ヘブスブリンIH静注1000単位

販売名
ヘブスブリンIH静注1000単位
薬価
1,000単位5mL1瓶 35976.00円
製造メーカー
日本血液製剤機構
添付文書情報2021年10月改定(第17版)
商品情報
薬効分類名
血漿分画製剤
一般名
ポリエチレングリコール処理抗HBs人免疫グロブリン
- 禁忌
- 1.本剤の成分に対しショックの既往歴のある患者。
2.HBs抗原陽性<肝移植施行を除く>者。
- 効能・効果
- 1.HBs抗原陽性血液の汚染事故後のB型肝炎発症予防。
2.HBs抗原陽性のレシピエントにおける肝移植後のB型肝炎再発抑制。
3.HBc抗体陽性ドナーからの肝移植後のレシピエントにおけるB型肝炎発症抑制。
- 用法・用量
- 本剤は効能・効果に応じて次のとおり投与する。
なお、本剤は直接静注するか、又は日本薬局方生理食塩液など中性に近い補液に混じて点滴静注する。直接静注する場合は、極めて徐々に行う。
1.HBs抗原陽性血液の汚染事故後のB型肝炎発症予防:
1回1000~2000国際単位を使用する。小児には1回32~48国際単位/kg体重を使用する。汚染事故後の投与の時期は事故発生後7日以内とする(なお、48時間以内が望ましい)。
2.HBs抗原陽性のレシピエントにおける肝移植後のB型肝炎再発抑制:
無肝期に5000~10000国際単位、術後初期に1日当たり2000~10000国際単位を投与する。小児には、無肝期に100~200国際単位/kg体重、術後初期に1日当たり40~200国際単位/kg体重を投与する。HBs抗原陽性のレシピエントにおける肝移植後の術後初期の投与は7日間以内とする(その後、患者の状態に応じ血中HBs抗体価200~1000国際単位/L以上を維持するように投与する)。
3.HBc抗体陽性ドナーからの肝移植後のレシピエントにおけるB型肝炎発症抑制:
無肝期に10000国際単位、術後初期に1日当たり10000国際単位を投与する。小児には、無肝期に200国際単位/kg体重、術後初期に1日当たり200国際単位/kg体重を投与する。HBc抗体陽性ドナーからの肝移植後の術後初期の投与は7日間以内とする(その後、患者の状態に応じ血中HBs抗体価200国際単位/L以上を維持するように投与する)。
<用法・用量に関連する使用上の注意>
1.点滴静注により投与することが望ましい、直接静注する場合は極めて徐々に行う(低ガンマグロブリン血症・無ガンマグロブリン血症の患者には注意する)。
2.肝移植患者に対して本剤を大量投与する場合、必要投与量を直接又は生理食塩液等中性に近い補液に混じ、30分~60分以上かけてシリンジポンプ等を用いて静注するか又は点滴静注し、経過を十分に観察する。
3.肝移植患者に使用する場合、血中HBs抗体価の低下によるB型肝炎再発又は発症を防ぐため患者の状態に応じて適宜血中HBs抗体価を測定し、本剤の投与量及び血中HBs抗体価の測定間隔を調節する。肝移植患者に使用する場合、特に、術前のHBV-DNA量、術中の出血量、術後の腹水貯留・ドレナージ等血中HBs抗体価に影響を与える因子が患者毎に異なっている術後早期並びに患者の肝機能に変化が生じた際には頻回に血中HBs抗体価を測定することが望ましい。
- 慎重投与
- 1.IgA欠損症の患者[抗IgA抗体を保有する患者では過敏反応を起こす恐れがある]。
2.腎障害のある患者[腎機能を悪化させる恐れがある]。
3.溶血性貧血・失血性貧血の患者[ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない(感染した場合には、発熱と急激な貧血を伴う重篤な全身症状を起こすことがある)]。
4.免疫不全患者・免疫抑制状態の患者[ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない(感染した場合には、持続性貧血を起こすことがある)]。
5.遺伝性果糖不耐症の患者[本剤の添加剤D-ソルビトールが体内で代謝されて生成した果糖が正常に代謝されず、低血糖、肝不全、腎不全等が誘発される恐れがある]。
- 重要な基本的注意
- 患者への説明:本剤の使用にあたっては、疾病の治療における本剤の必要性とともに、本剤の製造に際し感染症の伝播を防止するための安全対策が講じられているが、血液を原料としていることに由来する感染症伝播のリスクを完全に排除することができないことを、患者に対して説明し、理解を得るよう努める。
1.本剤の原材料となる血液については、HBs抗原、抗HCV抗体、抗HIV-1抗体、抗HIV-2抗体陰性であることを確認している。更に、プールした試験血漿については、HIV-1、HBV及びHCVについて核酸増幅検査(NAT)を実施し、適合した血漿を本剤の製造に使用しているが、当該NATの検出限界以下のウイルスが混入している可能性が常に存在する。本剤は、以上の検査に適合した高力価の抗HBs抗体を含有する血漿を原料として、Cohnの低温エタノール分画で得た画分からポリエチレングリコール4000処理、DEAEセファデックス処理等により抗HBs人免疫グロブリンを濃縮・精製した製剤であり、ウイルス不活化・除去を目的として、製造工程において60℃、10時間の液状加熱処理及びウイルス除去膜による濾過処理を施しているが、投与に際しては、次の点に十分注意する。
1).血漿分画製剤の現在の製造工程では、ヒトパルボウイルスB19等のウイルスを完全に不活化・除去することが困難であるため、本剤の投与によりその感染の可能性を否定できないので、投与後の経過を十分に観察する。
2).現在までに本剤の投与により変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)等が伝播したとの報告はない。しかしながら、製造工程において異常プリオンを低減し得るとの報告があるものの、理論的なvCJD等の伝播のリスクを完全には排除できないので、投与の際には患者への説明を十分行い、治療上の必要性を十分検討の上投与する。
2.ショック等重篤な副作用を起こすことがあるので、注意して使用し、経過を十分観察する。
- 相互作用
- 併用注意:非経口用生ワクチン(麻疹ワクチン、おたふくかぜワクチン、風疹ワクチン、麻疹・おたふくかぜ・風疹の混合ワクチン、水痘ワクチン等)[本剤の投与を受けた者は、生ワクチンの効果が得られない恐れがあるので、生ワクチンの接種は本剤投与後3カ月以上延期し、また、生ワクチン接種後14日以内に本剤を投与した場合は、投与後3カ月以上経過した後に生ワクチンを再接種することが望ましい(本剤の主成分は免疫抗体であるため、中和反応により生ワクチンの効果が減弱される恐れがある)]。
- 副作用
- 本剤は副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。
- 重大な副作用
- 1.重大な副作用
ショック(頻度不明):ショックを起こすことがあるので、観察を十分に行い、呼吸困難、喘鳴、胸内苦悶、血圧低下、脈拍微弱、チアノーゼ等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
2.重大な副作用(類薬)急性腎障害(頻度不明):静注用人免疫グロブリンの投与により、急性腎障害が現れることが報告されているので、観察を十分に行い、尿量減少、クレアチニン上昇、BUN上昇等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
- 3.その他の副作用:次記のような症状が現れることがあるので、観察を十分に行い、発現した場合には、適切な処置を行う。
1).過敏症:(頻度不明)発疹、そう痒感、顔面潮紅、局所性浮腫等[このような場合には投与を中止し、適切な処置を行う]。
2).循環器:(頻度不明)血圧降下。
3).肝臓:(頻度不明)AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)等。
4).消化器:(頻度不明)悪心・嘔吐、下痢。
5).血液:(頻度不明)好中球減少。
6).その他:(頻度不明)倦怠感、発熱、頭痛。
- 高齢者への投与
- 一般に高齢者では生理機能が低下しているので、患者の状態を観察しながら慎重に投与する。
- 妊婦・産婦・授乳婦等への投与
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない;本剤の投与によりヒトパルボウイルスB19の感染の可能性を否定できない(感染した場合には胎児への障害(流産、胎児水腫、胎児死亡)が起こる可能性がある)]。
- 取扱い上の注意
- 1.調製時:1).生理食塩液、ソルビトール加電解質液等の中性に近い輸液・補液剤以外の他剤との混合注射を避ける。
2).使用後の残液は、細菌汚染の恐れがあるので使用しない(本剤は細菌の増殖に好適な蛋白であり、しかも保存剤が含有されていないため)。
2.投与時:不溶物の認められるもの又は混濁しているものは使用してはならない。
記録の保存:本剤は特定生物由来製品に該当することから、本剤を投与した場合は、医薬品名(販売名)、その製造番号(ロット番号)、投与した日、投与を受けた患者の氏名、住所等を記録し、少なくとも20年間保存する。
- その他の注意
- 1.HBs抗原陽性のレシピエントにおける肝移植後のB型肝炎再発抑制及びHBc抗体陽性ドナーからの肝移植後のレシピエントにおけるB型肝炎発症抑制においては、必要に応じて抗ウイルス剤の併用を考慮する。
2.本剤は、貴重な人血液を原料として製剤化したものである。原料となった血液を採取する際には、問診、感染症関連の検査を実施するとともに、製造工程における一定の不活化・除去処理を実施し、感染症に対する安全対策を講じているが、人血液を原料としていることによる感染症伝播のリスクを完全に排除することはできないため、疾病の治療上の必要性を十分に検討の上、必要最小限の使用にとどめる。
本剤を10名の健康成人男性を対象に、乾燥ポリエチレングリコール処理抗HBs人免疫グロブリンを対照薬として、cross‐over法による単回静脈内投与を行った。脱落した1例を除く9例において血清中抗HBs抗体価の動態を比較検討した結果は次表のとおりであった。
信頼区間法において血清中抗HBs抗体価-時間曲線下面積(AUC0-35)及び平均滞留時間(MRT0-35)の差の信頼区間が対照薬の±20%以内であることより本剤と対照薬は生物学的に同等と判断された。
→図表を見る(PDF)
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血中に入ったB型肝炎ウイルス(HBV)は肝細胞に取り込まれ増殖する。本剤を投与すると、血中に存在しているHBVは肝細胞に取り込まれる前に血流中で抗HBs抗体により中和処理される。なお、HBVが肝細胞に侵入した後では、本剤を受動免疫として投与しても効果は期待できない。
- 製造販売会社
- 日本血液製剤機構
- 販売会社
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