MSコンチン錠10mg

添付文書情報2020年02月改定(第11版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 禁忌
- 1.重篤な呼吸抑制のある患者[呼吸抑制を増強する]。
2.気管支喘息発作中の患者[気道分泌を妨げる]。
3.重篤な肝障害のある患者[昏睡に陥ることがある]。
4.慢性肺疾患に続発する心不全の患者[呼吸抑制や循環不全を増強する]。
5.痙攣状態(てんかん重積症、破傷風、ストリキニーネ中毒)にある患者[脊髄刺激効果が現れる]。
6.急性アルコール中毒の患者[呼吸抑制を増強する]。
7.アヘンアルカロイドに対し過敏症の患者。
8.出血性大腸炎の患者[腸管出血性大腸菌(O157等)や赤痢菌等の重篤な細菌性下痢のある患者では、症状の悪化、治療期間の延長を来す恐れがある]。
9.ナルメフェン塩酸塩水和物投与中又はナルメフェン塩酸塩水和物投与中止後1週間以内の患者。
- 効能・効果
- 激しい疼痛を伴う各種癌における鎮痛。
- 用法・用量
- モルヒネ硫酸塩水和物として1日20~120mgを2回に分割経口投与する。なお、初回量は10mgとすることが望ましい。症状に応じて適宜増減する。
- 慎重投与
- 1.心機能障害のある患者[循環不全を増強する恐れがある]。
2.呼吸機能障害のある患者[呼吸抑制を増強する恐れがある]。
3.肝機能障害・腎機能障害のある患者[代謝・排泄が遅延し副作用が現れる恐れがある]。
4.脳器質的障害のある患者[呼吸抑制や頭蓋内圧上昇を起こす恐れがある]。
5.ショック状態にある患者[循環不全や呼吸抑制を増強する恐れがある]。
6.代謝性アシドーシスのある患者[呼吸抑制を起こす恐れがある]。
7.甲状腺機能低下症(粘液水腫等)の患者[呼吸抑制や昏睡を起こす恐れがある]。
8.副腎皮質機能低下症(アジソン病等)の患者[呼吸抑制作用に対し、感受性が高くなっている]。
9.薬物依存の既往歴のある患者[依存性を生じやすい]。
10.高齢者。
11.新生児、乳児。
12.衰弱者[呼吸抑制作用に対し、感受性が高くなっている]。
13.前立腺肥大による排尿障害、尿道狭窄、尿路手術術後の患者[排尿障害を増悪することがある]。
14.器質的幽門狭窄、麻痺性イレウス又は最近消化管手術を行った患者[消化管運動を抑制する]。
15.痙攣の既往歴のある患者[痙攣を誘発する恐れがある]。
16.胆嚢障害及び胆石のある患者[胆道痙攣を起こすことがある]。
17.重篤な炎症性腸疾患のある患者[連用した場合、巨大結腸症を起こす恐れがある]。
18.ジドブジン投与中(アジドチミジン投与中)の患者。
- 重要な基本的注意
- 1.連用により薬物依存を生じることがあるので、観察を十分に行い、慎重に投与する。
2.眠気、眩暈が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意する。
3.本剤を増量する場合には、副作用に十分注意する。
- 相互作用
- 1.併用禁忌:ナルメフェン塩酸塩水和物<セリンクロ>[本剤の鎮痛作用を減弱させることがあり、また、退薬症候を起こすことがある(μオピオイド受容体拮抗作用により、本剤の作用が競合的に阻害される)]。
2.併用注意:1).中枢神経抑制剤(フェノチアジン誘導体、バルビツール酸誘導体等)、吸入麻酔剤、MAO阻害剤、三環系抗うつ剤、β遮断剤、アルコール[<臨床症状>呼吸抑制、低血圧及び顕著な鎮静又は昏睡が起こることがある;<措置方法>減量するなど慎重に投与する(相加的に中枢神経抑制作用を増強させる)]。
2).クマリン系抗凝血剤(ワルファリン)[クマリン系抗凝血剤の作用が増強されることがあるので投与量を調節するなど慎重に投与する(機序は不明)]。
3).抗コリン作用を有する薬剤[<臨床症状>麻痺性イレウスに至る重篤な便秘又は尿貯留が起こることがある(相加的に抗コリン作用を増強させる)]。
4).ジドブジン(アジドチミジン)[ジドブジンのクリアランスを低下させる(ジドブジンの代謝が阻害される)]。
5).ブプレノルフィン[ブプレノルフィンの高用量(8mg連続皮下投与)において、本剤の作用に拮抗するとの報告がある(ブプレノルフィンはμ受容体の部分アゴニストである)]。
- 副作用
- 承認時における安全性評価対象例294例中、副作用は130例(44.2%)に認められた。主なものは、便秘、悪心、嘔吐、口渇、食欲不振、眠気・傾眠、錯乱等であった。
再審査終了時における安全性評価対象例2,503例中、臨床検査値の異常変動を含む副作用は604例(24.13%)に認められた。主なものは、便秘、悪心、嘔吐、眠気・傾眠等であった。
- 重大な副作用
- 1.重大な副作用
1).ショック(頻度不明):ショックを起こすことがあるので、観察を十分に行い、症状が現れた場合には適切な処置を行う。
2).依存性(0.7%):連用により薬物依存を生じることがあるので、観察を十分に行い、慎重に投与する。また、連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により、あくび、くしゃみ、流涙、発汗、悪心、嘔吐、下痢、腹痛、散瞳、頭痛、不眠、不安、譫妄、振戦、全身筋肉痛・全身関節痛、呼吸促迫等の退薬症候が現れることがあるので、投与を中止する場合には、1日用量を徐々に減量するなど、患者の状態を観察しながら行う。
3).呼吸抑制(0.2%):呼吸抑制が現れることがあるので、息切れ、呼吸緩慢、不規則呼吸、呼吸異常等が現れた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行う(なお、本剤による呼吸抑制には、麻薬拮抗剤(ナロキソン、レバロルファン等)が拮抗する)。
4).錯乱(0.4%)、譫妄(0.3%):錯乱、譫妄が現れることがあるので、このような場合には、減量又は投与を中止するなど適切な処置を行う。
5).無気肺、気管支痙攣、喉頭浮腫(頻度不明):無気肺、気管支痙攣、喉頭浮腫が現れるとの報告がある。
6).麻痺性イレウス(0.1%未満)、中毒性巨大結腸(頻度不明):炎症性腸疾患の患者に投与した場合、麻痺性イレウス、中毒性巨大結腸が現れるとの報告がある。
7).肝機能障害(頻度不明):AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)、Al-P上昇等が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行う。
- 2.その他の副作用
1).過敏症:(5%未満)発疹、そう痒感等[症状が現れた場合には投与を中止する]。
2).循環器:(頻度不明)不整脈、血圧変動、顔面潮紅等。
3).精神神経系:(5%未満)眠気・傾眠、不安定感、不穏、意識障害、発汗、眩暈、視調節障害等、(頻度不明)不安、興奮。
4).消化器:(5%以上)便秘、悪心、(5%未満)嘔吐、口渇、食欲不振。
5).その他:(5%未満)排尿障害、(頻度不明)頭蓋内圧亢進。
- 高齢者への投与
- 一般に高齢者では生理機能が低下しており、特に呼吸抑制の感受性が高いため、低用量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら、慎重に投与する。
- 妊婦・産婦・授乳婦等への投与
- 1.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する[動物試験(マウス)でモルヒネ硫酸塩の大量投与により胎仔催奇形作用が報告されている]。
2.分娩前に投与した場合、出産後新生児に退薬症候(多動、神経過敏、不眠、振戦等)が現れることがある。
3.分娩時の投与により、新生児に呼吸抑制が現れることがある。
4.授乳中の婦人には、本剤投与中は授乳を避けさせる[ヒト母乳中へ移行することがある]。
- 小児等への投与
- 新生児、乳児では呼吸抑制の感受性が高いため、低用量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら、慎重に投与する。
- 適用上の注意
- 薬剤交付時:1.本剤は徐放性の製剤であるため、噛まずに服用するように指示する。
2.PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導する(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)。
3.本剤が不要となった場合には、病院又は薬局へ返納するなどの処置について適切に指導する。
1.血漿中濃度
癌疼痛患者を対象に、MSコンチン錠1回30mg(10mg製剤3錠)、12時間ごと投与時とモルヒネ塩酸塩水溶液1回10mg、4時間ごと投与時の、定常状態における薬物動態について比較、検討した。
(1)速度論的に解析可能であった症例の血漿中濃度の平均値を用いて血漿中濃度曲線を予測して検討した結果、MSコンチン錠12時間ごと投与時の血漿中濃度は、モルヒネ塩酸塩水溶液4時間ごと投与時の血漿中濃度とほぼ同等であった。
図1 MSコンチン錠及びモルヒネ塩酸塩水溶液経口投与時の血漿中遊離モルヒネ濃度予測曲線
(2)MSコンチン錠投与時のモルヒネの消失速度はモルヒネ塩酸塩水溶液投与時とほぼ一致し、AUCも両者でほぼ同じ値を示し、差は認められなかった。しかし、MSコンチン錠の吸収速度は遅く、Tmaxは長く、Cmaxは低く(単位量あたり)なり、本剤の徐放性が示された。
表1 薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
(3)本剤の吸収は食事による影響をほとんど受けなかった。(外国人によるデータ)
2.代謝
モルヒネは主としてグルクロン酸抱合を受け、モルヒネ‐3‐グルクロナイド及び薬理活性をもつモルヒネ‐6‐グルクロナイドに代謝される。
3.排泄
(1)MSコンチン錠1回30mg、1日2回投与時の定常状態時におけるモルヒネ、モルヒネ‐6‐グルクロナイド、モルヒネ‐3‐グルクロナイド及びこれら3者の合計の24時間の全尿中排泄率(mean±S.D.)は、それぞれ2.6±2.6%、4.8±1.8%、21.6±11.2%、29.1±14.1%であった。
(2)腎不全患者及び血液透析患者において、モルヒネ‐6‐グルクロナイドの蓄積によると考えられる遷延性の意識障害あるいは遷延性の呼吸抑制が起きたとの報告がある。
4.その他
効果発現時間:1時間30分~2時間
初回通過効果:初回通過効果を受ける。生物学的利用率は22.4%である。
血漿蛋白結合率:約35%
承認時における中等度以上の癌疼痛に対する臨床成績の概要は次表のとおりであった。
1.同等性試験
(1)MSコンチン錠10mg製剤とモルヒネ塩酸塩錠
表2 臨床成績
→図表を見る(PDF)
(2)MSコンチン錠30mg製剤と既存のモルヒネ製剤
表3 臨床成績
→図表を見る(PDF)
(3)MSコンチン錠60mg製剤と既存のモルヒネ製剤
表4 臨床成績
→図表を見る(PDF)
2.長期投与試験
表5 臨床成績
→図表を見る(PDF)
3.増量時初回至適投与量試験
1日投与量60mg以下では効果不十分な癌疼痛患者151例を対象に、MSコンチン錠10mg製剤及び30mg製剤を用いて増量による初回至適投与量を検討した。なお、増量前のモルヒネ1日投与量は60mg投与例が151例中139例(92.1%)であった。
1日投与量61mg以上に増量後の初回至適投与量は、90mgが58例(38.4%)と最も多く、次いで80mgの38例(25.2%)で、120mgまでに132例(87.4%)の初回至適投与量が得られた。MSコンチン錠の1日投与量を120mgまでに増量することの意義が裏付けられたと考えられる。
1.薬理作用
鎮痛作用
鎮痛作用についてモルヒネ塩酸塩水和物を対照薬として比較した。マウスのhot plate法、酢酸ライジング法及びラットのtail flick法(いずれも経口投与)を用いて検討した結果、硫酸塩(モルヒネ硫酸塩水和物)と塩酸塩(モルヒネ塩酸塩水和物)はほぼ同程度の効力を有することが確認された。
表6 鎮痛作用
→図表を見る(PDF)
2.作用機序
オピオイド受容体を介して作用を示す。大脳皮質知覚領域の痛覚閾値を上昇させるほか、痛覚伝導路のうち脊髄以上の部位に作用し、脳幹の下降性抑制系の賦活や、視床及び脊髄後角を抑制する。
- 一包可:不可
- 分割:不可
- 粉砕:不明
徐放性の製剤であるため、かまずに服用するように指示する。
- 製造販売会社
- シオノギファーマ
- 販売会社
- 塩野義製薬
おくすりのQ&A
製品インタビューフォームの苛酷試験などの結果に高分子量分子種の増加が認められる、と記載されている場合、どう捉えれば良いか分かりません。知りたいポイントは冷...
わからないことがあったら、
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