レボカルニチンFF静注1000mgシリンジ「フソー」
添付文書情報2022年02月改定(第1版)
商品情報
- 禁忌
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
- 効能・効果
- カルニチン欠乏症。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 本剤は、臨床症状・検査所見からカルニチン欠乏症と診断された場合あるいはカルニチン欠乏症が発症する可能性が極めて高い状態である場合にのみ投与すること。
5.2. 本剤の投与に際しては、原則として、カルニチンの欠乏状態の検査に加え、カルニチン欠乏の原因となる原疾患を特定すること。
- 用法・用量
- 通常、レボカルニチンとして1回体重1kgあたり50mgを3~6時間ごとに、緩徐に静注(2~3分)又は点滴静注する。なお、患者の状態に応じて適宜増減するが、1日の最大投与量は体重1kgあたり300mgとする。
血液透析に伴うカルニチン欠乏症に対しては、通常、レボカルニチンとして体重1kgあたり10~20mgを透析終了時に、透析回路静脈側に注入(静注)する。なお、患者の状態に応じて適宜増減する。
(用法及び用量に関連する注意)
本剤の投与に際しては、臨床症状の改善の程度と副作用の発現の程度及び定期的な臨床検査、バイタルサイン、カルニチンの欠乏状態等から投与量を総合的に判断し、また、増量する場合には慎重に判断し、漫然と投与を継続しないこと〔8.重要な基本的注意の項参照〕。
- 腎機能障害患者
- 本剤投与中は、定期的にバイタルサイン、臨床検査(血液検査、肝機能・腎機能検査、尿検査)、カルニチンの欠乏状態のモニタリングを行うことが望ましい〔7.用法及び用量に関連する注意の項参照〕。
9.2.1. 重篤な腎機能障害のある患者又は透析下の末期腎疾患患者:患者の状態を観察しながら慎重に投与し、漫然と投与を継続しないこと(レボカルニチン経口剤の高用
量の長期投与により、トリメチルアミン等の有害な代謝物が蓄積するおそれがある。重篤な腎機能障害のある患者を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない)。
9.2.2. 血液透析患者:本剤投与により期待する効果が得られない場合には、漫然と投与を継続しないこと。
- 相互作用
- 10.2. 併用注意:糖尿病用薬(経口糖尿病治療薬、インスリン製剤等)[低血糖症状があらわれるおそれがある(機序は不明である)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 11.2. その他の副作用
1). 消化器:(1%未満*)食欲不振、下痢、軟便、腹部膨満感、(頻度不明)悪心・嘔吐、腹痛。
2). 過敏症:(頻度不明)発疹、そう痒感。
3). その他:(1%未満*)顔面浮腫、血尿、貧血、(頻度不明)体臭。
*)エルカルチン錠(レボカルニチン塩化物錠)の使用成績調査における発現頻度。
- 高齢者
- 患者の状態を観察し、減量するなど十分に注意しながら本剤を投与すること(一般に生理機能が低下している)。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(レボカルニチン塩化物を投与した動物実験(ラット:経口)で胎仔への移行が報告されている)。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(レボカルニチン塩化物を投与した動物実験(ラット:経口)で乳汁中への移行が報告されている)。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 全般的な注意使用時には次の点に注意すること。
・ シリンジが破損するおそれがあるので、シリンジを鉗子等で叩くなど、強い衝撃を与えないこと。
・ 押子(プランジャー)を反時計回りに回転させると接続に緩みが生じ、ガスケットから押子が外れるおそれがあるので、押子を反時計回りに回転させないこと。
14.2. 薬剤投与時の注意14.2.1. 本剤はシリンジポンプでは使用できない。
14.2.2. 押子の緩みがないか確認すること(緩みが認められた場合は、押子を時計回りに回転させ締め直すこと)。
14.2.3. 外筒(バレル)部分をしっかりと持ち、筒先のキャップを外して、カテーテル、エクステンションチューブ又は注射針等を確実に接続すること(キャップを外した後は、筒先に触れないこと)。
14.2.4. 投与前後とも押子を引かないこと。
14.3. 薬剤投与後の注意シリンジの再滅菌はしないこと。開封後の使用は1回限りとし、使用後の残液はシリンジとともに速やかに廃棄すること。
20.1. ピロー包装は使用直前まで開封しないこと。
20.2. 次の場合には、本剤を使用しないこと。
・ ピロー包装が破損している場合には、本剤を使用しないこと。
・ シリンジから薬液が漏れている場合には、本剤を使用しないこと。
・ 性状その他薬液に異状が認められる場合には、本剤を使用しないこと。
・ シリンジに破損等の異状が認められる場合には、本剤を使用しないこと。
・ キャップが外れている場合には、本剤を使用しないこと。
16.1 血中濃度
健康成人に、レボカルニチン注射剤30及び60mg/kgを5分間かけて、空腹時単回静脈内投与した時の遊離カルニチン、総カルニチン及びアシルカルニチンの薬物動態パラメータを表16‐1に示す。
遊離カルニチン及び総カルニチンの血漿中薬物動態パラメータ(Cmax、AUC24h)は用量増加に伴い上昇した。
表16‐1 レボカルニチン注射剤単回投与時の薬物動態パラメータ(遊離カルニチン、総カルニチン及びアシルカルニチン)
→図表を見る(PDF)
16.5 排泄
16.5.1 尿中排泄率
健康成人に、レボカルニチン注射剤30及び60mg/kgを空腹時単回静脈内投与した時の24時間までのベースラインで補正した遊離カルニチンの累積尿中排泄率(fe,24h)は、それぞれ75.80%及び75.20%であった。
16.5.2 トランスポーター
レボカルニチンは、有機カチオン/カルニチントランスポーター(OCTN2)の基質である。
17.3 その他
17.3.1 先天代謝異常症に伴う二次性カルニチン欠乏症
カルニチンアシルカルニチントランスロカーゼ(CACT)欠損症患児1例にレボカルニチン200mg/kg/日を静脈内投与したところ、血漿中遊離カルニチン濃度の上昇及び長鎖アシルカルニチン濃度の低下が認められ、心機能が正常化し、不整脈が消失した(公表論文の成績、外国人データ)。
17.3.2 透析患者での二次性カルニチン欠乏症
(1)非糖尿病性の安定期維持透析患者38例にレボカルニチン20mg/kg/日を静脈内投与したところ、血清中尿素窒素(SUN)、クレアチニン及び無機リン値の減少、透析中の筋肉痙攣及び低血圧の発現率の減少、身体持久力等の臨床症状の改善が認められた(公表論文の成績、外国人データ)。
(2)末期腎不全の血液透析患者58例にレボカルニチン20mg/kg/日を静脈内投与したところ、血漿中カルニチン濃度が上昇し、倦怠感の改善が認められた(公表論文の成績、外国人データ)。
(3)慢性腎不全の安定した血液透析患者14例にレボカルニチン20mg/kg/日を静脈内投与したところ、ヘモグロビン値及びヘマトクリット値の上昇が認められた(公表論文の成績、外国人データ)。
(4)血液透析患者12例にレボカルニチン15mg/kg/日を静脈内投与したところ、ヘマトクリット値は上昇し、ヒトエリスロポエチン投与量は減少した(公表論文の成績、外国人データ)。
18.1 作用機序
レボカルニチンの投与により組織内における慢性的なカルニチン欠乏状態を是正し、組織内で過剰に蓄積した有害なプロピオニル基をプロピオニルカルニチンとして体外(尿中)へ排泄させる。また、有害なプロピオニル基からミトコンドリア機能を保護し、その代謝を賦活する。
18.2 ミトコンドリア呼吸能に対する作用
ラット肝ミトコンドリアを用いて、レボカルニチン塩化物(l‐体)を光学異性体であるd‐カルニチン塩化物及びdl‐カルニチン塩化物と比較検討した。その結果、l‐体はミトコンドリア呼吸活性への抑制作用を示さず、プロピオン酸によるミトコンドリア呼吸能の抑制作用に対して有意な回復作用を示した(in vitro)。
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