ヌーイック静注用4000
添付文書情報2024年07月改定(第4版)
商品情報
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- 効能・効果
- 血液凝固第8因子欠乏患者における出血傾向の抑制。
- 用法・用量
- 本剤を添付の溶解液全量で溶解し、緩徐に静脈内投与する。1分間に4mLを超える注射速度は避けること。
通常、1回体重1kg当たり10~30国際単位を投与するが、患者の症状に応じて適宜増減する。
定期的に投与する場合、12歳以上の患者には、通常、1回体重1kg当たり30~40国際単位を週3回又は隔日投与する。患者の状態に応じ、投与量は1回体重1kg当たり65国際単位を超えない範囲で、投与間隔は3~5日の範囲で適宜調節することもできる。12歳未満の患者には、通常、1回体重1kg当たり30~50国際単位を週3回又は隔日投与する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 体重1kg当たり1国際単位の本剤を投与することにより、血漿中の第8因子レベルが2%(2IU/dL)上昇することが見込まれる。必要量は次の計算式に基づいて算出する。
必要量(IU)=体重(kg)×血液凝固第8因子の目標上昇値(%又はIU/dL)×0.5[(IU/kg)/(IU/dL)]。
7.2. 出血時の治療における本剤の投与方法を次に示す。
次に示す血液凝固第8因子活性(%又はIU/dL)を下回らないように維持する投与量及び投与間隔を調節すること。
1). 軽度(表在筋出血、軟組織出血、口腔内出血):必要な血液凝固第8因子レベル20-40(%又はIU/dL)、投与間隔12-24時間、投与期間は少なくとも1日、出血症状が回復するまで。
2). 中等度及び重度(筋肉内出血、口腔内出血、関節内出血、既知の外傷):必要な血液凝固第8因子レベル30-60(%又はIU/dL)、投与間隔12-24時間、投与期間は出血症状が回復するまで3~4日間又はそれ以上。
3). 生命を脅かす出血(頭蓋内出血、腹腔内出血、消化管出血、胸腔内出血、中枢神経系の出血、咽頭後間隙の出血、腸腰筋鞘の出血、眼/網膜の出血、骨折又は頭部外傷):必要な血液凝固第8因子レベル60-100(%又はIU/dL)、投与間隔8-24時間、投与期間は出血リスクが消失するまで。
7.3. 周術期(手術前後の出血管理)の本剤の投与方法を次に示す。
次に示す血漿中第8因子活性(%又はIU/dL)を下回らないように維持する投与量及び投与間隔を調節すること。
1). 小手術(抜歯を含む):必要な血液凝固第8因子レベル30-60(%又はIU/dL)(手術前後)、投与間隔8-24時間、投与期間は少なくとも1日、治癒まで。
2). 大手術(頭蓋内手術、腹腔内手術又は人工関節置換術):必要な血液凝固第8因子レベル80-100(%又はIU/dL)(手術前後)、投与間隔8-24時間、投与期間は十分な創傷治癒が得られるまで、引き続き7日間は血液凝固第8因子活性を30~60%(IU/dL)に維持できるよう追加投与する。
7.4. 定期的な投与の用法及び用量は患者の薬物動態、患者の状態等を考慮して決定すること〔17.1.1参照〕。
- 合併症・既往歴等のある患者
- 8.1. 本剤の投与は、血友病の治療経験をもつ医師のもとで開始すること。
8.2. 患者の血中に血液凝固第8因子に対するインヒビター発生するおそれがある。
特に、血液凝固第8因子製剤による補充療法開始後、投与回数が少ない時期(補充療法開始後の比較的早期)や短期間に集中して補充療法を受けた時期にインヒビター発生しやすいことが知られている。本剤を投与しても予想した止血効果が得られない場合には、インヒビター発生を疑い、血液凝固第8因子回収率や血液凝固第8因子に対するインヒビターの検査を行うなど注意深く対応し、適切な処置を行うこと。
8.3. 十分な血液凝固第8因子レベルに到達・維持していることを確認するため、必要に応じ血漿中血液凝固第8因子レベルをモニタリングすること。
8.4. 本剤の在宅自己注射は、医師がその妥当性を慎重に検討し、患者又はその家族が適切に使用可能と判断した場合のみに適用すること。本剤を在宅自己注射で処方する際には、使用方法等の患者教育を十分に実施した後、在宅にて適切な治療が行えることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。また、患者又はその家族に対し本剤の注射により発現する可能性のある副作用等についても十分説明し、在宅自己注射後何らかの異常が認められた場合や注射後の止血効果が不十分な場合には速やかに医療機関へ連絡するよう指導すること。在宅自己注射適用後、在宅自己注射の継続が困難な場合には、医師の管理下で慎重に観察するなど、適切な対応を行うこと。
9.1.1. 本剤の成分又は他の血液凝固第8因子製剤に対し過敏症の既往歴のある患者〔11.1.1参照〕。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. ショック、アナフィラキシー(頻度不明):じん麻疹、悪寒、血管浮腫、呼吸困難、血圧低下、頻脈等の症状が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと〔9.1.1参照〕。
- 11.2. その他の副作用
1). 免疫系障害:(1%未満)過敏症。
2). 神経系障害:(1%未満)頭痛、浮動性めまい。
3). 皮膚および皮下組織障害:(1%以上)発疹、(1%未満)じん麻疹。
4). 筋骨格系および結合組織障害:(1%未満)背部痛。
5). 一般・全身障害および投与部位の状態:(1%以上)発熱、(1%未満)倦怠感、胸痛、悪寒。
6). 血液およびリンパ系障害:(1%以上)*インヒビター発生。
*)〔17.1.5参照〕。
- 高齢者
- 患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること(一般に生理機能が低下している)。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤調製時の注意14.1.1. 調製前に室温に戻しておくこと。
14.1.2. 添付の溶解液以外は使用しないこと。本剤に溶解液全量を加えた後、静かに円を描くように回して溶解する(激しく振とうしない)。
14.1.3. 他の製剤と混合しないこと。
14.1.4. 溶解した液は暗所で常温(15~25℃)にて3時間保存することができる(3時間以内に使用しない場合は、廃棄する)。
14.1.5. 使用後の残液は細菌汚染のおそれがあるので使用しないこと。
14.2. 薬剤投与時の注意溶解した液は、無色澄明で沈殿を認めない(沈殿の認められるもの又は混濁しているものは使用しない)。
14.3. 薬剤交付時の注意14.3.1. 本剤を患者が家庭で保存する場合においては、冷蔵庫内で保管することが望ましいが、常温(15~25℃)で保存することもでき、常温で保存した場合は、使用期限を超えない範囲で3カ月以内に使用し、再び冷蔵庫に戻さないように指導すること。
14.3.2. 子供による誤用を避けるため、薬剤の保管には十分注意すること。
14.3.3. 光の影響を防ぐために、薬剤バイアルは外箱に入れた状態で保存すること。
14.3.4. 使用済みの医療機器の処理については、主治医の指示に従うこと。
外箱開封後は遮光して保存すること。
- その他の注意
- 15.1. 臨床使用に基づく情報本剤はVon Willebrand因子を含んでいない。
16.1 血中濃度
16.1.1 18歳以上の患者
18歳以上の治療歴のある重症血友病A患者(第VIII因子活性が1%未満)を対象に、本剤60±5IU/kgを単回静脈内投与した際の薬物動態パラメータは次のとおりであった。
→図表を見る(PDF)
16.1.2 小児
2~12歳の治療歴のある重症血友病A患者(第VIII因子活性が1%未満)を対象に、本剤50IU/kgを単回静脈内投与した際の薬物動態パラメータは次のとおりであった。
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17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国際共同第IIIb相試験(18歳以上の患者)
(1)定期的な投与に関する有効性
治療歴のある重症血友病A患者(第VIII因子活性が1%未満)56例(日本人10例)を対象に、第I期では本剤30~40IU/kgを隔日又は週3回で投与した。その後、第II期では患者個人の薬物動態及び出血状況等を考慮し、本剤65IU/kg以下の用量で、週2回以下の投与間隔に調節可能とした。投与間隔は、患者個人の薬物動態データからFVIII活性トラフ値が1%(1IU/dL)に維持できる最長の間隔とされ、投与量は、自然出血の頻度及び重症度に応じて約5IU/kgを増量可能とし、増量後も出血する場合は投与間隔を短くした。投与間隔は最長5日まで延長された。評価期間ごとの年換算出血率は次のとおりであった。
→図表を見る(PDF)
(2)周術期の止血効果
治療歴のある重症血友病A患者(第VIII因子活性が1%未満)6例(日本人1例)で実施された12件の手術(大手術8件、小手術4件)で、手術前後に本剤が投与された。全体の有効性評価は、評価の得られた11件すべてが「著効」又は「有効」と評価された。
(3)安全性
安全性解析対象集団58例(日本人11例)のうち1例(外国人)に3件の副作用(胸痛1件、浮動性めまい2件)が発現した。
17.1.2 海外第III相試験(小児)
(1)定期補充療法
2~12歳の外国人で治療歴のある重症血友病A患者(第VIII因子活性が1%未満)59例を対象に、定期補充療法として本剤を隔日又は週3回、少なくとも6カ月間投与した。年換算出血率の平均値(±SD)は、4.12(±5.22)、中央値は1.90(範囲:0-20.7)であった。
(2)出血時の止血効果
治療歴のある重症血友病A患者(第VIII因子活性が1%未満)59例のうち、32例で発現した108件の出血エピソードが本剤で治療された。止血成功と評価された割合(著効又は有効)は、82.4%であり、81.3%の出血エピソードは、本剤の1~2回の投与で止血した。
(3)安全性
安全性解析対象集団59例のうち2例に2件の副作用(背部痛、頭痛)が発現した。
17.1.3 海外第II相試験(12~65歳の患者)
(1)出血時の止血効果
12~65歳の外国人で治療歴のある重症血友病A患者(第VIII因子活性が1%以下)22例を対象に、本剤の出血時補充療法を評価した。22例で発現した計986件の出血エピソードで本剤が投与された。986件の出血エピソードのうち、642件(65%)が自然出血、341件(35%)は外傷性出血、3件(0.3%)が他の理由による出血であった。出血エピソードの治療時における本剤投与1回当たりの平均投与量は32IU/kgであった。止血成功と評価された割合(著効又は有効)は、94.4%であり、96.8%の出血エピソードは、本剤の1~2回の投与で止血した。
(2)安全性
本剤に関連した副作用は発現しなかった。
17.1.4 海外第IIIb相試験(18歳以上の患者)
(1)定期的な投与に関する有効性
治療歴のある重症血友病A患者(第VIII因子活性が1%未満)66例を対象に、本剤30~40IU/kgを隔日又は週3回で投与した。その後、患者の薬物動態及び出血状況等を考慮し、本剤60~80IU/kgの投与量で、投与間隔の延長が検討され、最長5日間隔まで延長された。年換算出血率の平均値(±SD)及び中央値(範囲)は、投与間隔延長した場合を含む全体(66例)で、3.05±13.43及び0(範囲:0-106.9)であった。
(2)安全性
安全性解析対象集団66例のうち1例に2件の副作用(倦怠感、浮動性めまい)が発現した。
17.1.5 海外第III相試験(治療歴のない患者)
(1)免疫原性
外国人で治療歴のない重症血友病A患者(第VIII因子活性が1%未満)108例(月齢中央値:9.5カ月、範囲:0-146カ月)を対象に、本剤の免疫原性を検討した。本剤の投与方法としては定期補充療法(20~50IU/kg)が推奨されたが、出血時補充療法も可能であり、試験参加期間(曝露日数)は100日と計画された(最大5年間)。本剤投与後にインヒビター検査を実施した105例のうち、28例(26.7%;95%CI:18.5-36.2)でインヒビターが発現した。
(2)安全性
安全性解析対象集団108例のうち45例で計70件の副作用が発現した。最も頻度の高かった副作用はインヒビターの発生25.9%(28例)であった。[11.2参照]
18.1 作用機序
本剤は血液凝固第VIII因子の欠乏を一時的に補正することにより、出血傾向を抑制する。
18.2 止血効果
血友病Aモデルのイヌにおいて、本剤の静脈内投与により止血効果が認められた。
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