ピオグリタゾン錠30mg「EE」
添付文書情報2019年04月改定(第6版)
商品情報
- 禁忌
- 1.心不全の患者及び心不全の既往歴のある患者[動物試験において循環血漿量の増加に伴う代償性の変化と考えられる心重量の増加がみられており、また、臨床的にも心不全を増悪あるいは発症したとの報告がある]。
2.重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は糖尿病性前昏睡、1型糖尿病の患者[輸液、インスリンによる速やかな高血糖の是正が必須となる]。
3.重篤な肝機能障害のある患者[本剤は主に肝臓で代謝されるため、蓄積する恐れがある]。
4.重篤な腎機能障害のある患者。
5.重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者[インスリン注射による血糖管理が望まれるので本剤の投与は適さない]。
6.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
7.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人。
- 効能・効果
- 1.食事療法、運動療法のみで十分な効果が得られずインスリン抵抗性が推定される場合の2型糖尿病。
2.食事療法、運動療法に加えてスルホニルウレア剤を使用し十分な効果が得られずインスリン抵抗性が推定される場合の2型糖尿病。
3.食事療法、運動療法に加えてα-グルコシダーゼ阻害剤を使用し十分な効果が得られずインスリン抵抗性が推定される場合の2型糖尿病。
4.食事療法、運動療法に加えてビグアナイド系薬剤を使用し十分な効果が得られずインスリン抵抗性が推定される場合の2型糖尿病。
5.食事療法、運動療法に加えてインスリン製剤を使用し十分な効果が得られずインスリン抵抗性が推定される場合の2型糖尿病。
<効能・効果に関連する使用上の注意>
糖尿病の診断が確立した患者に対してのみ適用を考慮する。糖尿病以外にも耐糖能異常・尿糖陽性等、糖尿病類似の症状(腎性糖尿、老人性糖代謝異常、甲状腺機能異常等)を有する疾患があることに留意する。
- 用法・用量
- 1.食事療法、運動療法のみの場合及び食事療法、運動療法に加えてスルホニルウレア剤又はα-グルコシダーゼ阻害剤若しくはビグアナイド系薬剤を使用する場合:ピオグリタゾンとして15~30mgを1日1回朝食前又は朝食後に経口投与する。なお、性別、年齢、症状により適宜増減するが、45mgを上限とする。
2.食事療法、運動療法に加えてインスリン製剤を使用する場合:ピオグリタゾンとして15mgを1日1回朝食前又は朝食後に経口投与する。なお、性別、年齢、症状により適宜増減するが、30mgを上限とする。
<用法・用量に関連する使用上の注意>
1.浮腫が比較的女性に多く報告されているので、女性に投与する場合は、浮腫の発現に留意し、1日1回15mgから投与を開始することが望ましい。
2.1日1回30mgから45mgに増量した後に浮腫が発現した例が多くみられているので、45mgに増量する場合には、浮腫の発現に留意する。
3.インスリンとの併用時においては、浮腫が多く報告されていることから、1日1回15mgから投与を開始する。インスリンとの併用時、本剤を増量する場合は浮腫及び心不全症状・徴候を十分に観察しながら慎重に行う(但し、1日量として30mgを超えない)。
4.一般に高齢者では生理機能が低下しているので、1日1回15mgから投与を開始することが望ましい。
- 慎重投与
- 1.次に掲げる患者又は状態:1).心不全発症の恐れのある心筋梗塞、心不全発症の恐れのある狭心症、心不全発症の恐れのある心筋症、心不全発症の恐れのある高血圧性心疾患等の心不全発症の恐れのある心疾患のある患者[循環血漿量の増加により心不全を発症させる恐れがある]。
2).肝機能障害又は腎機能障害。
3).脳下垂体機能不全又は副腎機能不全[低血糖を起こす恐れがある]。
4).栄養不良状態、飢餓状態、不規則な食事摂取、食事摂取量不足又は衰弱状態[低血糖を起こす恐れがある]。
5).激しい筋肉運動[低血糖を起こす恐れがある]。
6).過度のアルコール摂取者[低血糖を起こす恐れがある]。
7).高齢者。
2.他の糖尿病用薬投与中の患者。
- 重要な基本的注意
- 1.循環血漿量の増加によると考えられる浮腫が短期間に発現し、また心不全が増悪あるいは発症することがあるので、次記の点に留意する。
1).心不全の患者及び心不全の既往歴のある患者には投与しない。
2).投与中は観察を十分に行い、浮腫、急激な体重増加、心不全症状等がみられた場合には投与中止、ループ利尿剤(フロセミド等)の投与等適切な処置を行う。
3).服用中の浮腫、急激な体重増加、症状の変化に注意し、異常がみられた場合には直ちに本剤の服用を中止し、受診するよう患者を指導する。
2.心電図異常や心胸比増大が現れることがあるので、定期的に心電図検査を行うなど十分に観察し、異常が認められた場合には投与を一時中止するかあるいは減量するなど慎重に投与する。
3.本剤は他の糖尿病用薬と併用した場合に低血糖症状を起こすことがあるので、他の糖尿病用薬との併用時には患者に対し低血糖症状及びその対処方法について十分説明し、注意を喚起する。
4.本剤を投与された患者で膀胱癌の発生リスクが増加する可能性が完全には否定できないので、次の点に注意する。
1).膀胱癌治療中の患者には投与を避ける。また、特に、膀胱癌の既往を有する患者には本剤の有効性及び危険性を十分に勘案した上で、投与の可否を慎重に判断する。
2).投与開始に先立ち、患者又はその家族に膀胱癌発症のリスクを十分に説明してから投与する。また、投与中に血尿、頻尿、排尿痛等の症状が認められた場合には、直ちに受診するよう患者に指導する。
3).投与中は、定期的に尿検査等を実施し、異常が認められた場合には、適切な処置を行い、また、投与終了後も継続して、十分な観察を行う。
5.本剤の適用はあらかじめ糖尿病治療の基本である食事療法、運動療法を十分に行ったうえで効果が不十分な場合に限り考慮する。
6.本剤を使用する場合は、インスリン抵抗性が推定される患者に限定する。インスリン抵抗性の目安は肥満度(Body Mass Index=BMI kg/㎡)で24以上あるいはインスリン分泌状態が空腹時血中インスリン値で5μU/mL以上とする。
7.投与する場合には、血糖、尿糖を定期的に検査し、薬剤の効果を確かめ、3カ月間投与して効果が不十分な場合には、速やかに他の治療薬への切り替えを行う。
8.投与の継続中に、投与の必要がなくなる場合や、減量する必要がある場合があり、また、患者の不養生、感染症の合併等により効果がなくなったり、不十分となる場合があるので、食事摂取量、体重の推移、血糖値、感染症の有無等に留意のうえ、常に投与継続の可否、投与量、薬剤の選択等に注意する。
9.急激な血糖下降に伴い、糖尿病性網膜症が悪化する例があることが知られており、本剤においても報告例があるので留意する。
10.低血糖症状を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときには注意する。
11.α-グルコシダーゼ阻害剤と本剤1日45mgの併用における安全性は確立していない(使用経験はほとんどない)。
12.α-グルコシダーゼ阻害剤、スルホニルウレア系薬剤及び本剤の3剤を併用投与する場合の安全性は確立していない。
13.ビグアナイド系薬剤と本剤1日45mgの併用における安全性は確立していない(使用経験はほとんどない)。
- 相互作用
- 併用注意:1.糖尿病用薬:スルホニルウレア系薬剤(グリメピリド、グリベンクラミド、グリクラジド、トルブタミド等)、ビグアナイド系薬剤(メトホルミン塩酸塩、ブホルミン塩酸塩)、速効型インスリン分泌促進薬(ナテグリニド、ミチグリニドカルシウム水和物等)、α-グルコシダーゼ阻害剤(ボグリボース、アカルボース、ミグリトール)、DPP-4阻害剤(アログリプチン安息香酸塩、シタグリプチンリン酸塩水和物、ビルダグリプチン、リナグリプチン等)、GLP-1アナログ製剤(リラグルチド、エキセナチド)、インスリン製剤[これらの糖尿病用薬と併用した際に低血糖症状を発現する恐れがあるので、これらの薬剤との併用時には、低用量から投与を開始するなど慎重に投与する。α-グルコシダーゼ阻害剤との併用により低血糖症状が認められた場合にはショ糖ではなくブドウ糖を投与する]。
2.糖尿病用薬及びその血糖降下作用を増強又は減弱する薬剤を併用している場合:1).糖尿病用薬の血糖降下作用を増強する薬剤(β-遮断剤、サリチル酸剤、モノアミン酸化酵素阻害剤、フィブラート系の高脂血症治療剤、ワルファリン等)[糖尿病用薬及びその血糖降下作用を増強する薬剤の併用に加え更に本剤を併用する場合には、糖尿病用
薬の使用上の注意に記載の相互作用に留意するとともに、本剤のインスリン抵抗性改善作用が加わることによる影響に十分注意する]。
2).糖尿病用薬の血糖降下作用を減弱する薬剤(アドレナリン、副腎皮質ホルモン、甲状腺ホルモン等)[糖尿病用薬及びその血糖降下作用を減弱する薬剤の併用に加え更に本剤を併用する場合には、糖尿病用薬の使用上の注意に記載の相互作用に留意するとともに、本剤のインスリン抵抗性改善作用が加わることによる影響に十分注意する]。
3.リファンピシン等のCYP2C8を誘導する薬剤[リファンピシンと併用するとピオグリタゾンのAUCが54%低下するとの報告があるので、リファンピシンと併用する場合は血糖管理状況を十分に観察し、必要な場合には本剤を増量する]。
- 副作用
- 本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。
- 重大な副作用
- 1.重大な副作用(頻度不明):次のような副作用が現れた場合には、症状に応じて使用
を中止するなど適切な処置を行う。
1).心不全増悪あるいは心不全が発症することがあるので、投与中は観察を十分に行い、浮腫、急激な体重増加、心不全症状・徴候(息切れ、動悸、心胸比増大、胸水等)がみられた場合には投与を中止し、ループ利尿剤等を投与するなど適切な処置を行う(特に心不全発症の恐れのある心疾患の患者に投与する際やインスリンと併用する際には、心不全の徴候に注意する)。
2).循環血漿量の増加によると考えられる浮腫が現れることがあるので、観察を十分に行い、浮腫が認められた場合には、減量あるいは中止するなど適切な処置を行い、これらの処置によっても症状が改善しない場合には、必要に応じてループ利尿剤(フロセミド等)の投与等を考慮する。なお、女性やインスリン併用時、糖尿病性合併症発症例において浮腫の発現が多くみられており、本剤を1日1回30mgから45mgに増量した後に浮腫が発現した例も多くみられているので、これらの症例にあっては浮腫の発現に特に留意する。
3).著しいAST上昇(著しいGOT上昇)、著しいALT上昇(著しいGPT上昇)、著しいAl-P上昇等を伴う肝機能障害、黄疸が現れることがあるので、基礎に肝機能障害を有するなど必要な場合には定期的に肝機能検査を実施し、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行う。
4).他の糖尿病用薬との併用で、低血糖症状が現れることがあるので、低血糖症状が認められた場合、本剤あるいは併用している糖尿病用薬を一時的に中止するかあるいは減量するなど慎重に投与する。また、本剤の投与により低血糖症状が認められた場合には通常はショ糖を投与するが、α-グルコシダーゼ阻害剤との併用により低血糖症状が認められた場合にはブドウ糖を投与する。なお、低血糖症状はインスリン併用時に多くみられている。
5).筋肉痛、脱力感、CK上昇(CPK上昇)、血中ミオグロビン上昇及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症が現れることがあるので、このような場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
6).間質性肺炎が現れることがあるので、発熱、咳嗽、呼吸困難、肺音異常(捻髪音)等が認められた場合には、速やかに胸部X線、速やかに胸部CT、速やかに血清マーカー等の検査を実施し、異常が認められた場合には、投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行う。
7).胃潰瘍が再燃した例が報告されている。
- 2.その他の副作用:次のような副作用が現れた場合には、症状に応じて使用を中止するなど適切な処置を行う。
1).血液:(頻度不明)貧血、白血球減少、血小板減少[血液検査を定期的(3カ月に1回程度)に行う]。
2).循環器:(頻度不明)血圧上昇、心胸比増大、心電図異常、動悸、胸部圧迫感、顔面潮紅。
3).過敏症:(頻度不明)発疹、湿疹、そう痒[このような場合には投与を中止する]。
4).消化器:(頻度不明)悪心・嘔吐、胃部不快感、胸やけ、腹痛、腹部膨満感、下痢、便秘、食欲亢進、食欲不振。
5).肝臓:(頻度不明)AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)、Al-P上昇、γ-GTP上昇。
6).精神神経系:(頻度不明)眩暈、ふらつき、頭痛、眠気、倦怠感、脱力感、しびれ。
7).その他:(頻度不明)骨折[外国の臨床試験で、女性において骨折の発現頻度上昇が認められている]、*糖尿病性黄斑浮腫の発症又は*糖尿病性黄斑浮腫増悪[*:浮腫、体重増加に伴って現れることがあるので、視力低下等の異常が認められた場合には黄斑浮腫の可能性を考慮し適切な処置を行う]、※LDH及びCK(CPK)の上昇[※:LDH上昇やCK上昇(CPK上昇)が現れることがあるので、異常が認められた場合には、再検査を行うなど観察を十分に行う]、BUN上昇及びカリウム上昇、総蛋白低下及びカルシウム低下、体重増加及び尿蛋白増加、息切れ、関節痛、震え、急激な血糖下降に伴う糖尿病性網膜症悪化。
- 高齢者への投与
- 一般に高齢者では生理機能が低下しているので、1日1回15mgから投与を開始するなど、副作用発現に留意し、経過を十分に観察しながら慎重に投与する。
- 妊婦・産婦・授乳婦等への投与
- 1.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しない[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない、また、ラット器官形成期投与試験では、40mg/kg以上の群で胚死亡率高値・胎仔死亡率高値、出生仔生存率低値が、ウサギ器官形成期投与試験では、160mg/kg群で親動物の死亡又は流産がそれぞれ1例、胚・胎仔死亡率の高値がみられている]。
2.授乳中の婦人に投与することを避け、やむを得ず投与する場合は授乳を中止させる[ラットで乳汁中への移行が報告されている]。
- 小児等への投与
- 小児等に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
- 取扱い上の注意
- 薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導する(PTPシートの誤飲により硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)。
加速試験:加速試験(40℃、相対湿度75%、6カ月)の結果、ピオグリタゾン錠15mg「EE」及びピオグリタゾン錠30mg「EE」(最終包装)は、通常の市場流通下において3年間安定であることが推測された。
- その他の注意
- 1.ラット及びマウスに24カ月間強制経口投与した試験では、ラット雄の3.6mg/kg/日以上の群に膀胱腫瘍がみられた。
2.海外で実施した糖尿病患者を対象とした疫学研究(10年間の大規模コホート研究)において、膀胱癌の発生リスクに統計学的な有意差は認められなかったが、膀胱癌の発生リスク増加の可能性を示唆する疫学研究も報告されている。
3.家族性大腸腺腫症(familial adenomatous polyposis:FAP)のモデル動物であるMinマウスに類薬(トログリタゾン及びロシグリタゾン)を経口投与したところ、結腸腫瘍の数及び大きさを増大させたとの報告がある。
1.生物学的同等性試験
1)ピオグリタゾン錠15mg「EE」
ピオグリタゾン錠15mg「EE」と標準製剤を、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(ピオグリタゾンとして15mg)健康成人男性に絶食下単回経口投与して血漿中のピオグリタゾン濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された。
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
→図表を見る(PDF)
15mg錠1錠投与時の平均血漿中薬物濃度推移
2)ピオグリタゾン錠30mg「EE」
ピオグリタゾン錠30mg「EE」と標準製剤を、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(ピオグリタゾンとして30mg)健康成人男性に絶食下単回経口投与して血漿中のピオグリタゾン濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された。
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
→図表を見る(PDF)
30mg錠1錠投与時の平均血漿中薬物濃度推移
2.溶出挙動
ピオグリタゾン錠30mg「EE」は、日本薬局方に定められたピオグリタゾン塩酸塩錠の溶出規格に適合していることが確認されている。
ピオグリタゾン塩酸塩はインスリン抵抗が推定される2型糖尿病薬である。インスリン抵抗性を軽減することにより、肝における糖産生を抑制し、末梢組織における糖の取り込みと利用を高め血糖を低下させる。インスリン抵抗性の主因である細胞内インスリン情報伝達機構を正常化するものと推測されている。
- 一包可:不可
無包装状態試験:判定不明
- 分割:不可
- 粉砕:不明
粉砕後試験:判定不明
- 製造販売会社
- エルメッド
- 販売会社
- 日医工
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