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ベナンバックス注用300mg

販売名
ベナンバックス注用300mg
薬価
300mg1瓶 6510.00円
製造メーカー
サノフィ

添付文書情報2023年04月改定(第1版)

商品情報

薬効分類名
その他の抗原虫剤
一般名
ペンタミジンイセチオン酸塩注射用
規制区分
  • 特生
  • 特承
  • 覚原
警告
重篤な低血圧、低血糖及び不整脈があらわれることがあるので、「6.用法及び用量」、使用上の注意に特に留意し、このような症状が発現した場合は直ちに本薬の投与を中止し、再投与しないこと〔8.3、8.4、9.1.1、9.1.2、9.1.5、11.1.5、11.1.6参照〕。
禁忌
2.1. 〈投与経路共通〉本剤に対する過敏症の既往歴のある患者。
2.2. 〈投与経路共通〉ザルシタビン投与中の患者〔10.1参照〕。
2.3. 〈投与経路共通〉ホスカルネットナトリウム投与中の患者〔10.1参照〕。
2.4. 〈投与経路共通〉アミオダロン<注射剤>投与中の患者〔10.1参照〕。
2.5. 〈吸入投与〉換気障害が重症<PaO2:60mmHg以下>の患者[換気障害のため、薬剤の十分な拡散が得られないことがある]。
効能・効果
カリニ肺炎。
(効能又は効果に関連する注意)
本剤による重篤な副作用報告があるので、カリニ肺炎と確定診断された患者若しくは臨床的にカリニ肺炎が強く疑われる患者において、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する。なお、投与に際しては使用上の注意、「6.用法及び用量」を厳守すること。
用法・用量
〈静脈内・筋肉内投与〉
通常、ペンタミジンイセチオン酸塩として4mg/kgを1日1回投与する。
(1). 静脈内点滴投与
日局注射用水3~5mLに溶解した後、日局ブドウ糖注射液又は日局生理食塩液50~250mLに希釈し、1~2時間かけて点滴静注する。
(2). 筋肉内投与
日局注射用水3mLに溶解した後、2箇所以上の部位に分けて筋注する。
〈吸入投与〉
通常、ペンタミジンイセチオン酸塩として300~600mgを日局注射用水(1バイアルにつき3~5mL)に溶解し、吸入装置を用いて1日1回30分かけて投与する。吸入装置は5μm以下のエアロゾル粒子を生成する能力を有する超音波ネブライザー又はコンプレッサー式ネブライザー等を使用すること。なお、吸入装置により霧化能力、薬液槽容量が異なるので、使用する機種に応じて薬液を日局注射用水で適切な量に希釈して用いること。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 14日間以上の投与は、腎機能障害等の副作用による危険性に対して治療上の有益性が上回ると判断した場合にのみ行うこと。
肝機能障害患者
8.1. 〈投与経路共通〉血液障害、ショック等を予測するため十分な問診を行うこと〔11.1.1参照〕。
8.2. 〈投与経路共通〉本剤投与前、投与中及び投与後を通じて、臨床検査(血液検査、肝機能検査、腎機能検査、心電図検査等)を行うこと〔9.2腎機能障害患者、9.3肝機能障害患者の項、11.1.4、11.1.5参照〕。
8.3. 〈投与経路共通〉本剤投与後、突然重度低血圧が起こることがあるので、患者の基礎血圧値をあらかじめ測定し、投与時には必ず患者を横臥させること(各回投与時並びに治療期間中一定の間隔で血圧を測定すること)〔1.警告の項、9.1.1、11.1.5参照〕。
8.4. 〈投与経路共通〉本剤投与後、重度低血糖、また、高血糖、糖尿病が起こることがあるので、治療期間中及び治療後も血糖値を測定、監視すること〔1.警告の項、9.1.2、11.1.6、11.1.7参照〕。
8.5. 〈吸入投与〉吸入中に気管支痙攣が起こることがある(このような場合には、β-刺激性気管支拡張剤の投与が有効である)。吸入中、気管支収縮は喫煙者や気管支喘息の患者で起こりやすく、β-刺激性気管支拡張剤の前投与により気管支痙攣が予防できるとの海外での報告がある。
9.1.1. 低血圧症又は高血圧症の患者:症状を悪化させるおそれがある〔1.警告の項、8.3、11.1.5参照〕。
9.1.2. 低血糖症又は高血糖症の患者:膵臓のβ細胞に作用し、症状を悪化させるおそれがある〔1.警告の項、8.4、11.1.6、11.1.7参照〕。
9.1.3. 白血球減少、血小板減少、貧血のある患者:症状を悪化させるおそれがある。
9.1.4. 低カルシウム血症の患者:症状を悪化させるおそれがある。
9.1.5. 冠疾患の患者、心室性不整脈の既往のある患者、低カリウム血症の患者、低マグネシウム血症の患者、又は徐脈の患者:QT延長及びTorsade de pointesを含む重篤な心室性不整脈が起こるおそれがある〔1.警告の項、10.1、10.2、11.1.5参照〕。
腎機能障害患者:腎機能障害を悪化させるとともに副作用も発現しやすくなるおそれがある〔8.2、11.1.4参照〕。
肝機能障害患者:肝機能障害を悪化させるとともに副作用も発現しやすくなるおそれがある〔8.2参照〕。
相互作用
10.1. 併用禁忌:1). ザルシタビン<ハイビッド>〔2.2参照〕[カリニ肺炎の治療のため本剤が必要になった場合は、ザルシタビンを休薬すること;海外で本剤(静注)との併用により劇症膵炎による死亡例が報告されている(機序不明)]。
2). ホスカルネットナトリウム<ホスカビル>〔2.3、11.1.4参照〕[腎障害の増強、低カルシウム血症が起こることがある;なお、海外で本剤(静注)との併用により、重篤な低カルシウム血症が発現した死亡例が報告されている(相加的に副作用(腎障害、低カルシウム血症)が増強する)]。
3). アミオダロン<注射剤><アンカロン注>〔2.4、9.1.5、11.1.5参照〕[併用によりTorsade de pointesのリスクが増加する(併用によりQT延長作用が相加的に増強すると考えられる)]。
10.2. 併用注意:QT延長を起こすおそれのある薬剤〔9.1.5、11.1.5参照〕[QT延長及びTorsade de pointesを含む重篤な心室性不整脈が起こるおそれがある(併用によりQT延長作用が増強すると考えられる)]。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. ショック(0.2%)・アナフィラキシー(頻度不明)〔8.1参照〕。
11.1.2. Stevens-Johnson症候群(皮膚粘膜眼症候群)(頻度不明)。
11.1.3. 錯乱・幻覚(0.2%)。
11.1.4. 急性腎障害(0.7%):急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがある〔8.2、9.2腎機能障害患者の項、10.1参照〕。
11.1.5. 低血圧(2.2%)、QT延長(頻度不明)、心室性不整脈(0.5%)、高度徐脈(頻度不明):重篤な低血圧、QT延長、心室性不整脈(Torsadede pointesを含む)があらわれることがあるので、このような症状が発現した場合には直ちに本薬の投与を中止し、再投与しないこと。また、高度徐脈があらわれることがある〔1.警告の項、8.2、8.3、9.1.1、9.1.5、10.1、10.2参照〕。
11.1.6. 低血糖(5.4%):重篤な低血糖があらわれることがあるので、このような症状が発現した場合には直ちに本薬の投与を中止し、再投与しないこと〔1.警告の項、8.4、9.1.2参照〕。
11.1.7. 高血糖、糖尿病(いずれも頻度不明):高血糖、糖尿病があらわれることがあるので、このような症状が発現した場合には投与を中止し、インスリンなどの適切な処置を行うこと〔8.4、9.1.2参照〕。
11.1.8. 膵炎(0.5%)。
11.2. その他の副作用
1). 心・血管系:(0.2%以上~5%未満)心室性頻脈、心電図ST異常。
2). 血液:(0.2%以上~5%未満)白血球減少、血小板減少、貧血。
3). 代謝異常:(0.2%以上~5%未満)K異常・Na異常・Cl異常、(0.2%未満)Ca異常・Mg異常。
4). 過敏症:(0.2%以上~5%未満)発疹、発熱。
5). 神経系:(0.2%以上~5%未満)しびれ感、めまい、(0.2%未満)失神、神経痛。
6). 呼吸器:(0.2%以上~5%未満)吸入投与時に、咳嗽、気管支痙攣、咽頭刺激、(頻度不明)呼吸困難、喘鳴。
7). 消化器:(5%以上)悪心・嘔吐[静脈内・筋肉内投与:12.0%、吸入投与:4.7%]、(0.2%以上~5%未満)腹痛、下痢、味覚障害、食欲不振。
8). 腎臓:(5%以上)BUN上昇[静脈内・筋肉内投与:6.3%、吸入投与:1.6%]、(0.2%以上~5%未満)血清クレアチニン上昇、血尿、無尿、乏尿。
9). 肝臓:(0.2%以上~5%未満)AST上昇・ALT上昇・Al-P上昇、黄疸。
10). 投与部位:(0.2%以上~5%未満)静脈内又は筋肉内投与時に、局所の膿瘍、壊死、疼痛、硬結、(0.2%未満)静脈内又は筋肉内投与時に、局所不快感。
11). その他:(0.2%以上~5%未満)静脈炎、CK上昇、LDH上昇、(0.2%未満)顔面潮紅。
発現頻度は使用成績調査を含む。
高齢者
定期的に検査を行うなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(一般に生理機能が低下している)。
授乳婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(動物実験で母体死亡、胎仔毒性(後期死亡仔数増加、胎仔化骨遅延)が報告されている)。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
適用上の注意
14.1. 薬剤調製時の注意14.1.1. 〈投与経路共通〉生理食塩液やブドウ糖液等で直接溶解すると懸濁・固化するおそれがあるので本剤の溶解には必ず日局注射用水を用いること。
14.1.2. 〈投与経路共通〉溶解後の未使用残留分は廃棄すること。
14.1.3. 〈静脈内・筋肉内投与〉静脈内・筋肉内投与の場合、溶解液をさらに日局生理食塩液や日局ブドウ糖注射液で希釈してもよいが、それ以外の注射液とは混合または希釈して使用しないこと。
14.1.4. 〈吸入投与〉吸入投与の場合、溶解液を他の薬剤と混合して使用しないこと。
14.1.5. 〈吸入投与〉吸入投与の場合、換気性の良い部屋を使用し、取り扱い者は防護手段(手袋、マスク等)を講じ、できる限り被曝されないようにすること。
14.2. 薬剤投与時の注意14.2.1. 〈筋肉内投与〉筋肉内投与時神経走行部位を避けるように注意して注射すること。
14.2.2. 〈筋肉内投与〉注射針を刺入したとき、激痛を訴えたり、血液の逆流をみた場合には直ちに針を抜き、部位をかえて注射すること。
14.2.3. 〈吸入投与〉粒子径は効果に影響を及ぼすので、投与にあたっては注意すること。
その他の注意
15.1. 臨床使用に基づく情報15.1.1. 海外において、リーシュマニア症に対して筋肉内投与した場合に、横紋筋融解症が報告されている。
15.1.2. 後天性免疫不全症候群(AIDS)患者のカリニ肺炎治療において、本薬を吸入投与した患者では静脈内投与した患者に比べ治療効果が低いとの海外報告がある。

16.1 血中濃度
〈静脈内・筋肉内投与〉
外国人男性の後天性免疫不全症候群(AIDS)患者に単回筋肉内(n=6)あるいは単回静脈内(n=6)投与時の薬物動態学的パラメーターは次のとおりである。
薬物動態学的パラメーター(平均±S.D.)
→図表を見る(PDF)

〈吸入投与〉
外国人男性AIDS患者13例にネブライザーを用いて単回吸入投与時の血漿中及び気管支肺胞洗浄液中濃度は次のとおりである。
→図表を見る(PDF)

16.5 排泄
16.5.1 尿中排泄
外国人男性AIDS患者に単回筋肉内(n=5)あるいは単回静脈内(n=4)投与時の尿中排泄パラメーターは次のとおりである。
→図表を見る(PDF)

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内臨床試験
国内において、本剤を2~4mg/kg、1日1回、10~14日間の静脈内・筋肉内投与及び300~600mgを蒸留水に溶解しネブライザーを用いた吸入投与による臨床試験は35例(うちカリニ肺炎確診14例)を対象として実施され、カリニ肺炎確診14例における治癒率(生存率)は64.3%(14例中9例が生存)であった。なお、全症例の治癒率(生存率)は48.6%(35例中17例)であった。全症例での投与経路別治癒率(生存率)は吸入投与単独では80.0%(5例中4例)、静脈内・筋肉内投与単独では31.8%(22例中7例)、静脈内・筋肉内投与と吸入投与の混合では75.0%(8例中6例)であった。また、AIDS患者が9例(カリニ肺炎確診7例、カリニ肺炎疑診2例)あり、そのうち8例(確診6例、疑診2例)が救命された。
投与経路別の副作用は、吸入投与単独では5例中3例(60.0%)に発現し、蕁麻疹、悪心、嘔吐、食欲不振及び腎障害各1件(20.0%)であった。静脈内・筋肉内投与単独では22例中9例(40.9%)に発現し、主な副作用としては、腎障害4件(18.2%)、嘔吐及び血糖値異常各2件(9.1%)がみられた。また、静脈内・筋肉内投与と吸入投与の混合では8例中5例(62.5%)に発現し、咳嗽4件(50.0%)、白血球減少2件(25.0%)、喘息様症状、咽頭刺激、口のまわりの違和感及び発熱各1件(12.5%)がみられた。

18.1 作用機序
ペンタミジンイセチオン酸塩はin vitroでニューモシスチス・カリニのグルコース代謝及び蛋白質合成を抑制し、マウス実験腫瘍のDNA合成、RNA合成、蛋白質合成、リン脂質合成及びヌクレオチド合成を抑制し、ジヒドロ葉酸脱水素酵素(DHFR)活性をin vitro及びin vivo(ラット)で抑制した。
18.2 薬理作用
ペンタミジンイセチオン酸塩は、in vitroにおいて、カリニ肺炎発症ラットの肺より分離されたニューモシスチス・カリニに対して、致死的作用を有することが示唆された。

製造販売会社
サノフィ
販売会社
 

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