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プレジコビックス配合錠

販売名
プレジコビックス配合錠
識別コード
TG 800
薬価
1錠 2038.90円
製造メーカー
ヤンセンファーマ

添付文書情報2023年08月改定(第4版)

商品情報

薬効分類名
抗ウイルス剤
一般名
ダルナビル エタノール付加物・コビシスタット錠
規制区分
  • 特生
  • 特承
  • 覚原
禁忌
2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.2. リファンピシン投与中、フェノバルビタール投与中、フェニトイン投与中、ホスフェニトイン投与中、カルバマゼピン投与中、セイヨウオトギリソウ<セント・ジョーンズ・ワート>含有食品摂取中(St.John’s Wort)、トリアゾラム投与中、ミダゾラム投与中、ピモジド投与中、シンバスタチン投与中、エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン投与中、ジヒドロエルゴタミン投与中、エルゴメトリン投与中、メチルエルゴメトリン投与中、バルデナフィル投与中、シルデナフィル<レバチオ>投与中、タダラフィル<アドシルカ>投与中、ブロナンセリン投与中、アゼルニジピン投与中、アゼルニジピン・オルメサルタン メドキソミル投与中、ルラシドン投与中、ロミタピド投与中、フィネレノン投与中、イバブラジン投与中、ベネトクラクス<再発又は難治性の慢性リンパ性白血病の用量漸増期>投与中(ベネトクラクス<再発又は難治性の小リンパ球性リンパ腫の用量漸増期>投与中を含む)、イサブコナゾニウム硫酸塩投与中、グラゾプレビル投与中、リバーロキサバン投与中、チカグレロル投与中の患者〔10.1参照〕。
2.3. 腎機能障害あるいは肝機能障害患者で、コルヒチンを投与中の患者〔9.2.1、9.3.1、10.2参照〕。
2.4. 低出生体重児、新生児、乳児、3歳未満の幼児〔9.7.1、15.2.2参照〕。
効能・効果
HIV感染症。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 次のいずれかのHIV感染患者に使用すること。
・ 抗HIV薬の治療経験がない患者に使用すること。
・ ダルナビル耐性関連変異を持たない抗HIV薬既治療患者に使用すること。
5.2. 本剤による治療にあたっては、患者の治療歴及び可能な場合には薬剤耐性検査(遺伝子型解析あるいは表現型解析)を参考にすること。
5.3. 小児HIV感染症に対しては、本剤投与による有効性及び安全性が確立していない〔9.7.2参照〕。
用法・用量
通常、成人には1回1錠(ダルナビルとして800mg、コビシスタットとして150mgを含有)を1日1回食事中又は食直後に経口投与する。投与に際しては、必ず他の抗HIV薬と併用すること。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 抗HIV薬による治療経験があり、ウイルス学的抑制が得られていない患者には薬剤耐性遺伝子型検査の実施が推奨されるが、薬剤耐性遺伝子型検査が行えない場合には、次のとおりとする。
・ HIVプロテアーゼ阻害剤の治療経験がありウイルス学的抑制が得られていない患者で薬剤耐性遺伝子型検査が行えない場合には、本剤を使用すべきでない。
・ HIVプロテアーゼ阻害剤の治療経験がなくウイルス学的抑制が得られていない患者で薬剤耐性遺伝子型検査が行えない場合には本剤の使用が可能である。
7.2. 本剤は、ダルナビル エタノール付加物及びコビシスタットを含有する配合剤であるので、ダルナビル エタノール付加物を含有する製剤及びコビシスタットを含有する製剤と併用しないこと。また、コビシスタットと同じ薬物動態学的増強因子であるリトナビルを含有する製剤とも併用しないこと。
7.3. 本剤と他の抗HIV薬との併用療法において、因果関係が特定できない重篤な副作用が発現し、治療の継続が困難であると判断された場合には、本剤若しくは併用している他の抗HIV薬の一部を減量又は休薬するのではなく、原則として本剤及び併用している他の抗HIV薬の投与をすべて一旦中止すること。
肝機能障害患者
8.1. 本剤の使用に際しては、国内外のガイドライン等の最新の情報を参考に、患者又は患者に代わる適切な者に、次の事項についてよく説明し同意を得た後、使用すること。
8.1.1. 本剤はHIV感染症の根治療法薬ではないことから、日和見感染を含むHIV感染症の進展に伴う疾病を発症し続ける可能性があるので、本剤投与開始後の身体状況の変化については、すべて担当医に報告すること。
8.1.2. 本剤の長期投与による影響については、現在のところ不明であること。
8.1.3. 本剤投与開始後、担当医の指示なしに用量を変更したり、服用を中止したりしないこと。
8.1.4. 本剤は併用薬剤と相互作用を起こすことがあるため、服用中のすべての薬剤を担当医に報告すること。また、本剤で治療中に新たに他の薬剤を服用する場合、事前に担当医に相談すること。
8.2. 本剤による治療は、抗HIV療法に十分な経験を持つ医師のもとで開始すること。
8.3. 本剤に含まれるコビシスタットは、尿細管からのクレアチニン分泌を阻害することによりクレアチニンクリアランスを低下させる場合があるので、本剤の投与開始時及び投与中はクレアチニンクリアランスを測定するなど、腎機能のモニタリングを行うこと。
8.4. HIVプロテアーゼ阻害剤による治療中の患者で、糖尿病の発症又は糖尿病増悪、高血糖が発現し、その中には糖尿病性ケトアシドーシスを合併した例が報告されている。
8.5. ダルナビルの海外臨床試験において、発疹は因果関係の不明なものも含め10.3%の患者に認められ、投与中止を要する発疹は0.5%、発熱を伴う重度発疹及び肝酵素値上昇を伴う重度発疹は0.4%、皮膚粘膜眼症候群は0.1%未満に認められた。
また、発疹の多くは軽度から中等度であり、ダルナビルの投与開始4週以内に発現したが投与継続中に寛解した。なお、治療経験のある患者を対象としたダルナビルの海外臨床試験において、ダルナビル及びラルテグラビルを含むレジメンを使用した場合、ダルナビル又はラルテグラビルの一方を含むレジメンと比較して、薬剤との因果関係が明らかでない皮疹も含めた発疹の発現率が高かった。しかし、薬剤に関連した発疹の発現率には差がなく、発疹は軽度から中等度で治療制限及び投与中止はなかった。
8.6. 本剤を含む抗HIV薬の多剤併用療法を行った患者で、免疫再構築症候群が報告されている(投与開始後、免疫機能が回復し、症候性のみならず無症候性日和見感染に対する炎症反応(マイコバクテリウムアビウムコンプレックス、サイトメガロウイルス、ニューモシスチス等によるもの)等が発現することがあり、また、免疫機能の回復に伴い自己免疫疾患(甲状腺機能亢進症、多発性筋炎、ギラン・バレー症候群、ブドウ膜炎等)が発現するとの報告があるので、これらの症状を評価し、必要時には適切な治療を考慮すること)。
8.7. ダルナビルによる治療中に浮動性めまいが報告されているので、自動車の運転等危険を伴う機械の操作には注意すること。
8.8. 肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、定期的な肝機能検査を行うなど、観察を十分に行うこと〔11.1.2参照〕。
9.1.1. 血友病患者及び著しい出血傾向を有する患者:HIVプロテアーゼ阻害剤で治療中の血友病患者において、皮膚血腫及び出血性関節症等の出血事象増加が報告されている。
9.1.2. スルホンアミド系薬剤に過敏症の既往歴のある患者:交叉過敏症があらわれる可能性がある(ダルナビルはスルホンアミド基を有する)。
9.2.1. 腎機能障害患者で、コルヒチンを投与中の患者:投与しないこと(コルヒチンの血中濃度を上昇させる可能性がある)〔2.3、10.2参照〕。
9.3.1. 肝機能障害患者で、コルヒチンを投与中の患者:投与しないこと(コルヒチンの血中濃度を上昇させる可能性がある)〔2.3、10.2参照〕。
9.3.2. 肝機能障害患者(コルヒチンを投与中の患者を除く):定期的に肝機能検査を行うなど患者の状態を十分に観察し、肝機能悪化が認められた場合には休薬又は投与中止を考慮すること(ダルナビル及びコビシスタットは主に肝臓で代謝され、肝障害患者では高い血中濃度が持続するおそれがある)〔16.6.1参照〕。
9.3.3. 慢性活動性B型及び/又はC型肝炎患者等投与前に肝機能異常が認められる患者(コルヒチンを投与中の患者を除く):定期的に肝機能検査を行うなど患者の状態を十分に観察し、肝機能悪化が認められた場合には休薬又は投与中止を考慮すること(ダルナビル及びコビシスタットは主に肝臓で代謝され、肝障害患者では高い血中濃度が持続するおそれがあり、また、肝機能をさらに悪化させる可能性がある(ダルナビルの海外第2b/3相試験において、B型及び/又はC型肝炎重複感染患者では、有害事象及び臨床検査値異常のうち、肝酵素の上昇の発現頻度が非重複感染患者より高かった))。
相互作用
ダルナビル:CYP3Aで代謝され、CYP3A及びCYP2D6を阻害し、またP糖蛋白を阻害する。
コビシスタット:CYP3A及びCYP2D6で代謝され、CYP3A及びCYP2D6を阻害し、またP糖蛋白、BCRP、OATP1B1及びOATP1B3を阻害する〔16.7.1参照〕。
10.1. 併用禁忌:1). リファンピシン<リファジン>、フェノバルビタール<フェノバール等>、フェニトイン<アレビアチン等>、ホスフェニトイン<ホストイン>、カルバマゼピン<テグレトール>〔2.2、16.7.2参照〕、セイヨウオトギリソウ<セント・ジョーンズ・ワート>含有食品(St.John’s Wort)〔2.2参照〕[ダルナビル及びコビシスタットの血中濃度が低下し本剤の効果が減弱するおそれがある(これらの薬剤のCYP3A誘導作用により、ダルナビル及びコビシスタットの代謝が促進される)]。
2). トリアゾラム<ハルシオン>、ミダゾラム<ドルミカム、ミダフレッサ、ブコラム>〔2.2参照〕[これらの薬剤の血中濃度上昇により、過度の鎮静や呼吸抑制等の重篤な又は生命に危険を及ぼすような事象が起こる可能性がある(ダルナビル及びコビシスタットのCYP3A阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
3). ピモジド<オーラップ>〔2.2参照〕[ピモジドの血中濃度上昇により、不整脈等の重篤な又は生命に危険を及ぼすような事象が起こる可能性がある(ダルナビル及びコビシスタットのCYP3A阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
4). シンバスタチン<リポバス>〔2.2参照〕[シンバスタチンの血中濃度上昇により横紋筋融解症が起こる可能性がある(ダルナビル及びコビシスタットのCYP3A阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
5). エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン<クリアミン>、ジヒドロエルゴタミン<ジヒデルゴット>、エルゴメトリン、メチルエルゴメトリン<パルタンM>〔2.2参照〕[これらの薬剤の血中濃度上昇により、末梢血管痙縮・虚血等の重篤な又は生命に危険を及ぼすような事象が起こる可能性がある(ダルナビル及びコビシスタットのCYP3A阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
6). バルデナフィル<レビトラ>、シルデナフィル<レバチオ>、タダラフィル<アドシルカ>〔2.2参照〕[これらの薬剤の血中濃度を上昇させるおそれがある(ダルナビル及びコビシスタットのCYP3A阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
7). ブロナンセリン<ロナセン>〔2.2参照〕[ブロナンセリンの血中濃度が上昇し作用が増強するおそれがある(ダルナビル及びコビシスタットのCYP3A阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
8). アゼルニジピン<カルブロック>、アゼルニジピン・オルメサルタン メドキソミル<レザルタス配合錠>〔2.2参照〕[アゼルニジピンの血中濃度が上昇し作用が増強するおそれがある(ダルナビル及びコビシスタットのCYP3A阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
9). ルラシドン<ラツーダ>〔2.2参照〕[ルラシドンの血中濃度が上昇し作用が増強するおそれがある(ダルナビル及びコビシスタットのCYP3A阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
10). ロミタピド<ジャクスタピッド>〔2.2参照〕[ロミタピドの血中濃度が著しく上昇するおそれがある(ダルナビル及びコビシスタットのCYP3A阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
11). フィネレノン<ケレンディア>〔2.2参照〕[フィネレノンの血中濃度が著しく上昇するおそれがある(ダルナビル及びコビシスタットのCYP3A阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
12). イバブラジン<コララン>〔2.2参照〕[イバブラジンの血中濃度が上昇し過度の徐脈があらわれることがある(コビシスタットのCYP3A阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
13). ベネトクラクス(再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の用量漸増期)<ベネクレクスタ>〔2.2参照〕[ベネトクラクスの血中濃度が上昇し腫瘍崩壊症候群の発現が増強する可能性がある(コビシスタットのCYP3A阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
14). イサブコナゾニウム硫酸塩<クレセンバ>〔2.2参照〕[イサブコナゾールの血中濃度が上昇し作用が増強するおそれがある(コビシスタットのCYP3A阻害作用
により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
15). グラゾプレビル<グラジナ>〔2.2参照〕[グラゾプレビルの血中濃度が上昇する可能性がある(ダルナビル及びコビシスタットのCYP3A及びOATP1B阻害作用により、グラゾプレビルの血中濃度が上昇することがある)]。
16). リバーロキサバン<イグザレルト>、チカグレロル<ブリリンタ>〔2.2参照〕[これらの薬剤の血中濃度が上昇し作用が増強されることにより出血の危険性が増大するおそれがある(ダルナビル及びコビシスタットのCYP3A阻害作用又はP糖蛋白阻害作用により、これらの薬剤の血中濃度が上昇することがある)]。
10.2. 併用注意:1). デキサメタゾン<全身投与>[ダルナビル及びコビシスタットの血中濃度が低下し本剤の効果が減弱するおそれがあるので、併用する場合には注意して投与すること(デキサメタゾンのCYP3A誘導作用により、ダルナビル及びコビシスタットの代謝が促進される)]。
2). アトルバスタチン〔16.7.2参照〕[アトルバスタチンの血中濃度上昇により横紋筋融解症が起こる可能性があるので、併用する場合には必要に応じてアトルバスタチンの投与量を減量するなど注意して投与すること(ダルナビル及びコビシスタットのCYP3A阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
3). サルメテロール[サルメテロールの血中濃度上昇でQT延長・動悸・洞性頻脈などの心血管系事象の発現リスク増大する可能性があるので、併用する場合には必要に応じてサルメテロールの投与量を減量するなど注意して投与すること(ダルナビル及びコビシスタットのCYP3A阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
4). シルデナフィル<バイアグラ>、タダラフィル<シアリス・ザルティア>〔16.7.2参照〕、クロラゼプ酸、ジアゼパム、エスタゾラム、フルラゼパム、ゾルピデム、アミオダロン、ベプリジル、ジソピラミド、リドカイン<全身投与>、キニジン、シクロスポリン、タクロリムス、シロリムス、テムシロリムス、クロナゼパム、エトスクシミド、Ca拮抗剤<アゼルニジピンは併用禁忌>(フェロジピン、ニフェジピン、ニカルジピン、アムロジピン、ジルチアゼム、ベラパミル等)、フルチカゾン、ブデソニド、プレドニゾロン、ダサチニブ、エベロリムス、ニロチニブ、ラパチニブ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ボセンタン、アピキサバン、エプレレノン、トルバプタン、エレトリプタン[これらの薬剤の血中濃度を上昇させる可能性があるので、併用する場合には必要に応じて併用薬剤の投与量を減量するなど注意して投与すること(ダルナビル及びコビシスタットのCYP3A阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
5). ダビガトランエテキシラート〔16.7.2参照〕[これらの薬剤の血中濃度を上昇させる可能性があるので、併用する場合には必要に応じて併用薬剤の投与量を減量するなど注意して投与すること(ダルナビル及びコビシスタットのP糖蛋白阻害作用による)]。
6). アミトリプチリン、イミプラミン、パロキセチン、ノルトリプチリン、セルトラリン、トラゾドン〔16.7.2参照〕、リスペリドン、ペルフェナジン、クエチアピン、フェンタニル、オキシコドン、トラマドール、プロパフェノン、トルテロジン、デキストロメトルファン[これらの薬剤の血中濃度を上昇させる可能性があるので、併用する場合には必要に応じて併用薬剤の投与量を減量するなど注意して投与すること(ダルナビル及びコビシスタットのCYP3A又はCYP2D6阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
7). ベネトクラクス(再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の維持投与期、急性骨髄性白血病)[ベネトクラクスの血中濃度が上昇し副作用
が増強するおそれがあるので、ベネトクラクスを減量するとともに患者の状態を慎重に観察すること(コビシスタットのCYP3A阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
8). カルベジロール、メトプロロール、チモロール、フレカイニド、メキシレチン[これらの薬剤の血中濃度を上昇させる可能性があるので、併用する場合には必要に応じて併用薬剤の投与量を減量するなど注意して投与すること(コビシスタットのCYP2D6阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
9). ロスバスタチン、プラバスタチン、ピタバスタチン〔16.7.2参照〕[これらの薬剤の血中濃度上昇により横紋筋融解症が起こる可能性があるので、併用する場合には必要に応じて併用薬剤の投与量を減量するなど注意して投与すること(機序不明)]。
10). ジゴキシン〔16.7.2参照〕[ジゴキシンの血中濃度を上昇させる可能性があるので、併用する場合には必要に応じてジゴキシンの投与量を減量するなど注意して投与すること(ダルナビル及びコビシスタットのP糖蛋白阻害作用による)]。
11). コルヒチン〔2.3、9.2.1、9.3.1参照〕[コルヒチンの血中濃度を上昇させる可能性があるので、併用する場合には必要に応じてコルヒチンの投与量を減量するなど注意して投与すること(ダルナビル及びコビシスタットのCYP3A阻害作用
又はP糖蛋白阻害作用による)]。
12). グレカプレビル・ピブレンタスビル[グレカプレビルの血中濃度を上昇させる可能性があるので、併用する場合には必要に応じてグレカプレビル・ピブレンタスビルの投与量を減量するなど注意して投与すること(ダルナビル及びコビシスタットのP糖蛋白、BCRP又はOATP1B阻害作用による)]。
13). ドロスピレノン[ドロスピレノンの血中濃度を上昇させる可能性があるので、併用する場合には必要に応じてドロスピレノンの投与量を減量するなど注意して投与すること(機序不明)]。
14). 経口避妊剤(エチニルエストラジオール、ノルエチステロン等)〔16.7.2参照〕[これらの薬剤の血中濃度を低下させる可能性があるので、本剤を投与する場合は、別の避妊方法を行うことが望ましい(機序不明)]。
15). メサドン〔16.7.2参照〕[メサドンの血中濃度を低下させる可能性があるので、併用する場合には注意して投与すること(機序不明)]。
16). リファブチン〔16.7.2参照〕[ダルナビル及びコビシスタットの血中濃度が低下し本剤の効果が減弱するおそれがあり、また、リファブチンの血中濃度を上昇させる可能性があるので、併用する場合には必要に応じて本剤又はリファブチンの投与量を調節するなど注意して投与すること(リファブチンのCYP3A誘導作用により、ダルナビル及びコビシスタットの代謝が促進され、また、ダルナビル及びコビシスタットのCYP3A阻害作用により、リファブチンの代謝が阻害される)]。
17). クラリスロマイシン、エリスロマイシン〔16.7.2参照〕、イトラコナゾール、ケトコナゾール(国内では外用剤のみ発売)、ボリコナゾール、フルコナゾール〔16.7.2参照〕[ダルナビル・コビシスタット又はこれらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性があるので、併用する場合には必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど注意して投与すること(ダルナビル及びコビシスタットとこれらの薬剤のCYP3A阻害作用により、相互に代謝が阻害される)]。
18). ワルファリン〔16.7.2参照〕[ワルファリンの血中濃度に影響を与えることがあるので、併用する場合には必要に応じて本剤又はワルファリンの投与量を調節するなど注意して投与すること(ダルナビル及びコビシスタットの薬物代謝酵素阻害作用により、血中濃度に変化がおこることがある)]。
19). ヌクレオシド/ヌクレオチド系逆転写酵素阻害剤(NRTI/NtRTI):テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩〔16.7.2参照〕[テノホビルの血中濃度を上昇させる可能性があるが、用量を調節する必要はない、また、本剤と併用する場合には、定期的にクレアチニンクリアランスを測定するなど観察を十分に行い、腎機能のモニタリングを行うこと(ダルナビル及びコビシスタットのP糖蛋白阻害作用による)]。
20). 非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NNRTI):①. エトラビリン、エファビレンツ、ネビラピン〔16.7.2参照〕[ダルナビル及び/又はコビシスタットの血中濃度が低下する可能性があるので、本剤とこれらの薬剤との併用は避けることが望ましい(これらの薬剤のCYP3A誘導作用により、ダルナビル及びコビシスタットの代謝が促進される)]。
②. リルピビリン〔16.7.2参照〕[リルピビリンの血中濃度を上昇させる可能性があるが、本剤とリルピビリンを併用する場合には、用量を調節する必要はない(ダルナビル及びコビシスタットのCYP3A阻害作用により、リルピビリンの代謝が阻害される)]。
21). インテグラーゼ阻害剤:ラルテグラビル〔16.7.2参照〕[ダルナビルの血中濃度を減少させる可能性があるが、本剤とラルテグラビルを併用する場合には、用量を調節する必要はない(機序不明)]。
22). その他のHIV薬:マラビロク〔16.7.2参照〕[マラビロクの血中濃度を上昇させる可能性がある(ダルナビル及びコビシスタットのCYP3A阻害作用により、マラビロクの代謝が阻害される)]。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑、急性汎発性発疹性膿疱症(頻度不明):重度発疹があらわれた場合は、本剤の投与を直ちに中止し適切な処置を行うこと。
11.1.2. 肝機能障害、黄疸(頻度不明):AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある〔8.8参照〕。
11.1.3. 急性膵炎(0.3%)。
11.2. その他の副作用
1). 免疫系障害:(5%未満)過敏症、免疫再構築症候群。
2). 代謝及び栄養障害:(5%未満)高トリグリセリド血症、食欲減退、高コレステロール血症、糖尿病、高脂血症。
3). 精神障害:(5%未満)異常な夢。
4). 神経系障害:(5%以上)頭痛。
5). 胃腸障害:(5%以上)下痢、悪心、嘔吐、腹痛、鼓腸、(5%未満)腹部膨満、消化不良、膵酵素増加。
6). 肝胆道系障害:(5%未満)肝酵素増加、(頻度不明)急性肝炎。
7). 皮膚及び皮下組織障害:(5%以上)発疹、(5%未満)皮膚そう痒症、血管浮腫、蕁麻疹、(頻度不明)体脂肪再分布/体脂肪蓄積。
8). 筋骨格系及び結合組織障害:(5%未満)筋肉痛、(頻度不明)骨壊死。
9). 生殖系及び乳房障害:(頻度不明)女性化乳房。
10). 全身障害及び投与局所様態:(5%以上)疲労、(5%未満)無力症。
11). 臨床検査:(5%以上)膵型アミラーゼ増加、リパーゼ増加、血中クレアチニン増加、総コレステロール増加、血中ブドウ糖増加、LDLコレステロール増加、ALT増加、AST増加、(5%未満)トリグリセリド増加、ALP増加。
高齢者
副作用の発現に注意し慎重に投与すること(本剤の有効成分であるダルナビル及びコビシスタットは、主として肝臓で代謝されるが、高齢者では肝機能が低下していることが多く、高い血中濃度が持続するおそれがある)。
授乳婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、投与しないことが望ましい。本剤投与中に妊娠が判明した場合の代替薬への変更は、変更によるリスクを考慮した上で適切な時期に実施すること。妊娠中期及び妊娠後期の妊婦に本剤を投与したとき、出産後と比較しダルナビル血中濃度低下及びコビシスタット血中濃度低下が認められている〔16.6.3参照〕。
授乳を避けさせること(ダルナビル及びコビシスタットは、動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されているが、ヒトにおける乳汁への移行は不明である)。
小児等
9.7.1. 低出生体重児、新生児、乳児、3歳未満の幼児には投与しないこと〔2.4、15.2.2参照〕。
9.7.2. 3歳以上の幼児、小児における臨床試験は実施していない〔5.3参照〕。
取扱い上の注意
小児の手の届かない所に保管すること。
その他の注意
15.1. 臨床使用に基づく情報15.1.1. 健康被験者あるいは軽度から中等度の腎機能障害を有する被験者の腎機能(GFR)に及ぼすコビシスタットの影響を検討した。イオヘキソールクリアランスは変化がなかったが、血清クレアチニン値を用いた推算クレアチニンクリアランス及び24時間内因性クレアチニンクリアランスはプラセボに比べ最大で約28%低下した。なお、健康被験者で腎血漿流量を測定したところ、変化はなかった。
15.2. 非臨床試験に基づく情報15.2.1. ダルナビルの動物実験(ラット)では、造血系に影響、血液凝固系に影響、肝に影響、腎に影響、膵臓に影響及び甲状腺に影響が認められ、活性化部分トロンボプラスチン時間延長とともに、わずかな赤血球パラメータ減少がみられた。
15.2.2. 生後23から26日(ヒトの3歳未満に相当)まで、幼若ラットにダルナビルを20mg/kgから1000mg/kgの用量で投与した結果、死亡例が認められた〔2.4、9.7.1参照〕。
15.2.3. マウス及びラットを用いたダルナビルのがん原性試験の結果、雌雄に用
量依存的な肝細胞腺腫及び肝細胞癌の発現率の増加、ダルナビルで雄ラットに甲状腺濾胞細胞腺腫が認められた。

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人8例に本剤を食後に単回経口投与したときの血漿中ダルナビル及びコビシスタットの薬物動態パラメータを表1に示す。また、血漿中ダルナビルの濃度推移を添付文書の図1に示す。
表1 日本人健康成人に本剤を食後に単回経口投与したときの血漿中ダルナビル及びコビシスタットの薬物動態パラメータ
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図1 日本人健康成人に本剤を食後に単回経口投与したときの血漿中ダルナビル濃度-時間推移(平均値±標準偏差)

健康成人40例に本剤を食後に単回経口投与したときの血漿中ダルナビル及びコビシスタットの薬物動態パラメータを表2に示す。また、ダルナビルの濃度推移を添付文書の図2に示す。(外国人データ)
表2 外国人健康成人に本剤を食後に単回経口投与したときの血漿中ダルナビル及びコビシスタットの薬物動態パラメータ
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図2 外国人健康成人に本剤を食後に単回経口投与したときの血漿中ダルナビル濃度-時間推移(平均値±標準偏差)

16.1.2 反復投与
健康成人に本剤を1日1回食後に反復経口投与したときの血漿中ダルナビル及びコビシスタットの薬物動態パラメータ(10日目)を表3に示す。(外国人データ)
表3 外国人健康成人に本剤を1日1回食後に反復経口投与したときの血漿中ダルナビル及びコビシスタットの薬物動態パラメータ(10日目)
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抗HIV薬治療経験がない成人HIV感染患者又はダルナビル耐性関連変異を持たない抗HIV薬既治療のHIV感染患者60例(未治療57例、既治療3例)を対象とし、2剤のNRTIを併用してダルナビル800mg及びコビシスタット150mgの1日1回食後に投与(DRV・COBI 800・150mg QD)したときの血漿中ダルナビル及びコビシスタットの薬物動態パラメータを表4に示す。(外国人データ)
表4 HIV感染患者に2剤のNRTIを併用してダルナビル800mg及びコビシスタット150mgを1日1回食後に反復投与したときの血漿中ダルナビル及びコビシスタットの定常状態における薬物動態パラメータ
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16.2 吸収
16.2.1 相対的バイオアベイラビリティ
健康成人33例に本剤又はダルナビル製剤800mgとリトナビル製剤100mgを1日1回食後に反復経口投与したときのダルナビルの相対的バイオアベイラビリティを検討した。ダルナビル及びリトナビル併用投与に対する本剤投与の定常状態におけるダルナビルの薬物動態パラメータの最小二乗平均の比[90%信頼区間]は、AUC24h0.99[0.94、1.04]、Cmax1.00[0.96、1.04]、Cmin0.74[0.63、0.86]であった。(外国人データ)
16.2.2 食事の影響
本剤を高脂肪食の食事と共に投与した結果、ダルナビルの曝露量(AUC∞)は、空腹時投与と比較して1.7倍増加し、コビシスタットの曝露量(AUC∞)は、空腹時投与と同程度であった。なお、ダルナビルの曝露量(AUC∞)には食事の内容による影響は認められなかった。(外国人データ)
16.3 分布
16.3.1 ダルナビル
ヒト血漿蛋白結合率は約95%であり、主にα1‐酸性糖蛋白に結合した。(in vitro試験、平衡透析法)
16.3.2 コビシスタット
ヒト血漿蛋白結合率は、97~98%であった。(ex vivo試験、平衡透析法)
16.4 代謝
16.4.1 ダルナビル
ヒト肝ミクロソームを用いたin vitro試験で、ダルナビルは主にCYP3A4により酸化的に代謝されることが示唆された。In vivo試験よりダルナビルの主な代謝物は3種類あり、野生型HIV株に対する活性はいずれも未変化体の10%以下であった。健康成人に14C標識したダルナビル/リトナビル400/100mgを単回経口投与したとき、血漿中放射能の大部分は未変化体由来であることが示された。
16.4.2 コビシスタット
ヒト肝ミクロソーム及びCYPアイソザイムを用いたin vitro試験で、コビシスタットは主にCYP3Aにより酸化的に代謝され、一部CYP2D6で代謝されることが示唆された。また、グルクロン酸抱合体は検出されなかった。
16.5 排泄
16.5.1 ダルナビル
健康成人に14C標識したダルナビル/リトナビル400/100mgを単回経口投与したとき、投与放射能の約79.5%が糞中に、約13.9%が尿中に排泄された。また、未変化体の排泄率は、糞中が約41.2%、尿中が約7.7%であった。ダルナビル150mgを単独で静脈内投与したときの全身クリアランスは32.8L/h(平均値)であり、リトナビル100mgと併用したときの全身クリアランスは5.9L/h(平均値)であった。本剤を投与したときのダルナビルの消失半減期は、約6~7時間(中央値)であった。(外国人データ)
16.5.2 コビシスタット
コビシスタット150mgを6日間反復投与した後に14C‐コビシスタット150mgを経口投与したところ、投与量の86.2%(平均値)が糞中に、8.2%(平均値)が尿中に排泄された。経口投与後のコビシスタットの消失半減期は、約3~4時間(中央値)であった。(外国人データ)
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 肝機能障害
(1)ダルナビル
軽度(Child‐Pugh分類クラスA、8例)及び中等度肝障害患者(Child‐Pugh分類クラスB、8例)にダルナビル/リトナビル600/100mgを1日2回反復投与したときのダルナビルの薬物動態を健康被験者と比較したとき、顕著な差は認められなかった。なお、重度肝障害患者(Child‐Pugh分類クラスC)を対象とした試験は実施していない。(外国人データ)[9.3.2参照]
(2)コビシスタット
中等度の肝機能障害(Child‐Pugh分類クラスB)を有する被験者において、コビシスタット投与時の薬物動態を健康被験者と比較したとき、顕著な差は認められなかった。なお、重度肝障害患者(Child‐Pugh分類クラスC)を対象とした試験は実施していない。(外国人データ)[9.3.2参照]
16.6.2 腎機能障害
(1)ダルナビル
中等度腎障害(CLCRが30~60mL/min)を有するHIV‐1感染患者(20例)において、腎機能の低下によりダルナビルの薬物動態に有意な影響がないことが示された。重度腎障害又は末期腎疾患を有するHIV‐1感染患者における試験は実施されていないが、ダルナビルは主に肝臓で代謝されることから、腎障害患者でダルナビルの全身クリアランスは低下しないと推測される。(外国人データ)
(2)コビシスタット
重度腎障害(CLCRが30mL/min未満)を有する被験者において、コビシスタットの薬物動態を検討した。コビシスタットの薬物動態を健康被験者と比較したとき、顕著な差は認められなかった。(外国人データ)
16.6.3 妊婦、産婦への投与
妊娠中期のHIV感染患者(7例)に、本剤を1日1回投与したとき、ダルナビルのCmax、AUC24h及びCminは、出産後(6~12週;6例)と比較してそれぞれ49%、56%及び92%減少した。妊娠後期(6例)では、ダルナビルのCmax、AUC24h及びCminはそれぞれ37%、50%及び89%減少した。(外国人データ)[9.5参照]
16.7 薬物相互作用
16.7.1 In vitro試験成績
(1)ダルナビル
CYP3Aで代謝され、CYP3A(Ki:0.4μmol/L)及びCYP2D6(Ki:41μmol/L)を阻害し、またP糖蛋白(IC50:32.9μmol/L)を阻害する。[10.参照]
(2)コビシスタット
CYP3A及びCYP2D6で代謝され、CYP3A(IC50:0.03~0.29μmol/L)及びCYP2D6(IC50:9.17μmol/L)を阻害し、またP糖蛋白、BCRP(IC50:59μmol/L)、OATP1B1(IC50:3.50μmol/L)、OATP1B3(IC50:1.88μmol/L)及びMATE1(IC50:1.87μmol/L)を阻害する。[10.参照]
16.7.2 臨床成績
本剤又は本剤の有効成分を含有する製剤を用いた試験成績を示す。
(1)本剤
本剤が併用薬の薬物動態に及ぼす影響について表5に示す。[10.2参照]
表5 本剤投与時の併用薬の薬物動態パラメータ比
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(2)ダルナビル
併用薬がダルナビルの薬物動態に及ぼす影響及びダルナビルが併用薬の薬物動態に及ぼす影響について表6、7に示す。[10.1、10.2参照]
表6 併用薬投与時のダルナビルの薬物動態パラメータ比
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表7 ダルナビル投与時の併用薬の薬物動態パラメータ比
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(3)コビシスタット
併用薬がコビシスタットの薬物動態に及ぼす影響及びコビシスタットが併用薬の薬物動態に及ぼす影響について表8、9に示す。[10.2参照]
表8 併用薬投与時のコビシスタットの薬物動態パラメータ比注1)
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表9 コビシスタット投与時の併用薬の薬物動態パラメータ比注1)
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17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 海外第IIIb相臨床試験(GS‐US‐216‐0130試験)
抗HIV薬治療経験がない成人HIV感染患者又はダルナビル耐性関連変異を持たない抗HIV薬既治療のHIV感染患者313例(未治療295例、既治療18例)を対象とし、2剤のNRTIを併用してダルナビル800mg及びコビシスタット150mgの1日1回投与(DRV/COBI 800/150mg QD)の安全性、忍容性及び有効性を評価する非盲検、単群、第III相試験を実施した。48週時の臨床成績を表1に示す。
表1 臨床成績の概要(GS‐US‐216‐0130試験)
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副作用は313例中208例(66.5%)に認められた。主な副作用は、下痢87例(27.8%)、悪心72例(23.0%)、発疹49例(15.7%)、頭痛38例(12.1%)であった。
17.1.2 海外第III相試験(C211試験(ARTEMIS試験))
抗HIV薬治療経験がないHIV感染患者689例を対象としたダルナビル800mg及びリトナビル100mgの1日1回投与(DRV/r 800/100mg QD)とロピナビル・リトナビルの1日投与量800/200mg(LPV・r 800・200mg/日)の無作為割付けによる非盲検第III相比較試験を実施した。両群ともテノホビル(TDF)300mg及びエムトリシタビン(FTC)200mgを背景治療とした。両群の患者背景及び疾患特性に偏りはみられず、DRV/r群343例の年齢中央値は34歳(範囲18-70)、男性が70%、人種は白人40%、黒人23%、ヒスパニック23%、アジア人13%であった。投与前の血中HIV RNA量平均値は4.86log10コピー/mL、CD4陽性リンパ球数の中央値は228/mm3(範囲4-750)であった。192週時の臨床成績を表2及び表3に示す。
表2 臨床成績の概要(C211試験)
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表3 投与前HIV RNA量別のウイルス学的効果(<50コピー/mLの患者の割合)
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副作用発現率は、65.6%(225/343例)であった。主な副作用は、下痢116例(33.8%)、頭痛60例(17.5%)、悪心55例(16.0%)、発疹35例(10.2%)、腹痛32例(9.3%)、嘔吐21例(6.1%)であった。
17.1.3 海外第III相試験(C229試験(ODIN試験))
抗HIV薬既治療のHIV感染患者590例を対象としたダルナビル800mg及びリトナビル100mgの1日1回投与(DRV/r 800/100mg QD)とダルナビル600mg及びリトナビル100mgの1日2回投与(DRV/r 600/100mg BID)の無作為割り付けによる非盲検第III相比較試験を実施した。両群ともに、2剤以上のNRTIsによる治療背景があり、ダルナビル耐性関連変異(V11I、V32I、L33F、I47V、I50V、I54M、I54L、T74P、L76V、I84V、L89V)をもたない患者であった。両群の患者背景及び疾患特性に偏りはみられず、年齢中央値は40歳(範囲18-77)、男性が64%、人種は白人36%、黒人26%、ヒスパニック18%、アジア人15%であった。投与前の血中HIV RNA量平均値は4.16log10コピー/mL、CD4陽性リンパ球数の中央値は228/mm3(範囲24-1306)であった。48週時の臨床成績を表4に示す。
表4 臨床成績の概要(C229試験)
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副作用発現率は、42.5%(125/294例)であった。主な副作用は、下痢42例(14.3%)、悪心38例(12.9%)、頭痛20例(6.8%)、発疹20例(6.8%)、腹痛14例(4.8%)、嘔吐13例(4.4%)であった。

18.1 作用機序
18.1.1 ダルナビル
ダルナビルはHIV‐1プロテアーゼの2量体化及び酵素活性を阻害する。本剤はHIV‐1感染細胞においてウイルスのコードするGag‐Polポリ蛋白質の切断を選択的に阻害し、その結果、感染性を有する成熟ウイルスの形成を抑制する。本剤はKD4.5×10の-12乗mol/LでHIV‐1プロテアーゼに強い親和性を有しており、HIVプロテアーゼ阻害剤耐性関連変異の影響も受けにくかった。他の代表的な13種のヒトプロテアーゼに対する阻害作用は認められなかった。
18.1.2 コビシスタット
コビシスタットは、CYP3Aの選択的な阻害薬である。
18.2 抗ウイルス作用
18.2.1 ダルナビル
ダルナビルはヒトT細胞株、ヒト末梢血単核球及びヒト単球/マクロファージに急性感染させたHIV‐1実験室株及び臨床分離株、並びにHIV‐2実験室株に対し抑制作用(EC50値:1.2~8.5nmol/L)を示す。ダルナビルはHIV‐1グループM(A、B、C、D、E、F、G)及びグループOの臨床分離株群及び初代分離株群にin vitroで抗ウイルス活性(EC50値:<0.1~4.3nmol/L)を示す。In vitroにおけるダルナビルの抗ウイルス作用は、50%細胞毒性作用を示す濃度(87~>100μmol/L)よりも十分に低い濃度で認められる。ダルナビルのEC50値はヒト血清存在下では中央値で5.4倍高い。ダルナビルはHIVプロテアーゼ阻害剤(アンプレナビル、ネルフィナビル及びリトナビル)と併用することにより相乗作用を示し、ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(アバカビル、ジダノシン、エムトリシタビン、ラミブジン、サニルブジン、ザルシタビン及びジドブジン)、ヌクレオチド系逆転写酵素阻害剤(テノホビル)、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(エトラビリン、エファビレンツ、デラビルジン、ネビラピン及びリルピビリン)、HIVプロテアーゼ阻害剤(アタザナビル、インジナビル、ロピナビル、サキナビル及びtipranavir)及び融合阻害剤(enfuvirtide)と併用することにより相加作用を示した。ダルナビルとこれらの薬剤との併用において拮抗作用は認められなかった。
18.2.2 コビシスタット
コビシスタットは、HIV‐1に対する抗ウイルス活性を有さず、ダルナビルの抗ウイルス活性に対する拮抗作用は認められなかった。
18.3 薬剤耐性
ダルナビル存在下で培養した野生型HIV‐1から耐性ウイルスを得るために、3年以上の継代を繰り返したところ、耐性ウイルスの発現が認められた。耐性ウイルスに対してダルナビルは400nmol/Lを超える濃度で増殖抑制を示した(in vitro)。この耐性ウイルスは、ダルナビルに対しての感受性が23~50倍低下しており、プロテアーゼ遺伝子に2~4個のアミノ酸置換を有していた。これらのウイルスのダルナビル耐性因子とプロテアーゼ内のアミノ酸変異の関連性は認められなかった。HIVプロテアーゼ阻害剤耐性変異を有する9株のHIV‐1からダルナビルの耐性株(EC50値が53~641倍変化)をin vitroで獲得した結果、ダルナビル耐性株のプロテアーゼ内に22個のアミノ酸変異が出現し、このうちL10F、V32I、L33F、S37N、M46I、I47V、I50V、L63P、A71V及びI84Vの変異は耐性分離株の50%超に認められた。ダルナビル耐性(EC50値の比;fold change[FC]>10)となるには、これらの変異のうち最低8個のHIVプロテアーゼ阻害剤耐性関連変異が必要であり、うち2個の変異はすでにプロテアーゼ遺伝子内に存在していた。アンプレナビル、アタザナビル、インジナビル、ロピナビル、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビルあるいはtipranavirに耐性の臨床分離株1,113株、並びに海外臨床試験C202/C213試験及びC208/C215試験解析に組み入れられた被験者のダルナビル投与開始前の分離株886株において、ダルナビルに対するFC>10(中央値)を示したのは、10個を超えるHIVプロテアーゼ阻害剤耐性関連変異を持ったサブグループのみであった。
18.4 交叉耐性
HIVプロテアーゼ阻害剤には交叉耐性が認められやすい。アンプレナビル、アタザナビル、インジナビル、ロピナビル、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビル又はtipranavirに対する感受性が低下した臨床分離株3,309株の90%に対して、ダルナビルの感受性低下は10倍未満であり、ほとんどのHIVプロテアーゼ阻害剤に対して耐性を示すウイルスにダルナビルの感受性は保持されていた。HIVプロテアーゼ阻害剤耐性株から選択したダルナビルに耐性を示す9株のうち7株について、tipranavirに関する耐性が検討され、7株のうち6株ではtipranavirに対する感受性低下が小さかった(FC<3)ことから、ダルナビルとtipranavirとの交叉耐性は限定的であることが示されている。作用機序の違いから、ヌクレオシド/ヌクレオチド系逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤、融合阻害剤とダルナビルとの間に交叉耐性は生じないと考えられる。

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