ダルテパリンNa静注5000単位/5mL「日医工」
添付文書情報2024年01月改定(第1版)
商品情報
- 禁忌
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性〔9.5妊婦の項参照〕。
- 効能・効果
- 1). 血液体外循環時の灌流血液の凝固防止(血液透析)。
2). 汎発性血管内血液凝固症(DIC)。
- 用法・用量
- 〈血液体外循環時の灌流血液の凝固防止(血液透析)〉
本剤を直接又は生理食塩液により希釈して投与する。
・ 出血性病変又は出血傾向を有しない患者の場合
通常、成人には体外循環開始時、ダルテパリンナトリウムとして15~20国際単位/kgを回路内に単回投与し、体外循環開始後は毎時7.5~10国際単位/kgを抗凝固薬注入ラインより持続注入する。
・ 出血性病変又は出血傾向を有する患者の場合
通常、成人には体外循環開始時、ダルテパリンナトリウムとして10~15国際単位/kgを回路内に単回投与し、体外循環開始後は毎時7.5国際単位/kgを抗凝固薬注入ラインより持続注入する。
〈汎発性血管内血液凝固症(DIC)〉
通常、成人にはダルテパリンナトリウムとして1日量75国際単位/kgを24時間かけて静脈内に持続投与する。
なお、症状に応じ適宜増減する。
- 肝機能障害患者
- 8.1. 脊椎・硬膜外麻酔との併用あるいは腰椎穿刺との併用等により、穿刺部位血腫が生じ、神経の圧迫による麻痺があらわれるおそれがあるので、併用する場合には神経障害の徴候及び症状について十分注意し、異常が認められた場合には直ちに適切な処置を行うこと。
8.2. 本剤の抗凝固作用を急速に中和する必要のある場合にはプロタミンを投与する(プロタミン1mgは本剤の100国際単位の効果を抑制する)〔11.1.2参照〕。
9.1.1. 高度な出血症状[汎発性血管内血液凝固症<DIC>を除く]を有する患者:治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと(症状が悪化するおそれがある)。
9.1.2. ヘパリン起因性血小板減少症(HIT:heparin-inducedthrombocytopenia)の既往歴のある患者:治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと、投与が必要な場合は、本剤投与後は血小板数を測定すること(HITがあらわれることがある)〔15.1.1参照〕。
9.1.3. 本剤の成分又はヘパリン、他の低分子量ヘパリンに対し過敏症の既往歴のある患者:治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。
9.3.1. 重篤な肝障害又はその既往歴のある患者:治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと(血中濃度が上昇するおそれがある)。
- 相互作用
- 10.2. 併用注意:1). 抗凝固剤(ヘパリンナトリウム、ワルファリン等)[出血傾向が増強するおそれがある(相加的に抗凝固作用が増強される)]。
2). 血小板凝集抑制作用を有する薬剤(アスピリン、ジピリダモール等)[出血傾向が増強するおそれがある(血小板凝集抑制作用を有するため、抗凝固作用が増強される)]。
3). 非ステロイド性消炎鎮痛薬(イブプロフェン等)[出血傾向が増強するおそれがある(血小板凝集抑制作用を有するため、抗凝固作用が増強される(特に腎不全のある患者))]。
4). 血栓溶解剤(ウロキナーゼ、t-PA製剤等)[出血傾向が増強するおそれがある(血栓溶解作用と、本剤の抗凝固作用の相加的作用による)]。
5). テトラサイクリン系抗生物質、強心配糖体(ジギタリス製剤)[本剤の作用が減弱するおそれがある(機序は不明である)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. ショック・アナフィラキシー(頻度不明):呼吸困難、浮腫等を伴うアナフィラキシーがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、血圧の維持、体液の補充管理、気道の確保等の適切な処置を行うこと。
11.1.2. 出血(0.85%):頭蓋内出血(0.08%)、消化管出血(0.27%)、後腹膜出血(頻度不明)等の重篤な出血があらわれることがある〔8.2参照〕。
11.1.3. 血小板減少(0.01%):血小板数を測定し、著明な血小板減少が認められた場合には投与を中止すること。
11.1.4. 血栓症(頻度不明):著明な血小板減少とそれに伴う血栓症の発現が報告されており、ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)の場合は、著明な血小板減少と脳梗塞、肺塞栓症、深部静脈血栓症等の血栓症やシャント閉塞、回路内閉塞を伴うため、本剤投与後は血小板数を測定し、著明な減少や血栓症を疑わせる異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 11.2. その他の副作用
1). 過敏症:(0.1%未満)そう痒感、発熱、(頻度不明)発疹。
2). 肝臓:(0.1~5%未満)ALT上昇、(0.1%未満)AST上昇、Al-P上昇。
3). 消化器:(0.1%未満)嘔気、食欲不振。
4). 皮膚:(頻度不明)脱毛。
5). その他:(頻度不明)骨粗鬆症。
- 高齢者
- 一般に生理機能が低下している。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと〔2.禁忌の項参照〕。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(動物実験(ラット)で、乳汁中へ移行することが確認されている)。
- 小児等
- 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤投与後の注意外来透析患者では、穿刺部の止血を確認してから帰宅させること。
保存剤を添加していないので、残液を保存使用しないこと。
- その他の注意
- 15.1. 臨床使用に基づく情報15.1.1. ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)はヘパリン-血小板第4因子複合体に対する自己抗体(HIT抗体)の出現による免疫学的機序を介した病態であり、重篤な血栓症(脳梗塞、肺塞栓症、深部静脈血栓症等)を伴うことがある。HIT発現時に出現するHIT抗体は100日程度で消失~低下するとの報告がある。また、投与終了数週間後に、HITが遅延して発現したとの報告もある〔9.1.2参照〕。
15.1.2. 本剤は未分画ヘパリンや他の低分子量ヘパリン又は合成多糖類と製造工程、分子量の分布が異なり、同一単位(抗第10a因子活性)でも他のヘパリン類とは必ずしも互換性がないため、投与量の設定の際には本剤の用法・用量に従うこと。
15.2. 非臨床試験に基づく情報15.2.1. 動物実験での反復投与試験(ラット)において高用量で対照薬(ヘパリン)に比べて軽度の骨多孔症がみられたとの報告がある。
18.1 作用機序
ダルテパリンナトリウムの抗凝固作用は、アンチトロンビンIIIとの相互作用が主な作用と考えられる。いわゆるヘパリンの各種凝固因子に対する阻害作用は、その分子量約5,000を境に大きく異なることが確かめられている。すなわち、ヘパリンがアンチトロンビンIIIを介して抗第Xa因子作用を発揮するためには分子量が5,000あれば十分であるが、一方ヘパリンがアンチトロンビンIIIを介して抗第IIa(トロンビン)因子作用を発揮するためには分子量は少なくとも5,000以上を必要とする。ダルテパリンナトリウムは平均分子量が約5,000であるため、抗凝固作用の要であると考えられる抗第Xa因子活性は従来のヘパリン(平均分子量12,000~15,000)と同等であるが、出血との相関性が示唆される活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)延長作用(抗トロンビン作用と高い相関性を示す)は弱い。
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