フィラジル皮下注30mgシリンジ

添付文書情報2022年08月改定(第1版)
商品情報
- 禁忌
- 本剤の成分に対し過敏症のある患者。
- 効能・効果
- 遺伝性血管性浮腫の急性発作。
- 用法・用量
- 通常、成人にはイカチバントとして1回30mgを皮下注射する。
通常、2歳以上の小児には体重に応じてイカチバントとして1回10~30mgを皮下注射する。
効果が不十分な場合又は症状が再発した場合は、6時間以上の間隔をおいて同用量を追加投与することができる。ただし、24時間あたりの投与回数は3回までとする〔7.用法及び用量に関連する注意の項、14.1.4参照〕。
(用法及び用量に関連する注意)
2歳以上の小児に対する1回あたりの本剤の投与量は、次を参考にすること〔6.用法及び用量の項、14.1.4参照〕。
[2歳以上の小児に対する投与量]
1). 体重12~25kg:投与量10mg(薬液量1.0mL)。
2). 体重26~40kg:投与量15mg(薬液量1.5mL)。
3). 体重41~50kg:投与量20mg(薬液量2.0mL)。
4). 体重51~65kg:投与量25mg(薬液量2.5mL)。
5). 体重66kg以上:投与量30mg(薬液量3.0mL)。
体重は小数点以下第一位を四捨五入し整数とする。
- 合併症・既往歴等のある患者
- 8.1. 自己投与に際しては、次の点に注意すること。
8.1.1. 自己投与の適用については、医師がその妥当性を慎重に検討し、十分な教育訓練を実施したのち、本剤投与による危険性と対処法について患者又はその保護者が理解し、患者又はその保護者が確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。また、自己投与適用後、本剤による副作用が疑われる場合や、自己投与の継続が困難な状況となる可能性がある場合には、直ちに自己投与を中止させ、医師の管理下で慎重に観察するなど適切な処置を行うこと。
8.1.2. シリンジの安全な廃棄方法について指導を行うと同時に、使用済みのシリンジを廃棄する容器を提供すること。
8.1.3. 本剤の自己投与の適用が可能と判断された患者に対しては、遺伝性血管性浮腫の発作が喉頭に発現した場合、本剤の投与を行った後、直ちに医療機関に受診するよう患者又はその保護者に指導すること。
9.1.1. 急性虚血性心疾患及び不安定狭心症の患者:虚血状態下ではブラジキニンB2受容体拮抗作用により、心機能低下と冠血流量減少が生じる可能性がある。
9.1.2. 脳卒中後数週間以内の患者:ブラジキニンの後期神経保護作用を弱める可能性がある。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 重篤な過敏症(頻度不明):アナフィラキシー等の重篤な過敏症があらわれることがある。
- 11.2. その他の副作用
1). 投与部位:(10%以上)注射部位反応(内出血、血腫、灼熱感、紅斑、知覚低下、刺激感、しびれ感、浮腫、疼痛、不快感、そう痒感、腫脹、じん麻疹、熱感)(96.7%)。
2). 皮膚:(10%未満)発疹、紅斑、皮膚そう痒症、(頻度不明)じん麻疹。
3). その他:(10%未満)悪心、浮動性めまい、頭痛、発熱、トランスアミナーゼ上昇。
- 高齢者
- 患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること(高齢<65歳以上>患者では、非高齢患者(18~45歳)と比較して本剤の全身曝露量が増加する可能性がある)〔16.6.2参照〕。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(動物試験(ラット、ウサギ)では、着床前死亡率上昇、着床後死亡率上昇及び胚死亡率上昇・胎仔死亡率上昇、出産遅延が認められた)。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(3H-イカチバント酢酸塩を用いた動物試験(ラット)で、放射能の乳汁中への移行が確認されている)。
- 小児等
- 9.7.1. 低出生体重児、新生児、乳児又は2歳未満の幼児を対象とした臨床試験は実施していない〔17.1.3、17.1.4参照〕。
9.7.2. 幼若ラットにイカチバントを連日投与した試験では、雄で包皮分離遅延及び精巣毒性が、イカチバントを投与した雄と交配した非投与の雌で着床前死亡率高値が認められている。
- 適用上の注意
- 14.1. 薬剤投与時の注意14.1.1. 投与前に、内容物を目視により確認する(本剤は、無色~淡黄色澄明の溶液であり、異物又は変色が認められる場合は、使用しない)。
14.1.2. 腹部に注射すること。
14.1.3. 本剤は1回使用の製剤であり、再使用しないこと。
14.1.4. 用量調節が必要な場合は、目盛付きシリンジ及びコネクタを用いて行うこととし、次記に従い必要な薬液量を採取すること。プレフィルドシリンジの残液は、その後の投与に使用せず適切に廃棄すること〔6.用法及び用量、7.用法及び用量に関連する注意の項参照〕。
(1). コネクタの両端のキャップを取り除き、プレフィルドシリンジにコネクタを固定する。コネクタの反対側に同様に目盛付きシリンジを固定する。
(2). プレフィルドシリンジのプランジャーを押し、目盛付きシリンジに必要な薬液量を採取する。
(3). 目盛付きシリンジを取り外し、目盛付きシリンジに注射針を取り付ける。
- その他の注意
- 15.2. 非臨床試験に基づく情報ラット及びイヌにイカチバントを連日皮下投与した試験において、精巣萎縮及び前立腺萎縮、精子数減少、テストステロン濃度低下、卵巣小型化、黄体変性、前立腺分泌低下、発育卵胞数減少、乳腺男性化、子宮萎縮が認められた。これらの所見は、イカチバントを1日3回、週2回反復皮下投与したイヌでは認められなかった。
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
〈健康成人〉
健康成人(12例)に本剤30mgを単回皮下投与したときの本剤の血中濃度推移及び薬物動態パラメータを次に示す。
薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
本剤の血中濃度推移(平均値±標準偏差)
〈小児〉
日本人小児の仮想集団に本剤を体重区分別用量で単回皮下投与したときの、母集団薬物動態モデルを用いたシミュレーションに基づく薬物動態パラメータを次に示す。
薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
16.1.2 反復投与
健康成人(21例)に本剤30mgを6時間間隔で3回反復皮下投与したときの薬物動態パラメータは次のとおりであり、明らかな蓄積性は認められなかった(外国人データ)。
薬物動態パラメータ
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16.2 吸収
本剤30mg皮下投与時の絶対的バイオアベイラビリティは、約97%であった(外国人データ)。
16.3 分布
In vitro試験において、本剤のヒト血漿タンパク結合率は44%であった。
16.4 代謝
本剤は、ペプチド分解酵素によって代謝されると考えられる。
16.5 排泄
本剤の静脈内投与後、未変化体として尿中に排泄される割合は投与量の10%未満であった(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 肝機能障害患者における体内動態
肝機能障害(Child‐Pugh 5~12)を有する被験者及び肝機能障害を有していない被験者で、イカチバント0.15mg/kg/日を3日間持続点滴静注したときの曝露量に差異は認められなかった(外国人データ)。
16.6.2 性別及び年齢の影響
本剤を女性被験者に投与したとき、平均AUC6及び平均Cmaxは男性被験者と比較し、約26%増加した。本剤を高齢者(65~82歳)に投与したとき、AUC6及びCmaxは非高齢者(18~64歳)と比較し、それぞれ約59%及び36%増加した(外国人データ)。[9.8参照]
16.7 薬物相互作用
In vitro試験において、本剤は、主要チトクロームP450アイソザイム(CYP1A2、2A6、2B6、2C8、2C9、2C19、2D6、2E1及び3A4)を阻害せず、CYP1A2及び3A4を誘導しなかった。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 海外第III相臨床試験(成人)
18歳以上の遺伝性血管性浮腫患者を対象に本剤30mgを皮下投与したプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験において、喉頭浮腫以外のITT集団[皮膚・腹部の発作]における患者のVASスコアに基づく症状緩和までの時間(TOSR)及び症状緩和をイベントとしたKaplan‐Meierプロットは次のとおりであり、プラセボに対する本剤の有効性が検証された。
喉頭浮腫以外のITT集団[皮膚・腹部の発作]における患者のVASスコアに基づく症状緩和までの時間(TOSR)
→図表を見る(PDF)
喉頭浮腫以外のITT集団[皮膚・腹部の発作]における患者の症状緩和をイベントとしたKaplan‐Meierプロット
注射部位反応を除く副作用の発現頻度注)は10.9%(5/46例)で、主な副作用は頭痛4.3%(2/46例)であった。
注射部位反応の発現頻度注)は100%(46/46例)で、主なものは紅斑〔軽度15.2%(7/46例)、中等度69.6%(32/46例)、高度13.0%(6/46例)〕であった。
注)二重盲検期に無作為化された患者
17.1.2 国内第III相臨床試験(成人)
18歳以上の遺伝性血管性浮腫患者を対象に本剤30mgを皮下投与した非盲検非対照試験において、患者のVASスコアに基づくTOSRの中央値[95%信頼区間](8例)は、1.75時間[1.00、2.50]であった。
注射部位反応を除く副作用は認められなかった。
注射部位反応の発現頻度は87.5%(7/8例)で、主なものは紅斑87.5%(7/8例)、腫脹87.5%(7/8例)及び熱感50.0%(4/8例)であった。
17.1.3 海外第III相臨床試験(小児)
2歳以上18歳未満の遺伝性血管性浮腫患者を対象に本剤0.4mg/kgを皮下投与した非盲検非対照試験において、症状スコアを用いた医師の評価に基づくTOSRの中央値[95%信頼区間](22例)は、1.0時間[1.0、1.1]であった。
注射部位反応を除く副作用の発現頻度は3.1%(1/32例)で、口内乾燥及び疲労1例であった。
注射部位反応の発現頻度(初回投与時)は90.6%(29/32例)で、主なものは紅斑84.4%(27/32例)及び腫脹68.8%(22/32例)であった。[9.7.1参照]
17.1.4 国内第III相臨床試験(小児)
2歳以上18歳未満かつ12kg以上の遺伝性血管性浮腫患者を対象に本剤を体重区分別で投与〔最大用量30mg(12~25kg:10mg、26~40kg:15mg、41~50kg:20mg、51~65kg:25mg、65kg超:30mg)〕した非盲検非対照試験において、症状スコアを用いた医師の評価に基づくTOSRは、思春期前(1例)及び思春期/思春期後(1例)の患者でそれぞれ1.0時間及び0.9時間であった。
注射部位反応を除く副作用は認められなかった。
注射部位反応の発現頻度は100%(2/2例)で、紅斑2例、腫脹2例及び熱感1例であった。[9.7.1参照]
18.1 作用機序
遺伝性血管性浮腫では、C1エステラーゼインヒビター(C1‐INH)の欠損や機能低下によりブラジキニンの濃度が上昇する。ブラジキニンはブラジキニン2(B2)受容体と結合し、血管拡張や血管透過性の亢進を引き起こし、血管性浮腫が発症すると考えられている。本剤はB2受容体に対する選択的な競合的拮抗薬である。
18.2 薬理作用
18.2.1 ブラジキニン受容体拮抗作用
In vitroにおいて、イカチバントのB2受容体親和性(Ki=2nM)は、ブラジキニン1(B1)受容体に対する親和性(Ki=1.2μM)の600倍であった。
18.2.2 血管透過性抑制作用
本剤の静脈内投与により、C1‐INH欠損マウスにおいて亢進した血管透過性は抑制された。
18.2.3 ブラジキニンに対する阻害作用
本剤の静脈内投与により、ブラジキニンを負荷投与した健康成人において認められた、血圧低下、血管拡張及び反射性頻脈は阻害された(外国人データ)。
- 製造販売会社
- 武田薬品
- 販売会社
おくすりのQ&A
自費で接種された、風疹ワクチンが申請により
補助が受けれることになり、母子手帳記載以外に、予診票の控えがいるとのこと
保管中の予診票の控えを渡したら...
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