注意するよう指導すること〔17.1.2参照〕。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤投与時の注意14.1.1. 調製時・調製方法(1). 本剤を0.9%生理食塩水又は5%ブドウ糖溶液に混合し、0.5単位/mLから1.0単位/mLの範囲の濃度に調製し、ポリエチレン製の容器中で放置したとき、24時間後までは安定である。インスリン製剤は混合した直後に容器への吸着が起きるので、持続静脈内注入は血糖値を観察しながら行うこと。
(2). 本剤と他の薬剤<0.9%生理食塩水又は5%ブドウ糖溶液以外>を混合しないこと(他の薬剤との混合に関するデータはない)。
(3). ポータブルインスリン用輸液ポンプを用いる際は、本剤を希釈液や他のインスリン製剤と混合しないこと。
14.1.2. 投与時:ポータブルインスリン用輸液ポンプを用いて投与する際は、次の点について留意し、患者にも指導すること。また、ポータブルインスリン用輸液ポンプや注入器具(チューブやシリンジ等)が正常に機能しない場合に備えて、他のインスリン注射手段(ペン型インスリン注入器製剤等)を常に携帯するよう患者に指導すること。
・ 注入器具(シリンジやチューブ等)の取扱説明書に従って、注入器具の交換を行うこと。
・ ポータブルインスリン用輸液ポンプを用いて投与する際は、インスリンポンプの内部を確認し、注射液の外観に変化がみられた場合は使用しないこと。
14.1.3. 投与部位:皮下注射は腹部・上腕・大腿に行う。同じ部位に注射を行う場合は、その中で注射箇所を毎回変える(前回の注射箇所より2~3cm離して注射する)〔8.7参照〕。
14.1.4. 投与経路:本剤の投与を皮下注射にて行う場合、まれに注射針が血管内に入り、注射後直ちに低血糖があらわれることがあるので注意すること。
14.1.5. その他:バイアルの底や壁に付着物がみられたり、液中に塊や薄片がみられることがあり、また、使用中に液が変色することがあるが、これらのような場合は使用しないこと。
20.1. 使用中は室温に遮光して保管し、4週間以内に使用する(冷蔵庫保管(2~8℃)も可能であるが、凍結を避ける)、残った場合は廃棄すること。
20.2. ポータブルインスリン用輸液ポンプを使用する際はポンプリザーバー内の本剤を6日以内又はポンプの取扱説明書に従っていずれか短い方の期間で交換する(ポンプリザーバー内の本剤を37℃を超える高温にさらさない)。
- その他の注意
- 15.1. 臨床使用に基づく情報15.1.1. インスリン又は経口糖尿病薬の投与中にアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与することにより、低血糖が起こりやすいとの報告がある。
15.1.2. ピオグリタゾンと併用した場合、浮腫が多く報告されているので、併用
する場合には、浮腫及び心不全の徴候を十分観察しながら投与すること。
16.1 血中濃度
[7.1、8.1参照]
16.1.1 皮下投与
1型糖尿病患者43例を対象に、グルコースクランプ施行下で本剤又はノボラピッド注0.2単位/kgを単回皮下投与したときの血清中インスリン アスパルトの薬物動態パラメータ及び濃度推移は、次のとおりであった。ノボラピッド注と比較して本剤投与後ではインスリン アスパルトは血中に速く検出され、投与後初期における曝露量(AUC0-15min、AUC0-30min及びAUC0-1h)は大きかった。本剤及びノボラピッド注の終末相半減期(平均値)は、52.00分及び46.89分であった。
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平均血清中インスリン アスパルト濃度の投与後5時間までの推移
16.1.2 ポータブルインスリン輸液ポンプを用いた投与
1型糖尿病患者48例を対象に、最初に本剤又はノボラピッド注0.08単位/kgを単回投与(priming dose)した後、基礎レート0.02単位/kg/hで本剤又はノボラピッド注を27時間注入した。追加インスリンとして、最初の投与から13時間後に本剤又はノボラピッド注0.15単位/kgを単回投与した。グルコースクランプは、最初の本剤又はノボラピッド注の投与前30分から開始し、投与後27時間まで施行した。
追加インスリンとして本剤又はノボラピッド注0.15単位/kgを単回投与したときの血清中インスリン アスパルトの薬物動態パラメータ及び濃度推移は、次のとおりであった(外国人データ)。
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平均血清中インスリン アスパルト濃度の投与後5時間までの推移
16.2 吸収
健康成人21例を対象に、グルコースクランプ施行下で本剤0.2単位/kgを腹部、上腕部、大腿部に単回皮下投与又は本剤0.02単位/kgを単回静脈内投与した。
皮下投与について、それぞれの投与部位での総曝露量(AUC0-12h)及び最高血中濃度(Cmax)の幾何平均値の比とその95%信頼区間は、上腕/腹部で0.92[0.84;1.01]及び0.92[0.74;1.14]、大腿部/腹部で0.93[0.85;1.01]及び0.70[0.56;0.87]、大腿部/上腕で1.00[0.92;1.09]及び0.76[0.61;0.95]であった。
腹部、上腕部及び大腿部投与後、それぞれ3.07、2.64及び3.33分にインスリン アスパルトが血中に検出された(onset of appearanceの平均値)。絶対的バイオアベイラビリティ(平均値)は腹部、上腕部及び大腿部投与後でそれぞれ83、77及び77%であった。静脈内投与時におけるクリアランス(平均値)は1.13L/h/kgであり、終末相半減期(平均値)は9.28分であった(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 高齢者
高齢者30例(65~73歳:平均年齢68.1歳)及び若年成人37例(22~34歳:平均年齢27.4歳)の1型糖尿病患者を対象に、グルコースクランプ施行下で本剤又はノボラピッド注0.2単位/kgを単回皮下投与した。
本剤の若年成人に対する高齢者のAUC0-12h及びCmaxの幾何平均値の比(高齢者/若年成人)とその95%信頼区間は1.30[1.07;1.57]及び1.28[1.02;1.61]であった。高齢者に対し本剤及びノボラピッド注投与後、それぞれ2.38及び5.22分にインスリン アスパルトが血中に検出された(onset of appearanceの平均値)。本剤又はノボラピッド注投与後15分までの初期における曝露量(AUC0-15min)は23.92及び7.68pmol・h/L、投与後30分までの曝露量(AUC0-30min)は86.82及び47.20pmol・h/Lであった(幾何平均値)(外国人データ)。
16.6.2 小児
小児12例(9~11歳:平均年齢10.4歳)、青少年13例(13~17歳:平均年齢15.1歳)及び成人15例(18~25歳:平均年齢20.2歳)の1型糖尿病患者を対象に、本剤又はノボラピッド注0.2単位/kgを単回皮下投与した。
本剤の成人に対する小児又は青少年のAUC0-12h及びCmaxの幾何平均値の比とその95%信頼区間は、小児/成人で0.59[0.50;0.69]及び0.91[0.70;1.17]、青少年/成人で0.78[0.67;0.90]及び0.99[0.77;1.26]であった。小児に対し本剤及びノボラピッド注投与後、それぞれ5.22及び9.83分にインスリン アスパルトが血中に検出され(onset of appearanceの平均値)、投与後15分までの初期における曝露量(AUC0-15min)は7.31及び2.26pmol・h/L、投与後30分までの曝露量(AUC0-30min)は40.64及び22.79pmol・h/Lであった(幾何平均値)。青少年では、本剤又はノボラピッド注投与後のonset of appearance(平均値)はそれぞれ5.35及び10.96分、AUC0-15min(幾何平均値)は7.24及び1.69pmol・h/L、AUC0-30min(幾何平均値)は39.88及び20.23pmol・h/Lであった(外国人データ)。
16.8 その他
16.8.1 薬力学的特性
1型糖尿病患者43例を対象に、グルコースクランプ施行下で本剤又はノボラピッド注0.2単位/kgを単回皮下投与したときの薬力学パラメータ及びグルコース注入速度の推移は、次のとおりであった。ノボラピッド注と比較して本剤で投与後初期に速やかに血糖降下作用が現れることが認められた。[7.1、8.1参照]
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平均グルコース注入速度の投与後5時間までの推移
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 成人1型糖尿病患者における試験:Basal‐Bolus療法(国際共同第III相試験)
Basal‐Bolus療法実施中の成人1型糖尿病患者1025例〔本剤食前投与群:342例(日本人:73例)、本剤食後投与群:341例(日本人:89例)、ノボラピッド注食前投与群:342例(日本人:83例)〕を対象とし、26週間試験を実施した(治験薬の投与開始前に基礎インスリンの投与量を調整する8週間のrun‐in期間を設定)。盲検下で本剤もしくはノボラピッド注を1日3回食前(食事開始前0~2分前)、又は非盲検下で本剤を1日3回食後(食事終了時又は食事が20分で終了しない場合は食事開始後20分)に皮下投与し、投与量は食前もしくは就寝前の自己血糖測定値又はカーボカウントに基づいて調節した。また、基礎インスリンとしてインスリン デグルデクを1日1回皮下投与した。
主要評価項目であるHbA1cのベースラインから26週の変化量について、本剤の食前投与及び食後投与いずれについてもノボラピッド注に対する非劣性が検証された(非劣性マージン:0.4%)。低血糖、有害事象及びその他の安全性評価項目に群間で明らかな違いは認められなかった。[7.1参照]
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17.1.2 小児1型糖尿病患者における試験:Basal‐Bolus療法(国際共同第III相試験)
Basal‐Bolus療法実施中の小児(1~18歳未満)1型糖尿病患者777例〔本剤食前投与群:260例(日本人:24例)、本剤食後投与群:259例(日本人:19例)、ノボラピッド注食前投与群:258例(日本人:23例)〕を対象とし、26週間試験を実施した(治験薬の投与開始前に基礎インスリンの投与量を調整する12週間のrun‐in期間を設定)。盲検下で本剤もしくはノボラピッド注を1日3回食前(食事開始前0~2分前)、又は非盲検下で本剤を1日3回食後(食事開始後20分)に皮下投与し、投与量は食前もしくは就寝前の自己血糖測定値又はカーボカウントに基づいて調節した。また、基礎インスリンとしてインスリン デグルデクを1日1回皮下投与した。
主要評価項目であるHbA1cのベースラインから26週の変化量について、本剤の食前投与及び食後投与いずれについてもノボラピッド注に対する非劣性が検証された(非劣性マージン:0.4%)。
夜間低血糖の患者あたりの年間発現件数は、本剤食前投与群で3.08件/人・年、本剤食後投与群で3.74件/人・年、ノボラピッド注食前投与群で2.45件/人・年であった。全般的な低血糖、有害事象及びその他の安全性評価項目に群間で明らかな違いは認められなかった。[7.1、9.7.2参照]
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17.1.3 成人1型糖尿病患者における試験:持続皮下インスリン注入療法(海外第III相試験)
持続皮下インスリン注入療法実施中の成人1型糖尿病患者472例(本剤群:236例、ノボラピッド注群:236例)を対象とし、16週間試験を実施した(治験薬の投与開始前に4週間のrun‐in期間を設定)。盲検下で本剤もしくはノボラピッド注を食前(食事開始前0~2分前)にインスリンポンプを用いて注入し、投与量はカーボカウントに基づいて調節した。空腹時及び夜間の血糖値が71~108mg/dLとなるよう基礎レートの調節を行った。
主要評価項目であるHbA1cのベースラインから16週の変化量について、本剤のノボラピッド注に対する非劣性が検証された(非劣性マージン:0.4%)。注入部位反応の単位時間あたりの発現件数は本剤投与群で60.5件/100人・年、ノボラピッド注投与群で44.6件/100人・年であった。週あたりの注入セットの交換回数及びカテーテル閉塞による予定外の注入セットの交換回数は、本剤群及びノボラピッド注群で同様であった。低血糖、有害事象及びその他の安全性評価項目に、群間で明らかな違いは認められなかった。
→図表を見る(PDF)
18.1 作用機序
本剤は、ニコチン酸アミドを添加することにより、インスリン アスパルトの初期吸収を速めた製剤である。インスリン アスパルトは、インスリンB鎖28位のプロリン残基をアスパラギン酸に置換したインスリンアナログであり、インスリンレセプターと結合することにより、作用を発現する。インスリンレセプターに結合したインスリンは、筋肉・脂肪組織における糖の取り込みを促進し、肝臓におけるグルコース産生を阻害することにより、血糖値を低下させる。インスリンは、脂肪細胞における脂肪分解を阻害し、蛋白分解を阻害するとともに、蛋白合成を促進する。
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おくすりのQ&A
自費で接種された、風疹ワクチンが申請により
補助が受けれることになり、母子手帳記載以外に、予診票の控えがいるとのこと
保管中の予診票の控えを渡したら...
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