アザニン錠50mg
添付文書情報2024年07月改定(第2版)
商品情報
- 警告
- 1.1. 臓器移植における本剤の投与は、免疫抑制療法及び移植患者の管理に精通している医師又はその指導のもとで行うこと。
1.2. 治療抵抗性リウマチ性疾患に本剤を投与する場合には、緊急時に十分対応できる医療施設において、本剤についての十分な知識と治療抵抗性のリウマチ性疾患治療の経験を持つ医師のもとで行うこと。
- 禁忌
- 2.1. 本剤の成分又はメルカプトプリンに対し過敏症の既往歴のある患者。
2.2. 白血球数3000/mm3以下の患者[白血球数が更に減少することがある]。
2.3. フェブキソスタット投与中又はトピロキソスタット投与中の患者〔10.1参照〕。
2.4. 生ワクチンを接種しないこと〔10.1参照〕。
- 効能・効果
- 1). 次記の臓器移植における拒絶反応の抑制:腎移植、肝移植、心移植、肺移植。
2). ステロイド依存性のクローン病の寛解導入及び寛解維持並びにステロイド依存性の潰瘍性大腸炎の寛解維持。
3). 治療抵抗性の次記リウマチ性疾患:治療抵抗性全身性血管炎(治療抵抗性顕微鏡的多発血管炎、治療抵抗性多発血管炎性肉芽腫症、治療抵抗性結節性多発動脈炎、治療抵抗性好酸球性多発血管炎性肉芽腫症、治療抵抗性高安動脈炎等)、治療抵抗性全身性エリテマトーデス(治療抵抗性SLE)、治療抵抗性多発性筋炎、治療抵抗性皮膚筋炎、治療抵抗性強皮症、治療抵抗性混合性結合組織病、及び治療抵抗性難治性リウマチ性疾患。
4). 自己免疫性肝炎。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 〈臓器移植における拒絶反応の抑制〉副腎皮質ステロイドや他の免疫抑制剤との併用で用いること。
5.2. 〈ステロイド依存性のクローン病及びステロイド依存性の潰瘍性大腸炎〉他の標準的な治療法では十分に効果が得られない患者に限ること。なお、本剤をステロイド依存性のクローン病における寛解導入を目的として投与する場合は、副腎皮質ステロイドとの併用で用いること。
5.3. 〈治療抵抗性リウマチ性疾患〉副腎皮質ステロイド等との併用を考慮すること。
5.4. 〈自己免疫性肝炎〉副腎皮質ステロイドとの併用を考慮すること。
- 用法・用量
- 〈移植〉
通常、成人及び小児において、次記量を1日量として経口投与する。しかし、本剤の耐薬量及び有効量は患者によって異なるので、最適の治療効果を得るために用量の注意深い増減が必要である。
・ 腎移植
初期量としてアザチオプリン2~3mg/kg相当量。
維持量としてアザチオプリン0.5~1mg/kg相当量。
・ 肝、心及び肺移植
初期量としてアザチオプリン2~3mg/kg相当量。
維持量としてアザチオプリン1~2mg/kg相当量。
〈ステロイド依存性のクローン病の寛解導入及び寛解維持並びにステロイド依存性の潰瘍性大腸炎の寛解維持〉
通常、成人及び小児には、1日量としてアザチオプリン1~2mg/kg相当量(通常、成人には50~100mg)を経口投与する。
〈全身性血管炎(顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症、結節性多発動脈炎、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症、高安動脈炎等)、全身性エリテマトーデス(SLE)、多発性筋炎、皮膚筋炎、強皮症、混合性結合組織病、及び難治性リウマチ性疾患〉
通常、成人及び小児には、1日量として1~2mg/kg相当量を経口投与する。なお、症状により適宜増減可能であるが1日量として3mg/kgを超えないこと。
〈自己免疫性肝炎〉
通常、成人及び小児には、1日量としてアザチオプリン1~2mg/kg相当量(通常、成人には50~100mg)を経口投与する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 〈効能共通〉肝機能障害又は腎不全のある患者では、投与量を通常投与量の下限とすることが望ましく、臨床検査値(血液検査、肝機能、腎機能検査等)を慎重に観察し、異常を認めた場合さらに減量を考慮すること〔8.1、9.2腎機能障害患者、9.3肝機能障害患者の項参照〕。
7.2. 〈ステロイド依存性のクローン病及びステロイド依存性の潰瘍性大腸炎〉2年程度を目安に本剤の投与継続の要否を検討し、なお、臨床的な治療効果は3~4ヵ月の投与ではあらわれない場合がある。
7.3. 〈治療抵抗性リウマチ性疾患〉本剤の治療効果が認められた際には効果を維持できる最低用量まで減量することを検討すること。
7.4. 〈自己免疫性肝炎〉本剤の治療効果が認められた際には効果を維持できる最低用量まで減量することを検討すること。
- 生殖能を有する者
- 8.1. 重篤な副作用が起こることがあるので、投与初期は1~2週間ごとを目安に、その後も頻回に臨床検査(血液検査、肝機能、腎機能検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。また、使用が長期間にわたると副作用が強くあらわれることがあるので、投与は慎重に行うこと〔7.1、9.1.1、9.2腎機能障害患者、9.3肝機能障害患者の項、11.1.1-11.1.4参照〕。
8.2. 感染症の発現又は感染症増悪、出血傾向の発現又は出血傾向増悪に十分注意すること(投与初期は1~2週間ごとを目安に、その後も頻回に検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること)〔9.1.2、9.1.3、11.1.1、11.1.5参照〕。
8.3. 本剤投与中に水痘又は帯状疱疹に感染すると、致命的な経過をたどることがあるので、次の注意が必要である〔9.1.4参照〕。
8.3.1. 本剤投与前に水痘又は帯状疱疹の既往や予防接種の有無を確認する(血清中のウイルス抗体価の測定は、既往歴の確認に有用である)。
8.3.2. 水痘又は帯状疱疹の既往のない患者においては、水痘又は帯状疱疹への感染を極力防ぐよう常に十分な配慮と観察を行うこと。水痘又は帯状疱疹への感染が疑われる場合や感染した場合には、直ちに受診するよう指導し、免疫グロブリンの投与等の適切な処置を行うこと。
8.3.3. 水痘又は帯状疱疹の既往や予防接種を受けたことがある患者であっても、本剤投与中は、水痘又は帯状疱疹を発症する可能性があるので留意すること。
8.4. 他の免疫抑制剤と併用する場合には、過度の免疫抑制により感染に対する感受性の上昇、悪性リンパ腫及び他の悪性腫瘍が発現する可能性があるので、有効最低限の免疫抑制を維持するなど十分注意すること。また、免疫抑制剤との併用による非ホジキンリンパ腫及びカポジ肉腫は免疫抑制剤の減量若しくは投与中止により、退行(退縮)するとの報告がある〔11.1.4、11.1.5、15.1.6参照〕。
9.1.1. 骨髄機能抑制のある患者:骨髄機能を更に抑制するおそれがある〔8.1、11.1.1参照〕。
9.1.2. 感染症を合併している患者:免疫能を低下させ、感染症を増悪させるおそれがある〔8.2、11.1.5参照〕。
9.1.3. 出血性素因のある患者:骨髄機能を抑制し、出血傾向を増悪させるおそれがある〔8.2、11.1.1参照〕。
9.1.4. 水痘患者:致命的全身症状があらわれるおそれがある〔8.3、11.1.5参照〕。
9.1.5. 肝炎ウイルスキャリアの患者:肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルス再活性化やC型肝炎悪化の徴候や症状の発現に注意すること。免疫抑制剤を投与されたB型肝炎ウイルスキャリアの患者において、B型肝炎ウイルス再活性化による肝炎があらわれることがある。また、HBs抗原陰性の患者において、免疫抑制剤の投与開始後にB型肝炎ウイルス再活性化による肝炎を発症した症例が報告されている。また、C型肝炎ウイルスキャリアの患者において、免疫抑制剤の投与開始後にC型肝炎悪化がみられることがある〔11.1.5参照〕。
9.1.6. Nudix hydrolase 15 Arg139Cys遺伝子多型(NUDT15 Arg139Cys遺伝子多型)を有する患者:本剤投与後に白血球減少等の発現の可能性が高くなるとの報告があるので、他の薬剤の使用を考慮する等、投与には十分に注意すること〔15.1.3参照〕。
9.2.1. 腎不全のある患者:骨髄機能抑制があらわれるおそれがある〔7.1、8.1参照〕。
肝機能障害又は肝炎の病歴のある患者では肝機能障害の発現・増悪又は骨髄機能抑制があらわれるおそれがある〔7.1、8.1参照〕。
9.4.1. 妊娠する可能性のある女性:妊娠する可能性のある女性には、本剤が有するリスクを説明し、可能な限り、投与期間中の妊娠を避けさせることが望ましい(ヒトで胎盤を通過することが報告されており、リンパ球に染色体異常を有する児が出生したとの症例報告、出生した児で先天奇形、血球数減少、免疫担当細胞数減少が認められたとの報告がある。本剤を妊娠期間中に投与された女性(特に副腎皮質ステロイドを併用した場合)において、早産及び低出生体重児の出産が報告されている。両親のいずれかへの本剤投与に引き続き、自然流産が発現したという報告もある。また、動物実験(ウサギ、ラット、マウス)で催奇形性が報告されている)〔9.5妊婦の項参照〕。
9.4.2. パートナーが妊娠する可能性のある男性:パートナーが妊娠する可能性のある男性に投与する場合には、本剤が有するリスクを説明し、可能な限り、投与期間中はパートナーの妊娠を避けさせることが望ましい(細菌を用いた復帰突然変異試験及びマウス、ラットを用いた小核試験において、遺伝毒性が報告されている)。
9.4.3. 生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺及び生殖能に対する影響を考慮すること〔9.5妊婦の項参照〕。
- 相互作用
- 10.1. 併用禁忌:1). 生ワクチン(乾燥弱毒生麻しんワクチン、乾燥弱毒生風しんワクチン、乾燥BCG等)〔2.4参照〕[免疫抑制下で生ワクチンを接種すると発症するおそれがある(免疫抑制下で生ワクチンを接種すると増殖し、病原性を表す可能性がある)]。
2). フェブキソスタット<フェブリク>、トピロキソスタット<トピロリック、ウリアデック>〔2.3参照〕[骨髄抑制等の副作用を増強する可能性がある(本剤の代謝物6-メルカプトプリン(6-MP)の代謝酵素であるキサンチンオキシダーゼが阻害されることにより、6-MPの血中濃度が上昇することがアロプリノールで知られている、フェブキソスタット及びトピロキソスタットもキサンチンオキシダーゼ阻害作用をもつことから、同様の可能性がある)]。
10.2. 併用注意:1). アロプリノール[骨髄抑制等の副作用を増強するので、併用する場合には、本剤を通常投与量の1/3~1/4に減量すること(アロプリノールが本剤の代謝酵素であるキサンチンオキシダーゼを阻害し、その結果、6-MPの血中濃度が上昇する)]。
2). ワルファリン[抗凝血作用が減弱することがあるので、併用する場合には凝固能の変動に十分注意しながら投与すること(ワルファリンの代謝を促進させることが考えられている)]。
3). 不活化ワクチン(不活化B型肝炎ワクチン、不活化インフルエンザワクチン等)[不活化ワクチンの作用を減弱させるとの報告がある(免疫抑制作用によってワクチンに対する免疫が得られないおそれがある)]。
4). 細胞障害作用のある薬剤又は骨髄抑制作用のある薬剤(ペニシラミン等)[骨髄抑制が起こるおそれがある(各薬剤とも骨髄機能抑制作用が報告されている)]。
5). カプトプリル、エナラプリル[骨髄抑制が起こるおそれがある(併用により骨髄機能抑制に伴う症状が報告されている)]。
6). アミノサリチル酸誘導体(メサラジン、サラゾスルファピリジン等)〔15.1.5、16.4参照〕[骨髄抑制が起こるおそれがあるので、併用する場合には、本剤の減量を考慮すること(アミノサリチル酸誘導体が本剤の代謝酵素であるチオプリンメチルトランスフェラーゼ(TPMT)を阻害するとの報告がある)]。
7). リバビリン[骨髄抑制が起こるおそれがある(リバビリンはイノシン一リン酸脱水素酵素(IMPDH)を阻害することにより、6-チオグアニンヌクレオチド(6-TGN)の産生が低下し、代謝産物のメチルチオイノシン一リン酸(meTIMP)が蓄積すると考えられる)]。
8). メトトレキサート[併用する場合には、適切な白血球数を維持するよう用量を調節すること(6-MPと高用量のメトトレキサート(20mg/㎡経口)と併用した場合、6-MPのAUCが約31%上昇したとの報告がある)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 血液障害(頻度不明):再生不良性貧血、汎血球減少、貧血、巨赤芽球性貧血、赤血球形成不全、無顆粒球症、血小板減少、出血があらわれることがある〔8.1、8.2、9.1.1、9.1.3参照〕。
11.1.2. ショック様症状(頻度不明):悪寒、戦慄、血圧降下等があらわれることがある〔8.1参照〕。
11.1.3. 肝機能障害、黄疸(頻度不明)〔8.1参照〕。
11.1.4. 悪性新生物(頻度不明):悪性リンパ腫、皮膚癌、肉腫、子宮頸癌、急性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群等があらわれることがある〔8.1、8.4、15.1.6参照〕。
11.1.5. 感染症(頻度不明):肺炎、敗血症があらわれることがあり、また、B型肝炎ウイルス再活性化による肝炎やC型肝炎悪化があらわれることがある〔8.2、8.4、9.1.2、9.1.4、9.1.5参照〕。
11.1.6. 間質性肺炎(頻度不明):発熱、咳嗽、呼吸困難、捻髪音、胸部X線異常、動脈血酸素分圧低下等を伴う間質性肺炎があらわれた場合には、投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤投与等の適切な処置を行うこと。
11.1.7. 重度下痢(頻度不明):クローン病又は潰瘍性大腸炎患者への本剤の再投与により重度下痢が再発し、本剤との関連性が疑われた報告がある。
11.1.8. 進行性多巣性白質脳症(PML)(頻度不明):本剤の治療期間中及び治療終了後は患者の状態を十分に観察し、意識障害、認知障害、麻痺症状(片麻痺、四肢麻痺)、言語障害等の症状があらわれた場合は、MRIによる画像診断及び脳脊髄液検査を行うとともに、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 11.2. その他の副作用
1). 皮膚:(頻度不明)発疹、血管炎[このような症状があらわれた場合には過敏症が疑われるため、本剤の投与を中止すること]。
2). 腎臓:(頻度不明)腎機能障害[このような症状があらわれた場合には過敏症が疑われるため、本剤の投与を中止すること]。
3). 膵臓:(頻度不明)膵炎。
4). 消化器:(頻度不明)食欲不振、悪心・嘔吐[投与初期にこのような症状があらわれたときには、食後に投与することにより軽減することがある]、下痢。
5). 循環器:(頻度不明)心悸亢進。
6). 全身症状:(頻度不明)全身倦怠感、筋痛、関節痛、発熱、悪寒[このような症状があらわれた場合には過敏症が疑われるため、本剤の投与を中止すること]。
7). その他:(頻度不明)脱毛、口内炎、舌炎、*めまい[*:このような症状があらわれた場合には過敏症が疑われるため、本剤の投与を中止すること]。
- 高齢者
- 減量するなど注意すること(一般に生理機能が低下していることが多い)。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること〔9.4.1、9.4.3参照〕。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
- 小児等
- 9.7.1. 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.7.2. 小児に投与する必要がある場合には、性腺及び生殖能に対する影響を考慮すること。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤交付時の注意PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)。
開封後は光を避けて保存すること。
- その他の注意
- 15.1. 臨床使用に基づく情報15.1.1. 長波の紫外線と相乗的に作用して染色体異常をおこすとの報告がある。
免疫抑制剤による治療を受けた患者は皮膚癌が発症する可能性が高いため、UVカット素材の衣類の着用やサンスクリーンを使用し、日光の直接照射を避けること。
15.1.2. 肝中心静脈閉塞(肝中心静脈閉塞症)、結節性再生性過形成等の所見を認めたとの報告がある。
15.1.3. 本剤の代謝に関わる酵素であるNUDT15について、遺伝子多型が報告されており、NUDT15 Arg139Cys遺伝子多型を有する患者では、本剤投与後に白血球減少等の発現の可能性が高くなるとの報告があり、なお、日本人でNUDT15 Arg139Cys遺伝子多型をホモ接合体(Cys/Cys)で有する頻度は1%程度、ヘテロ接合体(Arg/Cys、Cys/His)で有する頻度は20%程度との報告がある〔9.1.6参照〕。
15.1.4. TPMTが遺伝的に欠損している患者においては、骨髄抑制があらわれやすいとの報告がある〔16.4参照〕。
15.1.5. 本剤とTPMT活性が遺伝的に欠損している患者にTPMTを阻害する薬剤を併用(TPMT活性が遺伝的に欠損している患者にアミノサリチル酸誘導体を併用
等)する場合には、骨髄抑制が増強される可能性がある〔10.2参照〕。
15.1.6. 本剤の活性代謝物である6-MPと細胞毒性のある薬剤を併用した場合、TPMT活性の低い患者では、二次性白血病や骨髄異形成症候群の発現リスクが上昇するとの報告がある〔8.4、11.1.4参照〕。
15.1.7. 副腎皮質ステロイド剤を含む免疫抑制治療を受けている臓器移植患者において大腸炎、憩室炎ならびに腸管穿孔等の重篤な消化器症状の発現が報告されている。
15.2. 非臨床試験に基づく情報15.2.1. 動物実験で、悪性リンパ腫(ラット、マウス)、外耳道扁平上皮癌(ラット)が発生したとの報告がある。
16.1 血中濃度
7名の腎移植患者にアザチオプリンを1.3~2.8mg/kg注1)の投与量で1日1回反復経口投与した時の6‐MP及び6‐チオ尿酸(6‐TU)の薬物動態パラメータ及び血漿中濃度推移は次のとおりであった(外国人データ)。
→図表を見る(PDF)
注1)本剤の腎移植における拒絶反応の抑制に対する承認用量(1日量)は、初期量としてアザチオプリン2~3mg/kg相当量、維持量としてアザチオプリン0.5~1mg/kg相当量である。
16.2 吸収
白血病患者注2)に経口投与された35S標識アザチオプリンは、胃腸管から速やかに吸収される(外国人データ)。
注2)アザニン錠は白血病の適応は有していない。
16.4 代謝
アザチオプリンは生体内ですみやかに6‐MPに分解され、さらにキサンチンオキシダーゼ及びTPMTによって代謝された後、尿中に排泄される。
一方、細胞内に入った6‐MPはヒポキサンチン‐グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT)によってチオイノシン酸に代謝された後、6‐TGNあるいはmeTIMPに変換される(外国人データ)。[10.2、15.1.4参照]
16.5 排泄
35S標識アザチオプリン(100mg)を3名の白血病患者注3)に経口投与したとき、24時間尿中に投与量の約50%、48時間尿中に約70%の放射能がおもに6‐TU及び無機硫酸塩として排泄された(外国人データ)。
注3)アザニン錠は白血病の適応は有していない。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 TPMT遺伝子多型の患者
6‐MP及びチオイノシン酸のメチル化反応に関与するTPMTには遺伝多型が報告されている。38名の腎又は心移植患者にアザチオプリンを投与したとき、赤血球中TPMT活性と6‐TGN濃度の間に有意な負の相関性が認められた(r=-0.785、p<0.01)(外国人データ)。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
〈臓器移植における拒絶反応の抑制〉
17.1.1 国内集計報告(腎移植)
1983年から1994年に施行された腎移植症例についての日本移植学会による集計より
(1)生体腎移植(3,508例)
導入免疫抑制剤として本剤投与(1,088例)、本剤とミゾリビンとの併用(32例)又は本剤とシクロスポリンとの併用(339例)が実施された3群における5年生着率はそれぞれ69.5%、69.8%、68.7%、10年生着率はそれぞれ45.6%、36.3%、65.1%であった。
(2)死体腎移植(1,588例)
導入免疫抑制剤として本剤投与(395例)、本剤とミゾリビンとの併用(9例)又は本剤とシクロスポリンとの併用(96例)が実施された3群における5年生着率はそれぞれ40.4%、88.8%、71.1%、10年生着率はそれぞれ32.4%、88.8%、60.2%であり、併用群で有意に高い成績が得られた。
17.1.2 海外比較試験(肝移植)
1985年から1989年までに肝移植術を受けた164例を対象として、アザチオプリン(2mg/kg)にシクロスポリン及びプレドニゾンを併用した三剤併用群(98例)とシクロスポリンとプレドニゾンを併用した二剤併用群(66例)を比較検討した。慢性拒絶反応である胆管の脱落率は、二剤併用群(21%)に比し三剤併用群(1%)で有意に低く、本剤の有用性が示された(p=0.0005)(外国人データ)。
17.1.3 海外比較試験(心移植)
1983年から1988年までに心移植術を受けた77例を対象として、アザチオプリン(2mg/kg/日)にシクロスポリン及びプレドニゾンを併用した三剤併用群(23例)とシクロスポリンとプレドニゾンを併用した二剤併用群(54例)を比較検討した結果、2年生存率はそれぞれ92%、75%であった。また、二剤併用群に比べ、三剤併用群では、移植後早期(3ヵ月以内)の拒絶反応発現率は有意に低かった(p=0.05)。移植後早期(3ヵ月以内)の感染症発症率は三剤併用群の方が二剤併用群よりも有意に高かった(p=0.05)が、重篤なものはなく、移植後3ヵ月以降では有意差は認められなかった(外国人データ)。
17.1.4 海外試験(肺移植)
1988年から1992年までに一側肺移植73例、両側肺移植58例の計131例に対し、アザチオプリン(2mg/kg)注1)とシクロスポリン及びプレドニゾンの併用を中心とした免疫抑制療法が実施された結果、1年生存率82%、2年生存率81%の成績であった(外国人データ)。
注1)注射剤を用いた成績である。
〈ステロイド依存性のクローン病及びステロイド依存性の潰瘍性大腸炎〉
17.1.5 海外比較試験(クローン病)
アザチオプリン(2.5mg/kg)注2)にプレドニゾロン(初期用量として60mg)を併用投与した群(21例)とプレドニゾロン単独投与群(21例)を比較検討した。16週後の寛解率はアザチオプリン併用群(76%)がプレドニゾロン単独投与群(38%)に比べ有意に高く(p=0.03)、また試験期間中の平均プレドニゾロン投与量も有意な低値を示した(p=0.02)。アザチオプリン併用群では嘔気・嘔吐及び血清リパーゼ濃度の上昇が各1例でみられたが、前者は投与中止により、また後者は投与継続中にそれぞれ消失した(外国人データ)。
注2)本剤のステロイド依存性のクローン病の寛解導入及び寛解維持に対する用法・用量は、「通常、成人及び小児には、1日量としてアザチオプリン1~2mg/kg相当量(通常、成人には50~100mg)を経口投与する。」である。
17.1.6 海外比較試験(潰瘍性大腸炎)
重度の初発患者を対象にステロイドの非経口投与及び経口投与によって寛解導入し、サラゾスルファピリジンにアザチオプリン(2.5mg/kg/日)注3)を併用した群(17例)とサラゾスルファピリジンのみの群(18例)でアザチオプリンの寛解維持効果を比較検討した。その結果、1年後までの再燃率はアザチオプリン併用群では23.5%、サラゾスルファピリジン単独投与群では55.6%であり、アザチオプリン併用群で有意に低い再燃を示した(p=0.05)(外国人データ)。
注3)本剤のステロイド依存性の潰瘍性大腸炎の寛解維持に対する用法・用量は、「通常、成人及び小児には、1日量としてアザチオプリン1~2mg/kg相当量(通常、成人には50~100mg)を経口投与する。」である。
18.1 作用機序
生体内で6‐MPに分解され、核酸合成を阻害することにより免疫抑制作用をあらわす。細胞内に取り込まれた6‐MPは、チオイノシン酸から6‐TGNに変換され、DNAへ取り込まれて細胞障害作用を発揮すると考えられている。また、チオイノシン酸及びそのメチル化体は、5‐ホスホリボシル‐1‐ピロリン酸(PRPP)から5‐ホスホリボシルアミンへの形成反応等プリンヌクレオチド合成に不可欠な反応を阻害する。
18.2 抗体産生抑制作用
アザチオプリンは生体内で6‐MPに変換されて作用するが、マウスにおけるアザチオプリンの抗体産生抑制作用の強さは、6‐MPの約4倍である。
18.3 腎移植モデルに対する作用
アカゲザル腎移植モデルを用いた検討において、シクロスポリン(10mg/kg/日又は25mg/kg/日)にアザチオプリン(2mg/kg/日)及びプレドニゾロン(1mg/kg)の併用投与群はシクロスポリン(10mg/kg/日又は25mg/kg/日)の単独投与群に比し、移植腎の生着期間は同程度以上であり、腎毒性或いは易感染性の徴候は観察されなかった。
18.4 同種肺移植モデルに対する作用
イヌ同種肺移植モデルにアザチオプリン(2mg/kg/日)及びシクロスポリン(17mg/kg/日)をそれぞれ14日間及び35日間経口投与し、その後シクロスポリンを漸減したところ、5頭の内2頭はそれぞれ13ヵ月及び6ヵ月生存し、正常な肺機能を維持すると共に明確な拒絶反応を示さず、3頭は拒絶反応を示したもののメチルプレドニゾロンのパルス療法により回復し、5ヵ月以上生存した。
18.5 大腸炎モデルに対する作用
モルモット免疫性大腸炎モデルにおいて、アザチオプリン(100mg/kg/日の腹腔内投与)は下痢、直腸出血等の発生率を低下させ、結腸における炎症性病変及び浮腫の形成を抑制した。ラット免疫複合体・ホルムアルデヒド誘発大腸炎モデルにおいて、アザチオプリン(1mg/kg/日の腹腔内投与)は結腸での血漿滲出、好中球浸潤及び浮腫形成を抑制した。
- 一包可:不可
- 分割:不可
- 粉砕:不明
- 製造販売会社
- 富士製薬
- 販売会社
おくすりのQ&A
保険審査の内容で恐縮ですが、先日の業界紙において、「社会保険診療報酬支払基金は31日、高血圧症に対して初回から第一選択薬として「配合剤」を投与することは、...
Cost of Concerta (methylphenidate)?
I am curious to find the cost of a month's supply of methylphenidate for ADHD...
わからないことがあったら、
気軽にすぐ質問しよう!
このコミュニティは、各種法令・通達が実務の現場で実際にはどう運用されているのか情報共有に使われることもあります。解釈に幅があるものや、関係機関や担当者によって対応が異なる可能性のあることを、唯一の正解であるかのように断言するのはお控えください。「しろぼんねっと」編集部は、投稿者の了承を得ることなく回答や質問を削除する場合があります。