モルヒネ塩酸塩注射液10mg「シオノギ」
添付文書情報2024年05月改定(第2版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 警告
- 本剤の硬膜外及びくも膜下投与は、これらの投与法に習熟した医師のみにより、本剤の投与が適切と判断される患者についてのみ実施すること。
- 禁忌
- 2.1. 〈投与経路共通〉重篤な呼吸抑制のある患者[呼吸抑制を増強する]。
2.2. 〈投与経路共通〉気管支喘息発作中の患者[気道分泌を妨げる]。
2.3. 〈投与経路共通〉重篤な肝機能障害のある患者〔9.3.1参照〕。
2.4. 〈投与経路共通〉慢性肺疾患に続発する心不全の患者[呼吸抑制や循環不全を増強する]。
2.5. 〈投与経路共通〉痙攣状態(てんかん重積症、破傷風、ストリキニーネ中毒)にある患者[脊髄刺激効果があらわれる]。
2.6. 〈投与経路共通〉急性アルコール中毒の患者[呼吸抑制を増強する]。
2.7. 〈投与経路共通〉本剤の成分及びアヘンアルカロイドに対し過敏症の患者。
2.8. 〈投与経路共通〉出血性大腸炎の患者[腸管出血性大腸菌(O157等)や赤痢菌等の重篤な細菌性下痢のある患者では、症状の悪化、治療期間の延長を来すおそれがある]〔9.1.1参照〕。
2.9. 〈投与経路共通〉ナルメフェン塩酸塩水和物投与中又はナルメフェン塩酸塩水和物投与中止後1週間以内の患者〔10.1参照〕。
2.10. 〈硬膜外投与の場合〉注射部位又はその周辺に炎症のある患者[化膿性髄膜炎症状を起こすことがある]。
2.11. 〈硬膜外投与の場合〉敗血症の患者[敗血症性髄膜炎を生じるおそれがある]。
2.12. 〈くも膜下投与の場合〉注射部位又はその周辺に炎症のある患者[化膿性髄膜炎症状を起こすことがある]。
2.13. 〈くも膜下投与の場合〉敗血症の患者[敗血症性髄膜炎を生じるおそれがある]。
2.14. 〈くも膜下投与の場合〉中枢神経系疾患(髄膜炎、灰白脊髄炎、脊髄癆等)の患者[くも膜下投与により病状が悪化するおそれがある]。
2.15. 〈くも膜下投与の場合〉脊髄に結核・脊椎に結核、脊椎炎及び脊髄に転移性腫瘍・脊椎に転移性腫瘍等の脊髄に活動性疾患・脊椎に活動性疾患のある患者[くも膜下投与により病状が悪化するおそれがある]。
- 効能・効果
- 〈皮下及び静脈内投与の場合〉
1). 激しい疼痛時における鎮痛・鎮静。
2). 激しい咳嗽発作における鎮咳。
3). 激しい下痢症状の改善及び手術後等の腸管蠕動運動の抑制。
4). 麻酔前投薬、麻酔補助。
5). 中等度から高度の疼痛を伴う各種癌における鎮痛。
〈硬膜外及びくも膜下投与の場合〉
1). 激しい疼痛時における鎮痛。
2). 中等度から高度の疼痛を伴う各種癌における鎮痛。
- 用法・用量
- 〈皮下及び静脈内投与の場合〉
通常、成人にはモルヒネ塩酸塩水和物として1回5~10mgを皮下に注射する。また、麻酔の補助として、静脈内に注射することもある。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
中等度から高度の疼痛を伴う各種癌における鎮痛において持続点滴静注又は持続皮下注する場合には、通常、成人にはモルヒネ塩酸塩水和物として1回50~200mgを投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
〈硬膜外投与の場合〉
通常、成人にはモルヒネ塩酸塩水和物として1回2~6mgを硬膜外腔に注入する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
硬膜外腔に持続注入する場合は、通常、成人にはモルヒネ塩酸塩水和物の1日量として2~10mgを投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
〈くも膜下投与の場合〉
通常、成人にはモルヒネ塩酸塩水和物として1回0.1~0.5mgをくも膜下腔に注入する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 〈皮下及び静脈内投与の場合〉200mg注射液(4%製剤)は、10mgあるいは50mg注射液(1%製剤)の4倍濃度であるので、1%製剤から4%製剤への切り替えにあたっては、持続注入器の注入速度、注入量を慎重に設定し、過量投与とならないように注意して使用すること。
7.2. 〈硬膜外投与の場合〉200mg注射液(4%製剤)は硬膜外投与には使用しないこと。
7.3. 〈硬膜外投与の場合〉オピオイド系鎮痛薬を使用していない患者に対しては、初回投与時には、24時間以内の総投与量が10mgを超えないこと。
7.4. 〈硬膜外投与の場合〉硬膜外投与で十分な鎮痛効果が得られず、さらに追加投与が必要な場合には、患者の状態(呼吸抑制等)を観察しながら慎重に投与すること。
7.5. 〈くも膜下投与の場合〉200mg注射液(4%製剤)はくも膜下投与には使用せず、原則として10mg注射液(1%製剤)を使用すること。
7.6. 〈くも膜下投与の場合〉患者の状態(呼吸抑制等)を観察しながら慎重に投与すること。
7.7. 〈くも膜下投与の場合〉原則として追加投与や持続投与は行わないが、他の方法で鎮痛効果が得られない場合には、患者の状態を観察しながら、安全性上問題がないと判断できる場合にのみ、その実施を考慮すること。
- 肝機能障害患者
- 8.1. 〈投与経路共通〉連用により薬物依存を生じることがあるので、観察を十分に行い、慎重に投与すること〔11.1.1参照〕。
8.2. 〈投与経路共通〉眠気、めまいが起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。
8.3. 〈硬膜外投与の場合〉本剤の使用に際しては、初回投与あるいは導入時から、鎮痛状態が安定し、安全性上問題ないと判断できるまでは、必ず気道確保、呼吸管理等の蘇生設備の完備された場所で、厳重な管理の下に使用すること。
8.4. 〈硬膜外投与の場合〉重篤な呼吸抑制が投与から数時間以上経過した後に発現することがあるので、十分に注意すること〔11.1.2参照〕。
8.5. 〈硬膜外投与の場合〉硬膜外腔内留置カテーテルを介した投与により肉芽腫等の腫瘤が生じることがあるので、十分に注意すること〔11.2参照〕。
8.6. 〈くも膜下投与の場合〉本剤の使用に際しては、必ず気道確保、呼吸管理等の蘇生設備の完備された場所で、厳重な管理の下に使用すること。
8.7. 〈くも膜下投与の場合〉重篤な呼吸抑制が投与から数時間以上経過した後に発現することがあるので、十分に注意すること〔11.1.2参照〕。
8.8. 〈くも膜下投与の場合〉くも膜下腔内留置カテーテルを介した投与により肉芽腫等の腫瘤が生じることがあるので、十分に注意すること〔11.2参照〕。
9.1.1. 〈投与経路共通〉細菌性下痢のある患者:治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと(治療期間の延長を来すおそれがある)〔2.8参照〕。
9.1.2. 〈投与経路共通〉心機能障害のある患者:循環不全を増強するおそれがある。
9.1.3. 〈投与経路共通〉呼吸機能障害のある患者:呼吸抑制を増強するおそれがある。
9.1.4. 〈投与経路共通〉脳器質的障害のある患者:呼吸抑制や頭蓋内圧上昇を起こすおそれがある。
9.1.5. 〈投与経路共通〉ショック状態にある患者:循環不全や呼吸抑制を増強するおそれがある。
9.1.6. 〈投与経路共通〉代謝性アシドーシスのある患者:呼吸抑制を起こすおそれがある。
9.1.7. 〈投与経路共通〉甲状腺機能低下症(粘液水腫等)の患者:呼吸抑制や昏睡を起こすおそれがある。
9.1.8. 〈投与経路共通〉副腎皮質機能低下症(アジソン病等)の患者:呼吸抑制作用に対し、感受性が高くなっている。
9.1.9. 〈投与経路共通〉薬物依存の既往歴のある患者:依存性を生じやすい。
9.1.10. 〈投与経路共通〉衰弱者:呼吸抑制作用に対し、感受性が高くなっている。
9.1.11. 〈投与経路共通〉前立腺肥大による排尿障害、尿道狭窄、尿路手術術後の患者:排尿障害を増悪することがある。
9.1.12. 〈投与経路共通〉器質的幽門狭窄、麻痺性イレウス又は最近消化管手術を行った患者:消化管運動を抑制する。
9.1.13. 〈投与経路共通〉痙攣の既往歴のある患者:痙攣を誘発するおそれがある。
9.1.14. 〈投与経路共通〉胆嚢障害及び胆石のある患者:胆道痙攣を起こすことがある。
9.1.15. 〈投与経路共通〉重篤な炎症性腸疾患のある患者:連用した場合、巨大結腸症を起こすおそれがある。
9.1.16. 〈硬膜外投与の場合〉中枢神経系疾患(髄膜炎、灰白脊髄炎、脊髄癆等)の患者:硬膜外投与により病状が悪化するおそれがある。
9.1.17. 〈硬膜外投与の場合〉脊髄に結核・脊椎に結核、脊椎炎及び脊髄に転移性腫瘍・脊椎に転移性腫瘍等の脊髄に活動性疾患・脊椎に活動性疾患のある患者:硬膜外投与により病状が悪化するおそれがある。
9.1.18. 〈硬膜外投与の場合〉血液凝固障害のある患者又は抗凝血剤投与中の患者:出血しやすく、血腫形成や脊髄障害を起こすことがある。
9.1.19. 〈硬膜外投与の場合〉脊柱に著明な変形のある患者:脊髄損傷や神経根損傷のおそれがある。
9.1.20. 〈くも膜下投与の場合〉血液凝固障害のある患者又は抗凝血剤投与中の患者:出血しやすく、血腫形成や脊髄障害を起こすことがある。
9.1.21. 〈くも膜下投与の場合〉脊柱に著明な変形のある患者:脊髄損傷や神経根損傷のおそれがある。
腎機能障害患者:排泄が遅延し、副作用があらわれるおそれがある。
9.3.1. 重篤な肝機能障害のある患者:投与しないこと(昏睡に陥ることがある)〔2.3参照〕。
9.3.2. 肝機能障害<重篤な肝機能障害を除く>のある患者:代謝が遅延し、副作用があらわれるおそれがある。
- 相互作用
- 10.1. 併用禁忌:ナルメフェン塩酸塩水和物<セリンクロ>〔2.9参照〕[本剤の離脱症状があらわれるおそれがあり、また、本剤の効果が減弱するおそれがある(緊急の手術等によりやむを得ず本剤を投与する場合、患者毎に用量を漸増し、呼吸抑制等の中枢神経抑制症状を注意深く観察し、また、手術等において本剤を投与することが事前にわかる場合には、少なくとも1週間前にナルメフェン塩酸塩水和物の投与を中断すること)(μオピオイド受容体拮抗作用により、本剤の作用が競合的に阻害される)]。
10.2. 併用注意:1). 中枢神経抑制剤(フェノチアジン系薬剤、バルビツール酸系薬剤等)、吸入麻酔剤、モノアミン酸化酵素阻害剤、三環系抗うつ剤、β-遮断剤、アルコール[呼吸抑制、低血圧及び顕著な鎮静又は昏睡が起こることがある(相加的に中枢神経抑制作用が増強される)]。
2). クマリン系抗凝血剤(ワルファリン)[クマリン系抗凝血剤の作用が増強されることがある(機序は不明である)]。
3). 抗コリン作動性薬剤[麻痺性イレウスに至る重篤な便秘又は尿貯留が起こるおそれがある(相加的に抗コリン作用が増強される)]。
4). ジドブジン(アジドチミジン)[ジドブジンの副作用<骨髄抑制等>を増強させるおそれがある(ジドブジンのグルクロン酸抱合が競合的に阻害され、ジドブジンの代謝が阻害される)]。
5). ブプレノルフィン[ブプレノルフィンの高用量(8mg連続皮下投与)において、本剤の作用に拮抗するとの報告がある(μオピオイド受容体拮抗作用により、本剤の作用が競合的に阻害される)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 依存性(頻度不明):連用により生じることがある。また、連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により、あくび、くしゃみ、流涙、発汗、悪心、嘔吐、下痢、腹痛、散瞳、頭痛、不眠、不安、せん妄、振戦、全身筋肉痛・全身関節痛、呼吸促迫等の退薬症候があらわれることがあるので、投与を中止する場合には、1日用
量を徐々に減量するなど、患者の状態を観察しながら行うこと〔8.1参照〕。
11.1.2. 呼吸抑制(頻度不明):息切れ、呼吸緩慢、不規則呼吸、呼吸異常等があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと(なお、本剤による呼吸抑制には、麻薬拮抗剤(ナロキソン、レバロルファン等)が拮抗する)〔8.4、8.7参照〕。
11.1.3. 錯乱(頻度不明)、せん妄(頻度不明)。
11.1.4. 無気肺(頻度不明)、気管支痙攣(頻度不明)、喉頭浮腫(頻度不明)。
11.1.5. 麻痺性イレウス(頻度不明)、中毒性巨大結腸(頻度不明):炎症性腸疾患の患者に投与した場合、中毒性巨大結腸があらわれるとの報告がある。
- 11.2. その他の副作用
1). 循環器:(頻度不明)不整脈、血圧変動、顔面潮紅。
2). 精神神経系:(頻度不明)眠気、めまい、不安、不穏、興奮、視調節障害、発汗、*痛覚過敏[*:増量により痛みが増悪する]、アロディニア。
3). 消化器:(頻度不明)悪心、嘔吐、便秘、口渇。
4). 過敏症:(頻度不明)発疹、そう痒感。
5). 投与部位:(頻度不明)発赤、腫脹、硬結、疼痛、※肉芽腫等の※腫瘤。
6). その他:(頻度不明)排尿障害、尿閉、頭蓋内圧亢進、脱力。
※)〔8.5、8.8参照〕。
- 高齢者
- 低用量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること(一般に生理機能が低下しており、特に呼吸抑制の感受性が高い)。
- 授乳婦
- 9.5.1. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(動物試験(マウス、ラット)で催奇形作用
(マウスでは脳脱、軸骨格癒合)が報告されている)。
9.5.2. 分娩前に投与した場合、出産後新生児に退薬症候(多動、神経過敏、不眠、振戦等)があらわれることがある。
9.5.3. 分娩時の投与により、新生児に呼吸抑制があらわれることがある。
本剤投与中は授乳を避けさせること(ヒト母乳中へ移行することがある)。
- 小児等
- 新生児、乳児では低用量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること(新生児、乳児では呼吸抑制の感受性が高い)。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤調製時の注意14.1.1. 〈投与経路共通〉低温下では結晶が析出することがあるので、このような場合には体温付近まで加温し、溶解後使用する。
14.1.2. 〈硬膜外投与の場合〉硬膜外投与の場合、5~10mLの生理食塩液等に希釈し投与すること(持続投与する場合には、生理食塩液等に希釈し投与すること)。
14.1.3. 〈くも膜下投与の場合〉くも膜下投与の場合、生理食塩液等に希釈し投与すること。なお、くも膜下投与の場合、本剤と混合又は希釈する液の種類及び比重により鎮痛効果の持続時間、鎮痛領域(分節性)に違いが生じる可能性があるので、疼痛の種類、患者の状態に応じて適切な希釈液を選択すること。
14.2. 薬剤投与時の注意14.2.1. 〈皮下及び静脈内投与の場合〉モルヒネ製剤のがん疼痛における臨床使用方法としては経口投与又は直腸内投与が不可能なとき、初めて注射を用いる。
14.2.2. 〈皮下及び静脈内投与の場合〉急速静注により、アナフィラキシー、重篤な呼吸抑制、低血圧、末梢循環虚脱、心停止が起こるおそれがあるので、静注する場合には緩徐に行うことが望ましい。
14.2.3. 〈硬膜外投与の場合〉硬膜外投与の場合、注射針又はカテーテル先端が、血管又はくも膜下腔に入っていないことを確かめること。
14.2.4. 〈硬膜外投与の場合〉硬膜外投与の場合、試験的に注入(test dose)し、注射針又はカテーテルが適切に留置されていることを確認すること。
14.2.5. 〈くも膜下投与の場合〉髄液の漏出を最小に防ぐために、脊髄くも膜下麻酔針は、できるだけ細いものを用いること(脊髄くも膜下腔穿刺により脊髄麻酔後頭痛が、また、まれに一過性外転神経麻痺等があらわれることがある(なお、このような症状があらわれた場合には輸液投与を行うなど適切な処置を行うこと))。
14.2.6. 〈くも膜下投与の場合〉まれに脊髄神経障害があらわれることがあるので、くも膜下投与時、穿刺に際して患者が放散痛を訴えた場合、脳脊髄液が出にくい場合又は血液混入を認めた場合には、本剤を注入しないこと。
14.3. 薬剤交付時の注意本剤が不要となった場合には、病院又は薬局へ返却するなどの処置について適切に指導すること。
外箱開封後は遮光して保存すること。
16.1 血中濃度
モルヒネ塩酸塩注射液10mg・50mgの持続点滴静注及び持続皮下注の定常状態における血漿中モルヒネ濃度とモルヒネ塩酸塩注射液投与量の関係を添付文書の図16‐1及び図16‐2に示す。
対象:各種がん患者
測定法:HPLC
16.1.1 持続点滴静注
r=0.745(p<0.01)(26例)
y=0.41x+15.66
図16‐1 血漿中濃度と投与量の関係
16.1.2 持続皮下注
r=0.724(p<0.01)(18例)
y=0.54x+33.61
図16‐2 血漿中濃度と投与量の関係
16.3 分布
16.3.1 モルヒネは骨格筋、腎臓、肝臓、小腸、肺、脾臓、脳に分布する。また胎盤を通過し、乳汁中にも検出される(外国人データ)。
16.3.2 血漿蛋白結合率:約35%(外国人データ)
16.4 代謝
モルヒネは主としてグルクロン酸抱合を受け、モルヒネ‐3‐グルクロナイド及び薬理活性を持つモルヒネ‐6‐グルクロナイドに代謝される。
16.5 排泄
モルヒネは大部分が抱合体として、24時間までの尿中に約90%、糞中に7~10%が排泄される。
18.1 作用機序
オピオイド受容体のうち、主としてμ受容体に作用して、中枢神経及び消化器系に対する作用をあらわすが、δ及びκ受容体に対する親和性も有する。
18.2 薬理作用
18.2.1 中枢神経系
モルヒネ塩酸塩水和物の中枢神経抑制作用は、大脳皮質に始まり、順次下降して延髄・脊髄に及ぶ。
ヒトでは、5~10mgで運動中枢、意識、知覚に影響することなく痛覚の感受性を減じ、鎮痛の目的に用いられる。
また、呼吸・咳嗽中枢を抑制し、呼吸鎮静作用、鎮咳作用をあらわす。増量に従い、発揚状態から催眠作用があらわれ、もうろう状態に至り、1回30mgで深い睡眠に陥る。この経過中に延髄の嘔吐中枢を刺激して嘔気、嘔吐を起こすことがある。
18.2.2 消化器系
胃腸管の運動を低下させ、止瀉作用をあらわす。また、膵液や腸液等消化液の分泌を減少させる。
18.2.3 循環器系
薬用量では心拍数、血圧にほとんど影響がないか、あっても軽度である。大量では血圧下降があらわれる。
18.2.4 その他
体温調節中枢の抑制作用、瞳孔縮小作用、汗腺を除く外分泌腺の分泌抑制作用等を示す。
- 製造販売会社
- シオノギファーマ
- 販売会社
- 塩野義製薬
おくすりのQ&A
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