グリメサゾン軟膏
添付文書情報2023年07月改定(第1版)
商品情報
- 禁忌
- 2.1. 細菌皮膚感染症・真菌皮膚感染症・スピロヘータ皮膚感染症・ウイルス皮膚感染症の患者[感染症を悪化させることがある]。
2.2. 本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者。
2.3. 鼓膜に穿孔のある湿疹性外耳道炎の患者[鼓膜の再生を遅らせ、内耳に重篤な感染性疾患を起こすおそれがある]。
2.4. 潰瘍<ベーチェット病は除く>、第2度深在性以上の熱傷・第2度深在性以上の凍傷の患者[肉芽組織を抑制し、創傷治癒を妨げることがある]。
- 効能・効果
- 1). 湿疹・皮膚炎群(進行性指掌角皮症、ビダール苔癬、放射線皮膚炎、日光皮膚炎を含む)。
2). 皮膚そう痒症。
3). 尋常性乾癬。
4). 虫さされ。
(効能又は効果に関連する注意)
皮膚感染を伴う湿疹・皮膚炎には使用しないことを原則とするが、やむを得ず使用する必要がある場合には、あらかじめ適切な抗菌剤(全身適用)、抗真菌剤による治療を行うか、又はこれらとの併用を考慮すること。
- 用法・用量
- 通常、1日1~数回直接患部に塗布又は塗擦するか、あるいは無菌ガーゼ等にのばして貼付する。なお、症状により適宜増減する。
- 特定の背景を有する患者に関する注意
- 8.1. 大量又は長期にわたる広範囲の使用[特に密封法(ODT)]により、副腎皮質ステロイド剤を全身的投与した場合と同様な症状があらわれることがあるので、特別な場合を除き長期大量使用や密封法(ODT)を極力避けること〔9.5妊婦、9.7小児等、9.8高齢者の項参照〕。
8.2. 本剤の使用により症状の改善がみられない場合又は症状の悪化をみる場合は使用を中止すること。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 11.2. その他の副作用
1). 皮膚感染症:(頻度不明)皮膚真菌性感染症(皮膚カンジダ症、皮膚白癬等)及び皮膚細菌性感染症(伝染性膿痂疹、毛のう炎等)[適切な抗真菌剤、抗菌剤等を併用し、症状が速やかに改善しない場合には、使用を中止すること(密封法(ODT)の場合、起こり易い)]。
2). その他の皮膚症状:(頻度不明)長期連用によるステロイドざ瘡(尋常性ざ瘡に似るが、白色面皰が多発する傾向がある)、ステロイド酒さ・すなわち口囲皮膚炎(口囲紅斑、顔面全体紅斑、丘疹、毛細血管拡張、痂皮、鱗屑を生じる)、ステロイド皮膚(皮膚萎縮、毛細血管拡張)、魚鱗癬様皮膚変化、紫斑、多毛、皮膚色素脱失[徐々にその使用を差し控え、副腎皮質ステロイドを含有しない薬剤に切り換えること]。
3). 過敏症:(頻度不明)皮膚発赤、皮膚そう痒、皮膚刺激感、皮膚腫脹、光線過敏症。
4). 下垂体・副腎皮質系機能:(頻度不明)大量又は長期にわたる広範囲の使用、密封法(ODT)による下垂体・副腎皮質系機能抑制。
5). 眼:(頻度不明)眼瞼皮膚への使用による眼圧亢進、緑内障、大量又は長期にわたる広範囲の使用、密封法(ODT)による後のう白内障、緑内障。
- 高齢者
- 大量又は長期にわたる広範囲の密封法(ODT)等の使用に際しては特に注意すること(一般に生理機能が低下している)〔8.1参照〕。
- 妊婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、大量又は長期にわたる広範囲の使用は避けること〔8.1参照〕。
- 小児等
- 乳児、小児への長期・大量使用又は密封法(ODT)により、発育障害を来すおそれがある。また、おむつは密封法(ODT)と同様の作用があるので注意すること〔8.1参照〕。
- 適用上の注意
- 14.1. 薬剤交付時の注意患者に化粧下、ひげそり後などに使用することのないよう指導すること。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内一般臨床試験
本剤の一般臨床試験は、国内30施設939例について実施され、急性湿疹・皮膚炎群(湿潤型)83.0%(279/336)、慢性湿疹・皮膚炎群(浸潤・苔癬化型)78.8%(298/378)という有効率が認められた。
18.1 作用機序
18.1.1 グリテール
(1)グリテールによるAryl hydrocarbon receptorの活性化によりフィラグリン蛋白の増強及び発現を増加させ、Tヘルパー2サイトカインによるフィラグリン蛋白の発現抑制を回復させる。
(2)グリテールは、アトピー性皮膚炎に関与するTヘルパー2サイトカイン産生の阻害作用がある。
(3)グリテールは、アトピー性皮膚炎発症に重要な役割が考えられているインターロイキン33への阻害作用がある。
18.1.2 デキサメタゾン
デキサメタゾンは合成副腎皮質ホルモンで、天然の糖質コルチコイドと同じ機序により抗炎症作用を発現する。糖質コルチコイドは受容体に結合して特定の遺伝子の転写を開始あるいは阻害する。その結果、起炎物質の生合成抑制と炎症細胞の遊走抑制により抗炎症作用を現すと考えられる。
18.2 薬理作用
18.2.1 血管透過性亢進抑制作用
グリテールはHartley系白色雄性モルモットにおいて、ヒスタミン、ブラジキニン誘発血管透過性亢進に対し濃度依存性抑制作用を示した。
18.2.2 足浮腫抑制作用
グリテールはWistar系雄性ラットにおいて、カラゲニン足浮腫に対し抑制作用を示した。
18.2.3 紫外線紅斑及びアラキドン酸皮膚発赤抑制作用
グリテールはHartley系白色雄性モルモットにおいて、紫外線紅斑及びアラキドン酸皮膚発赤に対し抑制作用を示した。
18.2.4 蛋白滲出及び白血球遊走抑制作用
グリテールはWistar系雄性ラットを用いたCMC‐pouch法において、蛋白滲出及び白血球遊走に対し抑制作用を示した。
18.2.5 I型及びIV型アレルギー反応抑制作用
グリテールはWistar系雄性ラットにおいて、I型アレルギーの48時間homologousPCA反応に対し抑制作用を示した。また、Jcl:ICR系雄性マウスにおいて、オキサゾロン誘発IV型アレルギー性皮膚炎に対し抑制作用を示した。
18.2.6 抗乾癬作用
グリテールはddY系雄性マウスにおいて、乾癬モデルとして有効なTPA誘発皮膚反応である浮腫及び表皮増殖に対し抑制作用を示した。
18.2.7 抗炎症作用
雄の白色モルモットにNicole Hunzikerの方法にならい1%DNCBアセトン溶液を連日塗布し、後約2週間放置して感作を待ち、皮膚炎惹起3日前から、抜毛した5カ所にグリメサゾン軟膏とその主成分である0.1%デキサメタゾン軟膏、0.2%グリテール軟膏、基剤プラスチベースを塗布した。対照に無処置のコントロール部を設けた。0.1%DNCBアセトン溶液を滴下して皮膚炎を惹起し、惹起後6、12、24、48時間毎の皮膚を生検して、各軟膏の抗炎症作用を経時的、組織学的に①リンパ球表皮内遊出②表皮細胞間浮腫③表皮肥厚④真皮内小円形細胞浸潤を観察、効果を比較した。48時間後の組織所見を次表に示した。
→図表を見る(PDF)
すなわち、グリメサゾン軟膏処置の部分は、治癒の段階を思わせる所見が観察された。
- 製造販売会社
- 藤永製薬
- 販売会社
- 第一三共
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