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ピノルビン注射用30mg

販売名
ピノルビン注射用30mg
薬価
30mg1瓶 12977.00円
製造メーカー
日本マイクロバイオファーマ

添付文書情報2024年01月改定(第1版)

商品情報

薬効分類名
アントラサイクリン系抗生物質製剤
一般名
ピラルビシン塩酸塩注射用
規制区分
  • 特生
  • 特承
  • 覚原
禁忌
2.1. 心機能異常又はその既往歴のある患者[心筋障害があらわれることがある]。
2.2. 本剤に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者。
2.3. 他のアントラサイクリン系薬剤による前治療が限界量等心毒性を有する薬剤による前治療が限界量(ドキソルビシン塩酸塩では総投与量が体表面積当り500mg/㎡、ダウノルビシン塩酸塩では総投与量が体重当り25mg/kg等)に達している患者[心筋障害があらわれることがある]〔9.1.4参照〕。
効能・効果
次記疾患の自覚的・他覚的症状の寛解並びに改善:頭頸部癌、乳癌、胃癌、尿路上皮癌(膀胱癌、腎盂腫瘍・尿管腫瘍)、卵巣癌、子宮癌、急性白血病、悪性リンパ腫。
用法・用量
投与方法
(1). 静脈内注射の場合
頭頸部癌は3法又は4法を、乳癌及び胃癌は1法又は3法を、卵巣癌及び子宮癌は1法を、尿路上皮癌は1法又は2法を、急性白血病は5法を、悪性リンパ腫は1法又は4法を標準的用法・用量として選択する。
1法(3~4週1回法)
ピラルビシンとして、1日1回、40~60mg(25~40mg/㎡)(力価)を投与し、3~4週間休薬する。これを1クールとし、投与を繰り返す。
2法(3~4週2回法)
ピラルビシンとして、1日1回、30~40mg(20~25mg/㎡)(力価)を2日間連日投与し、3~4週間休薬する。これを1クールとし、投与を繰り返す。
3法(週1回法)
ピラルビシンとして、1日1回、20~40mg(14~25mg/㎡)(力価)を1週間間隔で2~3回投与し、3~4週間休薬する。これを1クールとし、投与を繰り返す。
4法(連日法)
ピラルビシンとして、1日1回、10~20mg(7~14mg/㎡)(力価)を3~5日間連日投与し、3~4週間休薬する。これを1クールとし、投与を繰り返す。
5法(連日法)
ピラルビシンとして、1日1回、10~30mg(7~20mg/㎡)(力価)を5日間連日投与する。骨髄機能が回復するまで休薬し、投与を繰り返す。
(2). 動脈内注射による頭頸部癌、膀胱癌の場合
ピラルビシンとして、1日1回、10~20mg(7~14mg/㎡)(力価)を連日又は隔日に5~10回投与する。
(3). 膀胱内注入による膀胱癌の場合
カテーテルを用いて導尿した後、ピラルビシンとして、1日1回、15~30mg(力価)を500~1000μg(力価)/mLの溶液として週3回、各1~2時間膀胱内把持する。これを1クールとし、2~3クール繰り返す。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
生殖能を有する者
8.1. 〈効能共通〉骨髄機能抑制、心筋障害等の重篤な副作用が起こることがあるので、頻回に臨床検査(血液検査、肝機能・腎機能検査、心機能検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。また、使用が長期間にわたると副作用が強くあらわれ、遷延性に推移することがあるので、投与は慎重に行うこと。
心機能検査としては、心電図等を原則としてクール(通常3~4週)ごとに実施することが望ましい〔9.1.1、9.1.2、11.1.1、11.1.2参照〕。
8.2. 〈効能共通〉アントラサイクリン系薬剤未治療例で、本剤の総投与量が950mg/㎡(体表面積)を超えると、うっ血性心不全を起こすことが多くなるので十分に注意すること〔11.1.1参照〕。
8.3. 〈効能共通〉前治療等により950mg/㎡以下の総投与量でもうっ血性心不全が起こることがあるので、他のアントラサイクリン系薬剤による前治療歴等心毒性を有する薬剤による前治療歴のある患者、心臓部あるいは縦隔に放射線療法を受けた患者及び本剤の総投与量が700mg/㎡を超える患者では心機能検査を行い慎重に投与すること〔9.1.4、11.1.1参照〕。
8.4. 〈効能共通〉感染症の発現又は感染症増悪、出血傾向の発現又は出血傾向増悪に十分注意すること〔9.1.2参照〕。
8.5. 〈急性白血病〉末梢血液及び骨髄所見を随時検査し、投与期間を短縮又は延長すること〔9.1.1、9.1.2、11.1.2参照〕。
9.1.1. 骨髄機能抑制のある患者:骨髄機能抑制を増悪させるおそれがある〔8.1、8.5、11.1.2参照〕。
9.1.2. 感染症を合併している患者:骨髄機能抑制により感染を増悪させるおそれがある〔8.1、8.4、8.5、11.1.2参照〕。
9.1.3. 水痘患者:致命的全身障害があらわれるおそれがある。
9.1.4. 他のアントラサイクリン系薬剤による前治療歴<限界量に達している場合を除く>等心毒性を有する薬剤による前治療歴<限界量に達している場合を除く>のある患者〔2.3、8.3、11.1.1参照〕。
腎機能障害患者:副作用が強くあらわれるおそれがある。
肝機能障害患者:副作用が強くあらわれるおそれがある。
9.4.1. 妊娠する可能性のある女性:妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後6ヵ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること〔9.5妊婦の項、15.2.2参照〕。
9.4.2. 男性:男性には、本剤投与中及び最終投与後3ヵ月間においてバリア法(コンドーム)を用いて避妊する必要性について説明すること〔15.2.2参照〕。
9.4.3. 小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮すること。
相互作用
10.2. 併用注意:1). 投与前の心臓部あるいは縦隔への放射線照射、他の潜在的に心毒性を有する抗悪性腫瘍剤(アントラサイクリン系薬剤等)[心筋障害が増強されるおそれがある(心筋に対する蓄積毒性が増強される)]。
2). 他の抗悪性腫瘍剤、放射線照射[骨髄機能抑制等の副作用が増強することがある(副作用が相互に増強される)]。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. 心筋障害(頻度不明):心筋障害、更に心不全等があらわれることがある〔8.1-8.3、9.1.4参照〕。
11.1.2. 骨髄抑制:汎血球減少(頻度不明)、貧血(頻度不明)、白血球減少(63.3%)、好中球減少(頻度不明)、血小板減少(13.7%)、出血傾向(2.9%)等の骨髄抑制があらわれることがある〔8.1、8.5、9.1.1、9.1.2参照〕。
11.1.3. ショック(頻度不明)。
11.1.4. 間質性肺炎(頻度不明):発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線像異常等を伴う間質性肺炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
11.1.5. 萎縮膀胱(4.0%*):膀胱内注入療法によって萎縮膀胱があらわれることがある。
11.2. その他の副作用
1). 心臓:(0.1~5%未満)心電図異常、(頻度不明)頻脈、不整脈。
2). 肝臓:(5%以上)肝障害、(0.1~5%未満)γ-GTP上昇、(頻度不明)AST上昇、ALT上昇、Al-P上昇、LDH上昇、総ビリルビン上昇。
3). 腎臓:(0.1~5%未満)腎障害、蛋白尿、BUN上昇、クレアチニン上昇。
4). 消化器:(5%以上)食欲不振(35.1%)、悪心・嘔吐、口内炎、(0.1~5%未満)下痢、腹痛、イレウス、(頻度不明)消化管出血、便秘。
5). 皮膚:(5%以上)脱毛、(0.1~5%未満)皮膚色素沈着。
6). 精神神経系:(5%以上)全身倦怠(19.0%)、(0.1~5%未満)頭痛、めまい、しびれ。
7). 泌尿器:(頻度不明)排尿痛、血尿。
8). 泌尿器(膀胱内注入療法時*):(5%以上)頻尿(50.0%)、排尿痛(38.0%)、血尿等の膀胱刺激症状、(頻度不明)排尿障害。
9). 過敏症:(0.1~5%未満)発疹等の過敏症状、(頻度不明)皮膚炎。
10). その他:(5%以上)発熱、(0.1~5%未満)胸痛、動悸、息切れ、味覚異常、(頻度不明)感染症、浮腫、血清総蛋白減少、電解質異常、顔面潮紅、耳鳴。
*)国内第2相試験(膀胱内注入)の発現頻度に基づく。
高齢者
用量に留意して患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(本剤は主として肝臓で代謝されるが、高齢者では肝機能等の生理機能が低下していることが多い)。
授乳婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい(動物実験(ラット)で胎仔に対する毒性的影響(胎仔体重抑制、胎仔腰椎過剰、胎仔前肢指化骨数減少)が報告され、アントラサイクリン系の他の抗悪性腫瘍剤の動物実験では催奇形性が報告されている)〔9.4.1参照〕。
授乳しないことが望ましい(本剤は動物実験(ラット)の結果から乳汁に移行する可能性があり、乳児が乳汁を介して本剤を摂取した場合、乳児に重篤な副作用が発現するおそれがある)。
小児等
副作用の発現に特に注意し、慎重に投与すること(小児等を対象とした臨床試験は実施していない)。
適用上の注意
14.1. 薬剤調製時の注意14.1.1. ピラルビシンとして10mg(力価)当り5mL以上の5%ブドウ糖注射液、注射用水又は生理食塩液を加えて溶解する。
本剤は溶解時のpHにより力価の低下及び濁りを生じることがあるので、他の薬剤<5%ブドウ糖注射液・注射用水又は生理食塩液を除く>との混注を避けること(pH6付近が最も安定であり、酸性側(pH5以下)及びアルカリ性側(pH8以上)で経時的に力価が低下する)。
14.1.2. 用時溶解注射剤のため、溶解後はできるだけ速やかに使用すること(なお、やむを得ず保存を必要とする場合には、室温保存では6時間以内に使用すること)。
14.2. 薬剤投与時の注意14.2.1. 皮下・筋肉内には投与しないこと。
14.2.2. 膀胱癌の動脈内投与療法に際し阻血を行った症例で、高濃度の薬剤が坐骨神経に流れ、坐骨神経麻痺を起こしたとの報告があるので、このような投与方法を行う場合には慎重に投与すること。
14.2.3. 血管内投与により、ときに血管痛、静脈炎等を起こすことがあるので、注射部位、注射方法等に十分注意すること。
14.2.4. 血管内投与に際し、薬液が血管外に漏れると注射部位に硬結・壊死、炎症を起こすことがあるので、薬液が血管外に漏れないよう慎重に投与すること。
14.2.5. 本剤を溶解した液とシリンジに塗布されているシリコンオイルが接触することで、シリンジ内にまれにシリコンオイルの浮遊物がみられることがあるので、その場合はフィルターを使用して投与すること。
その他の注意
15.1. 臨床使用に基づく情報15.1.1. 本剤と他の抗悪性腫瘍剤を併用した患者に、急性白血病(前白血病相を伴う場合もある)、骨髄異形成症候群(MDS)が発生したとの報告がある。
15.1.2. 本剤の尿中排泄により尿が赤色になることがある。
15.2. 非臨床試験に基づく情報15.2.1. ラットに腹腔内投与した実験で、発癌性がみられたとの報告がある。
15.2.2. 細菌を用いた復帰突然変異試験陽性、哺乳類細胞を用いた染色体異常試験陽性及びマウスを用いた骨髄小核試験陽性の結果が報告されている〔9.4.1、9.4.2参照〕。

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
(1)静脈内投与
癌患者に本剤30mg/m2をワンショット静注投与した場合、投与1分後の血漿中濃度は0.52±0.28μg/mLで、投与後急速に低下したが、8時間以上にわたり6~11ng/mLの濃度が持続した。α、β、γ相の血漿中濃度半減期はそれぞれ0.89分、0.46時間、14.2時間であった。
図 癌患者における血漿中濃度

(2)膀胱内投与
癌患者4名に本剤20mg(0.5mg/mL)を膀胱内に単回投与した症例において、血中には本剤はほとんど検出されなかった。
16.3 分布
16.3.1 蛋白結合
限外濾過法により測定したヒト血清蛋白との結合率は本剤の濃度10、25、50及び100μg/mLで、それぞれ76.2、33.9、38.3及び19.0%であった(in vitro)。

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第II相試験(静脈内投与)
腫瘍別の奏効率は、頭頸部癌18.8%(12/64)、乳癌21.4%(18/84)、胃癌13.3%(13/98)、尿路上皮癌24.3%(9/37)[膀胱癌22.2%(6/27)、腎盂・尿管腫瘍30.0%(3/10)]、卵巣癌26.8%(11/41)、子宮癌24.2%(8/33)、急性白血病30.4%(14/46)、悪性リンパ腫51.3%(39/76)であった。
また、乳癌を対象とした比較試験でも、本剤の有用性が認められている。
17.1.2 国内第II相試験(動脈内投与)
腫瘍別の奏効率は、頭頸部癌53.5%(23/43)、膀胱癌60.0%(3/5)であった。
17.1.3 国内第II相試験(膀胱内注入)
表在性膀胱癌に対する有効率は、60.0%(30/50)であった。

18.1 作用機序
本剤は癌細胞へ速やかに取り込まれ、核画分に移行して核酸合成を阻害し、細胞に障害を与える。細胞分裂のG2期で細胞周期を停止させて癌細胞を致死させると考えられる。
18.2 抗腫瘍効果
吉田肉腫(ラット)、L1210白血病、P388白血病、B16メラノーマ、Colon38、Ehrlich固形癌、Sarcoma180固形癌(マウス)等の実験腫瘍に対して強い抗腫瘍効果を示した。Lewis肺癌の転移を強く抑制した(マウス)。また、シタラビン、アンシタビン、シクロホスファミド水和物との併用により、高い抗腫瘍効果を示した(マウス)。

製造販売会社
日本マイクロバイオファーマ
販売会社
 日本化薬

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