ハイイータン錠50mg
添付文書情報2024年06月改定(第1版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 警告
- 1.1. 本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の使用が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
1.2. 本剤の投与により間質性肺疾患があらわれることがあるので、初期症状(息切れ、呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認及び定期的な胸部画像検査の実施等、観察を十分に行うこと(また、異常が認められた場合には本剤の投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと)〔8.1、9.1.1、11.1.1参照〕。
- 禁忌
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
- 効能・効果
- METex14スキッピング変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌(METex14:MET遺伝子エクソン14)。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 十分な経験を有する病理医又は検査施設における検査により、MET遺伝子エクソン14スキッピング変異が確認された患者に投与すること(検査にあたっては、承認された体外診断用医薬品又は医療機器を用いること)。なお、承認された体外診断用医薬品又は医療機器に関する情報については、次のウェブサイトから入手可能である:
https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/review-information/cd/0001.html。
5.2. 本剤の術前・術後補助療法における有効性及び安全性は確立していない。
- 用法・用量
- 通常、成人にはグマロンチニブとして1回300mgを1日1回空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない。
7.2. 食後に本剤を投与した場合、本剤のCmax上昇及びAUC上昇するとの報告がある。食事の影響を避けるため、食事の1時間前から食後2時間までの間の服用は避けること〔16.2.1参照〕。
7.3. 副作用が発現した場合は、次の基準を考慮して、本剤を休薬、減量又は中止すること。
[減量・中止する場合の投与量]
1). 通常投与量:1回300mg。
2). 1段階減量:1回250mg。
3). 2段階減量:1回200mg。
4). 3段階減量:1回150mg。
5). 中止:1回150mgで忍容不能な場合、投与を中止する。
[副作用発現時の本剤の用量調節基準]
1). Grade1以上の間質性肺疾患:投与を中止する。
2). 肝機能障害:
①. Grade2の血中ビリルビン増加:Grade1以下又はベースラインに回復するまで休薬する(7日以内に回復した場合は、同一用量で投与を再開でき、7日を過ぎてから回復した場合は、1段階減量して投与を再開できる)。
②. Grade3の血中ビリルビン増加、Grade3のAST増加又はGrade3のALT増加:Grade1以下又はベースラインに回復するまで休薬する(回復後、1段階減量して投与を再開できる)。
③. Grade4の肝機能障害:投与を中止する。
3). 浮腫:
①. Grade2かつ対症療法により回復しない浮腫の場合:Grade1以下に回復するまで休薬する(3~5日以内に回復した場合は、同一用量で投与を再開でき、同一用量で再開後に再度Grade2に悪化した場合は、1段階減量し、3~5日を過ぎてから回復した場合は、1段階減量して投与を再開できる)。
②. Grade3の浮腫:Grade2以下に回復するまで休薬し、1段階減量して投与を再開できる。
③. Grade4の浮腫:投与を中止する。
4). Grade3の血液障害又はGrade4の血液障害:Grade1以下に回復するまで休薬し、1段階減量して投与を再開できる。
5). 前記以外の副作用:
①. Grade3の副作用:Grade1以下に回復するまで休薬し、1段階減量して投与を再開できる。
②. Grade4の副作用:投与を中止する。
GradeはNCI-CTCAE ver.5.0に準じる。
- 生殖能を有する者
- 8.1. 間質性肺疾患があらわれることがあるので、初期症状(息切れ、呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認及び定期的な胸部画像検査の実施等、観察を十分に行うこと。また、患者に対して、間質性肺疾患の初期症状があらわれた場合には、速やかに医療機関を受診するよう指導すること〔1.2、9.1.1、11.1.1参照〕。
8.2. 肝機能障害があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること〔11.1.3参照〕。
8.3. QT間隔延長があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に心電図及び電解質検査(カリウム、マグネシウム、カルシウム等)を行い、また、脈拍、血圧測定を行うなど、患者の状態を十分に観察すること(また、必要に応じて電解質を補正すること)〔9.1.2、11.1.4参照〕。
9.1.1. 間質性肺疾患のある患者又はその既往歴のある患者:間質性肺疾患が発現又は増悪するおそれがある〔1.2、8.1、11.1.1参照〕。
9.1.2. QT間隔延長のおそれ又はその既往歴のある患者:QT間隔延長が発現又は悪化するおそれがある〔8.3、11.1.4参照〕。
肝機能障害患者:本剤は主に代謝により体内から消失するため、血中濃度が上昇する可能性がある。なお、重度肝機能障害(総ビリルビンが基準値上限の3倍超)患者を対象とした臨床試験は実施していない〔16.6.1参照〕。
妊娠する可能性のある女性:妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後1週間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること〔9.5妊婦の項参照〕。
- 相互作用
- 本剤は、多剤及び毒素排出タンパク質1(MATE1)並びにMATE2-Kに対する阻害作用を示す。
10.2. 併用注意:MATE1の基質となる薬剤及びMATE2-Kの基質となる薬剤(メトホルミン等)〔16.7.1参照〕[これらの薬剤の副作用が増強されるおそれがあるため、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること(本剤がMATE1及びMATE2-Kを阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 間質性肺疾患:間質性肺疾患(1.2%)があらわれることがあるので、異常が認められた場合には本剤の投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと〔1.2、8.1、9.1.1参照〕。
11.1.2. 体液貯留:浮腫(79.8%)、低アルブミン血症(38.1%)、胸水(9.5%)、心嚢液貯留(2.4%)等の体液貯留があらわれることがあるので、急激な体重増加、呼吸困難等の異常が認められた場合には本剤の投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.3. 肝機能障害:血中ビリルビン増加(27.4%)、ALT増加(26.2%)、AST増加(21.4%)、ALP増加(8.3%)、γ-GTP増加(8.3%)、肝機能異常(4.8%)、肝損傷(1.2%)等の肝機能障害があらわれることがある〔8.2参照〕。
11.1.4. QT間隔延長(9.5%)〔8.3、9.1.2参照〕。
- 11.2. その他の副作用
1). 一般・全身障害及び投与部位の状態:(10%以上)疲労、(5%~10%未満)倦怠感。
2). 代謝及び栄養障害:(10%以上)食欲減退(32.1%)、高血糖、低カリウム血症、高尿酸血症、低ナトリウム血症、低カルシウム血症。
3). 臨床検査:(5%~10%未満)洞性頻脈、体重減少、不整脈、血中尿素増加。
4). 胃腸障害:(10%以上)悪心(28.6%)、嘔吐(23.8%)、便秘、(5%~10%未満)上腹部痛、腹部膨満。
5). 血液及びリンパ系障害:(10%以上)貧血、白血球減少症、好中球減少症、血小板減少症。
6). 腎及び尿路障害:(10%以上)血中クレアチニン増加、蛋白尿。
7). 皮膚及び皮下組織障害:(10%以上)発疹。
8). 筋骨格系及び結合組織障害:(10%以上)四肢痛、(5%~10%未満)背部痛、筋肉痛。
9). 精神障害:(5%~10%未満)不眠症。
10). 呼吸器、胸郭及び縦隔障害:(5%~10%未満)呼吸困難。
11). 神経系障害:(10%以上)頭痛(32.1%)、(5%~10%未満)浮動性めまい。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(ラットを用いた生殖発生毒性試験において、臨床曝露量の2.5倍で、胎盤重量減少及び胎仔体重減少、胎仔個体小型化、骨格成長遅延、骨格奇形、又は骨格変異増加が報告されている)〔9.4生殖能を有する者、9.6授乳婦の項参照〕。
授乳しないことが望ましい(乳汁移行に関するデータはないが、乳児が乳汁を介して本剤を摂取した場合、乳児に重大な副作用が発現するおそれがある)〔9.5妊婦の項参照〕。
- 小児等
- 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
- 適用上の注意
- 14.1. 薬剤交付時の注意PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
16.1 血中濃度
日本人の進行固形癌患者にグマロンチニブ200mg注)又は300mgを空腹時に単回経口投与及び1日1回反復経口投与したときのグマロンチニブのPKパラメータ及び血漿中濃度推移は次のとおりであった。グマロンチニブ300mgを空腹時に1日1回反復経口投与したときの投与15日目におけるグマロンチニブの蓄積率はAUC0-24hが1.89、Cmaxが1.69であった。
注)本剤の承認用法・用量は「グマロンチニブとして1回300mgを1日1回空腹時に経口投与」である。
日本人患者にグマロンチニブ200mg又は300mgを単回経口投与及び1日1回反復経口投与したときの薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
日本人患者にグマロンチニブ200mg又は300mgを単回経口投与したときの血漿中濃度推移(平均値±標準偏差)
日本人患者にグマロンチニブ200mg又は300mgを1日1回反復経口投与したときの血漿中濃度推移(平均値±標準偏差)
16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
健康成人(18例)にグマロンチニブ300mgを単回経口投与したとき、空腹時投与に対する高脂肪食後又は低脂肪食後投与におけるグマロンチニブのAUC0-∞及びCmaxの幾何平均値の比は、高脂肪食後投与ではそれぞれ2.36及び1.95、低脂肪食後投与ではそれぞれ2.18及び1.95であった(外国人データ)。[7.2参照]
16.3 分布
グマロンチニブのヒト血漿タンパク結合率は97%であった(in vitro)。ラットにおける血液/血漿中濃度比は0.7であった。
16.4 代謝
グマロンチニブは主にCYP3A、CYP2C8、及びCYP2C9によって代謝される(in vitro)。CYP3Aはグマロンチニブの代謝に寄与する主なCYP分子種ではあるが、グマロンチニブの代謝に対するCYP3Aの寄与は限定的である(5%未満)。健康成人(6例)に14Cで標識されたグマロンチニブ300mgを単回経口投与したとき、投与168時間後までの血漿中に、主に未変化体及び薬理活性を示さない代謝物(スルホンアミド加水分解物)が検出された(血漿中総放射能のAUC168hに対する割合は、それぞれ52.72%及び27.23%)(外国人データ)。
16.5 排泄
健康成人(6例)に14Cで標識されたグマロンチニブ300mgを単回経口投与したとき、投与240時間後までの糞中及び尿中に、それぞれ投与放射能の78.03%(未変化体として74.16%)及び20.34%(未変化体として0.02%)が排泄された(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 肝機能障害患者
グマロンチニブ300mgを単回経口投与したとき、肝機能正常被験者(76例)に対する軽度(20例)及び中等度(3例)の肝機能障害患者注)におけるグマロンチニブのCmax及びAUC0-24hの幾何平均値の比は、軽度の患者でそれぞれ1.04及び1.01、中等度の患者でそれぞれ0.896及びNC(算出せず)であった。[9.3参照]
注)NCI‐ODWG(National Cancer Institute‐Organ Dysfunction Working Group)基準による分類
16.7 薬物相互作用
16.7.1 トランスポーター
グマロンチニブはMATE1及びMATE2‐Kを阻害した(IC50値はそれぞれ1.48μM及び1.85μM)(in vitro)。[10.2参照]
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国際共同第II相試験(SCC244‐108/GLORY試験)
MET遺伝子エクソン14スキッピング変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者84例(日本人患者10例を含む)を対象に、本剤300mgを1日1回経口投与した。主要評価項目である独立画像判定機関の評価による奏効率(RECIST Ver1.1基準に基づく)は、有効性評価対象注)79例(日本人患者8例を含む)で65.8%(95%信頼区間:54.3-76.1)であった。
安全性評価対象84例中、副作用は97.6%(82/84例)に認められた。主な副作用は、浮腫79.8%(67/84例)、低アルブミン血症38.1%(32/84例)、頭痛32.1%(27/84例)、食欲減退32.1%(27/84例)、悪心28.6%(24/84例)、血中ビリルビン増加27.4%(23/84例)、ALT増加26.2%(22/84例)、嘔吐23.8%(20/84例)、AST増加21.4%(18/84例)であった。
注)安全性評価対象のうち中央検査機関によりMET遺伝子エクソン14スキッピング変異陽性が確認された切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者が有効性評価対象とされた。
18.1 作用機序
グマロンチニブは、間葉上皮転換因子(MET)に対する阻害作用を有する低分子化合物であり、METのリン酸化を阻害し、下流のシグナル伝達を阻害することにより、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている。
18.2 抗腫瘍作用
グマロンチニブは、MET遺伝子エクソン14スキッピング変異等を有する非小細胞肺癌患者由来腫瘍組織片を皮下移植したヌードマウスにおいて、腫瘍増殖抑制作用を示した。
- 一包可:不可
抗悪性腫瘍剤
- 分割:不可
- 粉砕:不明
抗悪性腫瘍剤
- 製造販売会社
- 海和製薬
- 販売会社
- 大鵬薬品
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