アスピリン腸溶錠100mg「ZE」
添付文書情報2024年03月改定(第1版)
商品情報
- 禁忌
- 2.1. 本剤の成分又はサリチル酸系製剤に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.2. 消化性潰瘍のある患者[プロスタグランジン生合成抑制作用により、胃の血流量が減少し、消化性潰瘍を悪化させることがある]〔9.1.1、11.1.7参照〕。
2.3. 出血傾向のある患者[血小板機能異常が起こることがあるため、出血傾向を助長するおそれがある]〔9.1.3、11.1.2参照〕。
2.4. アスピリン喘息(非ステロイド性消炎鎮痛剤等による喘息発作の誘発)又はその既往歴のある患者[重篤なアスピリン喘息発作を誘発させることがある]〔9.1.4、11.1.5参照〕。
2.5. 出産予定日12週以内の妊婦〔9.5.1参照〕。
2.6. 低出生体重児、新生児又は乳児〔9.7.1参照〕。
- 効能・効果
- 1). 次記疾患における血栓・塞栓形成の抑制:①狭心症(慢性安定狭心症、不安定狭心症)、②心筋梗塞、③虚血性脳血管障害(一過性脳虚血発作(TIA)、脳梗塞)。
2). 冠動脈バイパス術<CABG>施行後あるいは経皮経管冠動脈形成術<PTCA>施行後における血栓・塞栓形成の抑制。
3). 川崎病(川崎病による心血管後遺症を含む)。
- 用法・用量
- 〈狭心症(慢性安定狭心症、不安定狭心症)、心筋梗塞、虚血性脳血管障害(一過性脳虚血発作(TIA)、脳梗塞)における血栓・塞栓形成の抑制、冠動脈バイパス術(CABG)あるいは経皮経管冠動脈形成術(PTCA)施行後における血栓・塞栓形成の抑制に使用する場合〉
通常、成人にはアスピリンとして100mgを1日1回経口投与する。
なお、症状により1回300mgまで増量できる。
〈川崎病(川崎病による心血管後遺症を含む)に使用する場合〉
急性期有熱期間は、アスピリンとして1日体重1kgあたり30~50mgを3回に分けて経口投与する。解熱後の回復期から慢性期は、アスピリンとして1日体重1kgあたり3~5mgを1回経口投与する。
なお、症状に応じて適宜増減する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 急性心筋梗塞ならびに脳梗塞急性期の初期治療において、抗血小板作用の発現を急ぐ場合には、初回投与時には本剤をすりつぶしたり、かみ砕いて服用すること〔17.1.1参照〕。
7.2. 心筋梗塞患者及び経皮経管冠動脈形成術<PTCA>施行患者の初期治療においては、常用量の数倍を投与することが望ましい。
7.3. 原則として川崎病の診断がつき次第、投与を開始することが望ましい。
7.4. 川崎病では発症後数ヵ月間、血小板凝集能が亢進しているので、川崎病の回復期において、本剤を発症後2~3ヵ月間投与し、その後断層心エコー図等の冠動脈検査で冠動脈障害が認められない場合には、本剤の投与を中止すること(冠動脈瘤を形成した症例では、冠動脈瘤の退縮が確認される時期まで投与を継続することが望ましい)。
7.5. 川崎病の治療において、低用量では十分な血小板機能の抑制が認められない場合もあるため、適宜、血小板凝集能の測定等を考慮すること。
- 肝機能障害患者
- 8.1. 脳梗塞患者への投与にあたっては、他の血小板凝集を抑制する薬剤等との相互作用に注意するとともに、高血圧が持続する脳梗塞患者への投与は慎重に行い、投与中は十分な血圧のコントロールを行うこと〔10.2、11.1.2参照〕。
8.2. 川崎病の急性期に対して投与する場合には、適宜、肝機能検査を行い、異常が認められた場合には減量、休薬等の適切な措置を講ずること〔9.7.3、11.1.6参照〕。
8.3. 川崎病患者(川崎病による心血管後遺症を含む)に対して長期投与する場合には、定期的に臨床検査(尿検査、血液検査及び肝機能検査等)を行い、また、異常が認められた場合には減量、休薬等の適切な措置を講ずること〔9.7.3、11.1.6参照〕。
9.1.1. 消化性潰瘍の既往歴のある患者:消化性潰瘍を再発させることがある〔2.2、11.1.7参照〕。
9.1.2. 血液異常又はその既往歴のある患者:血液の異常を悪化又は再発させるおそれがある〔11.1.4参照〕。
9.1.3. 出血傾向素因のある患者:出血を増強させるおそれがある〔2.3、11.1.2参照〕。
9.1.4. 気管支喘息<アスピリン喘息を有する場合を除く>のある患者:アスピリン喘息でないことを十分に確認すること(気管支喘息の患者の中にはアスピリン喘息患者も含まれている可能性があり、それらの患者では重篤な喘息発作を誘発させることがある)〔2.4、11.1.5参照〕。
9.1.5. アルコール常飲している患者:アルコールと同時に服用すると、消化管出血を誘発又は消化管出血増強することがある〔10.2、11.1.2参照〕。
9.1.6. 手術前1週間以内、心臓カテーテル検査前1週間以内又は抜歯前1週間以内の患者:手術、心臓カテーテル検査又は抜歯時の失血量を増加させるおそれがある。
9.1.7. 非ステロイド性消炎鎮痛剤の長期投与による消化性潰瘍のある患者で、本剤の長期投与が必要であり、かつミソプロストールによる治療が行われている患者:本剤を継続投与する場合には、十分経過を観察し、慎重に投与すること(ミソプロストールは非ステロイド性消炎鎮痛剤により生じた消化性潰瘍を効能・効果としているが、ミソプロストールによる治療に抵抗性を示す消化性潰瘍もある)。
9.2.1. 腎障害又はその既往歴のある患者:腎障害を悪化又は再発させるおそれがある。
9.3.1. 肝障害又はその既往歴のある患者:肝障害を悪化又は再発させるおそれがある〔11.1.6参照〕。
- 相互作用
- 10.2. 併用注意:1). 抗凝固剤(クマリン系抗凝固剤(ワルファリンカリウム))〔8.1、11.1.2参照〕[クマリン系抗凝固剤の作用を増強し出血時間の延長・消化管出血等を起こすことがあるので、クマリン系抗凝固剤を減量するなど慎重に投与すること(本剤は血漿タンパクに結合したクマリン系抗凝固剤と置換し、遊離させ、また、本剤は血小板凝集抑制作用、消化管刺激による出血作用を有する)]。
2). 抗凝固剤(血液凝固阻止剤(ヘパリン製剤、ダナパロイドナトリウム、第10a因子阻害剤(リバーロキサバン等)、抗トロンビン剤(ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩等)、トロンボモデュリン アルファ等))〔8.1、11.1.2参照〕[これら薬剤との併用により、出血の危険性が増大するおそれがあるので、観察を十分に行い、注意すること(本剤は血小板凝集抑制作用を有するため、これら薬剤との併用により出血傾向が増強されるおそれがある)]。
3). 血小板凝集抑制作用を有する薬剤(チクロピジン塩酸塩、シロスタゾール、クロピドグレル硫酸塩、トロンボキサン合成阻害剤(オザグレルナトリウム)、プロスタグランジンE1製剤、プロスタグランジンE1誘導体製剤及びプロスタグランジンI2誘導体製剤(ベラプロストナトリウム等)、サルポグレラート塩酸塩、イコサペント酸エチル等)〔8.1、11.1.2参照〕[これら薬剤との併用により、出血の危険性が増大するおそれがあるので、観察を十分に行い、注意すること(本剤は血小板凝集抑制作用を有するため、これら薬剤との併用により出血傾向が増強されるおそれがある)]。
4). 血栓溶解剤(ウロキナーゼ、t-PA製剤等)〔8.1、11.1.2参照〕[これら薬剤との併用により、出血の危険性が増大するおそれがあるので、観察を十分に行い、注意すること(本剤は血小板凝集抑制作用を有するため、これら薬剤との併用により出血傾向が増強されるおそれがある)]。
5). 糖尿病用剤(ヒトインスリン、トルブタミド等)[糖尿病用剤の作用を増強し低血糖を起こすことがあるので、糖尿病用剤を減量するなど慎重に投与すること(本剤(高用量投与時)は血漿タンパクに結合した糖尿病用剤と置換し、遊離させ、また、本剤は大量で血糖降下作用を有する)]。
6). メトトレキサート[メトトレキサートの副作用<骨髄抑制・肝・腎・消化器障害等>が増強されることがある(本剤(高用量投与時)は血漿タンパクに結合したメトトレキサートと置換し、遊離させ、また、本剤はメトトレキサートの腎排泄を阻害すると考えられている)]。
7). バルプロ酸ナトリウム[バルプロ酸ナトリウムの作用を増強し振戦等を起こすことがある(本剤(高用量投与時)は血漿タンパクに結合したバルプロ酸ナトリウムと置換し、遊離させる)]。
8). フェニトイン[総フェニトイン濃度を低下させるが非結合型フェニトイン濃度を低下させないとの報告があるので、総フェニトイン濃度に基づいて増量する際には臨床症状等を慎重に観察すること(本剤(高用量投与時)は血漿タンパクに結合したフェニトインと置換し、遊離させる)]。
9). 副腎皮質ホルモン剤(ベタメタゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン等)[本剤(高用量投与時)との併用時に副腎皮質ホルモン剤を減量すると、サリチル酸中毒を起こすことが報告されており、また、消化管出血を増強させることが考えられる(機序は不明)]。
10). リチウム製剤[リチウム中毒を起こすことが報告されている(本剤(高用量投与時)は腎のプロスタグランジンの生合成を抑制し、腎血流量を減少させることにより、リチウムの腎排泄を低下させることが考えられる)]。
11). チアジド系利尿剤(ヒドロクロロチアジド等)、ループ利尿剤(フロセミド)[これらの薬剤の作用を減弱させることが報告されている(本剤は腎のプロスタグランジンの生合成を抑制して、水、塩類の体内貯留が生じ、利尿剤の水、塩類排泄作用に拮抗するためと考えられる)]。
12). β遮断剤(プロプラノロール塩酸塩、ピンドロール等)、ACE阻害剤(エナラプリルマレイン酸塩等)[これらの薬剤の作用を減弱させることが報告されている(本剤は血管拡張作用を有する腎プロスタグランジンの生合成、遊離を抑制し、血圧を上昇させることが考えられる)]。
13). ニトログリセリン製剤[ニトログリセリンの作用を減弱させることがある(本剤はプロスタグランジンの生合成を抑制することにより、冠動脈を収縮させ、ニトログリセリンの作用を減弱させることが考えられる)]。
14). 尿酸排泄促進剤(プロベネシド、ベンズブロマロン)[これらの薬剤の作用を減弱させることがある(本剤(高用量投与時)はこれらの薬剤の尿酸排泄に拮抗する)]。
15). 非ステロイド性解熱鎮痛消炎剤(インドメタシン、ジクロフェナクナトリウム等)〔8.1、11.1.2参照〕[出血及び腎機能の低下を起こすことがある(機序は不明)]。
16). イブプロフェン、ナプロキセン、ピロキシカム、スルピリン[本剤の血小板凝集抑制作用を減弱するとの報告がある(血小板のシクロオキシゲナーゼ-1(COX-1)と本剤の結合を阻害するためと考えられる)]。
17). 炭酸脱水酵素阻害剤(アセタゾラミド等)[アセタゾラミドの副作用を増強し嗜眠・錯乱等の中枢神経系症状・代謝性アシドーシス等を起こすことが報告されている(本剤は血漿タンパクに結合したアセタゾラミドと置換し、遊離させる)]。
18). ドネペジル塩酸塩〔11.1.7参照〕[消化性潰瘍を起こすことがある(コリン系が賦活され胃酸分泌が促進される)]。
19). タクロリムス水和物、シクロスポリン[腎障害が発現することがある(腎障害の副作用が相互に増強されると考えられる)]。
20). ザフィルルカスト[ザフィルルカストの血漿中濃度が上昇することがある(機序不明)]。
21). プロスタグランジンD2受容体拮抗剤、トロンボキサンA2受容体拮抗剤(ラマトロバン、セラトロダスト)[ヒト血漿タンパク結合に対する相互作用の検討(invitro)において、本剤によりこれらの薬剤の非結合型分率が上昇することがある(これら薬剤が本剤と血漿タンパク結合部位で置換し、遊離型血中濃度が上昇すると考えられる)]。
22). 選択的セロトニン再取り込み阻害剤<SSRI>(フルボキサミンマレイン酸塩、塩酸セルトラリン等)〔8.1、11.1.2参照〕[皮膚の異常出血<斑状出血・紫斑等>、出血症状<胃腸出血等>が報告されている(SSRIの投与により血小板凝集が阻害され、本剤との併用により出血傾向が増強すると考えられる)]。
23). アルコール<経口>〔9.1.5、11.1.2参照〕[消化管出血が増強されるおそれがある(アルコールによる胃粘膜障害と本剤のプロスタグランジン合成阻害作用により、相加的に消化管出血が増強すると考えられる)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明):ショックやアナフィラキシー(呼吸困難、全身潮紅、血管浮腫、じん麻疹等)があらわれることがある。
11.1.2. 出血(頻度不明):脳出血等の頭蓋内出血(初期症状:頭痛、悪心・嘔吐、意識障害、片麻痺等)、肺出血、消化管出血、鼻出血、眼底出血等があらわれることがある〔2.3、8.1、9.1.3、9.1.5、10.2参照〕。
11.1.3. 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、はく脱性皮膚炎(いずれも頻度不明)。
11.1.4. 再生不良性貧血、血小板減少、白血球減少(いずれも頻度不明)〔9.1.2参照〕。
11.1.5. 喘息発作(頻度不明)〔2.4、9.1.4参照〕。
11.1.6. 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明):著しいAST上昇、著しいALT上昇、著しいγ-GTP上昇等を伴う肝機能障害や黄疸があらわれることがある〔8.2、8.3、9.3.1参照〕。
11.1.7. 消化性潰瘍、小腸・大腸潰瘍(いずれも頻度不明):下血(メレナ)を伴う胃潰瘍・十二指腸潰瘍等の消化性潰瘍があらわれることがある。また、消化管出血、腸管穿孔、小腸狭窄・小腸閉塞・大腸狭窄・大腸閉塞を伴う小腸潰瘍・大腸潰瘍があらわれることがある〔2.2、9.1.1、10.2参照〕。
- 11.2. その他の副作用
1). 消化器:(頻度不明)胃腸障害、嘔吐、腹痛、胸やけ、便秘、下痢、食道炎、口唇腫脹、吐血、吐き気、悪心、食欲不振、胃部不快感。
2). 過敏症:(頻度不明)じん麻疹、発疹、浮腫。
3). 血液:(頻度不明)貧血、血小板機能低下(出血時間延長)。
4). 皮膚:(頻度不明)皮膚そう痒、皮疹、膨疹、発汗。
5). 精神神経系:(頻度不明)めまい、興奮、頭痛。
6). 肝臓:(頻度不明)AST上昇、ALT上昇。
7). 腎臓:(頻度不明)腎障害。
8). 循環器:(頻度不明)血圧低下、血管炎、心窩部痛。
9). 呼吸器:(頻度不明)気管支炎、鼻炎。
10). 感覚器:(頻度不明)角膜炎、結膜炎、耳鳴、難聴。
11). その他:(頻度不明)過呼吸、代謝性アシドーシス、倦怠感、低血糖。
- 高齢者
- 患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(一般に腎機能、肝機能などの生理機能が低下しているため、副作用があらわれやすい)。
- 授乳婦
- 9.5.1. 出産予定日12週以内の妊婦:投与しないこと(妊娠期間延長、動脈管早期閉鎖、子宮収縮抑制、分娩時出血増加につながるおそれがある)。海外での大規模な疫学調査では、妊娠中のアスピリン服用と先天異常児出産の因果関係は否定的であるが、長期連用した場合は、母体の貧血、産前産後出血、分娩時間延長、難産、死産、新生児の体重減少・死亡などの危険が高くなるおそれを否定できないとの報告がある。また、ヒトで妊娠末期に投与された患者及びその新生児に出血異常があらわれたとの報告がある。さらに、妊娠末期のラットに投与した実験で、弱い胎仔動脈管収縮が報告されている〔2.5参照〕。
9.5.2. 妊婦<出産予定日12週以内の妊婦は除く>又は妊娠している可能性のある女性:治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。シクロオキシゲナーゼ阻害剤(経口剤、坐剤)を妊婦に使用し、胎児の腎機能障害及び尿量減少、それに伴う羊水過少症が起きたとの報告がある。動物実験(ラット)で催奇形性作用があらわれたとの報告があり、妊娠期間延長、過期産につながるおそれがある。
授乳中の女性には本剤投与中は授乳を避けさせること(母乳中へ移行することが報告されている)。
- 小児等
- 9.7.1. 低出生体重児、新生児又は乳児には投与しない(錠剤である本剤の嚥下が不能である)〔2.6参照〕。
9.7.2. 幼児には本剤の嚥下が可能なことを確認して、慎重に投与すること。
9.7.3. 患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(小児等では、副作用があらわれやすい)。川崎病の治療において肝機能障害の報告があるので、適宜、肝機能検査を行い、注意すること〔8.2、8.3参照〕。
9.7.4. サリチル酸系製剤の使用実態は我が国と異なるものの、米国においてサリチル酸系製剤とライ症候群との関連性を示す疫学調査報告があるので、本剤を15歳未満の水痘、15歳未満のインフルエンザの患者に投与しないことを原則とするが、やむを得ず投与する場合には、慎重に投与し、投与後の患者の状態を十分に観察すること。ライ症候群:小児において極めてまれに水痘、インフルエンザ等のウイルス性疾患の先行後、激しい嘔吐、意識障害、痙攣(急性脳浮腫)と肝臓ほか諸臓器の脂肪沈着、ミトコンドリア変形、AST・ALT・LDH・CKの急激な上昇、高アンモニア血症、低プロトロンビン血症、低血糖等の症状が短期間に発現する高死亡率の病態である。
9.7.5. サリチル酸系製剤の使用実態は我が国と異なるものの、米国においてサリチル酸系製剤とライ症候群との関連性を示す疫学調査報告があるので、本剤投与中の15歳未満の川崎病の患者が水痘、インフルエンザを発症した場合には、投与を中断することを原則とするが、やむを得ず投与を継続する場合には、慎重に投与し、投与後の患者の状態を十分に観察すること。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤投与時の注意14.1.1. 本剤は腸溶錠であるので、急性心筋梗塞ならびに脳梗塞急性期の初期治療に用いる場合以外は、割ったり、砕いたり、すりつぶしたりしないで、そのままかまずに服用させること。
14.1.2. 本剤は空腹時の服用を避けることが望ましい。
14.2. 薬剤交付時の注意PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
アルミピロー包装開封後は、湿気を避けて保存すること。
- その他の注意
- 15.1. 臨床使用に基づく情報15.1.1. 非ステロイド性消炎鎮痛剤を長期間投与されている女性において、一時的不妊が認められたとの報告がある。
15.2. 非臨床試験に基づく情報15.2.1. In vitroの試験において、アスピリン等のグルクロン酸抱合により代謝される薬剤が抗ウイルス剤(ジドブジン)のグルクロン酸抱合を阻害したとの報告がある。
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人男性にアスピリン腸溶錠100mgを空腹時単回経口投与した際の薬物動態パラメータは次のとおりである。
→図表を見る(PDF)
なお、アスピリン腸溶錠は、他製剤(アスピリン普通錠等)と比較して吸収が遅延するので、血中アスピリン及びサリチル酸のTmaxが長く、Cmaxは低い(外国人データ)。
16.1.2 生物学的同等性試験
アスピリン腸溶錠100mg「ZE」を健康成人男子に1錠(アスピリンとして100mg)絶食単回経口投与したときの薬物動態は次のとおりであった。
(「経口固形製剤の処方変更の生物学的同等性試験ガイドライン」に従い、ヒトを対象とした生物学的同等性試験によりバイアスピリン錠100mgとの同等性が確認された旧処方製剤と、現処方製剤について実施した生物学的同等性試験におけるデータ)
薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
血漿中アスピリン濃度推移
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.3 分布
サリチル酸は中枢神経系、母乳、胎児組織を含む全身の組織及び体液中に広く分布する。高濃度の分布が認められるのは血漿、肝臓、腎皮質、心臓、肺である。サリチル酸のタンパク結合率は血中濃度依存性を示し、低濃度域(<100μg/mL)では約90%であるのに対し、高濃度域(>400μg/mL)では約75%である。耳鳴等の過量投与の初期徴候は、血中サリチル酸濃度が約200μg/mLに達すると認められる。重度の毒性作用は400μg/mLを超えると発現する(外国人データ)。[13.1参照]
16.4 代謝
アスピリンは腸管での吸収過程及び生体内(主として肝臓)でサリチル酸に加水分解される。サリチル酸はさらに、生体内でグリシン抱合及びグルクロン酸抱合を受け、また、ごく一部は水酸化を受けゲンチジン酸に代謝される。血中濃度の上昇に伴い、サリチル酸代謝能は飽和に達し、全身クリアランスが低下する。毒性用量(10~20g)投与後では、サリチル酸の半減期は20時間を超えるほど延長することがある(外国人データ)。
16.5 排泄
アスピリン腸溶錠100mgを空腹時単回経口投与したとき、投与後24時間までに投与量の大部分がサリシレートとして尿中に排出され、投与24時間の尿中累積排泄率は約90%であった。サリチル酸の腎クリアランスは尿pH依存性を示し、低pHでは5%未満であるが、pH>6.5では80%以上となることから、尿のアルカリ化は過量投与の処置上重要である(外国人データ)。[13.2参照]
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 臨床薬理
(1)健康成人に対しアスピリン腸溶錠(650mg)注)を単回投与した時、血小板シクロオキシゲナーゼ活性の阻害作用は投与後4時間目から発現し、投与後10時間目に最大となった(外国人データ)。
(2)健康成人に対しアスピリン腸溶錠(325mg)注)をかみ砕いて服用させた場合、血小板凝集抑制作用は早期に発現し、服用後15分目よりADP及びエピネフリンによる血小板凝集の阻害並びに血清中トロンボキサンB2(TXB2)の低下が認められた(外国人データ)。[7.1参照]
17.1.2 臨床効果
(1)不安定狭心症患者及び慢性安定狭心症患者に対しアスピリン75~1500mg/日注)を投与した二重盲検比較試験等において、心筋梗塞発生率及び血管系死亡率の有意な低下が認められている(外国人データ)。
(2)急性心筋梗塞患者に対しアスピリン75~325mg/日注)を投与した二重盲検比較試験等において、再梗塞発生率、脳卒中発生率及び血管系死亡率の有意な低下が認められている(外国人データ)。
(3)心筋梗塞生存者に対しアスピリン75~1500mg/日注)を投与した二重盲検比較試験等において、再梗塞発生率、脳卒中発生率及び血管系死亡率の有意な低下が認められている(外国人データ)。
(4)一過性脳虚血発作(TIA)、脳卒中後の患者及び脳アテローム硬化症患者に対しアスピリン30~1500mg/日注)を投与した二重盲検比較試験等において、一過性脳虚血発作発生率、脳卒中発生率及び死亡率の有意な低下が認められている(外国人データ)。
(5)冠動脈バイパス術(CABG)及び経皮経管冠動脈形成術(PTCA)後患者に対しアスピリン50~1500mg/日注)を投与した二重盲検比較試験等において、それぞれ、移植片の閉塞発生率及び再狭窄発生率の有意な低下が認められている(外国人データ)。
(6)川崎病患者に対しアスピリンを急性期有熱期間には30~50mg/kg/日(患者の重症度に応じて免疫グロブリン製剤併用療法又はアスピリン単独療法を選択)、解熱後には5mg/kg/日を投与した試験等において、冠動脈障害の発生に対する抑制効果が認められている。
前記(1)~(5)のアスピリンの臨床効果には明らかな用量相関性が認められないこと並びに有害事象の発現を軽減するために、これらの疾患にはアスピリンの低用量療法(75~325mg/日)が推奨されている。
注)本剤の成人における承認用量は、「通常、成人にはアスピリンとして100mgを1日1回経口投与する。なお、症状により1回300mgまで増量できる。」である。
18.1 作用機序
低用量アスピリンはシクロオキシゲナーゼ1(COX‐1)を阻害(セリン残基のアセチル化)することにより、トロンボキサンA2(TXA2)の合成を阻害し、血小板凝集抑制作用を示す。血小板におけるCOX‐1阻害作用は、血小板が本酵素を再合成できないため、不可逆的である。一方、血管組織ではCOX‐1の再合成が行われるため、プロスタサイクリン(PGI2)合成阻害作用は可逆的で比較的速やかに回復する。なお、代謝物であるサリチル酸はCOX‐1を阻害せず、血小板凝集抑制作用を有しない。アスピリンのその他の作用(解熱、鎮痛、抗炎症)については成書を参照のこと。
- 一包可:不明
バラ包装
- 分割:可能
- 粉砕:可能
腸溶錠であるので、急性心筋梗塞ならびに脳梗塞急性期の初期治療に用いる場合以外は、割ったり、砕いたり、すりつぶしたりしないで、そのままかまずに服用させる。
- 製造販売会社
- 全星薬品
- 販売会社
- 沢井製薬
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