ガンマガード静注用5g

添付文書情報2021年10月改定(第24版)
商品情報
- 禁忌
- 本剤の成分に対しショックの既往歴のある患者。
- 効能・効果
- 1.低ガンマグロブリン血症並びに無ガンマグロブリン血症。
2.重症感染症における抗生物質との併用。
<効能・効果に関連する使用上の注意>
重症感染症において抗生物質との併用に用いる場合は、適切な抗菌化学療法によっても十分な効果の得られない重症感染症を対象とする。
- 用法・用量
- 本剤5000mgを添付の日局注射用水96mLに溶解し、点滴静注又は直接静注する。直接静注する場合は、極めて緩徐に行う。
1.低並びに無ガンマグロブリン血症:1回人免疫グロブリンGとして200~600mg/kg体重を3~4週間隔で点滴静注又は直接静注する。なお、患者の状態に応じて適宜増減する。
2.重症感染症における抗生物質との併用:1回2500~5000mgを、小児に対しては、1回50~150mg/kg体重を使用する。なお、症状により適宜増減する。
<用法・用量に関連する使用上の注意>
1.急速に注射すると血圧降下を起こす可能性がある(無又は低ガンマグロブリン血症の患者には注意する)。
2.投与速度:最初0.5mL/kg/時間で投与し、副作用等の異常が認められなければ、4mL/kg/時間まで徐々に投与速度を上げることができる。
3.低並びに無ガンマグロブリン血症の用法・用量は、血清IgGトラフ値を参考に、基礎疾患や感染症などの臨床症状に応じて、投与量、投与間隔を調節する必要があることを考慮する。
- 慎重投与
- 1.IgA欠損症の患者[抗IgA抗体を保有する患者では過敏反応を起こす恐れがある]。
2.腎障害のある患者[腎機能を悪化させる恐れがある]。
3.脳血管障害・心臓血管障害又はその既往歴のある患者[大量投与による血液粘度の上昇等により脳梗塞又は心筋梗塞等の血栓塞栓症を起こす恐れがある]。
4.血栓塞栓症の危険性の高い患者[大量投与による血液粘度の上昇等により血栓塞栓症を起こす恐れがある]。
5.溶血性貧血・失血性貧血の患者[ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない(感染した場合には、発熱と急激な貧血を伴う重篤な全身症状を起こすことがある)]。
6.免疫不全患者・免疫抑制状態の患者[ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない(感染した場合には、持続性貧血を起こすことがある)]。
7.心機能低下している患者[大量投与により、心不全を発症又は心不全悪化させる恐れがある]。
- 重要な基本的注意
- 患者への説明:本剤の使用にあたっては、疾病の治療における本剤の必要性とともに、本剤の製造に際し感染症の伝播を防止するための安全対策が講じられているが、ヒト血漿を原料としていることに由来する感染症伝播のリスクを完全に排除することができないことを、患者に対して説明し、理解を得るよう努める。
1.本剤の原材料となる血漿については、HBs抗原、抗HCV抗体、抗HIV-1抗体及び抗HIV-2抗体が陰性であることを確認している。更に、プールした試験血漿については、HBV-DNA、HCV-RNA、HIV-1-RNA、HIV-2-RNA及びHAV-RNAについて核酸増幅検査(NAT)を実施し、適合した血漿を本剤の製造に使用しているが、当該NATの検出限界以下のウイルスが混入している可能性が常に存在する。同様に、ヒトパルボウイルスB19-DNAについてはプールした試験血漿で核酸増幅検査(NAT)を実施し、10の5乗IU/mL以下であることを確認した健康人血漿を用いている。本剤は、Cohnの低温エタノール分画法によって得られた免疫グロブリン画分を、TNBP/TritonX-100/Tween80処理することによりエンベロープを有するウイルスを不活化し、更にイオン交換樹脂処理により夾雑蛋白やウイルスを排除する工程を施しているが、ウイルス感染等の感染性を完全には否定できないので、投与に際しては、次の点に十分注意する。
1).血漿分画製剤の現在の製造工程では、ヒトパルボウイルスB19等のウイルスを完全に不活化・除去することが困難であるため、本剤の投与によりその感染の可能性を否定できないので、投与後の経過を十分に観察する。
2).現在までに本剤の投与により変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)等が伝播したとの報告はない。しかしながら、製造工程において異常プリオンを低減し得るとの報告があるものの、理論的なvCJD等の伝播のリスクを完全には排除できないので、投与の際には患者への説明を十分行い、治療上の必要性を十分検討の上投与する。
2.ショック等重篤な副作用が起こる可能性があるので、注意して使用し、経過を十分観察する。
3.本剤は抗A及び抗B血液型抗体を有するので、血液型がO型以外の患者に大量投与したとき、溶血性貧血を起こすことがある。
- 相互作用
- 併用注意:非経口用生ワクチン(麻疹ワクチン、おたふくかぜワクチン、風疹ワクチン、麻疹・おたふくかぜ・風疹の混合ワクチン、水痘ワクチン等)[本剤の投与を受けた者は、生ワクチンの効果が得られない恐れがあるので、生ワクチンの接種は本剤投与後3カ月以上延期し、また、生ワクチン接種後14日以内に本剤を投与した場合は、投与後3カ月以上経過した後に生ワクチンを再接種することが望ましい(本剤の主成分は免疫抗体であるため、中和反応により生ワクチンの効果が減弱される恐れがある)]。
- 副作用
- 承認時までの安全性評価対象症例及び再審査申請時の使用成績調査対象症例5,203例中21例(0.4%)に副作用が認められており、効能・効果別の副作用発現状況は次の通りであった。
低並びに無ガンマグロブリン血症(「通常、成人に対しては、1回2500~5000mgを、小児に対しては、1回50~150mg/kg体重を使用する。なお、症状により適宜増減する。」に従って投与された際の副作用発現状況である):94例中5例(5.3%)に副作用が認められた。また、副作用の種類は発疹、発熱、そう痒感等であった。
重症感染症における抗生物質との併用:5,109例中16例(0.3%)に副作用が認められた。また、副作用の種類は悪寒、呼吸困難、震え、悪心等であった。
- 重大な副作用
- 1.重大な副作用
1).ショック、アナフィラキシー(頻度不明):ショック、アナフィラキシーが現れることがあるので、観察を十分に行い、悪寒、全身紅潮、胸内苦悶、頻脈、脈拍微弱、血圧低下、喘鳴、呼吸困難、チアノーゼ等異常が認められた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行う。
2).無菌性髄膜炎(頻度不明):大量投与により無菌性髄膜炎(項部硬直、発熱、頭痛、悪心、嘔吐あるいは意識混濁等)が現れることがあるので、このような場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
3).急性腎障害(頻度不明):急性腎障害が現れることがあるので、投与に先立って患者が脱水状態にないことを確認するとともに、観察を十分に行い、腎機能検査値悪化(BUN値悪化、血清クレアチニン値悪化等)、尿量減少が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。なお、急性腎障害の危険性の高い患者においては、投与量及び投与速度を出来るだけ低くすることが望ましい。
4).血小板減少(0.1%未満):血小板減少を起こすことがあるので、観察を十分に行い、このような場合には、適切な処置を行う。
5).肺水腫(頻度不明):肺水腫が現れることがあるので、呼吸困難等の症状が現れた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
6).肝機能障害、黄疸(0.1~5%未満):著しいAST上昇(著しいGOT上昇)、著しいALT上昇(著しいGPT上昇)、著しいAl-P上昇、著しいγ-GTP上昇、著しいLDH上昇等を伴う肝機能障害、黄疸が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、適切な処置を行う。
7).血栓塞栓症(頻度不明):大量投与例で、血液粘度の上昇等により、脳梗塞、心筋梗塞、肺塞栓症、深部静脈血栓症等の血栓塞栓症が現れることがあるので、観察を十分に行い、中枢神経症状(眩暈、意識障害、四肢麻痺等)、胸痛、突然の呼吸困難、息切れ、下肢疼痛・下肢浮腫等の症状が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行う。
なお、血栓塞栓症の危険性の高い患者においては、適宜減量し、できるだけゆっくりと投与することが望ましい。
- 2.その他の副作用
1).過敏症:(0.1%未満)震え、呼吸困難、発疹、蕁麻疹様発疹、そう痒感、冷汗、発熱、蒼白[このような場合には投与を中止し、適切な処置を行う]。
2).循環器:(0.1%未満)頻脈、(頻度不明)血圧上昇、高血圧。
3).肝臓:(0.1%未満)血清ビリルビン上昇。
4).呼吸器:(頻度不明)喘息様症状、咳嗽、胸部不快感。
5).消化器:(0.1%未満)悪心、(頻度不明)腹痛、嘔吐、食欲減退。
6).泌尿器:(0.1%未満)クレアチニン上昇、蛋白尿。
7).投与部位:(頻度不明)注入部位紅斑。
8).その他:(0.1%未満)悪寒、戦慄、ふらつき、気分不快感、(頻度不明)関節痛、筋肉痛、背部痛、不安、倦怠感、疲労、潮紅、頭痛、多汗症、咽喉絞扼感。
- 高齢者への投与
- 1.一般に高齢者では生理機能が低下しているので、患者の状態を観察しながら慎重に投与する。
2.一般的に高齢者では脳・心臓血管障害又はその既往歴のある患者がみられ、血栓塞栓症を起こす恐れがあるので、患者の状態を観察しながら慎重に投与する。
- 妊婦・産婦・授乳婦等への投与
- 妊娠中の投与に関する安全性は確立していない;本剤の投与によりヒトパルボウイルスB19の感染の可能性を否定できない[感染した場合には胎児への障害(流産、胎児水腫、胎児死亡)が起こる可能性を否定できないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する]。
- 小児等への投与
- 低出生体重児、新生児、乳児、幼児に対する安全性は確立していない。
- ガンマガード静注用及び溶解移注針・通気針の取扱方法
- 1.調製時:1).本剤を溶解するときは、室温程度に戻した添付の溶剤を用い、静かに溶解する(急激な振盪溶解は避ける)。
2).生理食塩液、ソルビトール加電解質液等の中性に近い輸液・補液剤以外の他剤との混合注射を避ける。
3).使用後の残液は、細菌汚染の恐れがあるので使用しない(本剤は細菌の増殖に好適な蛋白であり、しかも保存剤が含有されていないため)。
2.投与時:1).溶解したとき、不溶物の認められるものは使用しない。また、溶解後著しい沈殿のあるものは使用してはならない。
2).溶解した液をシリコンオイルが塗布されているシリンジで採取した場合、浮遊物が発生する可能性があるため、投与前に薬液中に浮遊物がないか目視で確認する(浮遊物が認められた場合には投与しない)。
3).コアリングの可能性があるので、投与に際してはフィルター(濾過網)付きの点滴セットあるいはフィルター針を使用する。
記録の保存:本剤は特定生物由来製品に該当することから、本剤を投与した場合は、医薬品名(販売名)、製造番号、投与した日、投与を受けた患者の氏名、住所等を記録し、少なくとも20年間保存する。
1.溶解方法1).本剤及び添付の溶剤(注射用水)バイアルを冷蔵庫より取り出し室温に戻す。
2).溶剤バイアルのプラスチックカバーをはずし、ゴム栓を消毒後、溶解移注針の保護キャップのついている側を上にし、二本針を溶剤バイアルのゴム栓にまっすぐ根元まで刺す(添付文書の図1)。必ず先に溶剤バイアルに溶解移注針を刺す。
3).次に本剤バイアルのプラスチックカバーと溶解移注針の保護キャップをはずし、ゴム栓を消毒後、溶解移注針の一端をつき刺したままの溶剤バイアルを転倒させ、他の一端(一本針)を素早く本剤バイアルのゴム栓につき刺す。本剤バイアル内は陰圧になっているため、溶剤は本剤バイアル内へ流れ込む(添付文書の図2)。
4).溶剤の移行が終ったら、溶解移注針を溶剤バイアル(空)と共に取りはずし(添付文書の図3)、本剤バイアルをなるべく泡立てないようゆるやかに揺り動かして溶解する(添付文書の図4)。
2.【注意】1).溶解移注針を刺したままで、長時間放置しない。
2).溶解移注針はディスポーザブルであり、再使用しない。
3).輸液セットを用いて点滴静注をする場合には、その導入針及び通気針を溶解移注針を抜き出したあとの穴に刺すと液漏れが起こることがあるため、別の部位に刺す。
3.通気針の使い方:本剤を点滴静注する際に通気針の先端が液面上に出るよう一杯に突き刺して使用する(添付文書の図5)。
【注意】市販の輸液セットに組込まれた通気針は針が短く、先端が液面上に出ないため、点滴の際気泡を生じるので、添付の通気針に替えて使用する。
- その他の注意
- 本剤は、ヒト血漿を原料として製剤化したものである。原料となった血漿を採取する際には、問診、感染症関連の検査を実施するとともに、製造工程における一定の不活化・除去処理等を実施し、感染症に対する安全対策を講じているが、ヒト血漿を原料としていることによる感染症伝播のリスクを完全に排除することはできないため、疾病の治療上の必要性を十分に検討の上、必要最小限の使用にとどめる。
無ガンマグロブリン血症患者7例及びcommon variable immunodeficiency患者5例における血中半減期は、平均25.3日であった。
国内で実施された低又は無ガンマグロブリン血症及び重症感染症を対象とした臨床試験の概要は次のとおりである。
1.低並びに無ガンマグロブリン血症
免疫グロブリン補充療法を受けたX連鎖無ガンマグロブリン血症患者29例を対象としたレトロスペクティブな研究において、高用量の静注用人免疫グロブリン(IVIG)(3週間ごとに350~600mg/kg)の治療を受け、血清IgGトラフ値が500mg/dL以上となった患者の感染症の発症頻度及び入院期間は1.04回/年及び0.70日/年であったが、未治療、筋注用人免疫グロブリンもしくは低用量IVIG(3週間ごとに200mg/kg未満)で治療され、血清IgGトラフ値が151mg/dL以上500mg/dL未満だった患者では1.75回/年及び9.00日/年であったとの報告がある。
2.重症感染症
再評価に対する市販後臨床試験において、広範囲抗生物質を3日間投与しても感染主要症状の十分な改善が認められない重症感染症の患者682例を対象として、抗生物質と静注用人免疫グロブリン5g/日、3日間との併用群(IVIG群)又は抗生物質単独投与群(対照群)に割り付けた非盲検群間比較試験を行った。
解熱効果、臨床症状の改善効果又は検査所見(炎症マーカーであるCRP値の推移)を評価基準として有効性を評価した結果、IVIG群はいずれにおいても対照群に比べ有意に優れており、有効率はIVIG群61.5%(163/265)、対照群47.3%(113/239)であった。
1.本剤は、広範囲の細菌、細菌毒素及びウイルス等に対して抗体価を有する。
2.本剤は、大腸菌、肺炎球菌、緑膿菌、B群レンサ球菌、肺炎桿菌に対してオプソニン活性を示した。
3.本剤は、単純ヘルペスウイルス及び水痘帯状疱疹ウイルス感染細胞に対し、Fc活性を有し、抗体依存性細胞障害活性が認められた。
4.顆粒球減少マウスにおける緑膿菌、大腸菌、プロテウス・ミラビリス、黄色ブドウ球菌及び肺炎球菌感染において、防御効果が認められた。また、熱傷マウスにおける緑膿菌感染においても有意な防御効果が認められた。
5.マウスにおける肺炎桿菌及び緑膿菌感染において本剤単独又は抗生物質との併用による治療効果が認められた。
- 製造販売会社
- 武田薬品
- 販売会社
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