パルナパリンNa透析用500単位/mLバイアル10mL「ILS」
添付文書情報2024年01月改定(第2版)
商品情報
- 禁忌
- 1.パルナパリンナトリウムに対し過敏症状又は過敏症の既往歴のある患者。
2.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人。
- 効能・効果
- 血液体外循環時の灌流血液の凝固防止(血液透析・血液透析濾過・血液濾過)。
- 用法・用量
- 本剤を直接又は生理食塩液により希釈して投与する。
1.出血性病変又は出血傾向を有しない患者の場合:
1).体外循環開始時、パルナパリンナトリウムとして治療1時間あたり7~13単位/kgを体外循環路内血液に単回投与する。なお、体外循環路内の血液凝固状況に応じ適宜増減する。
2).体外循環開始時、パルナパリンナトリウムとして15~20単位/kgを体外循環路内血液に単回投与し、体外循環開始後は毎時6~8単位/kgを抗凝固薬注入ラインより持続注入する。なお、体外循環路内の血液凝固状況に応じ適宜増減する。
2.出血性病変又は出血傾向を有する患者の場合:体外循環開始時、パルナパリンナトリウムとして10~15単位/kgを体外循環路内血液に単回投与し、体外循環開始後は毎時6~9単位/kgを抗凝固薬注入ラインより持続注入する。
- 重要な基本的注意
- 1.本剤の使用にあたっては、観察を十分に行い、出血増悪がみられた場合には減量又は投与を中止する。
2.脊椎・硬膜外麻酔との併用あるいは腰椎穿刺との併用等により、穿刺部位血腫が生じ、神経の圧迫による麻痺が現れる恐れがあるので、併用する場合には神経障害の徴候及び症状について十分注意し、異常が認められた場合には直ちに適切な処置を行う。
- 相互作用
- 他の薬剤との相互作用は、可能なすべての組み合わせについて検討されているわけではない。抗凝固療法施行中に新たに他剤を併用もしくは休薬する場合には、凝固能の変動に注意する。
併用注意:1.抗凝固剤[本剤の作用が出血傾向を増強する恐れがある(本剤の抗凝固作用と血液凝固因子の生合成阻害作用により相加的に出血傾向が増強される)]。
2.サリチル酸誘導体(アスピリン等)、血小板凝集抑制剤(チクロピジン塩酸塩、ジピリダモール等)[本剤の作用が出血傾向を増強する恐れがある(本剤の抗凝固作用と血小板凝集抑制作用により相加的に出血傾向が増強される)]。
3.血栓溶解剤(ウロキナーゼ、t-PA製剤等)[本剤の作用が出血傾向を増強する恐れがある(本剤の抗凝固作用とフィブリン溶解作用により相加的に出血傾向が増強される)]。
4.非ステロイド性消炎剤、糖質副腎皮質ホルモン剤、デキストラン[本剤の作用が出血傾向を増強する恐れがある]。
5.テトラサイクリン系抗生物質、強心配糖体(ジギタリス製剤)[本剤の作用が減弱することがある]。
6.筋弛緩回復剤(スガマデクスナトリウム)[本剤の抗凝固作用が増強される恐れがあるので、患者の状態を観察するとともに血液凝固に関する検査値に注意する(作用機序は不明であるが、スガマデクスナトリウム4mg/kgと抗凝固剤の併用中に活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)又はプロトロンビン時間(PT)の軽度で一過性の延長が認められている)]。
- 副作用
- 本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。
- 重大な副作用
- 1.重大な副作用
1).血小板減少(頻度不明):本剤投与後にヘパリン起因性血小板減少症(HIT)等の著明な血小板減少が現れることがあり、また、類薬でHITに伴う血栓症の発現が報告されているため、本剤投与後は血小板数を測定し、血小板数の著明な減少や血栓症を疑わせる異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
2).ショック、アナフィラキシー(頻度不明):ショック、アナフィラキシーが現れることがあるので、観察を十分に行い、血圧低下、意識低下、呼吸困難、チアノーゼ、蕁麻疹等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
- 2.その他の副作用(頻度不明)1).血液:鼻出血、点状出血、貧血。
2).過敏症:そう痒感、発疹[このような場合には、投与を中止する]。
3).皮膚:脱毛、白斑、出血性皮膚壊死[類薬(ヘパリンナトリウム等)で報告されている]。
4).肝臓:AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)、Al-P上昇、LDH上昇。
5).長期投与:骨粗鬆症、低アルドステロン症[類薬(ヘパリンナトリウム等)で報告されている]。
6).その他:胸部圧迫感、両頬のつっぱり感、頭痛、動悸。
- 高齢者への投与
- 一般に高齢者では、生理機能が低下しているので減量するなど注意する。
- 妊婦・産婦・授乳婦等への投与
- 1.妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しない。
2.動物実験(ラット)で、母乳中へ移行することが確認されているので、投与中は授乳を避けさせる。
- 小児等への投与
- 低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
- 取扱い上の注意
- 1.調製時:抗ヒスタミン剤は、本剤と試験管内で混合すると反応し沈澱を生じることがあるので、混注は避ける。
2.投与時:本剤は保存剤を含有しないので、開封後は速やかに使用し、分割使用は避ける。
3.透析器:本剤は、ヘモファン膜へ吸着することにより、抗凝固活性が低下する恐れがある。
1.本剤は保存剤を含有しないので、分割使用は避ける。
2.安定性試験:長期保存試験(25℃、相対湿度60%、36カ月)の結果、パルナパリンNa透析用500単位/mLバイアル10mL「ILS」は、通常の市場流通下において、3年間安定であることが確認された。
3.使用期限内であっても、開封後はなるべく速やかに使用する。
- その他の注意
- 1.類薬との互換性:本剤は未分画ヘパリンや他の低分子量ヘパリンと製造工程、分子量の分布が異なり、同一単位(抗第10a因子活性)でも他のヘパリン類とは必ずしも互換性がないため、投与量の設定の際には本剤の用法・用量に従う。
2.外来透析患者では、穿刺部の止血を確認してから帰宅させる。
3.ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)はヘパリン-血小板第4因子複合体に対する自己抗体(HIT抗体)の出現による免疫学的機序を介した病態であり、重篤な血栓症(脳梗塞、肺塞栓症、深部静脈血栓症等)を伴うことがある。HIT発現時に出現するHIT抗体は100日程度で消失~低下するとの報告がある。また、投与終了数週間後に、HITが遅延して発現したとの報告もある。
1.血液凝固阻止作用
ヘパリンを化学的に分解して得られた本剤は平均分子量値から低分子ヘパリンとして分類され、ヘパリンナトリウムと同様に、血液中のアンチトロンビンIII(ATIII)を活性化させることにより血液凝固阻止作用を発現する。
2.作用機序
低分子ヘパリンがATIIIに結合することにより、ATIIIと活性型血液凝固第X因子(Xa)、トロンビン(IIa)との結合が促進され、Xa、IIaの活性を阻害することにより間接的に血液凝固阻止作用が発現する。このとき、低分子ヘパリンはヘパリンナトリウムに比してXaをより選択的に阻害するために、出血作用が低減されると考えられている。さらに、こうした凝固因子への阻害活性の差異のほかに、ウサギを用いた実験で血管透過性亢進作用および微小血管系の出血増強作用の低減などの薬理特性も報告されている。
- 製造販売会社
- ILS
- 販売会社
- 扶桑薬品
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