パズクロス点滴静注液500mg
添付文書情報2020年09月改定(第1版)
商品情報
- 禁忌
- 2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.2. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性〔9.5妊婦の項参照〕。
2.3. 小児等〔9.7小児等の項参照〕。
- 効能・効果
- 敗血症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、肺炎、肺膿瘍、慢性呼吸器病変の二次感染、複雑性膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎(前立腺炎<急性症>、前立腺炎<慢性症>)、腹膜炎、腹腔内膿瘍、胆嚢炎、胆管炎、肝膿瘍、子宮付属器炎、子宮旁結合織炎。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 本剤の使用に際しては、起炎菌と適応患者を十分考慮し、一次選択薬としての要否を検討すること。
5.2. 本剤は、細菌学的検査を実施した後に投与すること〔8.1参照〕。
- 用法・用量
- 〈敗血症、肺炎球菌による肺炎、重症・難治性の呼吸器感染症(肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染に限る)以外〉
通常、成人にはパズフロキサシンとして1日1000mgを2回に分けて点滴静注する。なお、年齢、症状に応じ、1日600mgを2回に分けて点滴静注するなど、減量すること。
敗血症、肺炎球菌による肺炎、重症・難治性の呼吸器感染症(肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染に限る)以外の場合、点滴静注に際しては、30分~1時間かけて投与すること。
〈敗血症、肺炎球菌による肺炎、重症・難治性の呼吸器感染症(肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染に限る)〉
通常、成人にはパズフロキサシンとして1日2000mgを2回に分けて点滴静注する。
敗血症、肺炎球菌による肺炎、重症・難治性の呼吸器感染症(肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染に限る)の場合、点滴静注に際しては、1時間かけて投与すること。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 本剤の使用に際しては、投与開始後3日を目安として継続投与が必要か判定し、投与中止又はより適切な他剤に切り替えるべきか検討を行うこと。更に、本剤の投与期間は、原則として14日以内とすること〔8.1参照〕。
7.2. 本剤の臨床試験において、1日1000mg投与時と比較して1日2000mg投与時では、注射部位反応などの副作用発現率が高い傾向が認められたため、1日2000mg投与は、他の抗菌薬の投与を考慮した上で、必要な患者に限り、副作用の発現に十分注意して慎重に投与すること〔8.3参照〕。
7.3. 高度腎障害のある患者には、投与量及び投与間隔を適切に調節するなど慎重に投与すること(参考として、体内動態試験の結果より、次の用量が目安として推察されている)〔9.2.1、16.6.2参照〕[1)Ccr20以上30未満(mL/min)、通常用法・用量1回500mg1日2回投与対象の場合:1回500mg1日2回(用量調節不要)、2)Ccr20以上30未満(mL/min)、通常用法・用量1回1000mg1日2回投与対象の場合:1回500mg1日2回、3)Ccr20未満(mL/min)、通常用法・用量1回500mg1日2回投与対象の場合:1回500mg1日1回、4)Ccr20未満(mL/min)、通常用法・用量1回1000mg1日2回投与対象の場合:1回500mg1日1回]。
- 腎機能障害患者
- 8.1. 本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること〔5.2、7.1参照〕。
8.2. 本剤によるショック、アナフィラキシーの発生を確実に予知できる方法がないので、次の措置をとること。
・ 事前に既往歴等について十分な問診を行う(なお、抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認する)。
・ 投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておくこと。
・ 投与開始から投与終了後まで、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行う(特に、投与開始直後は注意深く観察する)〔11.1.8参照〕。
8.3. 注射部位反応(注射部位疼痛、注射部位紅斑、注射部位腫脹、注射部位硬結、注射部位静脈炎等)があらわれた場合には、注射部位を変更する、又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。臨床試験における注射部位反応の副作用発現率は、1日2000mg投与時34.1%(57/167例)であり、1日1000mg投与時0.1%(1/1264例)に比べて高かった〔7.2参照〕。
8.4. 大動脈瘤、大動脈解離を引き起こすことがあるので、観察を十分に行うとともに、腹部、胸部又は背部に痛み等の症状があらわれた場合には直ちに医師の診察を受けるよう患者に指導すること〔9.1.6、11.1.13参照〕。
9.1.1. キノロン系抗菌剤に対し過敏症の既往歴のある患者(ただし、本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者には投与しないこと)。
9.1.2. 本人又は両親、兄弟に気管支喘息、発疹、蕁麻疹等のアレルギー症状を起こしやすい体質を有する患者:十分な問診を行うこと(アレルギー素因を有する患者は過敏症を起こしやすい)。
9.1.3. 心臓機能障害、循環器系機能障害のある患者:塩化ナトリウムを含有するため水分やナトリウム貯留が生じやすく、浮腫等の症状を悪化させるおそれがある。
9.1.4. てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者:痙攣を起こすことがある〔11.1.7参照〕。
9.1.5. 重症筋無力症の患者:フルオロキノロン系抗菌薬で症状を悪化させるとの報告がある〔11.1.14参照〕。
9.1.6. 大動脈瘤又は大動脈解離を合併している患者、大動脈瘤又は大動脈解離の既往、家族歴若しくは大動脈瘤のリスク因子を有する又は大動脈解離のリスク因子を有する患者(マルファン症候群等):必要に応じて画像検査の実施を考慮すること(海外の疫学研究において、フルオロキノロン系抗菌薬投与後に大動脈瘤及び大動脈解離の発生リスクが増加したとの報告がある)〔8.4、11.1.13参照〕。
腎機能障害患者:1日2000mgを投与する場合には、患者の状態を十分に観察するなど、血中濃度上昇による副作用の発現に十分注意し、異常が認められた場合には症状に応じて減量、休薬等の適切な処置を行うこと。また、腎機能障害患者の場合、塩化ナトリウムを含有するため高ナトリウム血症等の電解質異常を起こすおそれがある〔16.6.2参照〕。
9.2.1. 高度腎障害のある患者:高い血中濃度が持続することがある〔7.3、16.6.2参照〕。
9.2.2. 血液透析施行患者:投与量及び投与間隔を適切に調節し、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること〔16.6.3参照〕。
- 相互作用
- 本剤はCYP1A2の代謝活性を阻害する〔16.4.1参照〕。
10.2. 併用注意:1). テオフィリン、アミノフィリン水和物[テオフィリンの中毒症状<消化器障害・頭痛・不整脈・痙攣等>があらわれるおそれがあるので、観察を十分に行い、血中濃度モニタリングを行うなど注意すること(<機序>テオフィリンの主代謝酵素であるCYP1A2を阻害することにより、血中濃度を上昇させることが考えられる<危険因子>高齢者、高度腎障害患者)]。
2). フェニル酢酸系非ステロイド性消炎鎮痛剤、プロピオン酸系非ステロイド性消炎鎮痛剤(ジクロフェナクナトリウム、ロキソプロフェンナトリウム水和物等)[痙攣があらわれるおそれがあるので、観察を十分に行い、症状があらわれた場合には両剤の投与を中止し、気道確保と抗痙攣薬の使用など痙攣に対する治療を実施すること(<機序>中枢神経におけるGABAAの受容体への結合阻害作用が非ステロイド性消炎鎮痛剤により増強されることが主な機序と考えられている<危険因子>高齢者、てんかん等痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者、高度腎障害患者)]。
3). ワルファリン[ワルファリンの作用を増強し出血・プロトロンビン時間の延長等があらわれることがあるので、観察を十分に行い、血液凝固能検査を行うなど注意すること(機序不明)]。
4). 副腎皮質ホルモン剤<経口剤・注射剤>(プレドニゾロン<経口剤・注射剤>、ヒドロコルチゾン<経口剤・注射剤>等)[腱障害のリスクが増大するとの報告があるので、これらの薬剤との併用は、治療上の有益性が危険性を上回る場合のみとすること(機序不明)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 急性腎障害(頻度不明)。
11.1.2. 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)。
11.1.3. 偽膜性大腸炎(頻度不明):偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎があらわれることがあるので、腹痛、頻回の下痢があらわれた場合には直ちに投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.4. 無顆粒球症、血小板減少(いずれも頻度不明)。
11.1.5. 横紋筋融解症(頻度不明):筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中ミオグロビン上昇及び尿中ミオグロビン上昇が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。
11.1.6. 錯乱、幻覚等の精神症状(頻度不明)。
11.1.7. 痙攣(頻度不明)〔9.1.4参照〕。
11.1.8. ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明):ショック、アナフィラキシー(呼吸困難、浮腫、発赤等)があらわれることがある〔8.2参照〕。
11.1.9. 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(いずれも頻度不明)。
11.1.10. 間質性肺炎、PIE症候群(いずれも頻度不明):発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増多等を伴う間質性肺炎、PIE症候群があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
11.1.11. 低血糖(頻度不明):重篤な低血糖があらわれることがある(高齢者、腎障害患者であらわれやすい)。
11.1.12. アキレス腱炎、腱断裂等の腱障害(頻度不明):腱周辺の痛み、浮腫、発赤等の症状が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと〔9.8.1参照〕。
11.1.13. 大動脈瘤、大動脈解離(いずれも頻度不明)〔8.4、9.1.6参照〕。
11.1.14. 重症筋無力症悪化(頻度不明)〔9.1.5参照〕。
- 11.2. その他の副作用
1). 過敏症:(0.1%以上)発疹、浮腫、蕁麻疹、発熱、(0.1%未満)そう痒症、潮紅、紅斑、(頻度不明)発赤。
2). 腎臓:(0.1%以上)BUN増加、尿中赤血球陽性、尿中蛋白陽性、尿中ウロビリン陽性、尿円柱陽性、(0.1%未満)頻尿、血中クレアチニン増加。
3). 肝臓:(0.1%以上)ALT増加(7.0%)、AST増加(5.3%)、γ-GTP増加、ALP増加、LAP上昇、LDH増加、血中ビリルビン増加。
4). 血液:(0.1%以上)好酸球数増加、白血球数減少、血小板数減少、貧血。
5). 消化器:(0.1%以上)下痢、悪心、嘔吐、腹部膨満、(0.1%未満)心窩部不快感、変色便、メレナ。
6). 精神神経系:(0.1%以上)頭痛、精神障害、浮動性めまい、感覚鈍麻、(0.1%未満)意識変容状態、譫妄。
7). 投与部位:(0.1%以上)注射部位反応(疼痛、紅斑、腫脹、硬結、静脈炎等)。
8). その他:(0.1%以上)CK増加、電解質失調、異常感(気分不良、違和感、浮遊感)、口内乾燥、舌炎、(0.1%未満)灼熱感、関節痛、口内炎。
- 高齢者
- 9.8.1. 腱障害があらわれやすいとの報告がある〔11.1.12参照〕。
9.8.2. 用量に留意し慎重に投与すること(本剤を投与し、血中濃度及び尿中排泄を検討した結果、Cmax上昇、AUC増大及び尿中回収率低下が認められている)〔16.6.1参照〕。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと〔2.2参照〕。
授乳しないことが望ましい(動物実験(ラット)で、乳汁中に移行することが報告されている)。
- 小児等
- 投与しないこと(小児等を対象とした臨床試験は実施していない、動物実験(幼若犬、成熟犬[16~26カ月齢]、ラット[6週齢])で関節異常が認められたとの報告がある)〔2.3参照〕。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤投与時の注意14.1.1. ゴム栓への針刺は、ゴム栓面にまっすぐに行うこと(斜めに刺すと、ゴム片が薬液中に混入したり、排出口の側壁を傷つけて液漏れを起こすおそれがある)。
14.1.2. 通気針は不要である。
14.1.3. 連結管(U字管)による連続投与は行わないこと。
14.1.4. 容器の液目盛はおよその目安として使用すること。
14.2. 配合変化14.2.1. 他剤及び輸液と配合した場合に、配合変化(白濁等)が認められているため、他剤及び輸液と原則として配合しないこと(なお、I.V.Push法及びPiggyback法においても配合変化が認められているため、側管からの配合も避けること)。
14.2.2. 血管を確保できないなど、やむを得ず側管から投与する場合には、他剤との配合変化を避けるため、本剤使用の前後に生理食塩液でライン洗浄(フラッシング)を行うこと。
20.1. 外袋は遮光性の包材を使用しているので、使用直前まで開封しないこと。開封後は速やかに使用すること。
20.2. 次の場合は使用しないこと。
・ 外袋の内側に水滴や内容液の漏れが認められる場合は使用しないこと。
・ 内容液に着色や混濁が認められる場合は使用しないこと。
・ ゴム栓部の汚染防止シールがはがれている場合は使用しないこと。
16.1 血中濃度
本剤を健康成人に単回投与したときの薬物動態パラメータ注1)は次のとおりである。
→図表を見る(PDF)
注1)投与量300mg及び500mg:2‐コンパートメントモデルに基づく解析
投与量1000mg:モデルに依存しない解析により算出
単回投与時の血清中濃度推移
16.3 分布
16.3.1 組織内移行
(1)喀痰・肺組織
1回500mg、30分点滴静注時の最高喀痰中濃度は点滴開始0.5~2.5時間後に2.49~6.24μg/g(n=4)であり、また、点滴開始1.5時間後の肺組織内濃度は平均7.95μg/g(n=5)であった。
(2)胆道
1回500mg、30分点滴静注時の胆管胆汁中最高濃度は点滴開始1.5~4.5時間後に5.47~29.9μg/mL(n=3)であり、また、胆嚢組織内濃度は点滴開始1.0~2.5時間後に9.85~35.5μg/g(n=4)であった。
(3)胸水・腹水
1回500mg、1時間点滴静注時の胸水中濃度は点滴開始7時間後に1.43μg/mL(n=1)、1回300mg、1時間点滴静注時の腹水中濃度は点滴開始4時間後に1.87μg/mL(n=1)を示した。
(4)創膿汁・熱傷皮膚組織
1回500mg、30分点滴静注時の創膿汁中濃度は点滴開始1.5時間後に2例平均で4.73μg/mLであり、また、点滴開始1.5時間後の熱傷皮膚組織エスカー部分の濃度は4例平均で4.54μg/gであった。
(5)女性性器組織
1回300mg、30分点滴静注時の女性性器の各組織濃度は点滴開始0.83時間後で5.00~13.9μg/g(n=1)であり、骨盤死腔液中濃度は点滴開始2時間後の平均で3.18μg/mL(n=4)であった。
(6)髄液
1回500mg、30分点滴静注1.5時間後の髄液中濃度は3例平均で0.33μg/mLであった。
(7)好中球・組織培養細胞
好中球及び組織培養細胞(胎児小腸細胞、胎児肺正常2倍体細胞及び成人肝細胞)の浮遊液にパズフロキサシン溶液を添加した4種類の混合液(薬剤濃度:1μg/mL)を培養後、細胞内及び細胞外液の薬剤濃度を測定し、各細胞におけるC/E ratio(細胞外薬剤濃度に対する細胞内薬剤濃度の比率)を算出した結果、平均でそれぞれ7.1(n=14)、7.4(n=9)、3.4(n=12)及び2.1(n=3)であった。
16.4 代謝
16.4.1 本剤はヒト肝ミクロソームを用いた試験において、CYP1A2に対し1000μmol/Lで約37%の阻害作用を示したが、CYP2C9、2C19、2D6、2E1及び3A4に対しては阻害作用を示さなかった。[10.参照]
16.4.2 本剤投与後の代謝物はグルクロン酸抱合体が胆汁中及び尿中に認められた。しかし、それ以外の代謝物の濃度は低く、健康成人に400mgを30分点滴静注にて単回投与した場合、投与24時間までのグルクロン酸抱合体の尿中排泄率5.71%を含めた本剤の尿中排泄率は99.7%と高く、生体内で光学異性化も示さないことから、本剤は代謝を受け難い薬剤と考えられた。
16.5 排泄
健康成人に50~500mgを30分点滴静注にて単回投与した場合又は1000mgを1時間点滴静注にて単回投与した場合の投与24時間までの尿中排泄率は約90%であった。1回300mgを1日2回(最終日は1回)で5日間、1回500mgを1日2回(1日目及び最終日は1回)で6日間、又は1回1000mgを1日2回(1日目及び最終日は1回)で6日間反復投与した場合の累積尿中排泄率も約90%で推移した。また、1回500mgを1日3回(最終日は1回)5日間反復投与時にも尿中回収率の上昇傾向を認めなかった。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 高齢者
本剤を高齢者(65歳以上)に単回投与したときの薬物動態パラメータ注3)は次のとおりである。
→図表を見る(PDF)
注3)投与量500mg:2‐コンパートメントモデルに基づく解析 投与量1000mg:モデルに依存しない解析により算出
高齢者(65歳以上)に500mgを30分点滴静注にて単回投与した場合の投与24時間までの尿中排泄率は平均83.5%であった。[9.8.2参照]
16.6.2 腎機能低下患者
Ccr13.6(mL/min)の患者1例に300mgを30分点滴静注にて単回投与したときのCmax、AUC0→∞、T1/2βはそれぞれ10.3μg/mL、51.5μg・hr/mL、7.36時間であった。
Ccr13.6(mL/min)の患者に1回500mgを1日1回点滴静注にて反復投与したときのCss,max、AUC0→24をシミュレーションにて算出した結果、それぞれ30.2μg/mL、451.5μg・hr/mLであった。
Ccr20~30(mL/min)の患者に1回500mgを1日2回点滴静注にて反復投与したときのCss,max、AUC0→24をシミュレーションにて算出した結果、それぞれ22.1~30.3μg/mL、269.2~470.6μg・hr/mLであった。[7.3、9.2、9.2.1参照]
16.6.3 血液透析施行患者
血液透析施行患者3例に300mgを30分点滴静注にて単回投与したときのCmax、AUC0→∞はそれぞれ12.5~13.3μg/mL、196~269μg・hr/mLであった。また、投与開始24時間後より血液透析を4時間施行した場合、本剤は59~66mgが除去され、見かけ上の血清中濃度半減期(T1/2d)は非透析時の半減期(T1/2β)17.9~23.2時間から2.78~4.00時間に短縮された。
のう胞腎感染症の血液透析施行患者4例に週3回の血液透析後、300mgを30分点滴静注投与したとき、初回投与時のCmax、AUC0→∞及びT1/2はそれぞれ7.76~13.04μg/mL、258~662μg・hr/mL及び22.0~47.2時間であった。また、3回目投与の約64時間後より血液透析を4時間施行した場合、透析開始前から透析終了1時間後までの本剤の除去率は37.5~51.7%であった。[9.2.2参照]
16.7 薬物相互作用
16.7.1 プロベネシドによる影響
健康成人3例にプロベネシド1gを経口投与し、2時間後に本剤200mgを30分点滴静注した。更に、点滴終了2時間後にプロベネシド0.5gを経口投与した。その結果、本剤の血清中半減期は約2倍に延長し、AUCは2.4倍に増加したが、最高血清中濃度に大きな変化は認められなかった。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
〈外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、肺炎、肺膿瘍、慢性呼吸器病変の二次感染、複雑性膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎(急性症、慢性症)、腹膜炎、腹腔内膿瘍、胆嚢炎、胆管炎、肝膿瘍、子宮付属器炎、子宮旁結合織炎〉
17.1.1 国内第II相及び第III相臨床試験
1日投与量1000mg以下で実施した臨床試験において、総症例1,007例について検討された臨床効果の概要は次表のとおりである。また、比較試験において、呼吸器感染症、複雑性尿路感染症について本剤の有用性が確認されている。(有効率は“有効”以上を集計)
→図表を見る(PDF)
〈敗血症、肺炎球菌による肺炎、重症・難治性の呼吸器感染症(肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染に限る)〉
17.1.2 国内第III相試験
1日投与量2000mgで実施した臨床試験で検討された敗血症、重症・難治性肺炎及び肺炎球菌による肺炎に対する臨床効果の概要は次表のとおりである。(有効率は“有効”以上を集計)
→図表を見る(PDF)
18.1 作用機序
黄色ブドウ球菌由来DNAジャイレース、トポイソメレースIVに対して阻害活性を示した。また、ヒト由来トポイソメレースII阻害作用は弱かった。
18.2 抗菌スペクトルと抗菌活性
パズフロキサシンは、好気性、通性嫌気性及び偏性嫌気性のグラム陽性菌並びにグラム陰性菌に対して広い抗菌スペクトルを有し、ブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属、インフルエンザ菌、緑膿菌、アシネトバクター属、レジオネラ属、バクテロイデス属、プレボテラ属に対し抗菌活性を示した。
また、セファゾリン(CEZ)若しくはセフタジジム(CAZ)耐性腸内細菌科菌群、アンピシリン(ABPC)耐性インフルエンザ菌、イミペネム(IPM)、ゲンタマイシン(GM)単剤あるいはCAZを加えた2、3剤に耐性を示す緑膿菌、IPM分解性βラクタメース産生セラチア・マルセスセンス及び緑膿菌に対して抗菌活性を示した。
肺炎球菌ではPSSP、PISP、PRSPに対してペニシリン耐性の有無注)にかかわらず同等の抗菌活性を示した。
注)CLSI(Clinical and Laboratory Standards Institute)の判定基準に基づき、ペニシリンGに対するMICが0.06μg/mL以下の場合をPSSP、0.125~1μg/mLの場合をPISP、2μg/mL以上の場合をPRSPと判定した。
18.3 殺菌効果
黄色ブドウ球菌、大腸菌、緑膿菌に対して、殺菌的に作用した。また、緑膿菌の初期静止期、対数増殖期、定常期に作用させたときはいずれの時期でもCAZ、GMより強い殺菌効果を示した。黄色ブドウ球菌の定常期ではCAZ、GMと同様に殺菌効果がみられなかったが、初期静止期、対数増殖期に作用させたときは、CAZより強い殺菌効果を示した。
18.4 耐性菌の選択
黄色ブドウ球菌、大腸菌、緑膿菌において自然耐性菌出現頻度は低かった。継代培養法でのMIC上昇度は黄色ブドウ球菌ではIPM、GM、シプロフロキサシン(CPFX)より小さく、また、緑膿菌ではCAZより小さかった。
緑膿菌によるラットポーチ内感染系では、耐性菌選択頻度はIPMと有意差はなく、CAZに比べ有意(p<0.01)に低かった。
18.5 実験的感染症モデルに対する治療効果
黄色ブドウ球菌によるマウス全身感染、大腸菌によるマウス全身感染、肺炎桿菌、プロテウス・ミラビリスによるマウス全身感染に対して優れた治療効果を示した。また、GM、CAZ、IPM単剤耐性及びIPM、GM耐性菌を含む緑膿菌によるマウス全身感染に対して優れた治療効果を示した。
黄色ブドウ球菌と緑膿菌によるマウス混合全身感染に対してCAZ、IPM、CPFX、バンコマイシン(VCM)、アルベカシン(ABK)より優れた治療効果を示した。
緑膿菌によるマウス呼吸器感染、マウス尿路感染、ラット背部皮下ディスク感染及び熱傷感染モデルに対して優れた治療効果を示した。
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