アシクロビル内服ゼリー800mg「日医工」
添付文書情報2024年01月改定(第1版)
商品情報
- 禁忌
- 本剤の成分あるいはバラシクロビル塩酸塩に対し過敏症の既往歴のある患者。
- 効能・効果
- 帯状疱疹。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 本剤は、主として免疫機能の低下を伴わない患者に適応される。悪性腫瘍、自己免疫疾患などの免疫機能低下した患者には、アシクロビル注射剤の点滴静脈内投与等を考慮すること。
- 用法・用量
- [成人]
通常、成人には1回アシクロビルとして800mgを1日5回経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
[小児]
通常、小児には体重1kg当たり1回アシクロビルとして20mgを1日4回経口投与する。ただし、1回最高用量は800mgとする。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 本剤の投与は、発病初期に近いほど効果が期待できるので、早期に投与を開始することが望ましい。
7.2. 腎障害を有する成人患者におけるクレアチニンクリアランスに応じた本剤の投与間隔の目安は次のとおりである(外国人データ)〔8.重要な基本的注意、9.2.1、9.8高齢者の項、13.1、16.6.1参照〕[1)クレアチニンクリアランス>25mL/min/1.73㎡:帯状疱疹には1回800mgを1日5回、2)クレアチニンクリアランス10~25mL/min/1.73㎡:帯状疱疹には1回800mgを1日3回、3)クレアチニンクリアランス<10mL/min/1.73㎡:帯状疱疹には1回800mgを1日2回]。なお、腎障害を有する小児患者における本剤の投与間隔及び投与量調節の目安は確立していない。
7.3. 原則として皮疹出現後5日以内に投与を開始すること。
7.4. 本剤を7日間使用し、改善の兆しが見られないか、あるいは悪化する場合には、他の治療に切り替えること。
- 肝機能障害患者
- 意識障害等があらわれることがあるので、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事する際には注意するよう患者に十分に説明すること。なお、腎機能障害患者では、特に意識障害等があらわれやすいので、患者の状態によっては自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること〔7.2、9.2.1参照〕。
9.1.1. 脱水症状をおこしやすいと考えられる患者(腎障害のある患者又は腎機能低下している患者、高齢者等):適切な水分補給を行うこと〔9.2.1、9.8高齢者の項参照〕。
9.2.1. 腎障害のある患者、腎機能低下している患者:投与間隔を調節し、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(本剤の曝露量が増加した場合には、精神神経症状や腎機能障害が発現する危険性が高い)〔7.2、8.重要な基本的注意の項、9.1.1、11.1.3、11.1.4、13.1、16.6.1参照〕。
9.3.1. 肝障害のある患者:肝障害が増悪するおそれがある。
- 相互作用
- アシクロビルは、OAT1、MATE1及びMATE2-Kの基質である〔16.7参照〕。
10.2. 併用注意:1). プロベネシド[本剤の排泄が抑制され、本剤の平均血漿中半減期が18%延長し平均血漿中濃度曲線下面積が40%増加するとの報告があるので、特に腎機能低下の可能性がある患者(高齢者等)には慎重に投与すること(プロベネシドは尿細管分泌に関わるOAT1及びMATE1を阻害するため、本剤の腎排泄が抑制されると考えられる)]。
2). シメチジン[アシクロビルの排泄が抑制され、アシクロビルの平均血漿中濃度曲線下面積が27%増加するとの報告がある(バラシクロビル塩酸塩でのデータ)ので、特に腎機能低下の可能性がある患者(高齢者等)には慎重に投与すること(シメチジンは尿細管分泌に関わるOAT1、MATE1及びMATE2-Kを阻害するため、アシクロビルの腎排泄が抑制されると考えられる)]。
3). ミコフェノール酸 モフェチル[本剤及びミコフェノール酸 モフェチル代謝物の排泄が抑制され、両方の平均血漿中濃度曲線下面積が増加するとの報告があるので、特に腎機能低下の可能性がある患者(高齢者等)には慎重に投与すること(本剤とミコフェノール酸 モフェチル代謝物が尿細管分泌で競合すると考えられる)]。
4). テオフィリン[本剤との併用によりテオフィリンの中毒症状があらわれることがある(機序は不明であるが、本剤がテオフィリンの代謝を阻害するためテオフィリンの血中濃度が上昇することが考えられる)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. アナフィラキシーショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明):アナフィラキシーショック、アナフィラキシー(呼吸困難、血管性浮腫等)があらわれることがある。
11.1.2. 汎血球減少、無顆粒球症、血小板減少、播種性血管内凝固症候群(DIC)、血小板減少性紫斑病(いずれも頻度不明)。
11.1.3. 急性腎障害、尿細管間質性腎炎(いずれも頻度不明)〔9.2.1、9.8高齢者の項、13.1参照〕。
11.1.4. 精神神経症状(頻度不明):意識障害(昏睡)、せん妄、妄想、幻覚、錯乱、痙攣、てんかん発作、麻痺、脳症等があらわれることがある(一般に精神神経症状は本剤の投与中止により回復する)〔9.2.1、9.8高齢者の項、13.1参照〕。
11.1.5. 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(いずれも頻度不明)。
11.1.6. 呼吸抑制、無呼吸(いずれも頻度不明)。
11.1.7. 間質性肺炎(頻度不明)。
11.1.8. 肝炎、肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)。
11.1.9. 急性膵炎(頻度不明)。
- 11.2. その他の副作用
1). 過敏症:(0.1%未満)発熱、発疹、水疱、紅斑、蕁麻疹、そう痒、(頻度不明)固定薬疹、光線過敏症。
2). 血液:(0.1%~5%未満)貧血、顆粒球減少、白血球増多、好酸球増多、(0.1%未満)リンパ球増多、血小板増多、(頻度不明)出血、紫斑、血小板減少、好塩基球増多、リンパ球減少。
3). 肝臓:(0.1%~5%未満)肝腫大、肝機能検査値異常(AST上昇、ALT上昇等)。
4). 腎臓・泌尿器:(0.1%~5%未満)BUN上昇、(0.1%未満)血清クレアチニン値上昇、血尿、尿円柱、蛋白尿、膿尿、排尿困難、(頻度不明)乏尿、結晶尿、尿閉。
5). 消化器:(0.1%~5%未満)下痢、軟便、嘔気、嘔吐、腹痛、胃痛、心窩部痛、胃不快感、(0.1%未満)消化不良、食欲不振、(頻度不明)胃炎、舌炎、口渇、便秘、鼓腸放屁。
6). 精神神経系:(0.1%~5%未満)傾眠、眠気、(0.1%未満)振戦、めまい、感情鈍麻、(頻度不明)意識障害、見当識障害、情動失禁、うつ状態、そう状態、集中力障害、徘徊、離人症、興奮、健忘、多弁、不眠、不安、言語障害、独語、異常感覚、運動失調、歩行異常、不随意運動、れん縮、しびれ感、眼振等。
7). 循環器:(0.1%未満)動悸、(頻度不明)頻脈、不整脈、胸痛、血圧上昇、血圧低下。
8). 筋骨格:(頻度不明)関節痛、筋肉痛。
9). 全身症状:(0.1%~5%未満)頭痛、(0.1%未満)悪寒、発熱、全身倦怠感、(頻度不明)失神、蒼白、ほてり、浮腫、脱力感、筋力低下。
10). その他:(0.1%~5%未満)血清トリグリセライド値上昇、AG比低下、血清コレステロール値上昇、尿糖、(0.1%未満)血清アルブミン低下、血清カリウム値上昇、(頻度不明)肺炎、咽頭炎、呼吸困難、喘鳴、胸水、疼痛、難聴、結膜炎、視力異常、味覚障害、脱毛、発汗、低ナトリウム血症、血清蛋白低下。
発現頻度には使用成績調査の結果を含む。
- 高齢者
- 投与間隔を調節し、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(本剤は、主として腎臓から排泄されるが、高齢者では腎機能が低下していることが多いため高い血中濃度が持続するおそれがあるので、本剤の曝露量が増加した場合には、精神神経症状や腎機能障害が発現する危険性が高い)〔7.2、9.1.1、11.1.3、11.1.4、13.1参照〕。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)の妊娠10日目に、母動物に腎障害のあらわれる大量(200mg/kg/day以上)を皮下投与した実験では、胎仔頭部異常及び胎仔に尾の異常が認められたと報告されている。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(アシクロビルは、ヒト母乳中への移行が報告されている)〔16.3.4参照〕。
- 小児等
- 低出生体重児及び新生児を対象とした臨床試験は実施していない。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤交付時の注意14.1.1. 包装のまま服用しないように指導すること。
14.1.2. 開封後は速やかに服用し、残分は廃棄させること。
20.1. 誤用を避けるため、他の容器に移し替えて保存しないこと。
20.2. 小児の手の届かないところに保存すること。
20.3. 高温になるところには保存しないこと。
20.4. 上に重いものをのせないこと。
20.5. 携帯するときは、折り曲げないように注意すること。
- その他の注意
- 15.2. 非臨床試験に基づく情報骨髄小核試験において、高用量(マウス腹腔内投与、180mg/kg以上)で染色体異常の誘発性を疑わせる所見が得られている。Ames試験、マウス優性致死試験等では陰性であったが、マウスに180、360、720mg/kgを腹腔内1回投与した骨髄小核試験では、小核出現頻度に用量相関性の有意な増加が認められた。
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人にアシクロビル200mg及び800mgを単回経口投与した場合、投与約1.3時間後にそれぞれ最高血漿中濃度0.63μg/mL及び0.94μg/mLに達し、血漿中濃度半減期は約2.5時間であった。
16.1.2 反復投与
健康成人にアシクロビル200mgを4時間毎に1日5回、3日間反復経口投与した場合、平均ピーク濃度は0.77~0.85μg/mL、平均トラフ濃度は0.41~0.45μg/mLであった。また、800mgを同様の投与方法で反復経口投与した場合、平均ピーク濃度は2.02~2.31μg/mL、平均トラフ濃度は1.18~1.36μg/mLであった。
16.1.3 生物学的同等性試験
アシクロビル内服ゼリー800mg「日医工」1包(アシクロビルとして800mg)とゾビラックス錠400 2錠(アシクロビルとして800mg)を、クロスオーバー法によりそれぞれ健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中アシクロビル濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された。
薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
血漿中薬物濃度推移
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.3 分布
16.3.1 血漿蛋白結合率
In vitroでのアシクロビルの血漿蛋白結合率は22~33%であった。
16.3.2 水疱中アシクロビル濃度
アシクロビル200mgの1日4時間毎反復経口投与時、水疱中アシクロビル濃度は血漿中濃度と同程度であった(外国人データ)。
16.3.3 膣分泌物中アシクロビル濃度
性器ヘルペス患者へのアシクロビル200mgの1日5回10日間経口投与時、膣分泌物中への移行(投与終了0.5~1時間後:約0.43μg/g)が認められた(外国人データ)。
16.3.4 乳汁中アシクロビル濃度
ヒトにアシクロビル200mgを1日5回経口投与した時の乳汁中アシクロビル濃度は血漿中濃度の0.6~4.1倍であり、最高約1.31μg/mL(200mg投与3時間後)であった(外国人データ)。[9.6参照]
16.5 排泄
健康成人にアシクロビル200mg及び800mgを単回経口投与した場合、48時間以内にそれぞれ投与量の25.0%及び12.0%が未変化体として尿中に排泄された。健康成人にアシクロビル400mgを単回経口投与した場合、主な尿中代謝体9‐カルボキシメトキシメチルグアニンの未変化体に対する割合は、約7.5%であった。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
腎機能障害のある患者では点滴静注時、アシクロビルの生体内半減期の延長及び全身クリアランスの低下が認められた(外国人データ)。これらの結果から、患者の腎機能に対応するアシクロビルの減量の目安を算出した。[7.2、9.2.1参照]
重症腎機能障害患者へのアシクロビル2.5mg/kg1時間点滴静注時、6時間の血液透析により血漿中濃度は約60%減少した(外国人データ)。[13.2参照]
16.6.2 小児等
小児患者にアシクロビル200mgを単回経口投与した場合、6歳以上では体内薬物動態は成人とほぼ同等であった。小児骨髄移植患者においても他の患者と同等の吸収が認められたが、クレアチニンクリアランス値が40~60mL/min/1.48m2の一部の患者では2.25μg/mL以上の血清中濃度を示した。
16.7 薬物相互作用
In vitroにおいて、アシクロビルは、OAT1、OAT2、MATE1及びMATE2‐Kの基質であった。[10.参照]
17.1 有効性及び安全性に関する試験
〈帯状疱疹〉
17.1.1 国内臨床試験
成人を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験においてアシクロビルの有用性が認められ、アシクロビル群での主な副作用は嘔吐4.6%(4/87例)及び嘔気2.3%(2/87例)であった。
18.1 作用機序
アシクロビルは単純ヘルペスウイルスあるいは水痘・帯状疱疹ウイルスが感染した細胞内に入ると、ウイルス性チミジンキナーゼにより一リン酸化された後、細胞性キナーゼによりリン酸化され、アシクロビル三リン酸(ACV‐TP)となる。ACV‐TPは正常基質であるdGTPと競合してウイルスDNAポリメラーゼによりウイルスDNAの3’末端に取り込まれると、ウイルスDNA鎖の伸長を停止させ、ウイルスDNAの複製を阻害する。
アシクロビルリン酸化の第一段階である一リン酸化は感染細胞内に存在するウイルス性チミジンキナーゼによるため、ウイルス非感染細胞に対する障害性は低いものと考えられる。
18.2 抗ウイルス作用
18.2.1 水痘・帯状疱疹ウイルスに対する作用
アシクロビルは、水痘・帯状疱疹ウイルスのin vitroにおける増殖を抑制し、IC50は0.17~7.76μg/mLであった。
- 一包可:
- 分割:
- 粉砕:
- 製造販売会社
- 日医工
- 販売会社
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