ヘスパンダー輸液
添付文書情報2023年01月改定(第12版)
商品情報
- 警告
- 組織残留性が認められるので、投与は緊急時に短期間にとどめる。
- 禁忌
- 1.うっ血性心不全のある患者[循環血流量の増加によりうっ血性心不全を悪化させる恐れがある]。
2.乏尿等を伴う腎障害又は脱水状態のある患者[腎不全を起こす恐れがある]。
3.本剤及び本剤の成分に対し発疹等過敏症の既往歴のある患者。
4.重症敗血症の患者[患者の状態を悪化させる恐れがある]。
- 効能・効果
- 1.各科領域における出血多量の場合。
2.体外循環における血液希釈液。
<効能・効果に関連する使用上の注意>
重症患者管理における相対的な循環血液量低下には使用しない。
- 用法・用量
- 1回100~1000mLを静脈内に注射する。小児は体重kgあたり、10mL以内を用いる。症状に応じ、適宜増減する。
体外循環における血液希釈液としては、体重kgあたり10~20mLを用いる。
- 慎重投与
- 敗血症<重症敗血症を除く>の患者[重症化した場合に、患者の状態を悪化させる恐れがある]。
- 重要な基本的注意
- 患者の血液粘度、酸塩基平衡及び電解質バランスに注意する。
- 相互作用
- 併用注意:アミノ糖系抗生物質(カナマイシン、ゲンタマイシン等)[併用薬の腎毒性を増強させる恐れがあるので、腎障害が発生した場合には投与を中止し、透析療法等適切な処置を行う(機序は明確ではないが、併用によりアミノグリコシド系抗生物質の血中への蓄積、近位尿細管上皮の空胞変性が生じるという報告がある)]。
- 副作用
- 総症例2,581例中、6例(0.23%)に副作用がみられた[鼻充血1例(0.04%)、蕁麻疹1例(0.04%)、悪寒4例(0.16%)]。
また、臨床検査値には一定の変動は認められなかった(承認時~昭和51年10月31日までの集計)。
次の副作用は、ヒドロキシエチルデンプン製剤(サリンヘス輸液6%)及び頻度が算出できない副作用報告を含む。
- 重大な副作用
- 1.重大な副作用
ショック、アナフィラキシー(呼吸困難、喘鳴等):ショック、アナフィラキシー(呼吸困難、喘鳴等)が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
2.重大な副作用(類薬)腎機能障害:類薬(分子量及び置換度等の異なるHES製剤)において、急性腎不全等の腎機能障害が現れるとの報告があるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行う。
- 3.その他の副作用
1).過敏症:(頻度不明)発疹、そう痒感等[投与を中止するか、又は適切な処置を行う]。
2).血液:(頻度不明)出血時間延長、出血傾向[投与を中止するか、又は適切な処置を行う]。
3).消化器:(頻度不明)悪心、嘔吐。
4).その他:(0.1~5%未満)悪寒、(頻度不明)発熱、頭痛。
- 高齢者への投与
- 一般に高齢者では生理機能が低下しているので減量するなど注意する。
- 取扱い上の注意
- 1.投与速度:急速注入により循環不全及びそれによる組織障害の可能性も考えられるので、通常成人で本品500mLを、小児で10mL/kgを30分以上かけて点滴静注することが望ましい。
2.投与時期:本剤はカリウムを配合しているので、利尿がついてから用いる。
3.投与時:1).本剤は塩化カルシウム水和物を配合しているので、クエン酸加血液、クエン酸加凍結血漿等との混注及び同一輸液セットによる連続使用はしない。
2).ゴム栓部のシールフィルムを開封後直ちに使用し、一部使用して放置した残液や、万一浮遊物の認められるもの、不透明な液は使用しない。
3).ソフトバッグ製品は、原則として連結管を用いたタンデム方式による投与はできない。
1.使用前の注意:1).薬液が漏出したり、混濁・浮遊物などの異物が認められるものは使用しない。
2).ゴム栓部のシールフィルムが万一はがれているときは使用しない。
2.調製時の注意:1).通気針(エアー針)は不要である(軟らかいバッグなので、大気圧で自然に輸液剤が排出される)。
2).注射針は無菌的操作により、ゴム栓部にまっすぐ刺す(斜めに刺すと注射針が容器頚部を貫通し、液漏れの原因となることがある)。なお、輸液セットの針はゴム栓部のOUTに、薬剤添加時(混注)にはINと表示した○印の位置に刺す。
3).薬剤添加後はよく転倒混和して速やかに使用し、貯蔵は避ける。
4).容器の液目盛りはおよその目安として使用する。
3.バッグの取扱い上の注意:軟らかいポリプロピレン製のバッグなので、鋭利なもの等で傷をつけない(液漏れの原因となる)。
- その他の注意
- 1.組織残留性:1).本剤に使用しているヒドロキシエチルデンプン[置換度0.50~0.55、重量平均分子量(Mw)約70000]を家兎に20mL/kg/回を1回投与した結果、体内残留率は、10日後4.6%、60日後1.6%、また、10日間連続投与では、10日後3.2%、30日後2.5%、60日後1.5%、120日後0.8%であった。
2).高分子ヒドロキシエチルデンプン[置換度0.6~0.66、重量平均分子量(Mw)200000]を家兎に5日間静注した結果、120日後でも約14%が体内に残留していたとの動物実験が報告されている。
2.海外臨床試験において、重症敗血症<感染が確認されかつSIRS基準を有し少なくとも1つ臓器不全>(=SOFAスコア3以上)患者に*HES製剤を使用した場合、酢酸リンゲル液を使用した場合と比較して投与後90日時点での死亡のリスクが増加し腎代替療法を要した患者の割合が高かったとの報告がある(SIRS:全身性炎症反応症候群)。また、敗血症患者を含むICU入院患者にHES製剤を使用した場合、生理食塩液を使用した場合と比較して投与後90日までの死亡のリスクは増加しなかったが、腎代替療法を要した患者の割合が高かったとの報告がある。
3.海外臨床試験において、成人の人工心肺を使用した心臓手術時の*輸液管理にHES製剤を使用した場合、アルブミンを使用した場合と比較して輸血が必要となる術後出血及び出血による再手術のリスクが高かったとの報告がある。
*:本剤とは分子量及び置換度等の異なるもの。
本剤を術後患者に投与した結果、ヒドロキシエチルデンプンの低分子部分から尿中へ排泄され、高分子部分は血中に留まった。しかし、高分子部分もα‐アミラーゼにより徐々に低分子化され、尿中へ排泄された。
1.循環血液量維持効果
平均出血量370mLの手術患者に対し、本剤を出血量の1.5倍投与(乳酸リンゲル液併用)した結果、循環血液量は術後2時間まで術前の値を維持し、その間、血圧、中心静脈圧に著変を認めなかった。
2.体外循環希釈効果
希釈体外循環の充てん液として本剤を使用(乳酸リンゲル液及び新鮮血液を併用)した結果、本剤の使用量は体外循環中の循環血液量の10~15%で十分であった。
1.臨床薬理作用
(1)コロイド浸透圧及び晶質浸透圧と体内水分バランス
本剤のコロイド浸透圧及び晶質浸透圧は、それぞれ血漿の浸透圧に近似しているため、細胞間質液の血管内取りこみも、また、血管外への早期移行も少なく、体内水分バランスを崩さなかった(術中使用)。
(2)循環血液量維持効果
血液量の維持効果を131Iを用いて検討した結果、乳酸リンゲル液に比べ循環血液量の維持効果が優れていた(術中使用)。
(3)末梢循環改善作用
血液粘度をわずかに低下させ、末梢循環を改善した(術前使用)。
2.基礎薬理作用
(1)循環血漿量及び血圧保持効果
1)等量輸注
家兎を3mL/分の速度で、20mL/kg脱血し、脱血終了後直ちに等量点滴注入すると、血圧は直ちに95%の回復を示し、以後5時間目まで血圧保持効果が認められた。
2)1.5倍量輸注
15mL/kgを脱血後のイヌに、脱血量の1.5倍量を輸注した場合、等量輸注以上の血圧保持効果が認められた。更に、1.5倍量輸注により心拍数、ECG、心仕事量、中心静脈圧などから、特に心臓に負担をかけていないことが確認された。
(2)血液粘度低下作用
脱水状態の家兎に本剤及び10%デキストラン40をともに60~90mL/30分の速度で投与した結果、ヘマトクリット値の低下は10%デキストラン40より少なかったにもかかわらず、血液粘度の低下は本剤の方が著明であった。本剤は10%デキストラン40と比較して、血液粘度の低下に効果的に作用した。
(3)浸透圧と赤血球形態
浸透圧が血漿に近似しているため、赤血球形態に悪影響を及ぼさない(in vitro)。
(4)電解質組成と酸塩基平衡
電解質組成が細胞外液に近似しており、また、配合された乳酸塩により、アシドーシスの予防に有効である(イヌ)。
- 製造販売会社
- フレゼニウス カービ ジャパン
- 販売会社
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