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ピリヴィジェン10%静注20g/200mL

販売名
ピリヴィジェン10%静注20g/200mL
薬価
20g200mL1瓶 195977.00円
製造メーカー
CSLベーリング

添付文書情報2021年10月改定(第3版)

商品情報

薬効分類名
血漿分画製剤
一般名
pH4処理酸性人免疫グロブリン注射液(2)
禁忌
本剤の成分にショックの既往歴のある患者。
効能・効果
1). 無ガンマグロブリン血症又は低ガンマグロブリン血症。
2). 慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の筋力低下の改善。
3). 慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の運動機能低下の進行抑制(筋力低下の改善が認められた場合)。
(効能又は効果に関連する注意)
〈慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の運動機能低下の進行抑制〉「慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の筋力低下の改善」に対する本剤の有効性が認められたものの、症状の再発・再燃を繰り返している患者にのみ投与すること。
用法・用量
〈無又は低ガンマグロブリン血症〉
通常、1回人免疫グロブリンGとして200~600mg(2~6mL)/kg体重を3~4週間隔で点滴静注又は緩徐に静注する。患者の状態によって適宜増減する。
〈慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の筋力低下の改善〉
通常、成人には1日に人免疫グロブリンGとして400mg(4mL)/kg体重を5日間連日点滴静注する。
〈慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の運動機能低下の進行抑制(筋力低下の改善が認められた場合)〉
通常、成人には人免疫グロブリンGとして「1000mg(10mL)/kg体重を1日」又は「500mg(5mL)/kg体重を2日間連日」を3週間隔で点滴静注する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 〈効能共通〉急速に注射すると血圧降下を起こす可能性がある(特に無又は低ガンマグロブリン血症の患者には注意すること)〔9.7.1、14.2.2参照〕。
7.2. 〈無又は低ガンマグロブリン血症〉血清IgGトラフ値を参考に、基礎疾患や感染症などの臨床症状に応じて、投与量、投与間隔を調節する必要があることを考慮すること。
7.3. 〈慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の筋力低下の改善〉本剤投与4週後に筋力低下の改善が認められることがあるので、投与後の経過を十分に観察し、本剤投与後4週間においては本剤の追加投与は行わないこと。
腎機能障害患者
8.1. 〈効能共通〉本剤の使用にあたっては、疾病の治療における本剤の必要性とともに、本剤の製造に際し感染症の伝播を防止するための安全対策が講じられているが、血液を原料等としていることに由来する感染症伝播のリスクを完全に排除することができないことを患者に対して説明し、理解を得るよう努めること。
8.2. 〈効能共通〉本剤の原料等となる血漿については、HBs抗原、抗HCV抗体、抗HIV-1抗体及び抗HIV-2抗体が陰性であることを確認している。さらに、プールした試験血漿については、HIV-1、HBV、HCV及びHAVについて核酸増幅検査(NAT)を実施し、適合した血漿を本剤の製造に使用しているが、当該NATの検出限界以下のウイルスが混入している可能性が常に存在する。また、ヒトパルボウイルスB19についてもNATによるスクリーニングを実施し、適合した血漿を用いている。
その後の製造工程であるデプスフィルトレーション、pH4処理及びナノフィルトレーションは、HIV、HBV、HCV等のエンベロープを有するウイルス及びエンベロープを有しないHAV、ヒトパルボウイルスB19をはじめとする各種ウイルス除去・不活化効果が確認されているが、投与に際しては、次の点に十分に注意すること。
血漿分画製剤の現在の製造工程では、ヒトパルボウイルスB19等のウイルスを完全に不活化・除去することが困難であるため、本剤の投与によりその感染の可能性を否定できないので、投与後の経過を十分に観察すること〔9.1.5、9.1.6、9.5妊婦の項参照〕。
8.3. 〈効能共通〉現在までに本剤の投与により変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)等が伝播したとの報告はない。しかしながら、製造工程において異常プリオンを低減し得るとの報告があるものの、理論的なvCJD等の伝播のリスクを完全には排除できないので、投与の際には患者への説明を十分行い、治療上の必要性を十分検討の上投与すること。
8.4. 〈慢性炎症性脱髄性多発根神経炎〉本剤による慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の治療は原因療法ではなく対症療法であることに留意すること。
8.5. 〈慢性炎症性脱髄性多発根神経炎〉「慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の筋力低下の改善」の用法及び用量で本剤を反復投与した場合の有効性、安全性は確立していないことに留意すること。
8.6. 〈慢性炎症性脱髄性多発根神経炎〉「慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の運動機能低下の進行抑制」を目的として用いる場合、臨床症状の観察を十分に行い定期的に継続投与の必要性を確認すること(また、継続投与の結果十分な効果が認められず、運動機能低下の再発・再燃等を繰り返す場合には、本剤の継続投与は行わず、他の治療法を考慮すること)。
8.7. 〈慢性炎症性脱髄性多発根神経炎〉「慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の運動機能低下の進行抑制」を目的として本剤を継続投与した結果、運動機能低下の再発・再燃が認められなくなった場合には、本剤の減量又は投与中止を考慮すること。
9.1.1. 本剤の成分に過敏症の既往歴のある患者。
9.1.2. IgA欠損症の患者:抗IgA抗体を保有する患者では過敏反応を起こすおそれがある。
9.1.3. 脳血管障害・心臓血管障害又はその既往歴のある患者:大量投与による血液粘度の上昇等により脳梗塞又は心筋梗塞等の血栓塞栓症を起こすおそれがある〔9.1.4、9.8高齢者の項、11.1.4参照〕。
9.1.4. 血栓塞栓症の危険性の高い患者:適宜減量し、できるだけゆっくりと投与することが望ましい(大量投与による血液粘度の上昇等により血栓塞栓症を起こすおそれがある)〔9.1.3、9.8高齢者の項、11.1.4参照〕。
9.1.5. 溶血性貧血・失血性貧血の患者:ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない(感染した場合には、発熱と急激な貧血を伴う重篤な全身症状を起こすことがある)〔8.2参照〕。
9.1.6. 免疫不全患者・免疫抑制状態の患者:ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない(感染した場合には、持続性貧血を起こすことがある)〔8.2参照〕。
9.1.7. 心機能低下している患者:大量投与により、心不全を発症又は心不全悪化させるおそれがある。
9.1.8. 高プロリン血症1型又は高プロリン血症2型の患者:添加剤としてL-プロリンを含有するため、症状を悪化させるおそれがある。
9.2.1. 腎障害のある患者:腎機能を悪化させるおそれがある〔11.1.5参照〕。
9.2.2. 急性腎障害の危険性の高い患者:適宜減量し、できるだけゆっくりと投与することが望ましい〔11.1.5参照〕。
相互作用
10.2. 併用注意:非経口用生ワクチン(麻疹ワクチン、おたふくかぜワクチン、風疹ワクチン、麻疹・おたふくかぜ・風疹の混合ワクチン、水痘ワクチン等)[本剤の投与を受けた者は、生ワクチンの効果が得られないおそれがあるので、生ワクチンの接種は本剤投与後3ヵ月以上延期すること(また、生ワクチン接種後14日以内に本剤を投与した場合は、投与後3ヵ月以上経過した後に生ワクチンを再接種することが望ましい)、なお、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎に対する大量療法(200mg/kg体重以上)後に生ワクチンを接種する場合は、原則として生ワクチンの接種を6ヵ月以上(麻疹感染の危険性が低い場合の麻疹ワクチン接種は11ヵ月以上)延期すること(本剤の主成分は免疫抗体であるため、中和反応により生ワクチンの効果が減弱されるおそれがある)]。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. アナフィラキシー反応(頻度不明):びまん性紅斑を伴う全身潮紅、胸部不快感、頻脈、低血圧、喘鳴、喘息、呼吸困難、チアノーゼ等異常が認められた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.2. 溶血性貧血(0.3%):本剤は抗A及び抗B血液型抗体を有するため、血液型がO型以外の患者への大量投与により、溶血性貧血があらわれる可能性がある。
11.1.3. 無菌性髄膜炎症候群(頻度不明):大量投与により無菌性髄膜炎の症状があらわれることがある。
11.1.4. 血栓塞栓症(0.3%):大量投与例で血液粘度の上昇等により、心筋梗塞、脳血管障害(脳卒中を含む)、肺塞栓症、深部静脈血栓症等の血栓塞栓症があらわれることがある〔9.1.3、9.1.4、9.8高齢者の項参照〕。
11.1.5. 急性腎障害(0.3%):投与に先立って患者が脱水状態にないことを確認するとともに、観察を十分に行い、腎機能検査値悪化(BUN値悪化、血清クレアチニン値悪化等)、尿量減少が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと〔9.2腎機能障害患者の項参照〕。
11.1.6. 肺水腫(頻度不明):呼吸困難等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.7. 血小板減少(頻度不明)。
11.1.8. 肝機能障害、黄疸(頻度不明):著しいAST上昇、著しいALT上昇、著しいALP上昇、著しいγ-GTP上昇、著しいLDH上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
11.2. その他の副作用
1). 血液及びリンパ系障害:(0.5%以上)溶血、白血球減少症、(0.5%未満)貧血、(頻度不明*)赤血球大小不同症、小赤血球症、血小板増加症、好中球数減少。
2). 免疫系障害:(0.5%未満)過敏症。
3). 神経系障害:(0.5%以上)頭痛(18.4%)、浮動性めまい、片頭痛、振戦、回転性めまい、(0.5%未満)傾眠、緊張性頭痛、副鼻腔炎に伴う頭痛、(頻度不明*)頭部不快感。
4). 心臓障害:(0.5%以上)動悸、(頻度不明)頻脈。
5). 血管障害:(0.5%以上)高血圧、低血圧、ほてり、(0.5%未満)末梢血管障害、血管炎、潮紅、(頻度不明*)充血。
6). 呼吸器、胸郭及び縦隔障害:(0.5%以上)呼吸困難、胸痛、(0.5%未満)胸部不快感、呼吸時疼痛。
7). 胃腸障害:(0.5%以上)悪心、嘔吐、腹痛、下痢。
8). 肝胆道系障害:(0.5%未満)高ビリルビン血症。
9). 皮膚及び皮下組織障害:(0.5%以上)発疹、じん麻疹、斑状丘疹状皮疹、皮膚そう痒症、(0.5%未満)皮膚剥脱、紅斑、(頻度不明*)皮膚障害。
10). 筋骨格系及び結合組織障害:(0.5%以上)筋痙縮、(0.5%未満)筋肉痛、筋骨格硬直、筋骨格痛。
11). 腎及び尿路障害:(頻度不明*)蛋白尿、血中クレアチニン増加。
12). 一般・全身障害及び投与部位の状態:(0.5%以上)疲労、悪寒、発熱、疼痛、インフルエンザ様疾患、無力症、背部痛、注射部位疼痛、関節痛、上咽頭炎、(0.5%未満)筋力低下、四肢痛、頚部痛、顔面痛、咽喉絞扼感、注入部位不快感、(頻度不明*)咽喉頭疼痛、口腔咽頭水疱形成。
13). 臨床検査:(0.5%以上)アラニンアミノトランスフェラーゼ増加、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加、(0.5%未満)血中乳酸脱水素酵素増加、クームス試験陽性、(頻度不明*)ヘモグロビン減少、赤血球数減少、ヘマトクリット減少。
*)頻度不明は市販後の報告及び承認された効能以外の臨床試験に基づく。
高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(一般に生理機能が低下している、また、一般に脳・心臓血管障害又はその既往歴のある患者がみられ、血栓塞栓症を起こすおそれがある)〔9.1.3、9.1.4、11.1.4参照〕。
妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(本剤の投与によりヒトパルボウイルスB19の感染の可能性を否定できない(感染した場合には胎児への障害(流産、胎児水腫、胎児死亡)が起こる可能性がある))〔8.2参照〕。
小児等
9.7.1. 〈無又は低ガンマグロブリン血症〉投与速度に注意するとともに、経過を十分に観察すること(ショック等重篤な副作用を起こすことがある)〔7.1、14.2.2参照〕。
9.7.2. 〈無又は低ガンマグロブリン血症〉低出生体重児、新生児、乳児、3歳未満の幼児は臨床試験では除外されている。
9.7.3. 〈慢性炎症性脱髄性多発根神経炎〉18歳未満の患者は臨床試験では除外されている。
取扱い上の注意
14.1. 薬剤調製時の注意14.1.1. 室温程度に戻した後投与すること。
14.1.2. 他の製剤<5%ブドウ糖注射液を除く>との混注は避けること。
14.1.3. 本剤の希釈が必要な場合は、5%ブドウ糖注射液を用い、無菌的に希釈調製を行うこと(なお、希釈後は速やかに使用すること)。
14.1.4. 本剤は開封後できるだけ速やかに使用すること。
14.1.5. 使用後の残液は、細菌汚染のおそれがあるので再使用しないこと(本剤は細菌の増殖に好適な蛋白であり、保存剤を含有していない)。
14.2. 薬剤投与時の注意14.2.1. 不溶物又は混濁が認められるものは使用しないこと。
14.2.2. 投与速度(1). 〈効能共通〉ショック等の副作用は初日の投与開始30分以内、また投与速度を上げた際に起こる可能性があるので、これらの時間帯については特に注意すること〔7.1、9.7.1参照〕。
(2). 〈無又は低ガンマグロブリン血症〉初回の投与開始から約30分は0.6mL/kg体重/時間で投与し、副作用等の異常所見が認められなければ、投与速度を7.2mL/kg体重/時間まで徐々に上げることができる(その後の投与は、耐容した速度で開始することができる)。
(3). 〈慢性炎症性脱髄性多発根神経炎〉初回の投与開始から約30分は0.3mL/kg体重/時間で投与し、副作用等の異常所見が認められなければ、投与速度を4.8mL/kg体重/時間まで徐々に上げることができる(その後の投与は、耐容した速度で開始することができる)。
20.1. 外箱開封後は遮光して保存すること。
20.2. 本剤は特定生物由来製品に該当することから本剤を投与又は処方した場合は医薬品名(販売名)、製造番号(ロット番号)、投与又は処方日、投与又は処方を受けた患者の氏名、住所等を記録し使用日から少なくとも20年間保存すること。

16.1 血中濃度
〈無又は低ガンマグロブリン血症〉
国内臨床試験において、小児及び成人の原発性免疫不全症候群患者10例を対象に本剤を3週間隔又は4週間隔で4ヵ月間静脈内投与した。本剤の最終投与前の血清IgGトラフ値の平均値±標準偏差は、3週間隔投与(2例)で10.0g/L、4週間隔投与(8例)で8.0±3.8g/Lであった。
また、3週間隔投与及び4週間隔投与における血清総IgG濃度推移は次のとおりであった。
血清総IgG濃度(平均値±標準偏差)の推移:薬物動態解析対象集団

〈慢性炎症性脱髄性多発根神経炎〉
国際共同第III相試験(多施設共同二重盲検試験)において、Day1に導入用量(2g/kg体重)を2~5日間に分割して投与し、その後3週ごとに1g/kg体重の維持用量を投与したところ、Day1(ベースライン)からDay5までに血清IgGトラフ値の平均値±標準偏差は12.7±3.2g/L(日本人患者:15.4±3.1g/L)から33.2±6.9g/L(日本人患者:34.3±4.2g/L)まで上昇した。Week7で、3週ごとに維持用量(1g/kg体重)を1日又は2日かけて投与する維持療法の2回目の投与前に血清IgGトラフ値の平均値±標準偏差は17.7±4.0g/L(日本人患者:18.6±2.6g/L)となり、その後Week7からWeek13(日本人患者:Week10)まで安定的に推移した。

17.1 有効性及び安全性に関する試験
〈無又は低ガンマグロブリン血症〉
17.1.1 海外第III相多施設共同試験
小児及び成人の原発性免疫不全症候群患者80例を対象に本剤0.2~0.8g/kg体重を3週間隔又は4週間隔で12ヵ月間静脈内投与した。患者あたりの急性重篤細菌感染症の年間発現回数(主要評価項目)は、0.08回/人・年、その片側97.5%信頼区間の上限値は0.182回/人・年であり、この上限値は事前に設定した基準値1.0回/人・年を下回った。また、急性重篤細菌感染症を発症した患者は80例中6例(7.5%)であった。急性重篤細菌感染症の内訳は肺炎が3例(3.8%)、化膿性関節炎、骨髄炎、内臓膿瘍が各1例(1.3%)であった。
→図表を見る(PDF)

また、本剤投与後の血清IgGトラフ値の平均値±標準偏差は、3週間隔投与で9.8±3.2g/L、4週間隔投与で9.3±2.6g/Lであった。
副作用は80例中33例(41.3%)に認められ、主な副作用は、頭痛24例(30.0%)、悪心10例(12.5%)、悪寒、疲労各9例(11.3%)であった。
17.1.2 国内第III相多施設共同試験
小児及び成人の原発性免疫不全症候群患者11例を対象に本剤0.2~0.6g/kg体重を3週間隔又は4週間隔で4ヵ月間静脈内投与した結果、本剤投与後の血清IgGトラフ値の平均値±標準偏差は、3週間隔投与で10.0g/L、4週間隔投与で8.0±3.8g/Lであった。
副作用は、11例中1例(9.1%)に注入部位不快感が認められた。
〈慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の筋力低下の改善〉
17.1.3 国際共同第III相試験における無作為化前期間の急性期治療
静注用人免疫グロブリン製剤(IVIG)休薬期間(IVIGを投与しない最長12週の期間)後、IVIG休薬期間中に慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の臨床症状が悪化した成人患者207例(日本人患者15例を含む)に急性期治療として本剤2g/kg体重を連続する2~5日間に分割して静脈内投与し(無作為化前期間の急性期治療)、本剤1g/kg体重を1日又は0.5g/kg体重を2日連日で3週ごとにWeek4からWeek10又はWeek13まで静脈内投与した(無作為化前期間の維持療法)。その後、無作為化の後に、異なる2用量の人免疫グロブリン(0.2g/kg体重又は0.4g/kg体重)又はプラセボを皮下投与した(無作為化後期間)。
急性期治療後の来院別のレスポンダー(調整INCATスコアの1ポイント以上の改善と定義)の割合は次のとおりであった。
→図表を見る(PDF)

また、IVIG休薬期間のINCATスコアの悪化及び本剤再安定化期間のINCATスコアの改善のみを考慮した場合、日本人患者のレスポンダー率は83.3%(5/6例)であった。
副作用は207例(日本人15例を含む)中42例(20.3%、日本人6例を含む)に認められ、主な副作用は、頭痛19例(9.2%)、悪心6例(2.9%)、溶血4例(1.9%)、発熱3例(1.4%)であった。
〈慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の運動機能低下の進行抑制〉
17.1.4 国際共同第III相試験における無作為化前期間の維持療法
維持療法後の来院別のレスポンダー(調整INCATスコアの1ポイント以上の改善と定義)の割合は次のとおりであった。
→図表を見る(PDF)

また、IVIG休薬期間のINCATスコアの悪化及び本剤再安定化期間のINCATスコアの改善のみを考慮した場合、維持療法期間の日本人患者のレスポンダー率は100.0%(6/6例)であった。
IVIG治療歴のある患者の来院別のレスポンダー率(調整INCATスコア)(海外第III相試験:最大の解析対象集団、国際共同第III相試験:無作為化前安全性解析対象集団)

副作用は201例(日本人14例を含む)中28例(13.9%、日本人2例を含む)に認められ、主な副作用は、頭痛7例(3.5%)、溶血3例(1.5%)、悪心2例(1.0%)であった。

18.1 作用機序
本剤の作用機序は完全には解明されていない。
18.2 抗体活性
本剤に含有されているIgGは適切なFcエフェクター機能及びFab機能を保持しており、本剤は広範囲の細菌、細菌毒素及びウイルス等に対して広いスペクトルの抗体を有している。
18.3 脱髄性疾患モデルに対する作用
本剤はラット実験的アレルギー性脳脊髄炎モデルに対して症状の発現及び進行を抑制した。

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