チオラ錠100
添付文書情報2024年07月改定(第2版)
商品情報
- 禁忌
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
- 効能・効果
- 1). 慢性肝疾患における肝機能の改善。
2). 初期老人性皮質白内障。
3). 水銀中毒時の水銀排泄増加。
4). シスチン尿症。
(効能又は効果に関連する注意)
〈シスチン尿症〉飲水療法及び尿アルカリ化療法で、尿中シスチン濃度の飽和溶解度(一般に250mg/L)未満に保てない場合に、本剤の使用を検討すること(1日尿量2.5Lの場合、1日尿中シスチン排泄量の目安は600mgである)。
- 用法・用量
- 〈慢性肝疾患における肝機能の改善〉
チオプロニンとして、通常成人1回100mgを1日3回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
〈初期老人性皮質白内障〉
チオプロニンとして1回100~200mgを1日1~2回経口投与する。なお、症状に応じて適宜増減してもよい。
〈水銀中毒時の水銀排泄増加〉
チオプロニンとして1回100~200mgを1日3回経口投与する。なお、症状に応じて適宜増減してもよい。
〈シスチン尿症〉
チオプロニンとして、通常、成人には1回100mgから開始し、1日4回(食後および就寝前)経口投与する。最大量は1回500mg(1日2000mg)とする。通常、小児には1日量として100mgから開始し、最大量として1日40mg/kgとする。ただし、成人最大量(1日2000mg)を超えないものとする。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 〈シスチン尿症〉用量(漸増)は、尿中シスチン排泄量に基づき設定すること。
7.2. 〈シスチン尿症〉シスチン尿症の場合、成人では1日尿量が2.5L以上になるよう飲水することが望ましく、また、小児では、尿量が多くなるよう飲水することが望ましい。
- 特定の背景を有する患者に関する注意
- 8.1. 〈効能共通〉黄疸等の重篤な副作用があらわれることがあるので、投与中は定期的に肝機能検査(とくに投与後2、4、6週の検査)を行うなど、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。なお、前記の異常には、発疹、皮膚そう痒感等の皮膚症状、食欲不振、悪心等の消化器症状、あるいは発熱、倦怠感等が先行してあらわれることがあるので、これらの症状についても観察を十分に行うこと〔11.1.2参照〕。
8.2. 〈効能共通〉まれに無顆粒球症があらわれることがあるので、投与中は咽頭痛、発熱等の風邪様症状の発現に十分注意すること〔11.1.3参照〕。
8.3. 〈効能共通〉ネフローゼ症候群があらわれることがあるので、定期的に尿蛋白の検査を行うなど観察を十分に行うこと〔11.1.5参照〕。
8.4. 〈シスチン尿症〉他の疾患での用法及び用量に比べて高用量になり、また、長期投与される場合が多いので、重篤な副作用(ネフローゼ症候群や無顆粒球症など)の発現に注意すること(なお、顆粒球減少は低用量での副作用としても報告されている)〔11.1.3、11.1.5参照〕。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、天疱瘡様症状(いずれも頻度不明)。
11.1.2. 黄疸(0.1%未満):AST異常・ALT異常・ALP異常・ビリルビン異常等があらわれることがある〔8.1参照〕。
11.1.3. 無顆粒球症(0.1%未満)〔8.2、8.4参照〕。
11.1.4. 間質性肺炎(頻度不明)。
11.1.5. ネフローゼ症候群(頻度不明)〔8.3、8.4参照〕。
11.1.6. 重症筋無力症、多発性筋炎(いずれも頻度不明):関節リウマチ患者等に大量投与した場合、重症筋無力症、多発性筋炎があらわれたとの報告がある。
- 11.2. その他の副作用
1). 過敏症:(0.1~5%未満)そう痒感、発疹、(0.1%未満)発熱、皮膚発赤。
2). 皮膚:(0.1~5%未満)麻疹様皮疹、(0.1%未満)扁平苔癬。
3). 血液:(0.1%未満)汎血球減少、白血球減少、血小板減少等の血液障害。
4). 消化器:(0.1%未満)食欲不振、悪心・嘔吐、(頻度不明)腹痛、下痢。
5). 肝臓:(0.1~5%未満)AST上昇・ALT上昇・ALP上昇等の肝機能障害。
6). その他:(0.1%未満)倦怠感、(頻度不明)味覚異常、インスリン自己免疫症候群、手足のしびれ感。
副作用の発現頻度は使用成績調査を含む。
- 高齢者
- 減量するなど注意すること(一般に肝・腎機能が低下していることが多い)。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
- 小児等
- 9.7.1. 〈シスチン尿症〉日本で報告されている小児患者の最低使用年齢は1歳である。また、国内外で報告されている使用年齢は1~14歳(平均7.4歳)で、開始用
量は1日量として9.3~28.6mg/kg(平均17.6mg/kg)である。
9.7.2. 〈シスチン尿症〉小児シスチン尿症患者に1日40mg/kg以上投与した場合、ネフローゼ症候群や蛋白尿などの副作用があらわれるとの報告がある。
9.7.3. 〈シスチン尿症〉9歳未満の小児シスチン尿症に対する安全性と有効性は確立されていない、及び小児の開始用量は1日量として15mg/kgを目安に設定することと米国の添付文書には記載されている。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤交付時の注意PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
本剤は高温・高湿を避けて保存すること。
16.1 血中濃度
健常成人男性5例にチオプロニン400mgを単回経口投与したときの薬物動態パラメータは次表のとおりであった。24時間後には定量限界(10ng/mL)未満となった。
チオプロニン400mg単回経口投与時の薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
16.3 分布
ラットに35S‐チオプロニンを腹腔内投与すると、腎臓、横隔膜、膵臓、副腎、精巣上体脂肪組織、肝臓、脾臓への移行率が高かった。また、投与24時間後の組織残留量は、腎臓、小腸を除き、無視し得る程度であった。
16.5 排泄
健常成人男性5例にチオプロニン400mgを単回経口投与したとき、投与後24時間までに投与量の約50%がチオプロニン及びチオプロニンを含有するジスルフィドとして尿中へ排泄された。
ラットに35S‐チオプロニン50mg/kgを経口投与したとき、72時間後までに尿中に78%、糞中に13%が排泄され、尿中には酸化型チオプロニンを含めて5個の代謝産物が検出された。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
〈慢性肝疾患における肝機能の改善〉
17.1.1 慢性肝炎における国内臨床試験
慢性肝炎76例を対象に、チオプロニン又はプラセボを1日600mg(分3)投与した二重盲検試験の結果、主治医による有用度判定ではプラセボ群の有用率は41.5%(37/38)に対しチオプロニンの有用率は56.6%(43/76)であり、プラセボ投与群に比べ有意差が認められた(P<0.001対比検定)。主な副作用は発疹、発熱等であった。
注)本剤の承認された成人用量は1日300mgである。
17.1.2 ヘモジデローシスにおける国内臨床試験
ヘモジデリン沈着の肝障害11例に対し、7例に尿中への排泄鉄量の増加、6例に血清鉄の正常化及び減少が認められ、肝生検所見も改善された。副作用は頭重感(1例)であった。
17.1.3 薬物性肝障害における国内臨床試験
フェノチアジン系薬剤療法に伴う薬物性肝障害に対する有効率は86.7%(26/30)であった。
17.1.4 薬物性肝障害における海外臨床試験
腫瘍性疾患85例を対象にチオプロニン(静脈内または筋肉内)投与を行ったところ、抗腫瘍剤(シクロフォスファミド)による肝障害に対しても肝保護作用を示した。
〈初期老人性皮質白内障〉
17.1.5 国内臨床試験
初期老人性皮質白内障患者(本剤139眼、プラセボ136眼)を対象に、1日300mg(分3)を1年間投与した二重盲検試験の結果、本剤投与群はプラセボ投与群と比較し細隙灯顕微鏡所見において有意(P=0.006)に水晶体混濁の進行を抑制し、総合判定も有意(P=0.008)に優れていた。本剤投与群76例中5例に副作用が認められ、主な副作用は発疹、胃部不快感(各2例)であった。
〈水銀中毒時の水銀排泄増加〉
17.1.6 国内臨床試験
人体水銀蓄積患者に、チオプロニン1日600mg(分3)を6ヵ月間投与した水銀尿中排泄効果は、投与前に比べ約3~6倍の増加がみられ、臨床的にアルキル水銀の尿中への排泄促進効果を著しく増加させた。
注)本剤の承認された用量は1日400mgである。
〈シスチン尿症〉
17.1.7 国内臨床試験
尿中シスチン排泄量が600mg/日を超えるシスチン尿症患者(有効性評価対象16例)を対象に、チオプロニンを1日400~2,000mg(分4)24週間投与した結果、尿中シスチン排泄量は無投与時(901.48±162.55mg/日)に比べ、投与期には488.60±111.48mg/日(2週と24週平均値)と有意に低下(P<0.01)し、その低下量に用量依存性がみられた。安全性評価対象22例中副作用は6例13件に認められ、主な副作用はそう痒感、かぜ症状群(各2件)等であった。
18.1 作用機序
18.1.1 肝機能の改善作用
チオプロニンは肝臓における過酸化脂質の生成抑制並びに肝疾患に伴う代謝障害改善によって肝細胞障害に対して保護作用を示すと考えられる。
18.1.2 水晶体混濁防止作用
チオプロニンは膜機能障害あるいはタンパク質凝集などの白内障進行の原因となる各種の変化を抑制することにより、白内障の進行を防止するものと考えられる。
18.1.3 水銀排泄促進作用
チオプロニンは水銀と可溶性の安定なキレートを形成し、水銀排泄を促進させる。
18.1.4 尿中シスチン排泄量低下作用
チオプロニンは分子内にSH基を有し、このSH基とシスチンのジスルフィド部分(S‐S部分)がSS‐SH交換反応を起こすことから、シスチン尿症の結石形成の原因となる難溶性のシスチンを易溶性のシスチン‐チオプロニン複合体とシステインに変換され、尿中シスチン排泄量が低下すると考えられている。
18.2 肝臓保護及び代謝系に対する作用
18.2.1 試験管内で、アスコルビン酸処置をしたラット肝ミトコンドリアの過酸化脂質の生成を抑制して細胞膜を保護し、AST、GLDH等の酵素の遊出を抑えた。
18.2.2 試験管内で、ラットの肝ミトコンドリアにおけるエネルギー産生を増大させ、また、蛋白代謝を改善して肝の修復を促進させた。
18.2.3 ラットへの投与では、糖代謝をはじめ、種々の酵素系の活性を高め、肝の代謝を円滑にした。
18.3 水晶体混濁に対する作用
チオプロニンは、牛水晶体蛋白の凝集を抑制した。さらに、ナフタリン及びジニトロフェノールによる家兎の実験的白内障の発症を遅延させた。
18.4 重金属排泄効果
チオプロニンは、ラット及びヒトの体内で重金属と結合して重金属解毒作用をあらわし、特に水銀の排泄促進効果を示した。
18.5 シスチン濃度低下作用
チオプロニンは、水溶液(pH7.4、25℃)中でシスチンと化学反応し、シスチン濃度を低下させた。
- 一包可:条件付可
無包装状態試験:湿度条件→硬度低下
- 分割:条件付可
- 粉砕:条件付可
粉砕後試験:判定不明@粉砕しての投与は、承認された剤形での投与ではなく、適正使用の観点から、弊社としては推奨していない。粉砕しての投与については、各医療担当者の裁量と判断により行う。
- 製造販売会社
- ヴィアトリス製薬
- 販売会社
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