ベストコール静注用0.5g

添付文書情報2019年04月改定(第13版)
商品情報
- 禁忌
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
- 効能・効果
- 1.敗血症。
2.外傷・熱傷及び手術創等の二次感染。
3.急性気管支炎、肺炎、肺膿瘍、膿胸、慢性呼吸器病変の二次感染。
4.膀胱炎、腎盂腎炎。
5.腹膜炎。
6.胆嚢炎、胆管炎、肝膿瘍。
7.バルトリン腺炎、子宮内感染、子宮付属器炎、子宮旁結合織炎。
8.化膿性髄膜炎。
<効能・効果に関連する使用上の注意>
急性気管支炎への使用にあたっては、「抗微生物薬適正使用の手引き」を参照し、抗菌薬投与の必要性を判断した上で、本剤の投与が適切と判断される場合に投与する。
- 用法・用量
- 1.成人:セフメノキシム塩酸塩として1日1~2g(力価)を2回に分けて静脈内に注射する。なお、難治性又は重症感染症には症状に応じて1日4g(力価)まで増量し、2~4回に分割投与する。
2.小児:セフメノキシム塩酸塩として1日40~80mg(力価)/kgを3~4回に分けて静脈内に注射する。なお、年齢、症状に応じ、適宜増減するが、難治性又は重症感染症には1日160mg(力価)/kgまで増量し、3~4回に分割投与するが、化膿性髄膜炎には1日200mg(力価)/kgまで増量できる。
静脈内注射に際しては、日本薬局方「注射用水」、日本薬局方「生理食塩液」又は日本薬局方「ブドウ糖注射液」に溶解して用いる。
また、本剤の1回用量0.5~2g(力価)を糖液、電解質液又はアミノ酸製剤などの補液に加えて、30分~2時間で点滴静脈内注射を行うこともできる。
小児では前記投与量を考慮した1回用量を補液に加えて、30分~1時間で点滴静脈内注射を行うこともできる。
<注射液の調製法>
本剤は溶解補助剤として無水炭酸ナトリウムを含有し、溶解時に炭酸ガスを発生するため減圧バイアルにしてある。溶解にあたっては約3mLの溶解液をバイアル内に注入して溶解する。なお、静脈内注射に際しては10mLに希釈して投与する。点滴静脈内注射を行う場合、注射用水を用いると溶液が等張とならないため用いない。溶解にあたっては、溶解方法説明書きをよく読む。
<用法・用量に関連する使用上の注意>
1.高度腎障害のある患者には、投与量・投与間隔の適切な調節をするなど慎重に投与する。
2.本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最少限の期間の投与にとどめる。
- 慎重投与
- 1.ペニシリン系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.本人又は両親、兄弟に気管支喘息、発疹、蕁麻疹等のアレルギー症状を起こしやすい体質を有する患者。
3.高度腎障害のある患者[高い血中濃度が持続することがある]。
4.高齢者。
5.経口摂取の不良な患者又は非経口栄養の患者、全身状態の悪い患者[ビタミンK欠乏症状が現れることがあるので観察を十分に行う]。
- 重要な基本的注意
- 本剤によるショック、アナフィラキシーの発生を確実に予知できる方法がないので、次の措置をとる。
1.事前に既往歴等について十分な問診を行う(なお、抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認する)。
2.投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておく。
3.投与開始から投与終了後まで、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行い、特に、投与開始直後は注意深く観察する。
- 相互作用
- 併用注意:1.利尿剤(フロセミド等)[他のセフェム系抗生物質で併用による腎障害増強作用が報告されているので、併用する場合には腎機能に注意する(機序は不明であるが、利尿時の脱水による血中濃度の上昇等が考えられている)]。
2.エタノール(飲酒)[飲酒等のエタノール摂取により、紅潮、悪心、頻脈、多汗、頭痛等が現れることがあるので、投与期間中及び投与後少なくとも1週間は飲酒等のエタノール摂取を避ける(エタノール摂取24時間前に本剤を投与した試験(健康成人)で血中アセトアルデヒドの蓄積とジスルフィラム様作用が認められている)]。
- 副作用
- 承認時までの調査では、3,162例(静注、点滴静注、筋注を含む)中249例(7.9%)に、製造販売後の使用成績調査(再審査終了時点)では24,604例(静注、点滴静注、筋注を含む)中1,202例(4.9%)に臨床検査値の異常を含む副作用が認められている。次の副作用は前記の調査あるいは自発報告等で認められたものである。
- 重大な副作用
- 1.重大な副作用
1).ショック、アナフィラキシー(0.1%未満)を起こすことがあるので、観察を十分に行い、不快感、口内異常感、眩暈、便意、耳鳴、発汗、喘鳴、呼吸困難、血管浮腫、全身潮紅・全身蕁麻疹等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
2).急性腎障害等の重篤な腎障害(0.1%未満)が現れることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
3).顆粒球減少(0.1~5%未満)、また、無顆粒球症(0.1%未満)が現れることがあり、また、他のセフェム系抗生物質で溶血性貧血が現れることが報告されているので、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行う。
4).偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎(0.1%未満)が現れることがあるので、腹痛、頻回の下痢が現れた場合には直ちに投与を中止するなど適切な処置を行う。
5).発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増多等を伴う間質性肺炎、PIE症候群(0.1%未満)等が現れることがあるので、このような症状が現れた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行う。
6).痙攣(頻度不明)等の中枢神経症状が現れることがある(特に、腎不全患者に現れやすい)。
7).AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)等を伴う肝機能障害、黄疸(0.1%未満)が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
- 2.その他の副作用
1).過敏症:(0.1~5%未満)発疹、蕁麻疹、紅斑、そう痒、発熱、(0.1%未満)リンパ腺腫脹、関節痛[このような場合には投与を中止し適切な処置を行う]。
2).血液:(0.1~5%未満)貧血、好酸球増多、(0.1%未満)血小板減少。
3).肝臓:(0.1~5%未満)AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)、Al-P上昇、LDH上昇、(0.1%未満)γ-GTP上昇。
4).消化器:(0.1~5%未満)下痢、(0.1%未満)悪心、嘔吐、食欲不振、腹痛。
5).菌交代症:(0.1%未満)口内炎、カンジダ症。
6).ビタミン欠乏症:(0.1%未満)ビタミンK欠乏症状(低プロトロンビン血症、出血傾向等)、ビタミンB群欠乏症状(舌炎、口内炎、食欲不振、神経炎等)。
7).その他:(0.1%未満)倦怠感、ふらつき、頭痛。
- 高齢者への投与
- 次の点に注意し、用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与する。
1.高齢者では生理機能が低下していることが多く副作用が発現しやすい。
2.高齢者ではビタミンK欠乏による出血傾向が現れることがある。
- 妊婦・産婦・授乳婦等への投与
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない]。
- 小児等への投与
- 低出生体重児、新生児に対する安全性は確立していない。
- 取扱い上の注意
- 1.投与経路:本剤は静脈内注射にのみ使用する。
2.投与方法:静脈内大量投与により、まれに血管痛、血栓性静脈炎を起こすことがあるので、これを予防するために注射液の調製、注射部位、注射方法等について十分注意し、その注射速度はできるだけ遅くする。
3.溶解後:溶解後は速やかに使用する(なお、やむを得ず保存を必要とする場合でも12時間以内に使用する)。
使用期限内であっても開封後はなるべく速やかに使用する。
- その他の注意
- 1.幼若ラットに皮下投与した動物試験において、精巣萎縮、精子形成抑制作用が発現したとの報告がある。
2.本剤の投与に際しては、定期的に肝機能、腎機能、血液等の検査を行うことが望ましい。
1.血中濃度
腎機能正常の成人及び小児に静注あるいは点滴静注して得られた血中濃度は添付文書の図1~4のとおりであり、用量依存性を示す。
図1 静注時の血中濃度(成人:腎機能正常)
図2 静注時の血中濃度(小児:腎機能正常)
図3 点滴静注時の血中濃度(成人:腎機能正常)
図4 点滴静注時の血中濃度(小児:腎機能正常)
2.排泄
主として腎より排泄され、成人(腎機能正常者)に1回0.5、1、2g静注あるいは点滴静注後6時間までの尿中排泄率は60~82%である。
また、1gを静注後の尿中濃度は0~2時間で約4,400μg/mL、2~4時間で約750μg/mL、4~6時間で約120μg/mLである。
小児(腎機能正常者)に1回10、20、40mg/kg静注あるいは点滴静注後6時間までの尿中排泄率は成人とほぼ同様である。
3.体液・組織内移行
1g静注時の胆汁中濃度は2時間後に194μg/mLと最高値を示し、6時間後においても14μg/mLを示す(胆石摘出術後患者)。また、1g静注0.5~2時間後の胆のう壁内濃度は10.2~48.8μg/gである(胆道感染症)。
また、喀痰、扁桃、髄液、胸水、腹腔内滲出液、乳癌手術部滲出液、腎、膀胱壁、子宮、卵管、卵巣、骨盤死腔滲出液、臍帯血、羊水等への移行が認められている。なお、乳汁中へもわずかに移行する。
4.代謝
尿中には抗菌活性代謝物質は認められていない。
5.腎機能障害時の血中濃度、尿中排泄
腎機能の低下に伴い、血中濃度の上昇、半減期の延長及び尿中排泄率の低下が認められる(添付文書の図5)。従って、腎機能障害者に本剤を投与する場合には、投与量、投与間隔の適切な調節が必要である。
図5 腎機能障害度と血中濃度
1.成人感染症
製造販売後の使用成績調査7,394例についての成績概要は次表のとおりである。
→図表を見る(PDF)
2.小児感染症
製造販売後の使用成績調査167例についての成績概要は次表のとおりである。
→図表を見る(PDF)
1.抗菌作用
(1)グラム陰性・グラム陽性の好気性菌及び嫌気性菌に広く抗菌作用を示し、その作用は殺菌的である。
(2)グラム陰性菌に対する抗菌力は大腸菌、肺炎桿菌ではセフォチアム(CTM)よりやや強く、セファゾリン(CEZ)より著しく強い。また、インフルエンザ菌、プロテウス属、セラチア・マルセッセンス、シトロバクター属、エンテロバクター属ではCTMより強く、CEZより著しく強い。なお、バクテロイデス属にも強い抗菌力を示す。
(3)グラム陽性菌に対する抗菌力はレンサ球菌属、肺炎球菌ではCTM、CEZより強い。なお、ペプトストレプトコッカス属にも強い抗菌力を示す。
(4)各種細菌が産生するβ‐lactamaseに対して安定であり、β‐lactamase産生菌にも強い抗菌力を示す。
2.作用機序
細菌の細胞壁の合成を阻害する。本剤がグラム陰性菌に対し強い抗菌力を示すのは細胞外膜透過性に優れ、β‐lactamaseに安定であり、かつペニシリン結合蛋白画分1A、1B、3に対する親和性が高いため細胞壁peptidoglycan架橋形成阻害作用が強いことによると考えられる。
- 製造販売会社
- 武田テバ薬品
- 販売会社
- 武田薬品
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