パンスポリン静注用1gバッグG
添付文書情報2023年09月改定(第1版)
商品情報
- 禁忌
- 2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.2. 低張性脱水症の患者[電解質を含まない糖液を投与すると脱水が増悪することがある]。
- 効能・効果
- 敗血症、深在性皮膚感染症、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、骨髄炎、関節炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、肺炎、肺膿瘍、膿胸、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎(前立腺炎<急性症>、前立腺炎<慢性症>)、腹膜炎、胆嚢炎、胆管炎、バルトリン腺炎、子宮内感染、子宮付属器炎、子宮旁結合織炎、化膿性髄膜炎、中耳炎、副鼻腔炎。
(効能又は効果に関連する注意)
〈扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、中耳炎、副鼻腔炎〉「抗微生物薬適正使用の手引き」を参照し、抗菌薬投与の必要性を判断した上で、本剤の投与が適切と判断される場合に投与すること。
- 用法・用量
- 通常、成人にはセフォチアム塩酸塩として1日0.5~2g(力価)を2~4回に分け、また、小児にはセフォチアム塩酸塩として1日40~80mg(力価)/kgを3~4回に分けて静脈内に注射する。
なお、年齢、症状に応じ適宜増減するが、成人の敗血症には1日4g(力価)まで、小児の敗血症、化膿性髄膜炎等の重症・難治性感染症には1日160mg(力価)/kgまで増量することができる。
投与に際しては、添付の5%ブドウ糖注射液側を手で圧し、隔壁を開通させ、セフォチアム塩酸塩を溶解した後、30分~2時間で点滴静脈内注射を行う。
- 腎機能障害患者
- 8.1. 本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。
8.2. 本剤によるショック、アナフィラキシーの発生を確実に予知できる方法がないので、次の措置をとること〔11.1.1参照〕。
8.2.1. 事前に既往歴等について十分な問診を行う(なお、抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認する)。
8.2.2. 投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておくこと。
8.2.3. 投与開始から投与終了後まで、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行う(特に、投与開始直後は注意深く観察する)。
8.3. 急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行うこと〔11.1.2参照〕。
8.4. 本剤の投与に際しては、定期的に肝機能、血液等の検査を行うことが望ましい。
9.1.1. セフェム系又はペニシリン系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者(ただし、本剤に対し過敏症の既往歴のある患者には投与しないこと)。
9.1.2. 本人又は両親、兄弟に気管支喘息、発疹、蕁麻疹等のアレルギー症状を起こしやすい体質を有する患者。
9.1.3. 経口摂取の不良な患者又は非経口栄養の患者、全身状態の悪い患者:観察を十分に行うこと(ビタミンK欠乏症状があらわれることがある)。
9.1.4. カリウム欠乏傾向のある患者:ブドウ糖がカリウムと共に細胞内に取り込まれ、カリウム欠乏傾向を助長することがある。
9.1.5. 糖尿病の患者:静脈内へのブドウ糖の投与により血糖値が急速に上昇する可能性がある。
9.1.6. 尿崩症の患者:電解質を含まない糖液の投与により水分のみが負荷される。
9.2.1. 高度腎障害のある患者:投与量・投与間隔の適切な調節をするなど慎重に投与すること(高い血中濃度が持続することがある)〔11.1.7、16.6.1参照〕。
9.2.2. 腎不全の患者:電解質を含まない糖液の投与により水分のみが負荷される。
- 相互作用
- 10.2. 併用注意:利尿剤(フロセミド等)[他のセフェム系抗生物質で併用による腎障害増強作用が報告されているので、併用する場合には腎機能に注意すること(機序は不明であるが、利尿時の脱水による血中濃度の上昇等が考えられている)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明):不快感、口内異常感、眩暈、便意、耳鳴、発汗、喘鳴、呼吸困難、血管浮腫、全身潮紅・全身蕁麻疹等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと〔8.2参照〕。
11.1.2. 急性腎障害等の重篤な腎障害(頻度不明)〔8.3参照〕。
11.1.3. 汎血球減少、無顆粒球症、顆粒球減少、溶血性貧血(いずれも頻度不明)、血小板減少(0.1%未満)。
11.1.4. 偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎(頻度不明):腹痛、頻回の下痢があらわれた場合には直ちに投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.5. 間質性肺炎、PIE症候群(いずれも頻度不明):発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増多等を伴う間質性肺炎、PIE症候群等があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
11.1.6. 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(いずれも頻度不明)。
11.1.7. 痙攣(頻度不明):痙攣等の中枢神経症状があらわれることがある(特に、腎不全患者にあらわれやすい)〔9.2.1参照〕。
11.1.8. 肝炎、肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明):著しいAST上昇、著しいALT上昇等を伴う肝炎、肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
- 11.2. その他の副作用
1). 過敏症:(0.1~5%未満)発疹、(0.1%未満)蕁麻疹、そう痒、発熱、(頻度不明)紅斑、リンパ腺腫脹、関節痛。
2). 血液:(0.1~5%未満)好酸球増多、(0.1%未満)貧血。
3). 肝臓:(0.1~5%未満)AST上昇、ALT上昇、Al-P上昇、(0.1%未満)LDH上昇、(頻度不明)γ-GTP上昇。
4). 消化器:(0.1~5%未満)悪心、下痢、腹痛、(0.1%未満)嘔吐、食欲不振。
5). 菌交代症:(頻度不明)口内炎、カンジダ症。
6). ビタミン欠乏症:(頻度不明)ビタミンK欠乏症状(低プロトロンビン血症、出血傾向等)、ビタミンB群欠乏症状(舌炎、口内炎、食欲不振、神経炎等)。
7). その他:(0.1%未満)めまい、(頻度不明)頭痛、倦怠感、しびれ感。
- 高齢者
- 次の点に注意し、用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
・ 生理機能が低下していることが多く副作用が発現しやすい。
・ ビタミンK欠乏による出血傾向があらわれることがある。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(母乳中へ移行することが報告されている)。
- 小児等
- 低出生体重児及び新生児を対象とした臨床試験は実施していない。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤調製時の注意14.1.1. 本剤の注射液調製時にショックを伴う接触蕁麻疹があらわれることがあるので調製時に手の腫脹・そう痒・発赤、全身の発疹・そう痒、腹痛、悪心、嘔吐等の症状があらわれた場合には以後本剤との接触を避けること。
14.1.2. 溶解後は速やかに使用すること(なお、やむを得ず保存を必要とする場合でも8時間以内に使用すること(この場合、わずかに微黄色の溶液の色調が時間の経過とともに濃くなることがある))。
14.1.4. 溶解液部分を手で圧し、隔壁を開通させ、抗生剤部分と溶解液部分を交互に押して抗生剤を完全に溶解すること。
14.2. 薬剤投与時の注意14.2.1. 静脈内大量投与により、まれに血管痛、血栓性静脈炎を起こすことがあるので、これを予防するために注射液の調製、注射部位、注射方法等について十分注意し、その注射速度はできるだけ遅くすること。
14.2.2. 小児に点滴静脈内注射を行う際には、十分な血中濃度を得るために、30分~1時間で投与を行うこと。
14.2.3. 分割投与しないこと。
14.2.4. 容器の液目盛りはおよその目安として使用すること。
20.1. 製品の品質を保持するため、本品を包んでいる外袋は使用時まで開封しないこと。
20.2. 次の場合には使用しないこと。
20.2.1. 外袋が破損しているときや溶解液が漏出しているときには使用しないこと。
20.2.2. 隔壁の開通前に抗生物質が溶解しているときには使用しないこと。
20.2.3. 抗生物質が変色しているときや溶解液が着色しているときには使用しないこと。
16.1 血中濃度
腎機能正常の成人及び小児に静注あるいは点滴静注して得られた血中濃度は次のとおりであり、用量依存性を示す。
静注時の血中濃度(成人:腎機能正常)
静注時の血中濃度(小児:腎機能正常)
点滴静注時の血中濃度(成人:腎機能正常)
点滴静注時の血中濃度(小児:腎機能正常)
16.3 分布
胆石症患者に1回1g、2gを静注すると胆汁中濃度は2時間後にそれぞれ157.6μg/mL、720.5μg/mLと最高値を示し、6時間後までの胆汁中回収率は約1%である。また、扁桃、喀痰、肺、胸水、胆のう壁、腹水、骨髄血、髄液、膀胱壁、前立腺、腎、骨、骨盤死腔滲出液、婦人性器、臍帯血、羊水、耳漏、副鼻腔粘膜等への移行が認められている。なお、乳汁中への移行は痕跡程度である。
16.4 代謝
尿中には抗菌活性代謝物質は認められていない。
16.5 排泄
主として腎より排泄され、成人(腎機能正常者)に1回0.5、1、2g静注あるいは点滴静注後6時間までの尿中排泄率は約60~75%である。また、0.5gを静注後の尿中濃度は0~2時間で約2,000μg/mL、2~4時間で約350μg/mL、4~6時間で約66μg/mLを示す。小児(腎機能正常者)に1回10、20、40mg/kg静注あるいは点滴静注後6時間までの尿中排泄率は、成人とほぼ同様である。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
腎機能の低下に伴い、血中濃度の上昇、半減期の延長及び尿中排泄率の低下が認められる。従って、腎機能障害者に本剤を投与する場合には、投与量、投与間隔の適切な調節が必要である。[9.2.1参照]
腎機能障害度と血中濃度
17.2 製造販売後調査等
17.2.1 成人感染症
製造販売後の使用成績調査14,121例についての成績概要は次表のとおりである。
→図表を見る(PDF)
17.2.2 小児感染症
製造販売後の使用成績調査416例についての成績概要は次表のとおりである。
→図表を見る(PDF)
18.1 作用機序
細菌の細胞壁の合成を阻害する。本剤がグラム陰性菌に対し強い抗菌力を示すのは細胞外膜透過性に優れ、β‐lactamaseに比較的安定であり、かつペニシリン結合蛋白画分1B及び3に対する親和性が高いため細胞壁peptidoglycan架橋形成阻害作用が強いことによると考えられる。
18.2 抗菌作用
18.2.1 グラム陰性菌及びグラム陽性菌に広い抗菌作用を示し、特に大腸菌、クレブシエラ属、プロテウス・ミラビリス、インフルエンザ菌に強い抗菌力を示す。更にエンテロバクター属、シトロバクター属、プロテウス・ブルガリス、プロビデンシア・レットゲリ、モルガネラ・モルガニーに対しても抗菌力が認められている(in vitro)。
18.2.2 抗菌作用は殺菌的で、最小発育阻止濃度でも殺菌作用を示す(in vitro)。
- 製造販売会社
- 武田テバ薬品
- 販売会社
- 武田薬品
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