エジャイモ点滴静注1.1g

添付文書情報2022年09月改定(第3版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 警告
- 1.1. 本剤は古典的補体経路を阻害するため、髄膜炎菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌等の莢膜形成細菌による重篤な感染症を発症することがあり、特に髄膜炎菌感染症は急激に重症化し、死亡に至るおそれもあるため、次の点に十分注意すること〔5.1、9.1.1、9.1.2、11.1.1、11.1.2参照〕。
1.1.1. 本剤の投与に際しては、髄膜炎菌等による感染症の初期徴候(発熱、頭痛、項部硬直等)に注意して観察を十分に行い、髄膜炎菌等の感染症が疑われた場合には、直ちに診察し、抗菌剤の投与等の適切な処置を行うこと。
1.1.2. 原則、本剤投与前に髄膜炎菌及び肺炎球菌に対するワクチンを接種すること(必要に応じてワクチンの追加接種を考慮すること)。
1.1.3. 髄膜炎菌感染症は致命的な経過をたどることがあるので、緊急時に十分に措置できる医療施設及び医師のもとで、あるいは髄膜炎菌感染症の診断及び治療が可能な医療施設との連携下で投与すること。
1.1.4. 髄膜炎菌等の感染症のリスクについて患者に説明し、感染症の初期徴候を確実に理解させ、感染症に関連する症状が発現した場合には、主治医に連絡するよう患者に注意を与えること。
1.2. 本剤は、寒冷凝集素症に十分な知識を持つ医師のもとで、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。また、本剤投与開始に先立ち、本剤は疾病を完治させる薬剤ではないことを含め、本剤の有効性及び危険性を患者又はその家族に十分説明し、同意を得てから投与すること〔5.1参照〕。
- 禁忌
- 2.1. 髄膜炎菌感染症に罹患している患者[症状を悪化させるおそれがある]。
2.2. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
- 効能・効果
- 寒冷凝集素症。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 本剤は、古典的補体経路を阻害するため、髄膜炎菌をはじめとする莢膜形成細菌による感染症が発症しやすくなる可能性があることから、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、本剤投与の是非を慎重に検討し、適切な対象患者に使用すること。また、本剤投与に際しては、原則、本剤投与開始の少なくとも2週間前までに髄膜炎菌及び肺炎球菌に対するワクチンを接種すること〔1.1、1.2、9.1.1、9.1.2、11.1.1、11.1.2参照〕。
5.2. 本剤の投与を開始する際には、溶血のため赤血球輸血が必要と考えられる患者を対象とすること。
- 用法・用量
- 通常、成人にはスチムリマブ(遺伝子組換え)として、1回6.5g又は7.5gを点滴静注する。初回投与後は、1週後に投与し、以後2週間の間隔で投与する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 本剤の投与量は、体重75kg未満の場合は6.5g、体重75kg以上の場合は7.5gを目安にすること。
7.2. 最終投与からの期間が17日以内で規定の投与間隔を超えた場合は、可能な限り早期に投与し、その後は用法及び用量の投与間隔を遵守すること。最終投与からの期間が17日を超える場合は、本剤の血中濃度の低下によりブレイクスルー溶血をきたすおそれがあり、初回投与に準じた用法及び用量の投与スケジュールで治療を再開すること。
- 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1. 髄膜炎菌感染症の既往のある患者:髄膜炎菌感染症に罹患しやすくなるおそれがある〔1.1、5.1、11.1.2参照〕。
9.1.2. 感染症の患者又は感染症が疑われる患者:特に莢膜形成細菌(髄膜炎菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌等)による感染症が悪化するおそれがある〔1.1、5.1、11.1.1、11.1.2参照〕。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 感染症(頻度不明):肺炎球菌感染、インフルエンザ菌感染等による重篤な感染症があらわれることがある〔1.1、5.1、9.1.2参照〕。
11.1.2. 髄膜炎菌感染症(頻度不明):髄膜炎又は敗血症を発症し、急激に重症化し、死亡に至るおそれもあるので、本剤の投与に際しては、当該感染症の初期徴候(発熱、頭痛、項部硬直、羞明、精神状態変化、痙攣、悪心・嘔吐、紫斑、点状出血等)等の観察を十分に行うこと(髄膜炎菌感染症が疑われた場合には、直ちに診察し、抗菌剤の投与等の適切な処置を行うこと)〔1.1、5.1、9.1.1、9.1.2参照〕。
11.1.3. Infusion reaction(頻度不明):ショック、アナフィラキシー等があらわれることがある。
- 11.2. その他の副作用
1). 血管障害:(5%以上)高血圧。
2). 全身及び投与局所:(5%以上)注入に伴う反応。
3). 心臓障害:(5%未満)チアノーゼ。
4). 胃腸障害:(5%未満)腹部膨満。
5). 感染症:(5%未満)細菌性膀胱炎。
6). 筋骨格:(5%未満)腱炎。
7). 呼吸器:(5%未満)鼻漏。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(IgGモノクローナル抗体は胎盤関門を通過することが知られている)。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(本剤のヒト乳汁中への移行は検討されていないが、ヒトIgGは乳汁中に移行することが知られている)。
- 小児等
- 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤調製時の注意14.1.1. 本剤は無菌的に希釈調製を行うこと。
14.1.2. 薬液の入ったバイアルを振とうしないこと。
14.1.3. 薬液に微粒子及び変色がないか、目視検査を行い、変色あるいは異物を認めた場合は使用しないこと。
14.1.4. 必要量をバイアルから抜き取り、日局生理食塩液を加えて、総量として500mLになるように希釈する。
14.1.5. 希釈後は速やかに使用すること(なお、調製した溶液を直ちに使用しない場合は、2~8℃での保存では48時間以内に、常温保存では16時間以内に使用すること)。
14.1.6. 希釈した液を投与前に室温になるまで放置すること。
14.1.7. バイアル中の残液は廃棄すること。
14.2. 薬剤投与時の注意14.2.1. 0.2又は0.22μmのフィルターを使用すること。
14.2.2. 同一の点滴ラインを使用して他剤<日局生理食塩液を除く>を併用同時投与しないこと。
14.2.3. 希釈した液の投与速度は体重70kg未満、70kg以上に対し、最大でそれぞれ250mL/時、500mL/時を目安にし、急速投与は行わないこと。
20.1. 外箱開封後は遮光して保存すること。
20.2. 本剤を凍結したり、振とうしたりしないこと。
- その他の注意
- 15.1. 臨床使用に基づく情報15.1.1. 先天的な古典的補体経路の補体成分の欠損は、全身性エリテマトーデスの発症との関連が報告されている。
15.1.2. 第3相試験で本剤を投与した患者24例において、抗体の産生は報告されなかった。
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与(第I相)
健康日本人被験者にスチムリマブ30mg/kg、60mg/kg又は100mg/kgを単回静脈内投与した注1)。血漿中スチムリマブ濃度推移及び薬物動態パラメータを次に示した。
注1)本剤の承認用量は、1回6.5gあるいは7.5gである。
図:健康日本人被験者にスチムリマブ30mg/kg、60mg/kg又は100mg/kgを単回静脈内投与したときの血漿中濃度推移(平均値±SE)
表1:健康日本人被験者にスチムリマブ30mg/kg、60mg/kg又は100mg/kgを単回静脈内投与したときの薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
16.1.2 反復投与(第I相)
健康日本人被験者を体重で層別化し、1日目、8日目及び22日目にスチムリマブ6.5g(体重75kg未満の被験者)又は7.5g(体重75kg以上の被験者)を静脈内投与した。薬物動態パラメータを次に示した。
表2:日本人健康被験者に6.5g又は7.5gを反復静脈内投与したときの薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
16.1.3 患者における血中濃度(国際共同第III相)
寒冷凝集素症患者にスチムリマブ6.5g(体重75kg未満の被験者)又は7.5g(体重75kg以上の被験者)を初回、1週後、以降2週間の間隔で26週間静脈内投与した。定常状態における投与前(トラフ濃度)及び静脈内投与終了後1時間(ピーク濃度)を次に示した。
表3:寒冷凝集素症患者に6.5g又は7.5gを反復投与したときの定常状態におけるスチムリマブ濃度
→図表を見る(PDF)
スチムリマブ投与開始後7週目で定常状態に達し、蓄積比は2未満であった。
16.3 分布
母集団薬物動態解析により本剤の寒冷凝集素症患者での定常状態における分布容積は約5.8Lであった。
16.4 代謝
本剤は抗体であるため、タンパク質分解によって小さなペプチド及び各アミノ酸に分解される。
16.5 排泄
母集団薬物動態解析により本剤の終末相における消失半減期は21日であった。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国際共同第III相非盲検単群試験
18歳以上の試験登録前6ヵ月以内に輸血歴のある特発性寒冷凝集素症患者24例(日本人患者3例を含む)を対象とした多施設共同非盲検単群試験が実施された。なお、試験登録前5年以内の接種歴がない場合には髄膜炎菌、肺炎球菌及びインフルエンザ菌b型に対するワクチン接種を必須とした(国内においては、インフルエンザ菌b型に対する推奨されているワクチンの適応年齢は5歳未満であることから、ワクチンの接種を不要とした)。用法・用量は、スチムリマブ6.5g(体重39kg以上75kg未満の被験者)又は7.5g(体重75kg以上の被験者)を初回、1週後、以後は2週間の間隔で静脈内投与した。
主要評価項目である次のすべての基準(レスポンダー基準)を達成した患者の割合[95%信頼区間]は、54.2[32.8、74.4]%(13/24例)であり、95%信頼区間の下限が事前に設定した閾値30%を上回った。
・治療評価時点におけるヘモグロビン濃度が12g/dL以上、又はベースラインからの変化量が2g/dL以上増加
・治療5週から26週の間で輸血による治療がない
・治療5週から26週の間に治験実施計画書で規定した以外の寒冷凝集素症に対する治療を受けていない
表4:有効性の結果
→図表を見る(PDF)
53週データカットオフ日までの副作用は、37.5%(9/24例)に認められた。主な副作用は、チアノーゼ及び注入に伴う反応(各2名[8.3%])であった。
18.1 作用機序
スチムリマブはヒト古典的補体経路C1sに対する遺伝子組換えヒト化IgG4モノクローナル抗体であり、C1sのC4への開裂を阻害することで、寒冷凝集素症患者における古典的補体経路を介した溶血を抑制する。なお、レクチン経路及び代替経路には作用しない。
- 製造販売会社
- サノフィ
- 販売会社
おくすりのQ&A
わからないことがあったら、
気軽にすぐ質問しよう!
このコミュニティは、各種法令・通達が実務の現場で実際にはどう運用されているのか情報共有に使われることもあります。解釈に幅があるものや、関係機関や担当者によって対応が異なる可能性のあることを、唯一の正解であるかのように断言するのはお控えください。「しろぼんねっと」編集部は、投稿者の了承を得ることなく回答や質問を削除する場合があります。