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プロチレリン酒石酸塩注0.5mg「NP」

後発医薬品
販売名
プロチレリン酒石酸塩注0.5mg「NP」
薬価
0.5mg1管 364.00円
製造メーカー
ニプロ

添付文書情報2023年11月改定(第1版)

商品情報

薬効分類名
内分泌機能検査用試薬
一般名
プロチレリン酒石酸塩0.5mg注射液

-

効能・効果
1). 次記疾患に伴う昏睡・半昏睡を除く遷延性意識障害:頭部外傷、くも膜下出血(ただし意識障害固定期間3週以内)。
2). 脊髄小脳変性症における運動失調の改善。
3). 下垂体TSH分泌機能検査。
①. 採血時間:本剤注射前と注射後30分に採血するが、必要に応じて、更に経時的に採血する。
②. 測定方法:TSH測定キットを使用し、ラジオイムノアッセイ法により測定する。
③. 正常範囲:血中TSHの正常範囲はラジオイムノアッセイの操作法及び判定基準により若干異なるので、施設ごとに設定すべきであるが、通常、正常人では本剤投与後30分でピークに達し、血中TSH値は10μU/mL以上になる。また、投与前の血中TSH値は5μU/mL以下である。
用法・用量
〈遷延性意識障害(ただし、昏睡、半昏睡を除く)〉
通常、成人には疾患に応じて、次記の用量を1日1回10日間静注又は点滴静注する。
静脈内注射の場合は、生理食塩液、ブドウ糖注射液又は注射用水5~10mLに希釈して、徐々に注射する。
1). 頭部外傷:1回プロチレリン酒石酸塩水和物として0.732~2.92mg(プロチレリンとして0.5~2mg)。
2). くも膜下出血(ただし、意識障害固定期間3週以内):1回プロチレリン酒石酸塩水和物として2.92mg(プロチレリンとして2mg)。
〈脊髄小脳変性症〉
通常、成人には1日1回プロチレリン酒石酸塩水和物として0.732~2.92mg(プロチレリンとして0.5~2mg)を筋肉内又は静脈内に注射するが、重症例にはプロチレリン酒石酸塩水和物として2.92mg(プロチレリンとして2mg)を注射する。
2~3週間連日注射した後、2~3週間の休薬期間をおく。以後、これを反復するか、週2~3回の間歇注射を行う。静脈内注射の場合は、生理食塩液、ブドウ糖注射液又は注射用水5~10mLに希釈して、徐々に注射する。
〈下垂体TSH分泌機能検査〉
通常、成人には1回プロチレリン酒石酸塩水和物0.732mg(プロチレリンとして0.5mg)を静脈内又は皮下に注射する。静脈内注射の場合は、生理食塩液あるいは注射用水5~10mLに希釈して、徐々に注射する。
合併症・既往歴等のある患者
9.1.1. 心障害のある患者:本剤は一過性血圧上昇および一過性脈拍数上昇させることがある。
9.1.2. 遺伝性果糖不耐症の患者:本剤の添加剤D-ソルビトールが体内で代謝されて生成した果糖が正常に代謝されないため、低血糖、肝不全、腎不全等が誘発されるおそれがある。
9.1.3. 下垂体腺腫の患者〔11.1.3参照〕。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. ショック様症状(頻度不明):一過性血圧低下、意識喪失等があらわれることがある。
11.1.2. 痙攣(頻度不明)。
11.1.3. 下垂体卒中(頻度不明):下垂体腺腫患者に投与した場合、頭痛、視力障害・視野障害等を伴う下垂体卒中があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には外科的治療等適切な処置を行うこと〔9.1.3参照〕。
11.1.4. 血小板減少(頻度不明)。
11.2. その他の副作用
1). 循環器:(5%以上)脈拍数変動、熱感、顔面潮紅感、(0.1~5%未満)動悸、胸部圧迫感、血圧変動。
2). 消化器:(5%以上)悪心、(0.1~5%未満)心窩部不快感、嘔吐、食欲不振、腹痛、口渇、異味感。
3). 肝臓:(0.1~5%未満)ALT上昇、(0.1%未満)Al-P上昇、(頻度不明)AST上昇。
4). 血液:(0.1~5%未満)白血球減少、(0.1%未満)貧血。
5). 精神神経系:(0.1~5%未満)興奮、多弁、頭痛、めまい、しびれ感、(0.1%未満)振戦、不眠、(頻度不明)不安。
6). 過敏症:(0.1~5%未満)発疹、そう痒。
7). その他:(0.1~5%未満)尿意、発熱、発汗、悪寒、倦怠感、浮腫、(0.1%未満)排尿障害、(頻度不明)脱力感、咽頭違和感、乳房腫大、乳汁分泌。
授乳婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
適用上の注意
14.1. 薬剤投与時の注意14.1.1. 静脈内投与にあたってはできるだけゆっくり投与すること。急速に静脈内注射すると、一過性尿意、悪心、熱感等があらわれやすい。
14.1.2. 筋肉内注射にあたっては、組織・神経等への影響を避けるため、次記の点に注意すること。
(1). 筋肉内注射時同一部位への反復注射は行わないこと。
なお、小児には特に注意すること。
(2). 筋肉内注射時神経走行部位を避けるよう注意すること。
(3). 注射針を刺入したとき、激痛を訴えたり、血液の逆流をみた場合は、直ちに針を抜き、部位をかえて注射すること。
その他の注意
15.1. 臨床使用に基づく情報15.1.1. 本剤の連用により、TRHに対するTSH分泌反応が低下するので、定められた投与期間を標準として投与すること。
15.1.2. 本剤の連用によるTSH分泌反応低下は連用中止1週ないし2週後に回復するので、TRHテストを施行する場合はその後に行うこと。
15.1.3. 甲状腺ホルモン剤投与中、抗甲状腺剤投与中、副腎皮質ステロイド剤投与中の患者ではTRHに対するTSH分泌反応が変化することがある。

16.1 血中濃度
16.1.1 点滴静注時の血中濃度
健康成人にプロチレリンとして0.5、2mg(各4例)を120分間で点滴静注すると、血中プロチレリン濃度は投与開始15分後に0.5mg投与で663pg/mL(投与前値は126pg/mL)、2mg投与で3,150pg/mL(投与前値は101pg/mL)を示し、点滴中はほぼ同値を持続するが、終了後急速に低下する。0.5、2mg投与時の血中濃度の半減期はそれぞれ約18分、約9分である。
16.1.2 静注時の血中濃度
健康成人(10例)にプロチレリンとして2mgを静注すると、血中プロチレリン濃度は投与5分後に16,660pg/mLを示し、30分後には1,003pg/mL、120分後には19.3pg/mLと速やかに低下する。血中濃度の半減期は4.5分である。
16.1.3 筋注時の血中濃度
健康成人(5例)にプロチレリンとして2mgを筋注すると、血中プロチレリン濃度は、投与5分後に8,940pg/mLを示し、以後漸減するが、120分後でも283pg/mLであり、比較的長時間高値を持続する。血中濃度の半減期は19.6分である。
16.1.4 生物学的同等性試験
プロチレリン酒石酸塩注0.5mg「NP」とヒルトニン注射液のそれぞれ1mL(プロチレリンとして0.5mg)を、クロスオーバー法により健康成人男子に絶食時に単回筋肉内投与して血漿中未変化体濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC0→300min、Cmax)の平均値の差の95%信頼区間は±20%の範囲にあり、両剤の生物学的同等性が確認された。
薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)

血漿中プロチレリン濃度推移

血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。

17.1 有効性及び安全性に関する試験
〈遷延性意識障害(ただし、昏睡、半昏睡を除く)〉
17.1.1 国内臨床試験
昏睡、半昏睡を除く軽症遷延性意識障害患者を対象として、プロチレリン酒石酸塩水和物をプロチレリンとして1日0.5、2mgを10日間静注又は点滴静注した二重盲検比較対照試験において頭部外傷に伴う意識障害ではプロチレリン非投与群に比し2mg投与の有用性が、また、くも膜下出血に伴う意識障害では意識障害固定期間3週以内の症例に対し、2mg投与の有用性が認められている。
意識障害の症状別では、プロチレリン投与群で周囲の人への疎通性、場所に関する見当識等の改善が優れることが認められている。
〈脊髄小脳変性症〉
17.1.2 国内臨床試験
脊髄小脳変性症患者の内、小脳型運動失調(LCCA及びOPCA等)で発症後15年までの軽・中等症例(自力で起立・歩行が可能な例)を対象として、プロチレリンとして1日0.5mg又は2mgを15日間筋注した二重盲検比較対照試験においてプロチレリン非投与群に比し、全般改善度で2mg投与群が、失調改善度及び有用度で0.5mg投与群が優れ、症状別では2mg投与群における構音障害等の改善効果が高く、プロチレリンの有用性が認められている。
17.3 その他
〈遷延性意識障害(ただし、昏睡、半昏睡を除く)〉
17.3.1 一般臨床試験
健康成人にプロチレリンとして1日0.5mgを7日間静注、意識障害患者に1日0.5~2mgを10日間静注あるいは点滴静注するとプロチレリンに対するTSH分泌反応は低下するが、投与終了後1週あるいは2週で正常の反応に回復する。また、その他の下垂体前葉ホルモン(LH、FSH、GH、PRL)、甲状腺ホルモン(T3、T4)及び副腎皮質ホルモン(コルチゾール)に対しては、プロチレリン連用による影響は特に認められていない。
〈脊髄小脳変性症〉
17.3.2 一般臨床試験
脊髄小脳変性症患者にプロチレリンとして1日0.5mg又は2mgを3週間筋注又は静注すると2mg投与例でTSH及びT3の低下がみられるが、その他のホルモン(LH、FSH、GH、PRL、T4、コルチゾール)及び0.5mg投与例では影響は特に認められていない。

18.1 作用機序
甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンである。脳下垂体前葉での甲状腺刺激ホルモンTSH及びプロラクチンの産生を促進する。臨床的には、脳下垂体前葉でのTSH分泌能の診断薬として用いられる。他に脳エネルギー代謝改善作用を示すので、脳血管障害などの際の意識障害等に用いられる。
18.2 自発運動亢進作用
正常マウスに2.5mg/kg静注、下垂体摘出マウスに10mg/kg静注及び正常ラットに5mg/kg腹腔内投与により、自発運動亢進が認められる。この作用は、プロチレリンが中脳-辺縁系ドーパミンニューロン終末部位である側坐核におけるドーパミン活性を高めることによると考えられる。
18.3 覚醒促進作用
18.3.1 正常マウスに0.6mg/kg、正常ラットに2.4mg/kg、下垂体摘出ラットに2.4mg/kgの静注により、ペントバルビタール睡眠時間を短縮し、正常マウスに0.6mg/kg静注によりエタノール麻酔時間を短縮する。また、正常ラットに5mg/kg静注によりペントバルビタール前処置による脳内グルコース利用率の低下に拮抗する。
18.3.2 意識障害モデル動物(頭部外傷マウス、脳幹圧迫ネコ、視床下部電気破壊ネコ)において、0.16mg/kg~5mg/kg静注により行動上及び脳波上覚醒反応が早期に認められる。
18.4 脳波賦活作用
正常ネコに0.1mg/kg静注により脳波賦活作用を示し、その作用点は視床下部及び脳幹であると考えられる。
18.5 運動失調改善作用
遺伝性運動失調マウスであるRolling mouse Nagoyaに25mg/kg腹腔内投与、また、シトシンアラビノシドによる小脳変性運動失調ラットに5又は10mg/kg腹腔内投与により、運動量の増加とともに転倒回数の減少等運動失調改善作用が認められる。この作用は小脳内ノルアドレナリン代謝回転の促進作用によるものと考えられる。なお、小脳サイクリックヌクレオチド(c‐GMP、c‐AMP)の増加も一部関与していると考えられる。
18.6 下垂体TSH分泌作用
健康成人にプロチレリンとして0.5mgを静脈内あるいは皮下に単回投与すると、血中TSH値は30分後にピーク値を示し、その後漸減した。その他の下垂体前葉ホルモンのうちLH、FSH、GHにはほとんど影響を及ぼさないが、プロラクチン(PRL)には分泌促進作用を示し、投与15分後にピーク値を示し、120分後にほぼ前値に回復する。

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