オフサグリーン静注用25mg
添付文書情報2021年08月改定(第1版)
商品情報
- 禁忌
- 2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.2. ヨード過敏症の既往歴のある患者[本剤はヨウ素を含有しているため、ヨード過敏症を起こすおそれがある]。
- 効能・効果
- 網脈絡膜血管造影。
(効能又は効果に関連する注意)
網脈絡膜疾患の診断にあたって、診断を確定し治療方針を決定するには、病態とその部位を明確にする必要があり、眼底造影が必要になる。検眼鏡所見で網脈絡膜疾患が疑われる場合、通常病変部位を明確にするためフルオレセイン蛍光眼底造影をまず行いその後必要に応じインドシアニングリーン蛍光眼底造影を実施するが、初回検査後の経過観察ではインドシアニングリーン蛍光眼底造影のみを実施することもある。
- 用法・用量
- インドシアニングリーンとして、成人には25mgを注射用水2mLに溶解し、通常肘静脈より速やかに注射する。
- 合併症・既往歴等のある患者
- 8.1. ショックを起こすことがあるので、適応の選択を慎重に行い、診断上本検査が必要の場合には、使用に際して次の点に留意すること〔9.1.1参照〕。
8.1.1. ショック等の反応を予測するため、十分な問診を行うこと。また、本剤によるショック等の重篤な副作用は、ヨウ素過敏反応によるものとは限らず、それを確実に予知できる方法はないので、投与に際しては必ず血管確保や救急用医薬品・器具等の救急処置の準備を行うこと〔11.1.1参照〕。
8.1.2. 本剤が不溶のまま注入されると、悪心、発熱、ショック様症状等を起こすおそれがあるので、必ず添付の注射用水で完全に溶解すること〔14.1.1、14.1.2参照〕。
8.1.3. 注入から検査終了まで安静にさせ観察を十分に行うこと。
9.1.1. アレルギー素因のある患者〔8.1、11.1.1参照〕。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明):口のしびれ、嘔気、胸内苦悶、眼球結膜充血、眼瞼浮腫等があらわれた場合には、ショック、アナフィラキシーの前駆症状と考えられるため、直ちに適切な処置を行うこと(症状に応じ、輸液、血圧上昇薬、強心薬、副腎皮質ホルモン剤等の投与、気道確保、人工呼吸、あるいは酸素吸入、心臓マッサージ、適切な体位をとらせるなどの救急処置を速やかに行うこと)〔8.1.1、9.1.1参照〕。
- 11.2. その他の副作用
1). 消化器:(5%未満)悪心、(頻度不明)嘔吐。
2). その他:(頻度不明)蕁麻疹、発熱。
- 高齢者
- 患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(一般に生理機能が低下していることが多い)。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、診断上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
診断上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
- 小児等
- 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤調製時の注意14.1.1. 必ず添付の注射用水で溶解し、その他の溶解液(生理食塩液等)は使用
しないこと〔8.1.2参照〕。
14.1.2. 溶解時、バイアルを数回転倒し、軽く振盪してゴム栓内側付着の薬剤も完全に溶解後、バイアルを横にして水平回転し、壁面を観察し、不溶の薬剤が残っていないことを確認すること。なお、ゴム栓、キャップ付着分の薬剤溶解にも留意すること〔8.1.2参照〕。
14.1.3. 注入液は用時調製し、溶解後は直ちに使用すること。溶解した液は保存しないこと。
14.2. 薬剤投与時の注意静脈内投与により血管痛があらわれることがある。
外箱開封後は、遮光して保存すること。
16.1 血中濃度
16.1.1 血漿中濃度
(1)健康成人にインドシアニングリーン0.25mg/kgを静脈内投与したとき、血漿中濃度推移は投与後約15分までは指数関数的に減少し、その後は減少が緩徐となり、血漿中より速やかに消失した。
(2)健康成人(n=7)にインドシアニングリーン10mgを単回静脈内投与した場合のパラメータは、次の通りであった(外国人データ)。
→図表を見る(PDF)
16.3 分布
16.3.1 全身分布
35S‐インドシアニングリーンを用いたマウス凍結全身オートラジオグラフィーでは、本剤の静脈内投与1分後、および5分後には全身血管系、特に肺、心、腎、肝に一様に分布した。15分後には肝内濃度がほぼ最高に達し、胆のうへの排泄、腸管への分布が認められた。また、30分後には胃、60分後には腸管内分布が多くなり、24時間後には肝、腸管内にわずかに認められた。
16.3.2 血清蛋白結合率
健康成人の血清中インドシアニングリーンは、80%がグロブリン分画に結合していることが認められた。グロブリン分画のうち、本剤と主に結合しているのはα1‐リポプロテインもしくはβ‐リポプロテインであると考えられ、この結合はアルブミンと色素との結合よりむしろ親和性が強いといわれている(外国人データ)。
16.4 代謝
インドシアニングリーンは体内において化学的変化を受けないといわれている。
16.5 排泄
16.5.1 排泄部位
本剤は血中から選択的に肝に取り込まれ、腸肝循環や腎からの排泄もなく、肝より遊離形で胆汁中に高率かつ速やかに排泄されることが確かめられている。
16.5.2 尿中排泄
健康人・肝疾患患者・肝外疾患患者(n=9)にインドシアニングリーン0.25mg/kgを静脈内投与した際の尿中排出量を測定した結果、疾患による差はなく、投与後2時間までの排泄量は投与量の0.2%以下であった。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第II/III相試験
滲出型加齢黄斑変性で、漿液性又は出血性網膜色素上皮剥離を伴う患者又は再発病巣をもつ患者60例(有効性解析対象39例)を対象に、インドシアニングリーン12.5mg注)と25mgを比較するクロスオーバー試験を実施した結果、25mg使用時の有効率は79.5%(脈絡膜新生血管の検出の容易さを指標とし、「検出が極めて容易である」及び「検出が容易である」を「有効」として取り扱った)であった。
→図表を見る(PDF)
25mg投与群において副作用は57例中1例(1.8%)に認められ、嘔気1例のみであった。
注)本剤が承認されている用法・用量は、インドシアニングリーンとして成人には25mgを注射用水2mLに溶解し、通常肘静脈より速やかに注射するである。
18.1 測定法
18.1.1 原理
インドシアニングリーンの波長特性として、血中での最大吸収波長および最大蛍光波長は、いずれも近赤外領域にあり、近赤外領域の波長は、網膜色素上皮層を容易に透過して脈絡膜まで達するので、脈絡膜中のインドシアニングリーンは励起され蛍光を発する。そのため、網膜色素上皮や黄斑部キサントフィルの眼内組織のみならず、網膜下の漿液、出血および滲出斑などに対しても透過性が良いという特性をもっている。
蛍光色素としてインドシアニングリーンを静注し、近赤外光を励起光として眼底を照射し、眼底からのインドシアニングリーンの蛍光スペクトルのみを選択的に透過する濾過フィルターを通して眼底の血管造影を行う。
投与後の経過時間により、造影の初期から後期まで次に示す所見が得られる。
18.1.2 脈絡膜動脈相
眼底後極部の脈絡膜造影は、インドシアニングリーンが短後毛様動脈に流入した時点より始まるが、それぞれの支配領域にある脈絡膜動脈の造影開始時間は若干異なる。その後インドシアニングリーンは速やかに細小脈絡膜動脈を経て脈絡膜毛細血管へと移行する。
18.1.3 脈絡膜動静脈相
次いで脈絡膜静脈系の血管にも速やかにインドシアニングリーンが現れ、造影開始から3~5秒で中大脈絡膜静脈に至り脈絡膜蛍光が最も強くなる。
18.1.4 脈絡膜静脈相
その後脈絡膜動脈の蛍光は弱まり、脈絡膜静脈系血管が優位の状態が色素静注後10~15分続く。
18.1.5 脈絡膜消失相
やがて大中脈絡膜静脈からも色素は消失して、びまん性の脈絡膜背景蛍光が観察される。この時期には、大きな脈絡膜血管や網膜血管は低蛍光を示す。
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