抗HBs人免疫グロブリン筋注1000単位/5mL「JB」

添付文書情報2021年10月改定(第18版)
商品情報
- 禁忌
- 1.本剤の成分に対しショックの既往歴のある患者。
2.HBs抗原陽性者(但し、新生児に投与する場合で、やむを得ない場合には、HBs抗原検査の結果を待たずに投与することが可能である)。
- 効能・効果
- 1.HBs抗原陽性血液の汚染事故後のB型肝炎発症予防。
2.新生児のB型肝炎予防(原則として、沈降B型肝炎ワクチンとの併用)。
- 用法・用量
- 1.HBs抗原陽性血液の汚染事故後のB型肝炎発症予防:本剤1回5~10mLを筋肉内に注射する。必要に応じて増量するか又は同量を繰り返す。小児には、体重1kg当たり0.16~0.24mLを用いる。HBs抗原陽性血液の汚染事故後のB型肝炎発症予防の場合、投与の時期は事故発生後7日以内とする(なお、48時間以内が望ましい)。
2.新生児のB型肝炎予防(原則として、沈降B型肝炎ワクチンとの併用):初回注射量は0.5~1.0mLを筋肉内に注射する。新生児のB型肝炎予防の場合、初回注射の時期は生後5日以内とする(なお、生後12時間以内が望ましい)。また、追加注射には、体重1kg当たり0.16~0.24mLを投与する。
<用法及び用量に関連する使用上の注意>
筋肉内注射にあたっては、組織・神経等への影響が考えられるので、神経走行部位を避けて投与する。
- 慎重投与
- 1.IgA欠損症の患者[抗IgA抗体を保有する患者では過敏反応を起こす恐れがある]。
2.溶血性貧血・失血性貧血の患者[ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない(感染した場合には、発熱と急激な貧血を伴う重篤な全身症状を起こすことがある)]。
3.免疫不全患者・免疫抑制状態の患者[ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない(感染した場合には、持続性貧血を起こすことがある)]。
- 重要な基本的注意
- 患者への説明:本剤の使用にあたっては疾病の治療における必要性とともに、本剤は採血から製品化にいたるまで、感染症の伝播を防止するための種々の安全対策を講じているが、ヒトの血液を原料とすることに由来する感染症伝播等のリスクを完全には排除できないことを患者に説明し、患者の理解を得るよう努める。
1.本剤の原材料となる抗HBs抗体陽性の血液は、問診等の検診により健康状態を確認した国内の献血者から採血し、梅毒トレポネーマ、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1及びHIV-2)、ヒトTリンパ球向性ウイルス1型(HTLV-1)及びヒトパルボウイルスB19についての血清学的検査及び肝機能(ALT(GPT))検査に適合したものである。更に、HBV、HCV及びHIVについて核酸増幅検査(NAT)を実施し、適合した血漿を本剤の製造に使用しているが、当該NATの検出限界以下のウイルスが混入している可能性が常に存在する。また、製造工程では、コーンの低温エタノール分画法によりウイルスを除去・不活化し、ウイルス除去膜による濾過処理でウイルスを除去している。本剤には前記のような各種検査やウイルスの除去・不活化などの安全対策を講じているが、投与に際しては、次の点に十分に注意する。
1).血漿分画製剤の現在の製造工程では、ヒトパルボウイルスB19等のウイルスを完全に除去・不活化することが困難であるため、本剤の投与によりその感染の可能性を否定できないので、投与後の経過を十分に観察する。
2).現在までに本剤の投与により、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)等が伝播したとの報告はない。しかしながら、製造工程において異常プリオンを低減し得るとの報告があるものの、理論的なvCJD等の伝播のリスクを完全には排除できないので、投与の際には患者への説明を十分に行い、治療上の必要性を十分に検討の上投与する。
2.ショック等重篤な副作用を起こすことがあるので、注意して使用し、経過を十分観察する。
- 相互作用
- 併用注意:非経口用生ワクチン(麻疹ワクチン、おたふくかぜワクチン、風疹ワクチン、麻疹・おたふくかぜ・風疹の混合ワクチン、水痘ワクチン等)[本剤の投与を受けた者は、生ワクチンの効果が得られない恐れがあるので、生ワクチンの接種は本剤投与後3カ月以上延期し、また、生ワクチン接種後14日以内に本剤を投与した場合は、投与後3カ月以上経過した後に生ワクチンを再接種することが望ましい(本剤の主成分は免疫抗体であるため、中和反応により生ワクチンの効果が減弱される恐れがある)]。
- 副作用
- 承認時及び再審査申請時の副作用発現状況は、次のとおりであった。
1.HBs抗原陽性血液の汚染事故後のB型肝炎発症予防:1986年10月までに副作用調査の対象となった1,114例のうち不明(10例)を除く1,104例中39例(3.5%)に副作用がみられた。その内容は発熱、悪寒、全身倦怠感、注射局所の疼痛、腫脹、発赤、硬結等であった。このうち悪寒は発熱のためと考えられるものであった。
2.新生児のB型肝炎予防:1989年2月までに副作用調査の対象となった197例において、副作用が発現した症例は1例も認められなかった。
- 重大な副作用
- 1.重大な副作用
ショック(0.1%未満):ショックを起こすことがあるので、観察を十分に行い、悪寒、嘔気、発汗、腰痛等の症状が現れた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
- 2.その他の副作用
1).過敏症:(0.1~5%未満)発熱、(0.1%未満)発疹[このような症状が発現した場合には投与を中止し、適切な処置を行う]。
2).注射部位:(0.1~5%未満)疼痛、腫脹、発赤、硬結。
3).その他:(0.1~5%未満)全身倦怠感。
- 高齢者への投与
- 一般に高齢者では生理機能が低下しているので、患者の状態を観察しながら慎重に投与する。
- 妊婦・産婦・授乳婦等への投与
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない;本剤の投与によりヒトパルボウイルスB19の感染の可能性を否定できない(感染した場合には胎児への障害(流産、胎児水腫、胎児死亡)が起こる可能性がある)]。
- 取扱い上の注意
- 1.投与経路:筋肉内注射にのみ使用する。決して静脈内に注射しない。
2.調製時:本剤の保存中、まれに少量の沈殿を生じることがあるが、効力には影響しない。
3.投与時:1).新生児の注射量が1mLの場合には、0.5mLずつ2カ所に分けて注射する。
2).沈降B型肝炎ワクチンと併用する場合には、異なる投与部位とする。
3).残液は細菌汚染の恐れがあるので使用しない[本剤は細菌の増殖に好適な蛋白であり、しかも保存剤が含有されていないため]。
4.筋肉内注射:筋肉内注射にあたっては、組織・神経等への影響を避けるため、次記の点に注意する。
1).同一部位への反復注射は行わない。また、低出生体重児、新生児、乳児、幼児、小児には特に注意する。
2).注射針を刺入したとき、激痛を訴えたり、血液の逆流をみた場合は直ちに針を抜き、部位をかえて注射する。
記録の保存:本剤は特定生物由来製品に該当することから、本剤を投与した場合はその名称(販売名)、製造番号、投与した日、患者の氏名・住所等を記録し、少なくとも20年間保存する。
- その他の注意
- 本剤は、献血による貴重な血液を原料としている。採血時における問診等の検診、採血血液に対する感染症関連の検査、製造工程におけるウイルス除去・不活化等の安全対策を講じているが、ヒトの血液を原料としていることに由来する感染症伝播等のリスクを完全には排除できないため、疾病の治療上の必要性を十分に検討の上、必要最小限の使用にとどめる。
半減期-約27日
1.HBs抗原陽性血液の汚染事故後のB型肝炎発症予防
汚染事故670例のうち汚染源がHBs抗原陽性であり、かつ事故者がHBs抗原・抗体が共に陰性又はHBs抗体価がPHA価で8倍以下であることが確認された423例について本剤を事故発生後48時間以内に投与し、その後2週間ごとに6カ月間定期的に観察を行った。その結果、いずれの場合もB型肝炎の発症を予防することができた。
2.新生児のB型肝炎予防
HBs抗原・HBe抗原陽性(但し臍帯血のHBs抗原陰性)の母親から出生した児に対して出生後なるべく早い時期と2カ月目の2回、本剤を投与した。その後HBワクチンを3回投与した。その結果、有効性調査対象例192例について、B型肝炎キャリア化防止例は186例(96.9%)であり、最終的なHBs抗体獲得例は165例(85.9%)であった。
二重構造を有するB型肝炎ウイルスに対してはウイルスの表面抗原に対する抗体がその中和抗体となる。したがってHBs抗体はB型肝炎ウイルス感染防御抗体として作用する。
体内に侵入したB型肝炎ウイルスは血行性に肝臓に達し、そこで増殖する。そのためB型肝炎ウイルスの汚染後、抗HBs人免疫グロブリンをできるだけ速やかに投与することによりB型肝炎ウイルスが血中にあるうちに中和することができる。
- 製造販売会社
- 日本血液製剤機構
- 販売会社
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