テノゼット錠300mg
添付文書情報2020年02月改定(第1版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 警告
- 本剤を含むB型肝炎に対する治療を終了した患者で、肝炎の重度急性増悪が報告されているため、B型肝炎に対する治療を終了する場合には、投与終了後少なくとも数ヵ月間は患者の臨床症状と臨床検査値の観察を十分に行うこと(経過に応じて、B型肝炎に対する再治療が必要となることもある)〔8.1、8.5参照〕。
- 禁忌
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
- 効能・効果
- B型肝炎ウイルスの増殖を伴い肝機能の異常が確認されたB型慢性肝疾患におけるB型肝炎ウイルスの増殖抑制。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 本剤投与開始に先立ち、HBV-DNA定量により、ウイルスの増殖を確認すること。
5.2. 本剤の投与開始時期、他の抗ウイルス剤に対する耐性がみられた患者への使用等については、国内外のガイドライン等を参考にすること。
- 用法・用量
- 通常、成人にはテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩として1回300mgを1日1回経口投与する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 本剤の投与期間、併用薬等については、国内外のガイドライン等を参考にすること。
7.2. 本剤の有効成分であるテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩を含む製剤と併用しないこと。またテノホビル アラフェナミドフマル酸塩を含む製剤についても併用しないこと。
7.3. 腎機能障害患者では、本剤の血中濃度が上昇するので、腎機能の低下に応じて次の投与方法を目安とする〔8.2、9.1.2、9.2腎機能障害患者の項、11.1.1、16.6.1参照〕[1)クレアチニンクリアランス50mL/min以上:300mgを1日1回、2)クレアチニンクリアランス30~49mL/min:300mgを2日に1回、3)クレアチニンクリアランス10~29mL/min:300mgを3~4日に1回、4)血液透析患者:300mgを7日に1回(血液透析実施後)又は累積約12時間の透析終了後に300mgを投与(なお、クレアチニンクリアランスが10mL/min未満で、透析を行っていない患者における薬物動態は検討されていない)]。
- 肝機能障害患者
- 8.1. 本剤によるB型慢性肝疾患の治療は、投与中のみでなく投与終了後も十分な経過観察が必要であり、経過に応じて適切な処置が必要なため、B型慢性肝疾患の治療に十分な知識と経験を持つ医師のもとで使用すること〔1.警告の項、8.5参照〕。
8.2. 本剤の投与に際しては、クレアチニンクリアランスを測定するなど、腎機能障害の有無に注意すること。また、本剤投与後も定期的な検査等により患者の状態を注意深く観察すること〔7.3、9.1.2、9.2腎機能障害患者の項、10.2、11.1.1、16.6.1参照〕。
8.3. テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤を含む抗HIV薬の多剤併用療法を長期間行った患者において、骨粗鬆症が発現し、股関節領域骨折等の骨折を起こした症例が報告されている。
長期投与時には定期的に骨密度検査を行うなど骨密度減少に注意し、異常が認められた場合には本剤の投与を中止するなど適切な処置を行うこと。なお、海外臨床試験において、本剤の96週間投与により、腰椎と大腿骨の骨密度の低下が認められている。主な骨密度の低下は、腰椎骨密度低下では投与開始後24週時にかけて、大腿骨骨密度低下では投与開始後72週時にかけて発現した。
8.4. 本剤を投与する前にHIV感染の有無を確認すること〔9.1.1参照〕。
8.5. 本剤は、投与中止により肝機能の悪化若しくは肝炎の重症化を起こすことがあるので、本内容を患者に説明し、患者が自己の判断で投与を中止しないように十分指導すること〔1.警告の項、8.1参照〕。
9.1.1. HIV/HBV重複感染患者:本剤のみの投与は避けること(薬剤耐性HIVが出現する可能性がある)〔8.4参照〕。
9.1.2. 腎機能障害のリスクを有する患者:血清リンの検査も実施すること〔7.3、8.2、9.2腎機能障害患者の項、10.2、11.1.1、16.6.1参照〕。
腎機能障害患者:高い血中濃度が持続するおそれがある〔7.3、8.2、9.1.2、10.2、11.1.1、16.6.1参照〕。
9.3.1. 非代償性肝硬変患者:非代償性肝硬変患者を対象とした有効性及び安全性を指標とした国内臨床試験は実施していない。
- 相互作用
- テノホビルは、糸球体濾過と尿細管への能動輸送により腎排泄される。テノホビル ジソプロキシルはP糖蛋白(Pgp)及び乳癌耐性蛋白(BCRP)の基質である〔16.7参照〕。
10.2. 併用注意:1). ジダノシン〔16.7.1参照〕[膵炎・乳酸アシドーシス等のジダノシンによる副作用を増強するおそれがあるので、ジダノシンの減量を考慮すること(機序不明だが、ジダノシンのAUC及びCmaxが上昇する)]。
2). アタザナビル硫酸塩〔16.7.4参照〕[アタザナビルの治療効果が減弱するおそれがあるので、本剤とアタザナビル硫酸塩を併用する場合には、本剤とアタザナビル300mgをリトナビル100mgとともに投与することが望ましく、また、本剤による副作用を増強するおそれがある(機序不明だが、アタザナビルのAUC、Cmax及びCminが低下し、テノホビルのAUC、Cmax及びCminが上昇する)]。
3). ロピナビル・リトナビル〔16.7.2参照〕[本剤による副作用を増強するおそれがある(機序不明だが、テノホビルのAUC及びCminが上昇する)]。
4). アシクロビル、バラシクロビル塩酸塩、ガンシクロビル、バルガンシクロビル塩酸塩[これらの薬剤又は本剤による副作用を増強するおそれがある(尿細管への能動輸送により排泄される薬剤と併用する場合、排泄経路の競合により、排泄が遅延し、これらの薬剤又は本剤の血中濃度が上昇するおそれがある)]。
5). レジパスビル・ソホスブビル〔16.7.3参照〕[本剤とレジパスビル・ソホスブビルとの併用により、テノホビルの血漿中濃度が上昇する(作用機序は不明であるが、本剤が基質となるPgp及びBCRPに対するレジパスビルの阻害作用が関与すると考えられる)]。
6). ベルパタスビル・ソホスブビル〔16.7.4参照〕[本剤とベルパタスビル・ソホスブビルとの併用により、テノホビルの血漿中濃度が上昇する(作用機序は不明であるが、本剤が基質となるPgp及びBCRPに対するベルパタスビルの阻害作用が関与すると考えられる)]。
7). 腎毒性を有する薬剤〔8.2、9.1.2、9.2腎機能障害患者の項、11.1.1、16.6.1参照〕[併用は避けることが望ましい(腎毒性を有する薬剤は腎機能障害の危険因子となる)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 腎不全等の重度の腎機能障害(頻度不明):腎機能不全、腎不全、急性腎障害、近位腎尿細管機能障害、ファンコニー症候群、急性腎尿細管壊死、腎性尿崩症又は腎炎等の重度腎機能障害があらわれることがあるので、定期的に検査を行う等観察を十分に行い、臨床検査値に異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと(特に腎機能障害の既往がある患者や腎毒性のある薬剤投与中の患者では注意すること)〔7.3、8.2、9.1.2、9.2腎機能障害患者の項、10.2、16.6.1参照〕。
11.1.2. 乳酸アシドーシス及び脂肪沈着による重度肝腫大(脂肪肝)(頻度不明)。
11.1.3. 膵炎(頻度不明):血中アミラーゼ上昇、リパーゼ上昇、血中トリグリセリド上昇等の検査値の上昇がみられ、膵炎と診断された場合には本剤の投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 11.2. その他の副作用
1). 消化器:(1~5%未満)悪心、腹痛、(頻度不明)下痢、嘔吐、鼓腸。
2). 腎臓:(頻度不明)蛋白尿、多尿。
3). 肝臓:(頻度不明)肝炎。
4). 過敏症:(頻度不明)アレルギー反応(血管浮腫)。
5). 代謝:(頻度不明)低カリウム血症、低リン酸血症、体脂肪再分布/体脂肪蓄積。
6). 筋骨格:(頻度不明)骨軟化症(骨痛、骨折)、ミオパチー。
7). 臨床検査:(1~5%未満)肝機能検査値異常(AST増加、ALT増加及びγ-GTP増加等)、クレアチニン増加、アミラーゼ増加、リパーゼ増加。
8). その他:(1%未満)発疹、(頻度不明)浮動性めまい、呼吸困難、無力症。
- 高齢者
- 本剤は、主として腎臓から排泄されるが、一般に高齢者では生理機能が低下しているため、高い血中濃度が持続するおそれがある。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(テノホビルはサルにおいて胎盤を通過することが認められているが、胎仔組織への蓄積は認められていない)。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(テノホビルのヒト乳汁への移行が報告されている)。
- 小児等
- 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
- 取扱い上の注意
- 開栓後は、湿気を避けて保存すること。
- その他の注意
- 15.2. 非臨床試験に基づく情報15.2.1. マウスを用いたがん原性試験(2年間)において、臨床用量における全身曝露量(日本人健康成人男性)の23倍で雌に肝細胞腺腫が高頻度に発現したとの報告がある。
15.2.2. In vitro遺伝毒性試験では、細菌を用いる復帰突然変異試験の一菌株で不確か(equivocal)、マウスリンフォーマTK試験陽性及び不定期DNA合成試験弱陽性を示したが、in vivoマウス小核試験では陰性であった。
16.1 血中濃度
健康成人男性に本剤300mgを空腹時に経口投与した場合、本剤の活性成分であるテノホビルの血清中濃度は1.2±0.5時間後に最高値に達し、Cmax及びAUCはそれぞれ212±43ng/mL及び2197±516ng・hr/mLであった。テノホビルの消失は二相性を示し、最終相の半減期は15.1±2.3時間であった。
健康成人に本剤300mgを空腹時に経口投与した場合、テノホビルの血清中濃度はそれぞれ1.0±0.4時間後に最高値に達し、Cmax及びAUCは、それぞれ296±90ng/mL及び2287±685ng・hr/mLであった(外国人データ)。
テノホビルの薬物動態は、本剤の投与量が75~600mgの範囲において用量に比例し、また、反復投与による影響を受けなかった(外国人データ)。
16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
健康成人に本剤300mgを軽食とともに経口投与した時の血清中テノホビルの全身曝露量は空腹時投与と同程度であったものの、健康成人に本剤300mgを高脂肪食(食事内容:1055kcal、脂肪54%)摂取後に単回経口投与した時の血清中テノホビルのAUC(0-t)は空腹時に比べて約40%、Cmaxは約14%上昇した(外国人データ)。
16.2.2 バイオアベイラビリティ
HIV患者に本剤300mgを空腹時に投与した時の経口バイオアベイラビリティは25%であった(外国人データ)。
16.3 分布
テノホビル1.0mg/kg及び3.0mg/kg静脈内投与後の定常状態での分布容積は、それぞれ1.3±0.6L/kg及び1.2±0.4L/kgであった(外国人データ)。テノホビルのヒト血漿及び血清蛋白結合率(in vitro)は、0.01~25μg/mLのテノホビル濃度範囲においてそれぞれ0.7%未満及び7.2%未満であった。
16.4 代謝
In vitro試験から、テノホビル ジソプロキシル及びテノホビルはいずれもチトクロームP450の基質ではないことが示されている。
16.5 排泄
テノホビルを静脈内投与した場合は、投与量の70~80%が未変化体として尿中に排泄された(外国人データ)。テノホビルは、糸球体濾過と尿細管への能動輸送により腎排泄される。また、健康成人男性に本剤300mgを空腹時に経口投与した時、投与後48時間までのテノホビルの尿中排泄率は24±4%であり、腎クリアランス(CLr)は287±64mL/minであった。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能低下者
腎機能低下者を対象に、本剤300mgを単回投与した場合、クレアチニンクリアランス(CLcr)が50mL/min未満の患者あるいは透析を必要とする末期腎不全患者において、テノホビルのCmax及びAUCが上昇した(表1)(外国人データ)。
表1 腎機能低下を有する患者に本剤300mgを単回経口投与した後の血清中テノホビルの薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
なお、血液透析による除去率は54%で、本剤300mg単回投与時には4時間の血液透析により投与量の約10%が除去された。[7.3、8.2、9.1.2、9.2、10.2、11.1.1、13.1参照]
16.7 薬物相互作用
In vitro試験において、in vivoにおいて認められる濃度よりもはるかに高濃度(約300倍)において、テノホビルはヒトチトクロームP450分子種(CYP3A4、CYP2D6、CYP2C9、CYP2E1又はCYP1A1/2)を阻害しなかったが、テノホビル ジソプロキシルはCYP1A1/2をわずかに(6%)阻害した。また、テノホビル ジソプロキシルはPgp及びBCRPの、テノホビルはOAT1、OAT3及びMRPの基質であり、テノホビル ジソプロキシルはMRP、BCRP、OAT1、OAT3、OCT2及びMATE1を、テノホビルはPgp、MRP、BCRP、OAT3、OCT2及びMATE1を介した輸送を阻害しないと考えられた。[10.参照]
16.7.1 ジダノシン
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩とジダノシンを併用投与した時、ジダノシンのAUC及びCmaxがそれぞれ60%及び64%上昇した。本剤の薬物動態に変化はみられなかった(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.2 ロピナビル・リトナビル
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩とロピナビル・リトナビルを併用投与した時、テノホビルのAUC、Cmax及びCminがそれぞれ32%、15%及び51%上昇した。ロピナビル及びリトナビルの薬物動態に変化はみられなかった(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.3 レジパスビル・ソホスブビル
TDF含有製剤として、エファビレンツ・エムトリシタビン・テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩注)とレジパスビル・ソホスブビルを併用投与した時、テノホビルのAUC及びCmaxがそれぞれ98%及び79%上昇した。エムトリシタビン・リルピビリン・テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩注)とレジパスビル・ソホスブビルを併用投与した時、テノホビルのAUC及びCmaxがそれぞれ40%及び32%上昇した。アタザナビル、リトナビル及びエムトリシタビン・テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩注)とレジパスビル・ソホスブビルを併用投与した時、テノホビルのAUC及びCmaxがそれぞれ35%及び47%上昇した。ダルナビル、リトナビル及びエムトリシタビン・テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩注)とレジパスビル・ソホスブビルを併用投与した時、テノホビルのAUC及びCmaxがそれぞれ50%及び64%上昇した。レジパスビル及びソホスブビルの薬物動態に変化はみられなかった(外国人データ)。[10.2参照]
注)TDF含有製剤として、エファビレンツ・エムトリシタビン・テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩600・200・300mgを1日1回、エムトリシタビン・リルピビリン・テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩200・25・300mgを1日1回、アタザナビル300mg、リトナビル100mg及びエムトリシタビン・テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩200・300mgをそれぞれ1日1回又はダルナビル800mg、リトナビル100mg及びエムトリシタビン・テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩200・300mgをそれぞれ1日1回、レジパスビル・ソホスブビル90・400mgと併用投与した。
16.7.4 ベルパタスビル・ソホスブビル
TDF含有製剤として、エムトリシタビン・リルピビリン・テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩注)とベルパタスビル・ソホスブビルを併用投与した時、テノホビルのAUC及びCmaxがそれぞれ40%及び44%上昇した。また、ラルテグラビル及びエムトリシタビン・テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩注)とベルパタスビル・ソホスブビルを併用投与した時、テノホビルのAUC及びCmaxがそれぞれ40%及び46%上昇した。ベルパタスビル及びソホスブビルの薬物動態に変化はみられなかった(外国人データ)。[10.2参照]
注)TDF含有製剤として、エムトリシタビン・リルピビリン・テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩200・25・300mgを1日1回、又はラルテグラビル400mgを1日2回及びエムトリシタビン・テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩200・300mgを1日1回、ベルパタスビル・ソホスブビル100・400mgと併用投与した。
16.7.5 アタザナビル
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩とアタザナビルの併用により、アタザナビルのAUC、Cmax及びCminがそれぞれ25%、21%及び40%低下し、テノホビルのAUC、Cmax及びCminがそれぞれ24%、14%及び22%上昇した(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.6 その他の薬剤
アバカビル、サキナビル+リトナビル、ネルフィナビル、ラミブジン、インジナビル、エファビレンツとの併用により、テノホビルの薬物動態に変化はみられなかった。本剤との併用により、アバカビル、ノルゲスチメート・エチニルエストラジオール、リバビリン、サキナビル+リトナビル、ネルフィナビル、ラミブジン、インジナビル、エファビレンツの薬物動態に変化はみられなかった(外国人データ)。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第III相試験(LOC115409試験)
核酸アナログ製剤未治療の代償性B型慢性肝疾患患者を対象とした第III相、多施設共同、ランダム化、実薬対照、二重盲検、並行群間比較試験並びにオープンラベル試験で、二重盲検下で本剤300mg又はエンテカビル0.5mgを1日1回、24週時まで投与し、引き続き非盲検下でそれぞれ48週時まで投与した。24週時及び48週時のウイルス学的、生化学的及び血清学的効果を表1に示す。なお、48週時までにHBs抗原の消失は認められなかったが、48週時のHBs抗原の投与前値からの平均変化量(標準偏差)は-0.208(0.4625)log10 IU/mLであった。
表1 LOC115409試験でのウイルス学的、生化学的及び血清学的効果
→図表を見る(PDF)
48週時までの副作用発現頻度は20%(22/109例)であった。主な副作用は、血中クレアチニン増加3%(3/109例)、血中クレアチンホスホキナーゼ増加、アミラーゼ増加、リパーゼ増加、傾眠及び悪心各2%(2/109例)であった。
17.1.2 海外第III相試験(GS‐US‐174‐0102試験)
主に核酸アナログ製剤未治療の代償性B型慢性肝疾患患者を対象とした第III相、多施設共同、ランダム化、二重盲検比較試験で、二重盲検下で本剤300mg又はアデホビル10mgを1日1回、48週間投与した後、非盲検下で全例に本剤300mgを192週間投与した。48週時及び240週時のウイルス学的、生化学的及び血清学的効果を表2に示す。なお、本剤に対する耐性ウイルスの出現は240週時点で認められていない。また、肝生検結果において、投与前に肝硬変(Ishak線維化スコアが5以上)であった患者の73.4%(69/94例)が240週時に肝硬変の病期ステージから回復(Ishak線維化スコアが4以下に改善)した(GS‐US‐174‐0102及び0103試験の併合データ)。
表2 GS‐US‐174‐0102試験でのウイルス学的、生化学的及び血清学的効果
→図表を見る(PDF)
48週時までの副作用発現頻度は16.8%(42/250例)であった。主な副作用は、悪心3.2%(8/250例)、頭痛2.8%(7/250例)及び疲労2.0%(5/250例)であった。
17.1.3 海外第III相試験(GS‐US‐174‐0103試験)
主に核酸アナログ製剤未治療の代償性B型慢性肝疾患患者を対象とした第III相、多施設共同、ランダム化、二重盲検比較試験で、二重盲検下で本剤300mg又はアデホビル10mgを1日1回、48週間投与した後、非盲検下で全例に本剤300mgを192週間投与した。48週時及び240週時のウイルス学的、生化学的及び血清学的効果を表3に示す。240週時までにHBs抗原の消失及びセロコンバージョンがそれぞれ23例及び18例に認められ、それらのカプラン・マイヤー推定に基づく割合は10.8%及び8.9%であった。なお、本剤に対する耐性ウイルスの出現は240週時点で認められていない。
表3 GS‐US‐174‐0103試験でのウイルス学的、生化学的及び血清学的効果
→図表を見る(PDF)
48週時までの副作用発現頻度は30.7%(54/176例)であった。主な副作用は、悪心8.5%(15/176例)及び疲労5.1%(9/176例)であった。
17.1.4 国内第III相試験(LOC115912試験)
ラミブジン+アデホビル、エンテカビル、エンテカビル+アデホビルに効果不良の代償性B型慢性肝疾患患者を対象とした第III相、多施設共同、オープンラベル試験で、前治療薬がラミブジン+アデホビルの患者にはラミブジン100mgと本剤300mgを、エンテカビル又はエンテカビル+アデホビルの患者にはエンテカビル0.5mgと本剤300mgを1日1回併用投与した。24週時及び48週時のウイルス学的、生化学的及び血清学的効果を表4に示す。
48週時までにHBs抗原の消失は認められなかったが、48週時のHBs抗原の投与前値からの平均変化量(標準偏差)は-0.313(0.3402)log10 IU/mLであった。なお、48週時におけるHBV‐DNAの投与前値からの平均変化量(標準偏差)は、前治療がラミブジン+アデホビルでは-2.88(1.357)log10 copies/mL、エンテカビルでは-4.33(2.079)log10 copies/mL、エンテカビル+アデホビルでは-2.66(0.505)log10 copies/mLであり、48週時におけるHBV‐DNA陰性化率は、前治療がラミブジン+アデホビルでは69%(9/13例)、エンテカビルでは40%(4/10例)、エンテカビル+アデホビルでは73%(8/11例)であった。
表4 LOC115912試験でのウイルス学的、生化学的及び血清学的効果
→図表を見る(PDF)
48週時までの副作用発現頻度は32%(11/34例)であった。主な副作用は、アラニンアミノトランスフェラーゼ増加9%(3/34例)及びアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加6%(2/34例)であった。
17.1.5 海外第II相試験(GS‐US‐174‐0106試験)
アデホビル投与中に持続的なウイルス増殖を認めた代償性B型慢性肝疾患患者を対象とした第II相、多施設共同、ランダム化、二重盲検比較試験で、本剤300mgを1日1回、168週間単独投与した。48週時及び168週時のウイルス学的、生化学的及び血清学的効果を表5に示す。なお、本剤に対する耐性ウイルスの出現は168週時点で認められていない。
表5 GS‐US‐174‐0106試験でのウイルス学的、生化学的及び血清学的効果
→図表を見る(PDF)
168週時までの副作用発現頻度は28.3%(15/53例)であった。主な副作用は、頭痛及び無力症各5.7%(3/53例)であった。
17.1.6 海外第III相試験(GS‐US‐174‐0121試験)
核酸アナログ製剤既治療のラミブジン耐性を有する代償性B型慢性肝疾患患者を対象とした第III相、多施設共同、ランダム化、二重盲検比較試験で、本剤300mgを1日1回、240週間単独投与した。96週時のウイルス学的、生化学的及び血清学的効果を表6に示す。なお、本剤に対する耐性ウイルスの出現は96週時点で認められていない。
表6 GS‐US‐174‐0121試験でのウイルス学的、生化学的及び血清学的効果
→図表を見る(PDF)
96週時までの副作用発現頻度は18.4%(26/141例)であった。主な副作用は、疲労3.5%(5/141例)、悪心2.8%(4/141例)及び下痢2.1%(3/141例)であった。
17.1.7 海外第II相試験(GS‐US‐174‐0108試験)
非代償性B型慢性肝疾患患者に対する本剤の臨床効果を評価した第II相、多施設共同、ランダム化、二重盲検比較試験で、112例を組み入れ、本剤300mg、エムトリシタビン200mg・本剤300mg配合剤又はエンテカビル0.5mgを1日1回、最大168週間投与した。48週時のHBV‐DNA陰性化率(169copies/mL未満)は62.8%(27/43例)、ALT正常化率は48.0%(12/25例)であった。
168週時までの副作用発現頻度は22.2%(10/45例)であった。主な副作用は、悪心及び発疹各6.7%(3/45例)であった。
18.1 作用機序
本剤は体内でジエステルの加水分解によりテノホビルに代謝され、さらに細胞内でテノホビル二リン酸に代謝される。テノホビル二リン酸は天然基質であるデオキシアデノシン5’‐三リン酸と競合的に働きHBV‐DNAポリメラーゼを阻害し、DNAに取り込まれた後は、チェーンターミネーターとしてHBV‐DNA複製を阻害する。テノホビル二リン酸のヒトDNAポリメラーゼα、β及びγに対する阻害作用は弱い(KiはHBV‐DNAポリメラーゼと比較して約29~454倍)。
18.2 抗ウイルス活性
テノホビルはin vitroでHepG2 2.2.15細胞が発現するHBVに対して、0.14~1.5μMのIC50で抗HBV活性を示した。一方、ヒト細胞に対する細胞傷害作用のCC50は100μM超であった。また、in vitroでHBV‐DNAポリメラーゼ阻害薬のエンテカビル、ラミブジン及びtelbivudine(国内未発売)、ならびにHIV‐1逆転写酵素阻害薬エムトリシタビンによる抗HBV活性に対して、相加作用を示し拮抗作用は認められなかった。
18.3 薬剤耐性
海外臨床試験(GS‐US‐174‐0102、0103、0106、0108及び0121試験)において、毎年の最終検査時(又は治療中止時)にウイルス血症(HBV‐DNA≧400copies/mL)を示した患者のHBVのテノホビル感受性を検討した結果、最長240週間、本剤に耐性を示す特異的な遺伝子変異は認められていない。
18.4 交差耐性
18.4.1 In vitro試験
ラミブジン及びtelbivudine耐性変異(rtV173L、rtL180M及びrtM204I/V)HBVに対するテノホビルのIC50は野生型の0.7~3.4倍であり、そのうち2重変異(rtL180M+rtM204I/V)HBVに対するIC50は野生型の3.4倍であった。エンテカビル耐性変異(rtL180M、rtT184G、rtS202G/I、rtM204V及びrtM250V)HBVに対するIC50は野生型の0.6~6.9倍であり、アデホビル耐性変異(rtA181V及びrtN236T)HBVでは2.9~10倍であった。また、アデホビル耐性変異(rtA181T)HBVに対するテノホビルのIC50は野生型の0.9~1.5倍であった。
18.4.2 In vivo試験(臨床試験成績)
国内臨床試験(LOC115912試験)において、投与開始時に核酸アナログ製剤に対する既知の耐性関連変異HBVを認めるB型慢性肝疾患患者29例[アデホビル耐性関連変異(rtA181T/V、rtN236T又はrtA181T/V+rtN236T):1例、ラミブジン耐性関連変異(rtM204I/V±rtL180M):5例、ラミブジン及びアデホビル耐性関連変異:1例、エンテカビル耐性関連変異(rtT184I/L/F/M、rtS202I/G又はrtM250V/L):20例、ラミブジン、アデホビル及びエンテカビル耐性関連変異:2例]が、最長48週間のラミブジン又はエンテカビルと本剤の併用投与を受けた。その結果、48週時までに持続的なHBV‐DNAの陰性化(2.1 log10 copies/mL未満)を指標とするウイルス学的効果が得られた患者は、ラミブジン耐性関連変異HBVを認める5例中4例、エンテカビル耐性関連変異HBVを認める20例中12例、ならびにラミブジン、アデホビル及びエンテカビル耐性関連変異HBVを認める2例中2例であった。なお、アデホビル耐性関連変異HBVを認める1例、ラミブジン及びアデホビル耐性関連変異HBVを認める1例では、48週時までにHBV‐DNAの陰性化は認められなかった。
海外臨床試験(GS‐US‐174‐0102、0103、0106、0108及び0121試験)では、投与開始時に既知の耐性関連変異HBVを認めるB型慢性肝疾患患者152例[アデホビル耐性関連変異(rtA181S/T/V、rtN236T又はrtA181S/T/V+rtN236T):14例、ラミブジン耐性関連変異(rtM204I/V):135例、アデホビル及びラミブジン耐性関連変異:3例]が本剤の投与を受けた。最長240週間の本剤の治療において、アデホビル耐性関連変異HBVを認める14例中11例、ラミブジン耐性関連変異HBVを認める135例中124例、ならびにアデホビル及びラミブジン耐性関連変異HBVを認める3例中2例で、持続的なHBV‐DNAの陰性化(400copies/mL未満)を指標とするウイルス学的効果が得られた。なお、アデホビル耐性関連変異であるrtA181S/T/V及びrtN236Tの両変異HBVを認める5例中3例では、HBV‐DNAの陰性化は認められなかった。
- 一包可:不明
バラ包装
- 分割:可能
- 粉砕:可能
- 製造販売会社
- GSK
- 販売会社
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