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ファリーダックカプセル15mg

販売名
ファリーダックカプセル15mg
識別コード
LBH 15mg
薬価
15mg1カプセル 55892.00円
製造メーカー
ノバルティス ファーマ

添付文書情報2015年07月改定(第1版)

商品情報

薬効分類名
その他の抗悪性腫瘍用剤
一般名
パノビノスタット乳酸塩カプセル
規制区分
  • 特生
  • 特承
  • 覚原
警告
1.本剤の投与は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される患者のみに行う。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始する。
2.本剤の使用にあたっては、治療初期は入院又はそれに準ずる管理の下で適切な処置を行う。また、添付文書等を熟読する。
効能・効果
再発又は難治性の多発性骨髄腫。
<効能又は効果に関連する使用上の注意>
1.本剤による治療は、少なくとも1つの標準的な治療が無効又は治療後に再発した患者を対象とする。
2.臨床試験に組み入れられた患者の前治療歴等について、添付文書の【臨床成績】の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分理解した上で、適応患者の選択を行う。
用法・用量
ボルテゾミブ及びデキサメタゾンとの併用において、パノビノスタットとして1日1回20mgを週3回、2週間(1、3、5、8、10及び12日目)経口投与した後、9日間休薬(13~21日目)する。この3週間を1サイクルとし、投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
<用法及び用量に関連する使用上の注意>
1.本剤を単独投与で使用した場合の有効性及び安全性は確立していない。
2.ボルテゾミブ及びデキサメタゾンの投与に際しては、添付文書の【臨床成績】の項の内容を熟知し、投与する(また、併用薬剤の添付文書を熟読する)。
3.ボルテゾミブ及びデキサメタゾン以外の抗悪性腫瘍剤との併用における有効性及び安全性は確立していない。
4.本剤を16サイクルを超えて投与した場合の有効性及び安全性は確立していない。
5.肝機能障害患者では、本剤の血中濃度が上昇するとの報告があるため、減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意する。
6.本剤の投与開始にあたっては、次を参考に判断を行う。
[投与開始基準]
血小板数:100000/μL以上。
好中球数:1500/μL以上。
QTc間隔:450msec未満(投与開始にあたっては、電解質の補正を行った上で心電図検査を実施し、平均で450msec以上のQTc間隔延長が認められた場合は、本剤の投与は行わない)。
血中電解質(血中カリウム、マグネシウム及びリン):電解質異常(血中カリウム異常、血中マグネシウム異常及び血中リン異常)がある患者の場合は必要に応じて電解質補正する。
7.副作用により、本剤を休薬、減量又は中止する場合には、副作用の症状、グレード(NCI-CTCAE v.4.0)等に応じて次の基準を考慮する。減量する場合は、1サイクル3週間の投与スケジュールを維持する(なお、患者の状態により適宜減量するが、減量は5mg単位で行い、10mg/日未満に減量しない)。
[副作用に対する休薬、減量及び中止基準]
1.血小板数:血小板数25000/μL未満又は血小板数50000/μL未満で出血を伴う場合:血小板数が50000/μL以上に回復するまで本剤を休薬し、再開する場合には、休薬前の投与量から1回5mg減量する(再開した後に再び発現した場合も同様とし、1回10mgに減量した後に、再び副作用が発現した場合には、本剤の投与を中止する)(但し、頻回の血小板輸血を必要とする場合は、本剤の投与中止を検討する)。
2.好中球数:
1).好中球数500/μL以上1000/μL未満:好中球数が1000/μL以上に回復するまで本剤を休薬し、再開する場合には、休薬前と同じ用量で再開する。
2).好中球数500/μL未満:好中球数が1000/μL以上に回復するまで本剤を休薬し、再開する場合には、休薬前の投与量から1回5mg減量する(再開した後に再び発現した場合も同様とし、1回10mgに減量した後に、再び副作用が発現した場合には、本剤の投与を中止する)。
3).発熱性好中球減少症<1000/μL未満で38.5℃以上の発熱を伴う場合>:発熱が消失し、好中球数が1000/μL以上に回復するまで本剤を休薬し、再開する場合には、休薬前の投与量から1回5mg減量する(再開した後に再び発現した場合も同様とし、1回10mgに減量した後に、再び副作用が発現した場合には、本剤の投与を中止する)。
3.下痢(止瀉薬の使用にも関わらず持続する場合):
1).グレード2の下痢<止瀉薬の使用にも関わらず持続する場合>:グレード1以下に回復するまで本剤を休薬し、再開する場合には、休薬前と同じ用量で再開する。
2).グレード3の下痢<止瀉薬の使用にも関わらず持続する場合>:グレード1以下に回復するまで本剤を休薬し、再開する場合には、休薬前の投与量から1回5mg減量する(再開した後に再び発現した場合も同様とし、1回10mgに減量した後に、再び副作用が発現した場合には、本剤の投与を中止する)。
3).グレード4の下痢<止瀉薬の使用にも関わらず持続する場合>:本剤の投与を中止する。
4.悪心、嘔吐(制吐剤の使用にも関わらず持続する場合):グレード3以上の悪心<制吐剤の使用にも関わらず持続する場合>、グレード3以上の嘔吐<制吐剤の使用にも関わらず持続する場合>:グレード1以下に回復するまで本剤を休薬し、再開する場合には、休薬前の投与量から1回5mg減量する(再開した後に再び発現した場合も同様とし、1回10mgに減量した後に、再び副作用が発現した場合には、本剤の投与を中止する)。
5.QTc間隔:
1).480msec以上500msec以下のQTc間隔延長又はベースラインから60msecを超えるQTc間隔延長:本剤を休薬し、7日以内に回復しない場合には、本剤の投与を中止し、また、7日以内に回復した場合には、休薬前と同じ用量で再開し、再開した後に再び発現し、7日以内に回復した場合には、休薬前の投与量から1回5mg減量する(その後に再び発現した場合も同様とし、1回10mgに減量した後に、再び副作用が発現した場合には、本剤の投与を中止する)。
2).500msecを超えるQTc間隔延長:本剤の投与を中止する。
6.その他の副作用:グレード3以上の副作用又はグレード2の副作用の再発:グレード1以下に回復するまで本剤を休薬し、再開する場合には、休薬前の投与量から1回5mg減量する(再開した後に再び発現した場合も同様とし、1回10mgに減量した後に、再び副作用が発現した場合には、本剤の投与を中止する)。
慎重投与
1.血小板数減少のある患者又は抗凝固剤治療中の患者[出血の恐れがある]。
2.感染症を合併している患者[感染症が悪化する恐れがある]。
3.QT間隔延長の恐れ又はその既往歴のある患者[QT間隔延長が起こる恐れがある]。
4.肝機能障害のある患者[血中濃度が上昇する恐れがある]。
5.高齢者。
重要な基本的注意
1.本剤投与により、血小板減少、好中球減少、貧血が現れることがあるので、本剤投与開始前及び本剤投与中は定期的に血液検査(血球数算定、白血球分画等)を行い、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、本剤の休薬、減量又は中止等の適切な処置を行う。
2.本剤投与により、細菌、真菌、ウイルス又は原虫による感染症が発現又は感染症悪化や日和見感染が発現又は日和見感染悪化することがあり、B型肝炎ウイルスキャリアの患者又はB型肝炎既往感染者(HBs抗原陰性かつHBc抗体陽性又はHBs抗原陰性かつHBs抗体陽性)においてB型肝炎ウイルス再活性化による肝炎が現れることがあるので、本剤投与に先立って肝炎ウイルス、結核等の感染の有無を確認し、本剤投与前に適切な処置を行う。また、本剤投与中は感染症の発現又は感染症悪化に十分注意し、異常が認められた場合には、本剤の休薬、減量又は中止等の適切な処置を行う。
3.本剤投与により、重度下痢、悪心・嘔吐及び便秘が現れることがあるので、本剤投与開始前及び本剤投与中は、血中電解質(カリウム、マグネシウム、リン等)をモニタリングする。下痢や嘔吐の症状が認められた場合には、止瀉薬や制吐薬の投与等の適切な処置を行う。また、電解質異常が認められた場合には、電解質の補正、本剤の休薬、減量又は中止等の適切な処置を行う。また、イレウスが報告されているため、便秘を認めた患者は慎重に観察する。
4.本剤投与により、脱水症状が現れることがあるので、必要に応じて、補液、電解質補充等を行う。また、投与にあたっては、患者に、脱水の兆候や脱水を避けるための注意点を指導する。過度の嘔吐、下痢等が認められた場合には、医師の診察を受けるよう患者を指導する。
5.本剤投与により、QT間隔延長が現れることがあるので、本剤投与開始前及び本剤投与中は定期的に心電図検査及び電解質検査を行い、患者の状態を十分に観察し、また、必要に応じて、電解質(カリウム、マグネシウム、リン等)を補正するとともにQT間隔延長、不整脈等が認められた場合には、本剤の休薬、減量又は中止等の適切な処置を行う。
6.本剤投与により、AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)、総ビリルビン上昇等を伴う肝機能障害が現れることがあるので、本剤投与開始前及び本剤投与中は定期的に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、本剤の休薬、減量又は中止等の適切な処置を行う。
7.本剤投与により、低血圧、起立性低血圧、失神、意識消失が現れることがあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意する。
8.本剤を投与する際には、患者とそのパートナーに対して、本剤投与期間中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導する。
相互作用
本剤はCYP3A4の基質となる。また、本剤はCYP2D6を阻害することが示されている。
併用注意:1.強いCYP3A阻害剤(アゾール系抗真菌剤(イトラコナゾール、ボリコナゾール、ケトコナゾール(経口剤は国内未発売)等)、リトナビル、サキナビル、クラリスロマイシン等)[本剤の血中濃度が上昇する恐れがあるので、併用する場合には、減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意する(これらの薬剤の強いCYP3A阻害作用により、本剤の代謝・排泄が阻害されると考えられる)]。
2.強いCYP3A誘導剤(リファンピシン、カルバマゼピン、フェノバルビタール、フェニトイン、リファブチン、セイヨウオトギリソウ<セント・ジョーンズ・ワート>含有食品(St.John’s Wort)等)[本剤の血中濃度が低下する恐れがあるので、併用を避けることが望ましい(これらの薬剤のCYP3A誘導作用により、本剤の代謝が促進されると考えられる)]。
3.CYP2D6の基質(デキストロメトルファン、タモキシフェン、プロパフェノン、リスペリドン等)[これらの薬剤の血中濃度が上昇する恐れがあるので、併用する場合には、患者の状態を注意深く観察する(本剤によるCYP2D6阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害されると考えられる)]。
4.抗不整脈薬(アミオダロン、ジソピラミド、プロカインアミド、キニジン、ソタロール等)、QT間隔を延長させることが知られている他の薬剤(クラリスロマイシン、メサドン、モキシフロキサシン、ベプリジル、ピモジド等)[本剤を併用した場合、相加的なQT間隔延長を起こすことがあるため、併用を避けることが望ましい(これらの薬剤ではQT間隔を延長するとの報告がある)]。
5.QT間隔を延長させることが知られている制吐剤(オンダンセトロン、トロピセトロン)[本剤を併用した場合、相加的なQT間隔延長を起こすことがあるため、併用する場合には、患者の状態を注意深く観察する(これらの薬剤ではQT間隔を延長するとの報告がある)]。
副作用
再発又は難治性の多発性骨髄腫患者を対象とした国際共同第3相臨床試験において、本剤投与381例(日本人18例含む)中、副作用は345例(90.6%)に認められた。
主な副作用は、血小板減少症213例(55.9%)、下痢194例(50.9%)、疲労118例(31.0%)、貧血101例(26.5%)、好中球減少症90例(23.6%)等であった(承認時までの集計)。
副作用の頻度については、再発又は難治性の多発性骨髄腫患者を対象とした国際共同第3相臨床試験の集計に基づき記載した。また、当該試験で認められていない副作用については頻度不明とした。
重大な副作用
1.重大な副作用
1).重度の下痢(18.9%):重度下痢が現れることがあるので、患者の状態を十分に観察し、電解質異常、脱水等の異常が認められた場合には、本剤の休薬、減量又は中止等の適切な処置を行う。
2).脱水症状(2.6%):脱水症状が現れることがあるので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、本剤の休薬、減量又は中止等の適切な処置を行う。
3).骨髄抑制:血小板減少症(55.9%)、貧血(26.5%)、好中球減少症(23.6%)が現れることがあるので、定期的に血液検査を行うなど、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、本剤の休薬、減量又は中止等の適切な処置を行う。
4).出血:胃腸出血(1.0%)、肺出血(0.3%)等が現れることがあるので、定期的に血液検査を行うなど、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、本剤の休薬、減量又は中止等の適切な処置を行う。
5).感染症:細菌、真菌、ウイルス又は原虫による重篤な感染症(肺炎(8.4%)、敗血症(0.8%)等)が現れることがあり、また、B型肝炎ウイルス再活性化による肝炎が現れることがあるので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、本剤の休薬、減量又は中止等の適切な処置を行う。
6).QT間隔延長(1.3%):QT間隔延長が現れることがあるので、定期的に心電図検査を行うなど、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、本剤の休薬、減量又は中止等の適切な処置を行う。
7).心障害:頻脈性不整脈(心房細動、心室性頻脈、頻脈等)(5.5%)、心筋梗塞(0.3%)、心不全(0.3%)、狭心症(頻度不明)等の心障害が現れることがあるので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、本剤の休薬、減量又は中止等の適切な処置を行う。
8).肝機能障害(9.2%):AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)、総ビリルビン上昇等を伴う肝機能障害が現れることがあるので、定期的に肝機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、本剤の休薬、減量又は中止等の適切な処置を行う。
9).腎不全:腎不全(1.0%)等の腎機能障害が現れることがあるので、患者の状態を十分に観察し、尿量減少、血清クレアチニン上昇やBUN上昇が認められた場合には、本剤の休薬、減量又は中止等の適切な処置を行う。
10).静脈血栓塞栓症:肺塞栓症(0.8%)、深部静脈血栓症(0.5%)等の静脈血栓塞栓症が現れることがあるので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、本剤の休薬、減量又は中止等の適切な処置を行う。
11).低血圧、起立性低血圧、失神、意識消失:低血圧(6.3%)、起立性低血圧(4.7%)、失神(2.1%)、意識消失(0.8%)が現れることがあるので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、本剤の休薬、減量又は中止等の適切な処置を行う。
2.その他の副作用
1).感染症:(頻度不明)ウイルス感染、アスペルギルス症、カンジダ症、(1%~5%未満)上気道感染、下気道感染、尿路感染、胃腸炎、(1%未満)B型肝炎、敗血症性ショック、中耳炎、口腔ヘルペス、クロストリジウム・ディフィシレ大腸炎、蜂巣炎、真菌性肺炎。
2).血液及びリンパ系障害:(5%以上)白血球減少症、リンパ球減少症。
3).内分泌障害:(1%~5%未満)甲状腺機能低下症。
4).代謝及び栄養障害:(5%以上)食欲減退、低カリウム血症、低リン酸血症、低ナトリウム血症、(1%~5%未満)低アルブミン血症、低カルシウム血症、高血糖、低マグネシウム血症、(1%未満)高尿酸血症、体液貯留。
5).精神障害:(1%~5%未満)不眠症。
6).神経系障害:(5%以上)浮動性眩暈、味覚異常、(1%~5%未満)頭痛、振戦、(1%未満)頭蓋内出血。
7).眼障害:(1%未満)結膜出血。
8).心臓障害:(頻度不明)徐脈、(1%~5%未満)動悸。
9).血管障害:(1%~5%未満)高血圧、血腫、(1%未満)出血性ショック。
10).呼吸器系障害:(頻度不明)ラ音、喘鳴、(1%~5%未満)呼吸困難、咳嗽、鼻出血、(1%未満)呼吸不全、喀血。
11).胃腸障害:(頻度不明)血便排泄、(5%以上)悪心(23.4%)、嘔吐(16.3%)、腹痛、消化不良、(1%~5%未満)腹部膨満、口内乾燥、胃炎、鼓腸、(1%未満)口唇炎、大腸炎、消化器痛、吐血。
12).皮膚及び皮下組織障害:(頻度不明)皮膚病変、(1%~5%未満)発疹、紅斑、(1%未満)点状出血。
13).筋骨格系障害:(1%未満)関節腫脹。
14).腎及び尿路障害:(1%未満)血尿、尿失禁。
15).全身障害:(5%以上)疲労、無力症、末梢性浮腫、発熱、(1%~5%未満)倦怠感、(1%未満)悪寒。
16).臨床検査:(頻度不明)糸球体濾過率減少、(5%以上)体重減少、(1%~5%未満)血中クレアチニン増加、血中尿素増加、Al-P増加。
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので、患者の状態を観察しながら慎重に投与する。
妊婦・産婦・授乳婦等への投与
1.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与し、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人にやむを得ず投与する場合には、本剤投与によるリスクについて患者に十分説明する(また、妊娠可能な婦人に対しては、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導する)[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない、また、動物実験(ラット、ウサギ)において、AUC比較で臨床曝露量に相当する用量から胚毒性・胎仔毒性(胚死亡・胎仔死亡、骨格変異、胎仔体重減少)が認められたとの報告がある]。
2.本剤投与中は授乳を避けさせる[本剤の母乳中への移行は不明である]。
小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
適用上の注意
薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導する(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)。
その他の注意
1.イヌを用いた4週間及び13週間反復経口投与毒性試験において、AUC比較で臨床曝露量以下又は同等に相当する用量で前立腺上皮菲薄化、精巣精上皮変性、精巣上体精子減少及び精巣上体管腔内残屑増加が認められたとの報告がある。
2.細菌を用いた復帰突然変異試験及びマウスリンパ腫細胞を用いたコメットアッセイにおいて陽性の結果が示された。また、ヒト末梢血リンパ球を用いた染色体異常試験では、核内倍加の出現頻度の増加が認められたとの報告がある。
3.イヌを用いた5日間反復経口投与毒性試験において、AUC比較で臨床曝露量の約5倍に相当する用量で卵巣閉鎖卵胞増加及び子宮内膜萎縮が認められたとの報告がある。

1.血中濃度
(1)日本人における成績
再発又は難治性の日本人多発性骨髄腫患者にパノビノスタット20mgを週3回、2週投与1週休薬の投与サイクルで経口投与し未変化体の血漿中濃度推移を測定した(1、3、5、8、10及び12日目に投与、ボルテゾミブ及びデキサメタゾンとの併用)。1日目の投与後、血漿中濃度は投与後2時間(Tmax中央値)でCmaxに達し、その後、15.4時間の半減期(T1/2)で消失した。1日目に比べ8日目でAUCの累積比は1.5であった。
(2)外国人における成績
外国人患者(進行固形癌又は皮膚T細胞性リンパ腫を含む非ホジキンリンパ腫患者、並びに、進行性血液悪性腫瘍患者)で、パノビノスタット15~80mgを初回経口投与したとき(各用量3~53例)、60mgまでの用量ではCmax及びAUCは投与量にほぼ比例して増大したが、60mgと80mgではCmax及びAUCに大きな違いはなく、60mgを超える用量では曝露量はほぼ頭打ちになると考えられた。
〈再発又は難治性の多発性骨髄腫患者にパノビノスタット20mgを週3回、3週の投与サイクルで経口投与したときの薬物動態パラメータ〉
→図表を見る(PDF)

〈再発又は難治性の多発性骨髄腫患者にパノビノスタット20mgを週3回、3週の投与サイクルで経口投与したときの血漿中濃度推移(平均値±標準偏差)〉

(3)食事の影響
進行固形癌患者(34例)を対象に空腹時及び食後(通常食及び高脂肪食)にパノビノスタット20mgを単回経口投与したとき、空腹時に比べ、通常食及び高脂肪食後でCmaxはそれぞれ36%及び44%低下し、Tmaxは1.5時間及び2.5時間遅延したが、AUCは14%及び16%の減少であった。(外国人のデータ)
2.分布
パノビノスタットのヒト血漿蛋白結合率は89.6%であった。血液/血漿濃度比は1.4であった(in vitro試験)。
3.代謝
進行癌患者(4例)に14C標識したパノビノスタット20mgを単回経口投与したとき、血漿中における未変化体の割合は全薬物関連放射能に対し15.6%(Cmax)及び1.2%(AUC)であった。パノビノスタットの大部分は、酸化、還元、加水分解、炭素鎖の短縮及びグルクロン酸抱合等による広範な代謝を受け体内から排泄されると考えられた。ヒト肝ミクロソームでの酸化的代謝に寄与する主なCYP分子種はCYP3A4である(肝ミクロソームでの代謝の70~98%、経口クリアランスの44%に寄与)。(外国人のデータ及びin vitro試験)
4.排泄
進行癌患者に放射性標識体を経口投与した試験で、放射能の87%以上が投与7日後までに回収された(尿:29~51%、糞:44~77%)。未変化体の排泄率はわずかで(尿:2.4%以下、糞:3.3%以下)、パノビノスタットは主に代謝により消失すると考えられる。(外国人のデータ)
5.肝機能障害患者
進行固形癌患者をNCI‐CTEP(National Cancer Institute‐Cancer Therapy Evaluation Program)の基準に従い肝機能正常群、軽度、中等度及び高度肝機能障害群に群分けし(高度肝機能障害群は1例のみ)、パノビノスタット30mgを単回経口投与したとき、Cmaxは、正常群に比べ軽度及び中等度障害群でそれぞれ57%及び83%増加し(高度肝機能障害の1例では69%増加)、AUCは、それぞれ43%及び105%増加した(高度肝機能障害の1例では81%増加)。Tmax及びT1/2は群間で同様であった(各群10、7、6及び1例)。(外国人のデータ)
6.腎機能障害患者
進行固形癌患者をクレアチニンクリアランス(CLcr)に基づき腎機能正常群(CLcr 80mL/min以上)、軽度腎機能障害群(CLcr 50~80mL/min)、中等度腎機能障害群(CLcr 30~50mL/min)及び高度腎機能障害群(CLcr 30mL/min未満)に群分けし、パノビノスタット30mgを単回経口投与したとき、腎機能正常群に比べ腎機能障害群(軽度、中等度及び高度)で血漿中濃度の上昇は認められなかった(各群11、10、10及び6例)。末期腎疾患患者及び透析を受けている患者での試験は行っていない。(外国人のデータ)
7.薬物相互作用
進行固形癌患者(14例)にケトコナゾール(経口剤は国内未発売)400mg(5~9日目に投与)及びパノビノスタット20mg(1日目及び8日目に投与)を併用したとき、パノビノスタットのCmax及びAUCはそれぞれ62%及び78%増加した。(外国人のデータ)
進行性又は転移性の固形癌患者(14例)にデキストロメトルファン60mg(1日目及び8日目に投与)及びパノビノスタット20mg(3日目、5日目及び8日目に投与)を併用したとき、デキストロメトルファンのCmax及びAUCは83%及び64%増加した。(外国人のデータ)
再発又は難治性の多発性骨髄腫患者(15例)にパノビノスタット20mg(週3回、2週間)及びボルテゾミブ1.3mg/m2(週2回、2週間)を併用したときと比べ、パノビノスタット、ボルテゾミブ及びデキサメタゾン20mg(週4回、2週間)を併用したとき、パノビノスタットのAUCは20%減少した。(外国人のデータ)
生理学的薬物動態モデルに基づいたシミュレーションから、パノビノスタットとリファンピシンを併用投与した場合、パノビノスタットのAUCが約70%減少すると推定された。
In vitroにおいて、パノビノスタットはP‐糖タンパク(P‐gp)の基質であることが示されている。
(本剤の承認された効能・効果、用法・用量はそれぞれ【効能又は効果】、【用法及び用量】の項を参照)

再発又は難治性の多発性骨髄腫患者を対象とした国際共同第III相臨床試験(日本を含めた世界34ヵ国で実施された二重盲検比較試験)
1~3回の前治療歴を有する再発又は難治性注3)の多発性骨髄腫患者を対象に、ボルテゾミブ注4)及びデキサメタゾン注5)の併用下で、プラセボを対照群としてパノビノスタット20mg注6)を経口投与した。
合計768例(日本人患者34例を含む)がパノビノスタット群(387例、うち日本人は18例)又はプラセボ群(381例、うち日本人は16例)に無作為割付けされた。主要評価項目である治験責任医師判定に基づく無増悪生存期間の最終解析結果(中央値[95%信頼区間])は、パノビノスタット群で11.99[10.32~12.94]ヵ月、プラセボ群で8.08[7.56~9.23]ヵ月であり、パノビノスタット群で有意な延長が認められた(ハザード比0.63、95%信頼区間0.52~0.76:層別ログランク検定p<0.0001、2013年9月10日データカットオフ)。また、副次評価項目である全生存期間の中間解析結果(中央値[95%信頼区間])は、パノビノスタット群で38.24[34.63~45.37]ヵ月、プラセボ群で35.38[29.37~39.92]ヵ月であり、有意な延長は認められていない(ハザード比0.87、95%信頼区間0.70~1.07:層別ログランク検定p=0.1783、2014年8月18日データカットオフ)。
治験責任医師の判定に基づく無増悪生存期間のKaplan‐Meier曲線

注3)①直近の治療により奏効が認められ、治療中又は治療後60日以内に病勢進行が認められなかった再発例、又は②1レジメン以上の前治療に対して再発し、ボルテゾミブ以外の前治療に対して奏効が認められなかった又は治療中若しくは治療後60日以内に病勢進行が認められた難治性例が対象とされた。ただし、前治療でボルテゾミブに抵抗性を示した患者は除外された。
注4)ボルテゾミブの用法・用量は、1.3mg/m2(体表面積)を週2回、2週間(1、4、8及び11日目)静脈内に投与した後、10日間休薬(12~21日目)した。この3週間を1サイクルとし、投与を繰り返した。8サイクルを超えて継続投与する場合には、週1回、2週間(1及び8日目)静脈内に投与した後、13日間休薬(9~21日目)し、6週間を1サイクルとし、4サイクル投与を繰り返した。なお、症状に応じ適宜減量した。
注5)デキサメタゾンの用法・用量は、1日1回20mgを週4回、2週間(1、2、4、5、8、9、11及び12日目)経口投与した後、9日間休薬(13~21日目)した。この3週間を1サイクルとし、投与を繰り返した。8サイクルを超えて継続投与する場合には、週2回、2週間(1、2、8及び9日目)経口投与した後、12日間休薬(10~21日目)し、6週間を1サイクルとし、4サイクル投与を繰り返した。なお、症状に応じ適宜減量した。
注6)パノビノスタットの用法・用量は、1日1回20mgを週3回、2週間(1、3、5、8、10、12日目)経口投与した後、9日間休薬(13~21日目)した。この3週間を1サイクルとし、投与を繰り返した。なお、症状に応じ適宜減量した。

1.作用機序
パノビノスタットは、脱アセチル化酵素(DAC)の活性を阻害する。DAC活性阻害によりヒストン及び非ヒストンタンパクのアセチル化が促進され、細胞周期停止及びアポトーシス誘導が生じることにより、腫瘍増殖が抑制されると推測されている。しかし、詳細な作用機序は解明されていない。
2.薬理作用
(1)In vitro
パノビノスタットは、ヒト多発性骨髄腫由来MM1.S、MM1.R、U266、U266LR7及びU266DOX4細胞株の増殖を抑制した。
(2)In vivo
パノビノスタットは、MM1.S細胞株を皮下移植したマウスにおいて、腫瘍の増殖を抑制した。

一包可:不可

抗悪性腫瘍剤@湿気を避けるため、服用時にPTPシートからカプセルを取り出すよう指導する。

分割:不可
粉砕:不可

抗悪性腫瘍剤@湿気を避けるため、服用時にPTPシートからカプセルを取り出すよう指導する。

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ノバルティス ファーマ
販売会社
 

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