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オルツビーオ静注用4000

販売名
オルツビーオ静注用4000
薬価
4,000国際単位1瓶(溶解液付) 792683.00円
製造メーカー
サノフィ

添付文書情報2023年11月改定(第3版)

商品情報

薬効分類名
血漿分画製剤
一般名
エフアネソクトコグ アルファ(遺伝子組換え)注射用

-

効能・効果
血液凝固第8因子欠乏患者における出血傾向の抑制。
用法・用量
本剤を添付の溶解液全量で溶解し、緩徐に静脈内に投与する。
出血時又は周術期に投与する場合、通常、1回体重1kg当たり50国際単位を投与する。なお、投与量は患者の状態に応じて適宜減量する。
定期的に投与する場合、通常、体重1kg当たり50国際単位を週1回投与する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 出血時又は周術期に投与する場合は、次を参考に投与量及び投与間隔を調節すること。なお、体重1kg当たり1国際単位の本剤を投与することにより、循環血漿中の血液凝固第8因子レベルが2%(2国際単位/dL)上昇することが見込まれる〔8.3参照〕。
[出血時における投与量及び投与間隔の目安]
1). 軽度及び中等度(例:合併症を伴わない関節出血、軽度な筋肉出血、粘膜又は皮下出血):50国際単位/kgを単回投与。直近の定期的な投与から3日以内の場合は、30国際単位/kgを投与することもできる。出血所見が認められる場合、30又は50国際単位/kgを2~3日毎に追加投与すること。
2). 重度(例:頭蓋内出血、後腹膜及び腸腰筋出血、頸部出血、コンパートメント症候群を伴う筋肉出血、ヘモグロビン値の著しい低下を伴う出血):50国際単位/kgを単回投与。出血所見が認められる場合、30又は50国際単位/kgを2~3日毎に追加投与すること。
出血時の投与後に定期的な投与を実施する場合、直近の出血治療を50国際単位/kgで行ったときは72時間以上の間隔を空けてから開始又は再開すること(直近の出血治療を30国際単位/kgで行ったときは、間隔を開けずに開始又は再開することができる)。
[周術期における投与量及び投与間隔の目安]
1). 小手術:手術前の用量は50国際単位/kgを単回投与。手術後の用量は必要に応じ、2~3日後に30又は50国際単位/kgを追加投与すること。
2). 大手術(例:頭蓋内手術、腹腔内手術、人工関節置換術、複雑な歯科治療):手術前の用量は50国際単位/kgを単回投与。手術後の用量は周術期の管理のため、必要に応じ、30又は50国際単位/kgを2~3日毎に追加投与すること。
7.2. 成人又は12歳以上の小児では、1バイアル当たり1~2分以上かけて投与すること。
7.3. 12歳未満の小児では、体重20kg以上の場合は1バイアル当たり2~3分以上、体重20kg未満の場合は1バイアル当たり6分以上かけて投与すること。
合併症・既往歴等のある患者
8.1. 本剤の投与は、血友病の治療経験をもつ医師のもとで開始すること。
8.2. 患者の血中に血液凝固第8因子に対するインヒビター発生するおそれがある。
特に、血液凝固第8因子製剤による補充療法開始後、投与回数が少ない時期(補充療法開始後の比較的早期)や短期間に集中して補充療法を受けた時期にインヒビター発生しやすいことが知られている。本剤を投与しても予想した止血効果が得られない場合には、インヒビター発生を疑い、血液凝固第8因子回収率や血液凝固第8因子に対するインヒビターの検査を行うなど注意深く対応し、適切な処置を行うこと。
8.3. 必要に応じて、十分な血液凝固第8因子レベルに到達・維持していることを確認すること。なお、本剤の活性(力価)は活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)に基づく凝固一段法(アクチンFS試薬を用いるものを除く)により決定されており、発色合成基質法又はアクチンFS試薬を用いる凝固一段法により血漿中血液凝固第8因子活性を測定した場合、測定結果が見かけ上高値を示すことが確認されていることから、発色合成基質法又はアクチンFS試薬を用いる凝固一段法により得られた血液凝固第8因子レベルについては2.5で除して補正すること〔7.1参照〕。
8.4. 本剤の在宅自己注射は、医師がその妥当性を慎重に検討し、患者又はその家族が適切に使用可能と判断した場合にのみ適用すること。本剤を在宅自己注射で処方する際には、使用方法等の患者教育を十分に実施した後、在宅にて適切な治療が行えることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。また、患者又はその家族に対し本剤の注射により発現する可能性のある副作用等についても十分説明し、在宅自己注射後何らかの異常が認められた場合や注射後の止血効果が不十分な場合には速やかに医療機関へ連絡するよう指導すること。在宅自己注射適用後、自己注射の継続が困難な場合には、医師の管理下で慎重に観察するなど、適切な対応を行うこと。
9.1.1. 本剤の成分又は他の血液凝固第8因子製剤に対し過敏症の既往歴のある患者。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明):じん麻疹、悪寒、血管浮腫、呼吸困難、血圧低下、頻脈等の症状が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.2. その他の副作用
1). 神経系障害:(10%以上)頭痛。
2). 胃腸障害:(1%以上~10%未満)嘔吐。
3). 筋骨格系及び結合組織障害:(10%以上)関節痛、(1%以上~10%未満)四肢痛、背部痛。
4). 一般・全身障害及び投与部位の状態:(1%以上~10%未満)発熱。
高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(一般に高齢者では生理機能が低下している)。
授乳婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(生殖発生毒性試験は実施していない)。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
適用上の注意
14.1. 薬剤調製時の注意14.1.1. 本剤及び添付溶解液を冷所保存している場合、調製前に室温に戻しておくこと。
14.1.2. 添付された溶解液のみ使用すること。本剤に溶解液全量を加えた後、静かに円を描くように回して溶解する(激しく振とうしない)。
14.1.3. 他の製剤と混合しないこと。
14.1.4. 溶解した液を注射器に移す場合、添付のフィルター付バイアルアダプターを用いること。
14.1.5. 溶解した液は、室温(30℃まで)で3時間保存することができる(3時間以内に使用されない場合は、廃棄する)。
14.1.6. 使用後の残液は細菌感染のおそれがあるので使用しないこと。
14.2. 薬剤投与時の注意14.2.1. 他剤と同じチューブを使用しないこと(また、他剤に使用した容器で、本剤と希釈液を混合しないこと)。
14.2.2. 溶解した液は澄明で、無色~微乳白色を呈する(沈殿又は濁りが認められる場合、使用しない)。
14.3. 薬剤交付時の注意14.3.1. 患者が家庭で保存する場合においては、冷蔵庫内で保存することが望ましいが、室温(30℃以下)で保存することもでき、室温で保存した場合には、使用期限を超えない範囲で6ヵ月以内に使用し、再び冷蔵庫に戻さないように指導すること。
14.3.2. 子供による誤用等を避けるため、薬剤の保管に十分注意すること。
14.3.3. 光の影響を防ぐために、薬剤バイアルは外箱に入れた状態で保存すること。
14.3.4. 使用済みの医療機器等の処理については、主治医の指示に従うこと。

16.1 血中濃度
16.1.1 成人(日本人及び外国人)
18歳以上の日本人及び12歳以上の外国人の重症血友病A患者を対象に、50国際単位/kgの本剤を単回静脈内投与した際の薬物動態パラメータは次のとおりであった。
→図表を見る(PDF)

16.1.2 小児及び成人(日本人及び外国人)
重症血友病A患者(日本人12例を含む)を対象に、50国際単位/kgの本剤を単回又は週1回反復静脈内投与した際の薬物動態パラメータは次のとおりであり、全ての年齢層において半減期が延長し、血液凝固第VIII因子活性が高く維持された。なお、定常状態におけるPKプロファイルは単回投与した際のPKプロファイルと同様であった。
本剤を単回投与した際の薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)

本剤を反復投与した際の定常状態における薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)

16.1.3 他剤との比較(外国人)
18歳以上の外国人の重症血友病A患者13例を対象に、50国際単位/kgの本剤及び対照薬(ルリオクトコグ アルファ及びルリオクトコグ アルファ ペゴル)を単回静脈内投与した際の本剤の平均消失半減期は、ルリオクトコグ アルファ及びルリオクトコグ アルファ ペゴルと比較して3.94及び2.82倍であった。

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国際共同第III相試験(EFC16293試験)
12歳以上の治療歴のある重症血友病A患者159例(日本人被験者12例を含む)を対象に、週1回50国際単位/kgの定期的な投与(定期補充療法)の有効性、出血時及び周術期の止血効果を評価した。
(1)定期的な投与(定期補充療法)における有効性
本試験前の治療が血液凝固第VIII因子製剤の定期的な投与であった被験者は、本剤の週1回50国際単位/kgを52週間にわたって定期的に投与された(Arm A)。本試験前の治療が血液凝固第VIII因子製剤の出血時投与であった被験者は、本剤を26週間にわたって出血時に投与され(Arm B出血時投与)、その後の26週間にわたって週1回50国際単位/kgを定期的に投与された(Arm B定期的投与)。本試験の主要評価項目は、定期的な投与時(Arm A)の年間出血率とされ、各群における年間出血率及び出血ゼロの被験者の割合は次のとおりであった。
→図表を見る(PDF)

さらに、本試験への組入れ前に実施した観察研究において観察研究実施時点で使用可能な血液凝固第VIII因子製剤(既存血液凝固第VIII因子製剤)の定期的な投与を受けていた患者について、本試験における本剤の定期的な投与時及び観察研究における既存血液凝固第VIII因子製剤の定期的な投与時の年間出血率平均値(95%信頼区間)は0.69(0.43、1.11)及び2.96(2.00、4.37)、年間出血率中央値(最小値、最大値)は0.00(0.0、11.0)及び1.06(0.0、35.6)であった。
(2)出血時の止血効果
362件の出血のうち96.7%(350/362件)が、本剤1回の投与により止血した。また、本剤の止血効果が評価された334件の出血のうち、94.9%(317/334件)が著効又は有効であった。
(3)周術期の止血効果
11例の被験者において、12件の大手術が実施された。すべての大手術において、止血効果は著効と評価された。
(4)安全性
安全性評価対象例159例中60例(37.7%)に副作用が認められた。副作用の内訳は、頭痛32例(20.1%)、関節痛26例(16.4%)、背部痛9例(5.7%)、四肢痛5例(3.1%)、嘔吐2例(1.3%)及び発熱1例(0.6%)であった。
17.1.2 海外第III相試験(EFC16295試験)
12歳未満の治療歴のある重症血友病A患者74例(1~5歳38例、6~11歳36例)を対象に、週1回50国際単位/kgの定期的な投与(定期補充療法)の安全性及び有効性、出血時及び周術期の止血効果を評価した。
(1)定期的な投与(定期補充療法)における有効性
本剤を週1回50国際単位/kgで定期的に投与した際の年間出血率及び出血ゼロの被験者の割合は次のとおりであった注)。
→図表を見る(PDF)

(2)出血時の止血効果注)
43件の出血のうち95.3%(41/43件)が、本剤1回の投与により止血した。また、本剤の止血効果が評価された37件の出血のうち、97.3%(36/37件)が著効又は有効であった。
(3)周術期の止血効果
2例の被験者(ともに6歳未満)において、2件の大手術が実施された。すべての大手術において、止血効果は著効と評価された。
(4)安全性
安全性評価対象例74例中19例(25.7%)に副作用が認められた。副作用の内訳は、発熱9例(12.2%)、関節痛5例(6.8%)、四肢痛5例(6.8%)、嘔吐5例(6.8%)及び頭痛3例(4.1%)であった。
注)長期間にわたり規定どおりの定期補充療法が行われなかった1例を除く。

18.1 作用機序
本剤は、内因性血液凝固第VIII因子と類似の機能的特性を有しており、第VIII因子欠乏を一時的に補正し出血傾向を是正する。本剤に含まれるvon Willebrand因子(VWF)のD’D3領域により分解から保護され安定性が増し、内因性VWFの影響を受けず消失半減期が延長する。また本剤のヒト免疫グロブリンG1のFc領域により、胎児型Fc受容体と結合して血液中の免疫グロブリンのように再利用を受け、さらにXTENポリペプチド部分により血中動態が変化することで、血液凝固第VIII因子活性が長時間維持される。
18.2 止血効果(in vivo試験)
血友病Aマウスの尾出血モデルにおいて、本剤の止血効果が認められた。このとき、本剤の消失半減期の延長と相関して血漿中第VIII因子活性の延長が認められた。

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