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グルベス配合錠

販売名
グルベス配合錠
識別コード
MV K MV
薬価
1錠 29.00円
製造メーカー
キッセイ薬品

添付文書情報2023年06月改定(第2版)

商品情報

薬効分類名
その他の糖尿病用剤
一般名
ミチグリニドカルシウム水和物・ボグリボース配合剤錠
禁忌
2.1. 重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は糖尿病性前昏睡、1型糖尿病の患者[輸液及びインスリンによる速やかな高血糖の是正が必須となるので本剤の投与は適さない]。
2.2. 重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者[インスリンによる血糖管理が望まれるので本剤の投与は適さない]。
2.3. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.4. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性〔9.5妊婦の項参照〕。
効能・効果
2型糖尿病(ただし、ミチグリニドカルシウム水和物及びボグリボースの併用による治療が適切と判断される場合に限る)。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 本剤の適応においては、あらかじめ糖尿病治療の基本である食事療法、運動療法を十分に行うこと。
5.2. 本剤を2型糖尿病治療の第一選択薬として用いないこと。
5.3. 原則として、次の場合に本剤の使用を検討すること。
・ 既にミチグリニドカルシウム水和物として1回10mg、1日3回及びボグリボースとして1回0.2mg、1日3回を併用し状態が安定している場合に本剤の使用を検討すること。
・ ミチグリニドカルシウム水和物として1回10mg、1日3回の単剤の治療により効果不十分な場合に本剤の使用を検討すること。
・ ボグリボースとして1回0.2mg、1日3回の単剤の治療により効果不十分な場合に本剤の使用を検討すること。
5.4. ミチグリニドカルシウム水和物使用中又はボグリボース使用中の患者では、投与の際の空腹時血糖が126mg/dL以上、又は食後血糖1時間値又は2時間値が200mg/dL以上を目安とする。
用法・用量
通常、成人には1回1錠(ミチグリニドカルシウム水和物/ボグリボースとして10mg/0.2mg)を1日3回毎食直前に経口投与する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. ミチグリニドカルシウム水和物は、食後投与では速やかな吸収が得られず効果が減弱するので、効果的に食後の血糖上昇を抑制するため、本剤の投与は毎食直前(5分以内)とすること。また、ミチグリニドカルシウム水和物は投与後速やかに薬効を発現するため、食前30分投与では食前15分に血中インスリン値が上昇し食事開始時の血糖値が低下することが報告されており、食事開始前に低血糖を誘発する可能性がある。
肝機能障害患者
8.1. 本剤の使用にあたっては、患者に対し低血糖症状及びその対処方法について十分説明すること〔11.1.2参照〕。
8.2. 本剤は、ときに低血糖症状を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときには注意すること〔11.1.2参照〕。
8.3. 本剤投与中は、血糖を定期的に検査するとともに、経過を十分に観察し、本剤を2~3ヵ月投与しても効果が不十分な場合には、より適切と考えられる治療への変更を考慮すること。
8.4. ミチグリニドカルシウム水和物の治療により効果不十分な場合の本剤使用に関する臨床試験を実施しておらず、有効性及び安全性に関する成績は限られている。
8.5. 本剤の配合成分であるミチグリニドカルシウム水和物は、速やかなインスリン分泌促進作用を有し、その作用点はスルホニル尿素系製剤と同じであり、スルホニル尿素系製剤との相加・相乗の臨床効果及び安全性は確認されていないので、スルホニル尿素系製剤とは併用しないこと。
8.6. 本剤と他の糖尿病用薬との併用における有効性及び安全性は検討されていない。
8.7. 本剤投与中において、本剤の投与がミチグリニドカルシウム水和物及びボグリボースの各単剤の併用よりも適切であるか慎重に判断すること。
9.1.1. 虚血性心疾患のある患者:ミチグリニドカルシウム水和物の投与中に心筋梗塞を発症した患者が報告されている〔11.1.1参照〕。
9.1.2. 開腹手術の既往又は腸閉塞の既往のある患者:ボグリボースは腸内ガス等の増加により腸閉塞が発現しやすい〔11.1.3参照〕。
9.1.3. 消化・吸収障害を伴った慢性腸疾患の患者:ボグリボースの作用により病態が悪化することがある。
9.1.4. ロエムヘルド症候群、重度ヘルニア、大腸狭窄・大腸潰瘍等の患者:ボグリボースは腸内ガス等の増加により症状が悪化することがある。
9.1.5. 低血糖を起こすおそれがある次の患者又は状態。
・ 脳下垂体機能不全又は副腎機能不全。
・ 下痢、嘔吐等の胃腸障害。
・ 栄養不良状態、飢餓状態、食事摂取量不足又は衰弱状態。
・ 激しい筋肉運動。
・ 過度のアルコール摂取者。
〔11.1.2参照〕。
腎機能障害患者:低血糖を起こすおそれがある。ミチグリニドカルシウム水和物は、慢性腎不全患者において、血漿中薬物未変化体濃度の消失半減期の延長が報告されている〔11.1.2、16.6.1参照〕。
低血糖を起こすおそれがあり、また、肝機能障害を悪化させるおそれがある(肝機能障害のある患者は代謝状態が変化することがあるため血糖管理状況が大きく変化するおそれがある)。重篤な肝硬変例で、高アンモニア血症が増悪し意識障害を伴うことがある〔11.1.2、11.1.4、11.1.5参照〕。
相互作用
10.2. 併用注意:1). 糖尿病用薬(インスリン製剤、ビグアナイド系薬剤、速効型インスリン分泌促進剤、α-グルコシダーゼ阻害剤、チアゾリジン系薬剤、DPP-4阻害剤、GLP-1受容体作動薬、SGLT2阻害剤)〔11.1.2参照〕[低血糖症状(空腹感・あくび・悪心・無気力・だるさ等の初期症状から血圧上昇・発汗・ふるえ・顔面蒼白等の症状を経て意識消失・けいれん・昏睡にいたる)、血糖降下作用が増強されることがあるので、血糖値モニター、その他患者の状態を十分に観察し、必要に応じて中止を考慮すること(血糖降下作用が増強されるおそれがある)。特に、インスリン製剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがあるので、併用時の低血糖のリスクを軽減するため、インスリン製剤の減量を検討すること(血糖降下作用が増強されるおそれがある)。チアゾリジン系薬剤との併用時には、特に浮腫の発現に注意すること(血糖降下作用が増強されるおそれがある)]。
2). サリチル酸製剤(アスピリン等)[低血糖症状(空腹感・あくび・悪心・無気力・だるさ等の初期症状から血圧上昇・発汗・ふるえ・顔面蒼白等の症状を経て意識消失・けいれん・昏睡にいたる)、血糖降下作用が増強されることがあるので、血糖値モニター、その他患者の状態を十分に観察し、必要に応じて中止を考慮すること(血糖降下作用が増強されるおそれがある、ミチグリニドカルシウム水和物の血中蛋白との結合抑制及び代謝阻害により血糖降下作用が増強されるおそれがある、アスピリンとして1回量1500mgの併用時に影響する可能性があるが、低用量(アスピリンとして1回量300mg)では影響しない)]。
3). クロフィブラート等、サルファ剤(スルファメトキサゾール等)[低血糖症状(空腹感・あくび・悪心・無気力・だるさ等の初期症状から血圧上昇・発汗・ふるえ・顔面蒼白等の症状を経て意識消失・けいれん・昏睡にいたる)、血糖降下作用が増強されることがあるので、血糖値モニター、その他患者の状態を十分に観察し、必要に応じて中止を考慮すること(血糖降下作用が増強されるおそれがある、ミチグリニドカルシウム水和物の血中蛋白との結合抑制及び代謝阻害により血糖降下作用が増強されるおそれがある)]。
4). β-遮断剤(プロプラノロール塩酸塩等)、モノアミン酸化酵素阻害剤、タンパク同化ホルモン剤、テトラサイクリン系抗生物質(テトラサイクリン塩酸塩、ミノサイクリン塩酸塩等)、ワルファリン[低血糖症状(空腹感・あくび・悪心・無気力・だるさ等の初期症状から血圧上昇・発汗・ふるえ・顔面蒼白等の症状を経て意識消失・けいれん・昏睡にいたる)、血糖降下作用が増強されることがあるので、血糖値モニター、その他患者の状態を十分に観察し、必要に応じて中止を考慮すること(血糖降下作用が増強されるおそれがある)]。
5). アドレナリン、副腎皮質ホルモン(メチルプレドニゾロン等)、卵胞ホルモン(エチニルエストラジオール等)、ニコチン酸、イソニアジド、ピラジナミド、フェノチアジン系薬剤(クロルプロマジン等)、利尿剤(チアジド系利尿剤等)、フェニトイン[経口血糖降下剤の効果を減弱させ血糖が上昇してコントロール不良になることがあるので、食後の血糖上昇が加わることによる影響に十分注意し、血糖コントロールに注意し頻回に血糖値を測定し、必要に応じて中止を考慮すること(血糖降下作用が減弱されるおそれがある)]。
6). 甲状腺ホルモン(乾燥甲状腺等)[血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与する(血糖コントロールがむずかしくなるおそれがある)]。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. 心筋梗塞(頻度不明)〔9.1.1参照〕。
11.1.2. 低血糖(頻度不明):低血糖症状(眩暈、空腹感、振戦、脱力感、冷汗、意識消失等)があらわれることがあるので、低血糖症状が認められた場合にはブドウ糖を投与すること〔8.1、8.2、9.1.5、9.2腎機能障害患者、9.3肝機能障害患者の項、10.2参照〕。
11.1.3. 腸閉塞(頻度不明):腹部膨満、鼓腸、放屁増加等があらわれ、腸内ガス等の増加により、腸閉塞があらわれることがあり、また、持続する腹痛、嘔吐等の症状がでることがある〔9.1.2参照〕。
11.1.4. 劇症肝炎、肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明):劇症肝炎、AST上昇、ALT上昇等を伴う重篤な肝機能障害、黄疸があらわれることがある〔9.3肝機能障害患者の項参照〕。
11.1.5. 意識障害(頻度不明):重篤な肝硬変例に投与した場合、便秘等を契機として高アンモニア血症が増悪し、意識障害を伴うことがある〔9.3肝機能障害患者の項参照〕。
11.2. その他の副作用
1). 代謝:(5%以上)低血糖症状(眩暈、空腹感、振戦、脱力感、冷汗、発汗、悪寒、意識低下、倦怠感、動悸、頭重感、眼のしょぼしょぼ感、嘔気、気分不良、しびれ感、眠気、歩行困難、あくび等)。
2). 消化器:(0.1~5%未満)口渇、胸やけ、嘔気、胃不快感、胃炎、胃潰瘍、腹部膨満、腹鳴、腹痛、放屁増加、下痢、軟便、便秘、空腹感、味覚異常、食欲不振、(頻度不明)口内炎、舌のしびれ、嘔吐、胃痛、胃腸炎、腸管嚢胞様気腫症、食欲亢進。
3). 皮膚:(0.1~5%未満)湿疹、(頻度不明)発疹、皮膚そう痒、皮膚乾燥、光線過敏症。
4). 筋骨格系:(頻度不明)背部痛、筋肉痛、関節痛、下肢痙直、筋骨格硬直。
5). 精神神経系:(0.1~5%未満)頭痛、眩暈、しびれ感、(頻度不明)眠気、不眠、ふらつき。
6). 耳:(頻度不明)耳痛。
7). 肝臓:(0.1~5%未満)胆嚢ポリープ、総ビリルビン上昇、AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇、Al-P上昇、LDH上昇。
8). 循環器:(0.1~5%未満)心拡大、心室性期外収縮、血圧上昇、(頻度不明)動悸、高血圧悪化。
9). 呼吸器:(頻度不明)咳、咽頭異和感、かぜ症候群。
10). 腎臓・泌尿器:(0.1~5%未満)尿蛋白、尿潜血、BUN上昇、(頻度不明)腎嚢胞、頻尿。
11). その他:(0.1~5%未満)倦怠感、冷汗、ほてり、胸部不快感、四肢痛、体重増加、好酸球数増加、好中球数増加、トリグリセリド上昇、遊離脂肪酸上昇、尿酸上昇、カリウム上昇、(頻度不明)脱力感、発汗、浮腫、脱毛、眼のしょぼしょぼ感、眼のかすみ、胸痛、右季肋部痛、貧血、血小板減少、顆粒球減少、血清アミラーゼ上昇、乳酸上昇、総コレステロール上昇、LDL-コレステロール上昇、HDL-コレステロール低下、CK上昇、高カリウム血症、ピルビン酸上昇、BNP上昇。
高齢者
血糖値及び消化器症状の発現に留意するなど、経過を十分に観察しながら慎重に投与すること(一般に高齢者では生理機能が低下している)、なお、本剤の有効成分であるミチグリニドカルシウム水和物及びボグリボースを低用量で使用する必要がある場合には、各単剤の併用を選択すること。
授乳婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと(ミチグリニドカルシウム水和物は動物実験(ラット)で胎盤通過が認められている。また、動物実験(ラット)で周産期に薬理作用に基づく低血糖によると推定される母動物死亡が認められている)〔2.4参照〕。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(ミチグリニドカルシウム水和物は動物実験(ラット)で母乳への移行が認められており、また、ボグリボースは動物実験(ラット)で、母動物の糖質吸収の抑制に起因する乳汁産生の抑制によると考えられる出生仔体重増加抑制が認められている)。
小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
取扱い上の注意
14.1. 薬剤交付時の注意PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
20.1. 錠剤表面に使用色素による赤い斑点がみられることがある。

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人男性を対象として、本剤と標準製剤(ミチグリニドカルシウム水和物10mg及びボグリボース0.2mgの併用投与)をクロスオーバー法により空腹下で単回経口投与したときの血漿中ミチグリニド濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC0-5hr、Cmax)から、本剤と標準製剤の生物学的同等性が確認された。また、本剤を投与したときの血漿中ミチグリニド濃度は、投与後0.46時間で最高血漿中濃度(Cmax)(896.9ng/mL)に達し、半減期(t1/2)は1.25時間であった。
健康成人男性における本剤及び標準製剤投与時のミチグリニドの薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)

図 健康成人男性における本剤及び標準製剤投与時の血漿中ミチグリニド濃度(空腹下)(平均値+標準偏差)

16.1.2 反復投与
健康成人男性(6名)にボグリボース1回0.2mg、1日3回、7日間反復投与した場合、血漿中及び尿中にボグリボースは検出されない。
16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
健康成人男性にミチグリニドカルシウム水和物5mgを食後に経口投与したとき、食直前に比し最高血漿中濃度(Cmax)の低下及び最高血漿中濃度到達時間(Tmax)の遅延が認められた。
健康成人男性におけるミチグリニドカルシウム水和物5mgの食直前及び食後投与時の薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)

16.3 分布
16.3.1 蛋白結合率
ヒト血漿に[14C]標識ミチグリニドカルシウム水和物を添加した時の蛋白結合率は約97%であった(in vitro)。
16.3.2 組織移行
ラットに[14C]ボグリボース1mg/kg単回投与した試験で胎児及び乳汁中への移行が認められている。
16.4 代謝
16.4.1 健康成人男性にミチグリニドカルシウム水和物5、10及び20mgを食直前に単回経口投与したとき、24時間までに投与量の約54~74%が尿中に排泄され、そのほとんどがグルクロン酸抱合体代謝物であり、ミチグリニドは1%未満であった。
16.4.2 健康成人男性に[14C]標識ミチグリニドカルシウム水和物11mg溶液を食直前に単回経口投与したとき、投与0.5及び4時間後の血漿中放射能は主にミチグリニド由来であり、ミチグリニドのグルクロン酸抱合体はミチグリニドの約1/3から1/6量が存在し、ヒドロキシ体代謝物はさらに少なかった(外国人データ)。
16.4.3 ミチグリニドカルシウム水和物は、ヒトにおいて肝臓及び腎臓で代謝され、グルクロン酸抱合体は主に薬物代謝酵素のUGT1A9及び1A3により、ヒドロキシ体は主にCYP2C9により生成されることがin vitro試験により確認されている。
16.5 排泄
16.5.1 健康成人男性に[14C]標識ミチグリニドカルシウム水和物11mg溶液を食直前に単回経口投与したとき、放射能の約93%は尿中に、約6%は糞中に排泄された(外国人データ)。
16.5.2 ラットに[14C]ボグリボース1mg/kg単回投与した試験における尿、糞への排泄率は、それぞれ約5%、98%である。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害者
成人腎機能正常者、腎機能低下者及び慢性腎不全患者(ミチグリニドカルシウム水和物投与前日の平均クレアチニンクリアランス値はそれぞれ113.75、37.01及び3.431mL/min)にミチグリニドカルシウム水和物10mgを食直前に単回経口投与したとき、クレアチニンクリアランスの低下に伴いt1/2は延長したが、その他の主要パラメータ(Cmax、AUC0-inf及びCLtot/F)とクレアチニンクリアランスとの間に、有意な相関は認められなかった。[9.2参照]
腎機能正常者、腎機能低下者及び慢性腎不全患者におけるミチグリニドカルシウム水和物10mg投与時の薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)

図 腎機能正常者、腎機能低下者及び慢性腎不全患者におけるミチグリニドカルシウム水和物10mg投与時の血漿中ミチグリニド濃度(平均値+標準偏差)

16.7 薬物相互作用
ボグリボースの併用投与によるミチグリニドカルシウム水和物の薬物動態に変化はなかった。

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 α‐グルコシダーゼ阻害剤併用療法 第II/III相二重盲検比較試験
食事療法に加えてボグリボース(1回0.2mg)単剤による薬物療法により十分な血糖コントロールが得られていない385例の2型糖尿病患者(併用投与開始時のHbA1c(JDS)平均値±標準偏差7.10±0.47%)を対象に、ボグリボース0.2mgにミチグリニドカルシウム水和物1回10mgを上乗せして1日3回毎食直前12週間経口投与した。最終評価時のHbA1c(JDS)の変化量は、ボグリボース0.2mg単独群-0.02±0.36%に対し、ミチグリニドカルシウム水和物10mg併用群で-0.64±0.46%と有意に低下した(p<0.001、分散分析)。副作用(臨床症状)の発現割合は、ボグリボース単独群の14.6%(13/89例)に対し、ミチグリニドカルシウム水和物10mg併用群では22.5%(23/102例)であった。副作用(臨床検査値)の発現割合は、ボグリボース単独群の13.5%(12/89例)に対し、ミチグリニドカルシウム水和物10mg併用群では15.8%(16/101例)であった。低血糖症状の発現割合は、ボグリボース単独群の1.1%(1/89例)に対し、ミチグリニドカルシウム水和物10mg併用群では6.9%(7/102例)であった。
17.1.2 α‐グルコシダーゼ阻害剤併用療法 長期併用投与試験
食事療法に加えてボグリボース(1回0.2mg)単剤による薬物療法により十分な血糖コントロールが得られていない161例の2型糖尿病患者(併用投与開始時のHbA1c(JDS)平均値±標準偏差7.08±0.46%)を対象に、ボグリボース0.2mgにミチグリニドカルシウム水和物1回10mgを上乗せして1日3回毎食直前52週間経口投与した。最終評価時のHbA1c(JDS)の変化量は、-0.48±0.62%であり、安定したHbA1c(JDS)の改善が確認された。副作用(臨床症状)、副作用(臨床検査値)及び低血糖症状の発現割合は、それぞれ30.7%(27/88例)、21.6%(19/88例)及び10.2%(9/88例)であった。

18.1 作用機序
18.1.1 ミチグリニドカルシウム水和物
膵β細胞のスルホニル尿素受容体への結合を介して、ATP感受性K+チャネル(KATPチャネル)電流を阻害することにより、インスリンの分泌を促進する(in vitro)。
18.1.2 ボグリボース
(1)ブタ小腸由来マルターゼとスクラーゼに対してアカルボースよりそれぞれ約20倍及び30倍強い阻害作用を示し、ラット小腸由来マルターゼ及びスクラーゼ阻害活性はそれぞれアカルボースの約270倍及び190倍である(in vitro)。一方、ブタ及びラット膵α‐アミラーゼに対する阻害作用はアカルボースの約1/3000であり、β‐グルコシダーゼに対しては阻害活性を示さない(in vitro)。
(2)ラット小腸由来のスクラーゼ‐イソマルターゼの複合体の二糖類水解酵素に対する阻害様式は競合拮抗的である(in vitro)。
18.2 血糖上昇抑制作用
18.2.1 健康成人男性を対象として、本剤と標準製剤(ミチグリニドカルシウム水和物10mg及びボグリボース0.2mgの併用投与)をクロスオーバー法によりショ糖負荷直前に経口投与したときの血漿中グルコース濃度を測定した結果、本剤投与時と標準製剤投与時の血糖上昇抑制効果は同等であった。
図 健康成人男性におけるショ糖負荷後の血漿中グルコース濃度(平均値+標準偏差)

18.2.2 ニコチンアミド前処置ストレプトゾトシン誘発2型糖尿病ラットにミチグリニドカルシウム水和物とボグリボースを経口併用投与すると、液体飼料経口負荷後の血糖上昇が抑制され、負荷後の血漿中グルコース濃度-時間曲線下面積値は相加的に低下した(in vivo)。

一包可:不可
分割:不可
粉砕:不明
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